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宅建の帳簿とは備え付け義務(49条)・記載事項・保存期間を条文で整理

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

宅建業者の帳簿の備え付け義務(宅建業法49条)を、施行規則18条の記載事項9項目、閉鎖後5年(自ら売主の新築住宅は10年)の保存期間、従業者名簿との違い、罰則まで条文で整理。令和5〜7年度の本試験での出題箇所も確認できます。

目次
  1. 帳簿と従業者名簿を一覧で比べる
  2. 帳簿の備え付け義務(宅建業法49条)
  3. 帳簿の記載事項(施行規則18条1項の9項目)
  4. 帳簿の保存期間は閉鎖後5年(自ら売主の新築住宅は10年)
  5. 従業者名簿との違い(宅建業法48条・施行規則17条の2)
  6. 電磁的記録で帳簿を備えてもよいか(施行規則18条2項)
  7. 違反したときの罰則と立入検査(83条・84条・72条)
  8. 本試験での出題のされ方(令和5〜7年度)
  9. 当サイトのオリジナル例題で確認する
結論:宅建業者の帳簿は、宅建業法49条により「事務所ごと」に備え、取引のあったつど、年月日と物件の所在・面積などを記載する義務です。記載事項は施行規則18条1項の9項目、保存は各事業年度の末日に閉鎖して閉鎖後5年間(自ら売主となる新築住宅に係るものは10年間)です。従業者名簿の10年間(施行規則17条の2第4項)と数字を取り違えないことが、いちばん大切な整理です。

「帳簿」は、「5年」と「10年」のように、従業者名簿と数字を取り違えやすい論点です。このページは、令和8年度試験(法令基準日は2026年4月1日)に合わせて、2026年10月4日時点の現行条文にもとづく内容をまとめています。条文は e-Gov 法令検索の宅地建物取引業法 と 宅地建物取引業法施行規則 で確認できます。本ページが扱う条文の現行の版は、2026年4月1日施行の版です。

合格ナビの宅建問題360問のうち、帳簿または従業者名簿を扱う問題は3問です(2026-10-04 集計。当サイトの問題の数であり、試験での出題頻度ではありません)。

帳簿と従業者名簿を一覧で比べる

項目帳簿従業者名簿
根拠法49条、施行規則18条法48条3項・4項、施行規則17条の2
備える場所その事務所ごとその事務所ごと
記載のタイミング取引のあったつど条文は「記載しなければならない」(記載事項は従業者ごと)
主な記載事項取引の年月日、物件の所在・面積、取引の相手方、報酬の額など従業者の氏名、従業者証明書の番号、主たる職務内容、宅建士か否か、従業者となった年月日など
保存期間各事業年度の末日に閉鎖し、閉鎖後5年間(自ら売主となる新築住宅は10年間)最終の記載をした日から10年間
取引の関係者からの請求条文に閲覧の定めはない閲覧に供しなければならない(48条4項)
違反の罰則50万円以下の罰金(83条1項4号)50万円以下の罰金(83条1項3号の2)

標識(業者票)や報酬額の掲示まで含めた事務所の備え付け・掲示義務の全体像は、「宅建業者の標識(業者票)と記載事項」にまとめています。

帳簿の備え付け義務(宅建業法49条)

帳簿の条文は、49条の1項だけです。

「宅地建物取引業者は、国土交通省令の定めるところにより、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、宅地建物取引業に関し取引のあつたつど、その年月日、その取引に係る宅地又は建物の所在及び面積その他国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。」

ここから読み取れるのは、次の3点です。

  • 備える場所:「その事務所ごと」。本店だけでなく、事務所ごとに備えます。
  • 記載のタイミング:「取引のあつたつど」。取引のたびに記載する義務です。
  • 記載事項の一部は法律に書かれ(年月日、宅地または建物の所在及び面積)、残りは「国土交通省令で定める事項」として施行規則18条1項に委ねられています。

帳簿の記載事項(施行規則18条1項の9項目)

法49条の「国土交通省令で定める事項」は、施行規則18条1項が次の9号で定めています。

号記載事項
1号売買・交換、または売買・交換・貸借の代理・媒介の別(取引一任代理等に係るものである場合はその旨を含む)
2号売買・交換・貸借の相手方、代理を依頼した者、媒介に係る各当事者とその代理人の氏名及び住所
3号取引に関与した他の宅建業者の商号または名称(個人の場合は氏名)
4号宅地の場合は、現況地目、位置、形状その他の宅地の概況
5号建物の場合は、構造上の種別、用途その他の建物の概況
6号売買金額、交換物件の品目及び交換差金、または賃料
7号報酬の額
8号自ら売主となる新築住宅の場合は、引渡年月日、床面積など(販売瑕疵負担割合や保険法人の名称を含む)
9号取引に関する特約その他参考となる事項

