宅建業者が事務所や案内所に掲げる標識(業者票)の掲示場所・様式・記載事項を、宅建業法50条と施行規則19条の原文で整理。報酬額の掲示、従業者証明書と名簿、帳簿の保存期間、罰則までを1ページで確認できます。
目次
結論:宅建業者の標識(業者票)は、宅建業法50条1項により、事務所と省令で定める業務を行う場所ごとに公衆の見やすい場所へ掲げる義務です。様式は事務所が別記様式第九号、案内所などは第十号以下に分かれます。あわせて報酬額の掲示(46条4項)、従業者証明書の携帯と従業者名簿(48条)、帳簿(49条)が、事務所の備え付け・掲示の義務としてセットで問われます。
「何を・どこに・どれだけの期間」備えるのかを、条文の数字で整理しておきたい論点です。このページは、令和8年度試験(法令基準日は2026年4月1日)に合わせて、2026年10月4日時点の現行条文にもとづく内容をまとめています。条文は e-Gov 法令検索の宅地建物取引業法 と 宅地建物取引業法施行規則 で確認できます。
合格ナビの宅建問題360問のうち、標識・従業者証明書・従業者名簿・帳簿・案内所の届出・専任の宅建士の設置を主題にした問題は6問です(2026-10-04 集計。当サイトの問題の数であり、試験での出題頻度ではありません)。
標識・報酬額・名簿・帳簿を一覧で比べる
| 項目 | 根拠 | 備え付け・掲示の場所 | 中身・期間のポイント | 違反した場合 |
|---|---|---|---|---|
| 標識(業者票) | 法50条1項、施行規則19条 | 事務所等と、省令で定める業務を行う場所ごと | 事務所は別記様式第九号。案内所などは第十号以下 | 50万円以下の罰金(83条1項2号) |
| 案内所等の届出 | 法50条2項、施行規則19条3項 | 免許権者とその場所の所在地を管轄する都道府県知事へ | 業務開始の10日前まで | 50万円以下の罰金(83条1項1号) |
| 報酬額の掲示 | 法46条4項 | 事務所ごと | 国土交通大臣が定めた報酬の額(報酬告示)を掲示 | 50万円以下の罰金(83条1項2号) |
| 従業者証明書の携帯 | 法48条1項・2項、施行規則17条 | 従業者本人が携帯し、請求があれば提示 | 様式は別記様式第八号 | 50万円以下の罰金(83条1項2号) |
| 従業者名簿 | 法48条3項・4項、施行規則17条の2 | 事務所ごと。取引の関係者の閲覧に供する | 最終の記載をした日から10年間保存 | 50万円以下の罰金(83条1項3号の2) |
| 帳簿 | 法49条、施行規則18条 | 事務所ごと | 取引のあったつど記載。閉鎖後5年間(自ら売主の新築住宅は10年間) | 50万円以下の罰金(83条1項4号) |
| 専任の宅建士の設置 | 法31条の3、施行規則15条の5の2・15条の5の3 | 事務所等ごと | 事務所は従事者5人に1人以上。案内所等は1人以上 | 抵触する事務所等の開設は100万円以下の罰金(82条2号) |
帳簿の備え付け義務(49条)・記載事項・保存期間を詳しく確認したい場合は、宅建の帳簿とは|備え付け義務(49条)・記載事項・保存期間を条文で整理もあわせてご覧ください。
標識(業者票)はどこに掲げるのか(50条1項)
標識の掲示義務の条文は次のとおりです(50条1項)。
「宅地建物取引業者は、事務所等及び事務所等以外の国土交通省令で定めるその業務を行う場所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令で定める標識を掲げなければならない。」
ここでいう「事務所等」は、31条の3第1項が定めた「事務所その他国土交通省令で定める場所」です。国土交通省令で定める場所は施行規則15条の5の2にあり、契約(予約を含む)を締結し、または申込みを受ける次の場所を指します。
- 継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、事務所以外のもの
- 10区画以上の一団の宅地、または10戸以上の一団の建物の分譲を、案内所を設置して行う場合のその案内所
- 他の宅建業者が行う一団の分譲の代理・媒介を、案内所を設置して行う場合のその案内所
- 展示会その他これに類する催しを実施する場所
さらに、50条1項のとおり「事務所等以外の国土交通省令で定める業務を行う場所」にも標識を掲げます。施行規則19条1項は、次の場所で「第十五条の五の二に規定する場所以外のもの」を挙げています。
- 継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、事務所以外のもの
- 一団の宅地建物の分譲をする場合の、その宅地・建物が所在する場所(現地)
- その分譲を案内所を設置して行う場合の案内所
- 他の宅建業者が行う一団の分譲の代理・媒介を案内所を設置して行う場合の案内所
- 展示会その他これに類する催しを実施する場所
試験では、事務所だけでなく案内所や現地にも標識が必要になる、という整理が基本です。
標識の様式は場所によって変わる(施行規則19条2項)
施行規則19条2項は、場所の区分ごとに標識の様式を決めています。
| 場所の区分 | 様式 |
|---|---|
| 事務所 | 別記様式第九号 |
| 1項1号・3号・5号の場所で、31条の3第1項により専任の宅建士を置くべきもの | 別記様式第十号 |
| 1項1号・3号・5号の場所で、上記以外のもの | 別記様式第十号の二 |
| 1項2号の場所(分譲の現地) | 別記様式第十一号 |
| 1項4号の場所(他の業者の分譲の代理・媒介の案内所)で、専任の宅建士を置くべきもの | 別記様式第十一号の二 |
| 1項4号の場所で、上記以外のもの | 別記様式第十一号の三 |
標識の様式・大きさ:事務所の標識(別記様式第九号)は令和7年国土交通省令第117号により改められ、公布の日(令和7年12月1日)から施行。改正後の様式の大きさは「35cm以上×25cm以上」と記載されている。最終確認日:2026-10-04。出典:国土交通省 令和7年国土交通省令第117号(別記様式第九号を改める部分)。
標識をデジタルサイネージで掲示してもよいか
国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)の50条1項関係には、紙ではなくデジタルサイネージ等のICT機器を使った掲示も、一定の要件を満たせば掲示義務を果たすものと考えて差し支えない、とあります。要件は、営業時間内その他の公衆が必要なときに確認できること、確認できる旨の表示が常時わかりやすい形でされていることです。別記様式第十一号と第三十号については、営業時間外も人感センサーや画面への接触などで公衆が確認できることが求められ、周辺環境への配慮で消灯が必要なときの例外の措置も示されています。出典:国土交通省 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方。
これは法令そのものではなく、国土交通省の運用の考え方です。条文上の義務は「公衆の見やすい場所に標識を掲げる」ことです。
この論点の問題を解く
標識の記載事項は何か(別記様式第九号・第十号)
「宅建 標識 記載事項」で調べるときに知りたいのは、様式の中身です。様式は施行規則の別記様式に定められています。事務所の標識(別記様式第九号)と、案内所などの標識(別記様式第十号)の欄は、次のとおりです。
| 欄 | 別記様式第九号(事務所) | 別記様式第十号(専任の宅建士を置くべき案内所等) |
|---|---|---|
| 免許証番号(国土交通大臣・知事の別と番号) | あり | あり |
| 免許有効期間 | あり | あり |
| 商号又は名称 | あり | あり |
| 代表者氏名 | あり | あり |
| この事務所の代表者氏名 | あり | なし |
| この事務所に置かれている専任の宅地建物取引士の数(宅地建物取引業に従事する者の数) | あり | なし |
| 主たる事務所の所在地・電話番号 | あり | あり |
| この場所における業務の内容(業務の態様、取り扱う宅地建物の内容の名称・所在地) | なし | あり |
出典:国土交通省 令和6年国土交通省令第70号(別記様式第九号・第十号を改める部分) と 令和7年国土交通省令第117号(別記様式第九号を改める部分)。第十号は令和6年国土交通省令第70号の様式にもとづいています。
様式の備考にも決まりがあります。
- 事務所の標識(第九号)の備考は、「宅地建物取引業に従事する者の数」の欄は、専任の宅建士の数に変更があった場合のみ変更する、と定めています。国土交通省の運用の考え方(50条1項関係)も同じ扱いです。
- 案内所などの標識(第十号)の備考は、掲示すべき場所が施行規則16条の5に該当しない場所では、「この場所においてした契約等については、宅地建物取引業法第37条の2の規定によるクーリング・オフ制度の適用があります。」の文言を、2センチメートル四方以上の大きさの文字で表示するよう求めています。クーリング・オフの詳細は「宅建の8種制限」で扱っています。
標識の様式は、令和7年4月1日(令和6年国土交通省令第70号)と、令和7年12月1日(令和7年国土交通省令第117号で別記様式第九号)に改められています。令和8年度試験の基準日(2026年4月1日)より前の改正です。年度ごとの法改正の整理は「宅建の法改正まとめ(令和8年度)」にあります。