出典:e-Gov 法令検索 宅地建物取引業法施行規則18条。8号は細目が長いため、ここでは要点だけを載せています。

試験では、号の番号を暗記するより「何を書く帳簿か」を押さえるほうが役に立ちます。取引の相手方の氏名・住所、物件の概況、金額、報酬の額、特約まで、1件の取引の中身を一通り残す帳簿だと整理すると、従業者名簿(人の名簿)との区別がつきます。

帳簿の保存期間は閉鎖後5年(自ら売主の新築住宅は10年)

保存期間は、施行規則18条3項に書かれています。

「宅地建物取引業者は、法第四十九条に規定する帳簿(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)を各事業年度の末日をもつて閉鎖するものとし、閉鎖後五年間(当該宅地建物取引業者が自ら売主となる新築住宅に係るものにあつては、十年間)当該帳簿を保存しなければならない。」

整理すると、保存の起算点は「各事業年度の末日をもって閉鎖」した日です。取引を記載した日から数えるわけではありません。

帳簿の種類保存期間起算点
一般の取引の帳簿5年間各事業年度の末日の閉鎖後
自ら売主となる新築住宅に係る帳簿10年間各事業年度の末日の閉鎖後
従業者名簿(参考)10年間最終の記載をした日
帳簿・従業者名簿の保存期間:帳簿は各事業年度の末日の閉鎖後5年間(自ら売主となる新築住宅に係るものは10年間)、従業者名簿は最終の記載をした日から10年間。最終確認日:2026-10-04。出典:e-Gov 法令検索 宅地建物取引業法施行規則17条の2・18条。

「5年」と「10年」が帳簿と従業者名簿のどちらに付くのか、新築住宅の特例が付くのはどちらか、が典型的な引っかけです。10年が付くのは、従業者名簿の保存期間と、帳簿のうち自ら売主となる新築住宅に係るものの2か所です。なお、施行規則は10年とした理由を書いていないため、このページでも理由には触れません。

従業者名簿との違い(宅建業法48条・施行規則17条の2)

従業者名簿は、帳簿と同じく事務所ごとに備える書類ですが、条文の作りが違います。

  • 備え付け:宅建業者は、事務所ごとに従業者名簿を備え、従業者の氏名、従業者証明書の番号その他の国土交通省令で定める事項を記載します(48条3項)。
  • 閲覧:取引の関係者から請求があったときは、従業者名簿を閲覧に供しなければなりません(48条4項)。帳簿の49条には、この閲覧の定めがありません。
  • 記載事項:施行規則17条の2第1項は、主たる職務内容、宅地建物取引士であるか否かの別、その事務所の従業者となった年月日、従業者でなくなったときはその年月日を定めています。
  • 保存期間:最終の記載をした日から10年間(施行規則17条の2第4項)。
  • 電磁的記録:ファイルや電磁的記録媒体に記録され、事務所で紙面や映像面に明確に表示できるときは、その記録をもって名簿への記載に代えられます(施行規則17条の2第3項)。

従業者証明書(48条1項・2項)は、従業者が携帯し、取引の関係者から請求があったときに提示する書類で、名簿そのものとは別です。名簿の備え付け・閲覧と、証明書の携帯・提示を混ぜないことが大切です。

従業者名簿の閲覧を請求できる人や、資格登録簿・宅建業者名簿との違いは、「宅建士名簿は閲覧できる?資格登録簿・宅建業者名簿・従業者名簿の違い」で整理しています。

この論点の問題を解く

電磁的記録で帳簿を備えてもよいか(施行規則18条2項)

帳簿は紙でなくても備えられます。施行規則18条2項は、取引の年月日、物件の所在及び面積と、1項各号の事項が、電子計算機に備えられたファイルまたは電磁的記録媒体に記録され、必要に応じて事務所で電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、その記録をもって法49条の帳簿への記載に代えることができると定めています。

注意したいのは、次の2点です。

  • 条文の条件は「必要に応じ当該事務所において…明確に紙面に表示される」ことです。データで持っていても、事務所で紙面に表示できなければ、この条件を満たしません。
  • 保存期間の規定(18条3項)は、電磁的記録が行われたファイルや媒体も「帳簿」に含めています。電磁的に備えた場合も、閉鎖後5年間(自ら売主の新築住宅は10年間)の保存が必要です。

違反したときの罰則と立入検査(83条・84条・72条)

帳簿に関する違反の効果は、次のとおりです。

場面条文内容
帳簿を備え付けず、記載せず、または虚偽の記載をした83条1項4号50万円以下の罰金
従業者名簿を備えず、記載せず、または虚偽の記載をした83条1項3号の250万円以下の罰金
法人の代表者や従業者などが違反行為をした84条1項行為者を罰するほか、法人や人にも罰金刑
立入検査(72条1項・2項)を拒み、妨げ、または忌避した83条1項6号50万円以下の罰金
罰金額:帳簿・従業者名簿・立入検査の拒否はいずれも50万円以下の罰金(83条1項)。最終確認日:2026-10-04。出典:e-Gov 法令検索 宅地建物取引業法83条。