案内所を設けるときの届出と専任の宅建士(50条2項・31条の3)
専任の宅建士を置く案内所などについては、標識を掲げるだけでなく、事前の届出も必要です(50条2項)。
- 届け出る内容:所在地、業務内容、業務を行う期間、専任の宅地建物取引士の氏名
- 届け出る先:免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事と、その場所の所在地を管轄する都道府県知事
- 届出の時期:業務を開始する日の10日前まで(施行規則19条3項。別記様式第十二号の届出書)
国土交通省の運用の考え方(50条2項関係)は、業務を行う期間は原則最長1年とし、引き続き業務を行うときは改めて届出が必要としています。専任の宅建士としては、実際に専任として勤務する者を1人届け出れば足りるとも書かれています。
専任の宅建士の人数は、施行規則15条の5の3が定めています。事務所は、業務に従事する者の数に対する宅建士の割合が5分の1以上となる数、案内所などの施行規則15条の5の2の場所は1以上です。人数が足りなくなったときは、2週間以内に必要な措置を執らなければなりません(31条の3第3項)。
運用の考え方(31条の3第1項関係)は、同一の物件について売主の宅建業者と代理・媒介の宅建業者が同じ場所で業務を行うときは、いずれかの宅建業者が専任の宅建士を1人以上置けば要件を満たすとしています。不動産フェアなどで各社が別の物件を扱う場合は、各社が1人以上置きます。
この論点の問題を解く
報酬額の掲示(46条4項)
宅建業者は、事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければなりません(46条4項)。標識とは別の義務で、掲示するのは報酬告示で決まった上限額の表です。計算の仕方は「宅建の報酬計算」で整理しています。
運用の考え方(46条4項関係)は、標識と同じように、デジタルサイネージ等による報酬額の掲示も一定の要件のもとで認めています。営業時間内その他の公衆が必要なときに報酬の額を確認できること、確認できる旨の表示が常時わかりやすい形でされていることが要件です。
標識(50条1項)と報酬額の掲示(46条4項)は、条文が違っても、罰則は同じ83条1項2号にまとまっています。
従業者証明書と従業者名簿(48条)
従業者証明書は、宅建業者が従業者に携帯させるものです。携帯させなければ、その者を業務に従事させてはなりません(48条1項)。従業者は、取引の関係者から請求があったときは、証明書を提示しなければなりません(48条2項)。様式は別記様式第八号です(施行規則17条)。
運用の考え方(48条1項関係)によると、証明書を携帯させる範囲は、代表者を含み、非常勤の役員や一時的に事務の補助をする者も加わります。
従業者名簿は、事務所ごとに備えます(48条3項)。取引の関係者から請求があったときは、閲覧に供さなければなりません(48条4項)。
- 記載事項:従業者の氏名と従業者証明書の番号に加え、施行規則17条の2第1項が、主たる職務内容、宅建士であるか否かの別、その事務所の従業者となった年月日、従業者でなくなったときはその年月日を定めています。
- 保存期間:最終の記載をした日から10年間(施行規則17条の2第4項)。
- 電磁的記録:必要に応じて事務所で紙面に表示できるときは、記録をもって名簿への記載に代えることができます(施行規則17条の2第3項)。
従業者名簿の記載事項から「生年月日」が外れたのは、令和7年4月1日施行の令和6年国土交通省令第70号からです。2025年1月1日時点の施行規則17条の2第1項には生年月日が含まれていましたが、2025年4月1日以降の条文には含まれていません。令和8年度試験の基準日(2026年4月1日)より前の改正なので、現行条文の4項目で整理して問題ありません。
この論点の問題を解く
帳簿の備え付けと保存期間(49条)
宅建業者は、事務所ごとに業務に関する帳簿を備え、取引のあったつど、その年月日、取引に係る宅地または建物の所在及び面積その他の事項を記載します(49条)。施行規則18条1項が定める記載事項は、次のとおりです。
- 売買・交換・貸借の代理・媒介の別
- 売買、交換、貸借の相手方などの氏名と住所
- 取引に関与した他の宅建業者の商号または名称
- 宅地や建物の概況
- 売買金額、交換物件の品目と交換差金、賃料
- 報酬の額
- 自ら売主となる新築住宅の場合の引渡年月日・床面積など
- 取引に関する特約その他参考となる事項
保存期間は、各事業年度の末日に帳簿を閉鎖し、閉鎖後5年間です。宅建業者が自ら売主となる新築住宅に係るものは10年間です(施行規則18条3項)。従業者名簿は10年、帳簿は5年と、数字が似ているので混同しやすい論点です。