72条1項は、国土交通大臣または都道府県知事が必要があると認めるときに、事務所などに立ち入って「帳簿、書類その他業務に関係のある物件」を検査させることができると定めています。帳簿は、この立入検査で見られる書類の代表例です。

業務停止処分を定める65条2項2号には、違反すると業務停止の対象になる条文が列挙されています。この列挙には従業者証明書と従業者名簿の48条1項・3項が含まれ、49条は挙がっていません。ただし、指示処分を定める65条1項は「この法律の規定…に違反した場合」を対象にしており、同条2項5号には「宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき」という定めもあります。列挙に無いことが「何もされない」という意味ではありません。試験では、罰金額(50万円以下)を中心に整理するのが基本です。

本試験での出題のされ方(令和5〜7年度)

不動産適正取引推進機構(RETIO)が公表している本試験問題のうち、テキストを確認できた令和5〜7年度で、帳簿・従業者名簿が出てくる箇所は次のとおりです(設問文は載せていません)。

年度問取り上げられている論点
令和5年度問36業務に関する規制の個数問題のうち、帳簿の記載と電磁的記録での保存を取り上げる肢
令和5年度問37従業者証明書と従業者名簿(閲覧、保存期間など)
令和6年度-帳簿・従業者名簿への言及なし
令和7年度-帳簿・従業者名簿への言及なし(従業者証明書は問31)

出典:RETIO 令和7年度 試験問題、令和6年度、令和5年度。令和4年度以前は、公表PDFが画像形式でテキストを検索できなかったため、確認していません。

毎年出るとは限らない論点ですが、出るときは、保存期間の年数や、閲覧の請求を拒めるかといった、条文の数字・文言を正確に覚えているかが問われます。出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです(RETIO 宅建試験の概要)。

当サイトのオリジナル例題で確認する

次の問題は、当サイトが条文をもとに作ったオリジナルの例題です(実在する試験問題ではありません)。

宅建業者Aの帳簿と従業者名簿に関する次のア〜エの記述のうち、誤っているものはどれか。

  • ア:Aは、帳簿を事務所ごとに備え、取引のあったつど記載しなければならない。
  • イ:Aの帳簿には、報酬の額を記載しなければならない。
  • ウ:Aは、帳簿を、取引を記載した日から1年間保存すれば足りる。
  • エ:Aは、従業者名簿を、最終の記載をした日から10年間保存しなければならない。

答えはウです。帳簿は各事業年度の末日をもって閉鎖し、閉鎖後5年間(自ら売主となる新築住宅に係るものは10年間)保存します(施行規則18条3項)。アは49条、イは施行規則18条1項7号、エは施行規則17条の2第4項のとおりです。

このほか、当サイトの宅建問題では、次の問題で同じ論点を確認できます。

事務所に関する規制の数字を一覧で覚えたい人は、「宅建の暗記一覧」で、期間や数字をまとめて確認できます。宅建業法全体の勉強の進め方は「宅建業法の攻略法」にまとめています。

著作権・正確性の方針:本サイトは一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)と一切関係ありません。掲載問題は出題範囲を参照した合格ナビ独自の自作問題です。条文は2026年10月4日時点の現行のものを参照しています。

よくある質問

Q宅建業者の帳簿は、いつ記載するのですか?

宅建業法49条は、取引のあったつど、その年月日と、その取引に係る宅地または建物の所在及び面積その他国土交通省令で定める事項を記載するよう定めています。まとめて後日記載するのではなく、取引のたびに記載する義務です。

Q帳簿は事務所ごとに備えるのですか、会社全体で1冊ですか?

49条は「その事務所ごとに」帳簿を備えるよう定めています。会社全体で1冊ではなく、事務所ごとの備え付け義務です。従業者名簿(48条3項)も同じく事務所ごとです。

Q帳簿を紙ではなくパソコンのデータで管理してもよいですか?

施行規則18条2項は、記載事項がファイルまたは電磁的記録媒体に記録され、必要に応じて事務所で電子計算機などを用いて明確に紙面に表示できるときは、その記録をもって帳簿への記載に代えることができると定めています。保存期間の規定(18条3項)も、この記録が行われたファイルや媒体を含みます。

Q帳簿を備えていないと、どのような罰則がありますか?

49条に違反して帳簿を備え付けず、記載せず、または虚偽の記載をした者は、83条1項4号により50万円以下の罰金です。84条1項により、違反行為をした従業者などの行為者を罰するほか、その業務の主体である法人や個人の事業主にも罰金刑が科されます。

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