保存期間:従業者名簿は最終の記載をした日から10年間。帳簿は閉鎖後5年間(自ら売主となる新築住宅は10年間)。最終確認日:2026-10-04。出典:e-Gov 法令検索 宅地建物取引業法施行規則17条の2・18条。
違反したときの罰則(82条・83条)
標識などの義務に違反した場合の罰則は、83条1項と82条にまとまっています。
| 違反した義務 | 罰則の条文 | 罰則 |
|---|---|---|
| 50条2項の届出をせず、または虚偽の届出をした | 83条1項1号 | 50万円以下の罰金 |
| 46条4項(報酬額の掲示)・48条1項(従業者証明書)・50条1項(標識)に違反した | 83条1項2号 | 50万円以下の罰金 |
| 48条3項に違反して従業者名簿を備えず、記載せず、または虚偽の記載をした | 83条1項3号の2 | 50万円以下の罰金 |
| 49条に違反して帳簿を備え付けず、記載せず、または虚偽の記載をした | 83条1項4号 | 50万円以下の罰金 |
| 31条の3第3項に違反した(専任の宅建士の数に抵触する事務所等の開設など) | 82条2号 | 100万円以下の罰金 |
罰金額:標識・報酬額の掲示・従業者名簿・帳簿は50万円以下の罰金(83条1項)、専任の宅建士の設置の違反は100万円以下の罰金(82条2号)。最終確認日:2026-10-04。出典:e-Gov 法令検索 宅地建物取引業法82条・83条。
当サイトのオリジナル問題で確認する
次の問題は、当サイトが条文をもとに作ったオリジナルの例題です(実在する試験問題ではありません)。
宅建業者Aの事務所に関する次のア〜エの記述のうち、誤っているものはどれか。
- ア:Aが事務所に掲げる標識(別記様式第九号)には、その事務所に置かれている専任の宅建士の数を記載する欄がある。
- イ:Aは、従業者名簿を、最終の記載をした日から5年間保存すれば足りる。
- ウ:Aが自ら売主となる新築住宅の取引に係る帳簿は、閉鎖後10年間保存しなければならない。
- エ:標識を掲げる義務は、事務所だけでなく、施行規則19条1項に定める事務所以外の場所にも及ぶ。
答えはイです。従業者名簿の保存期間は10年間です(施行規則17条の2第4項)。アは別記様式第九号、ウは施行規則18条3項、エは50条1項のとおりです。
このほか、当サイトの宅建問題では、次の問題で同じ論点を確認できます。
著作権・正確性の方針:本サイトは一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)と一切関係ありません。掲載問題は出題範囲を参照した合格ナビ独自の自作問題です。条文・様式は2026年10月4日時点の現行のものを参照しています。
よくある質問
Q宅建業者の標識(業者票)は、どこに掲げなければならないのですか?
宅建業法50条1項は、事務所等と、事務所等以外の国土交通省令で定める業務を行う場所ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲げるよう定めています。事務所のほか、契約の締結や申込みの受付をする案内所、分譲の現地などにも掲げる場所があります。
Q標識に書く内容は、事務所と案内所で同じですか?
同じではありません。事務所の標識(別記様式第九号)には、免許証番号、免許有効期間、商号又は名称、代表者氏名、この事務所の代表者氏名、専任の宅地建物取引士の数、主たる事務所の所在地と電話番号の欄があります。案内所などの標識(別記様式第十号など)には、これに加えてその場所での業務の内容(業務の態様と取り扱う宅地建物の内容)の欄があります。
Q報酬額の掲示と標識は、同じものですか?
別のものです。標識は50条1項、報酬額の掲示は46条4項の義務で、どちらも違反すると50万円以下の罰金の対象になります(83条1項2号)。報酬額の掲示は事務所ごとに求められます。
Q従業者名簿と帳簿は、どれくらいの期間保存するのですか?
従業者名簿は最終の記載をした日から10年間(施行規則17条の2第4項)、帳簿は各事業年度の末日に閉鎖して閉鎖後5年間、自ら売主となる新築住宅に係るものは10年間です(施行規則18条3項)。
Q案内所を設けるときは、届出が必要ですか?
契約の締結や申込みの受付をする案内所など、専任の宅地建物取引士を置く場所については、業務を開始する日の10日前までに届出書を提出します(50条2項、施行規則19条3項)。届け出る先は、免許をした国土交通大臣又は都道府県知事と、その場所の所在地を管轄する都道府県知事です。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

