宅建士名簿(宅地建物取引士資格登録簿)は誰でも閲覧できるのか。宅建業法の条文を調べ、資格登録簿・宅建業者名簿・従業者名簿の3つの名簿の違いと、一般の人が閲覧できる名簿・閲覧できると条文が定める名簿を整理します。2025年4月の改正前後の宅建業者名簿の登載事項も確認します。
目次
結論:「宅建士名簿」と呼ばれるものには、条文上3種類あります。宅地建物取引士資格登録簿(18条2項。宅建士個人の登録の台帳)、宅地建物取引業者名簿(8条。業者の台帳)、従業者名簿(48条3項。業者の事務所ごとの名簿)です。このうち一般の閲覧に供すると条文で定められているのは宅建業者名簿(10条)で、従業者名簿は取引の関係者の請求で閲覧できます(48条4項)。宅地建物取引士資格登録簿の一般閲覧を定めた条文は、宅建業法・同施行規則にはありません(2026-10-04 時点)。
この記事は、閲覧の可否を条文で確かめた範囲だけ書きます。個別の都道府県の窓口の運用や手数料は、確認していないので書きません。年収・求人の話もしません。
条文の出典は e-Gov 法令検索です(宅地建物取引業法・同法施行規則。2026-10-04 時点の現行条文・2026-04-01 施行の版)。
早見表:3つの名簿の違い
| 名簿 | 根拠 | 備える主体 | 載るもの(条文で確認できる範囲) | 閲覧についての条文 |
|---|---|---|---|---|
| 宅地建物取引士資格登録簿 | 宅建業法18条2項 | 都道府県知事 | 氏名・生年月日・住所・登録番号・登録年月日など(施行規則14条の2の2で本籍・性別・合格年月日等を追加) | 一般閲覧を定めた条文はない |
| 宅地建物取引業者名簿 | 宅建業法8条 | 国土交通省・都道府県 | 免許証番号・免許の年月日、4条1項各号(5号を除く)の事項、処分歴など | 10条・施行規則5条が一般の閲覧に供すると定める |
| 従業者名簿 | 宅建業法48条3項 | 宅建業者(事務所ごと) | 従業者の氏名・証明書の番号・主たる職務内容・宅建士かどうかの別など(施行規則17条の2) | 48条4項が、取引の関係者から請求があったときの閲覧を定める |
名前が似ているため混同されやすいですが、「誰が備え、誰が閲覧できるか」は名簿ごとに別です。
宅地建物取引士資格登録簿とは
宅建業法18条1項は、試験に合格し、実務経験(施行規則13条の15で2年)などの要件を満たす者は、試験を行った都道府県知事の登録を受けることができるとしています。18条2項は、その登録を、都道府県知事が宅地建物取引士資格登録簿に登載して行うと定めています。
登録簿には、施行規則14条の2の2により、次の事項も載ります。
- 本籍(日本の国籍を有しない者は国籍)・性別
- 試験の合格年月日・合格証書番号
- 実務経験の期間と内容、従事していた宅建業者の商号・免許証番号(実務経験で登録した場合)
- 宅建業者の業務に従事する者は、その業者の商号・免許証番号
あとから、宅建士証を交付した年月日・有効期間の満了する日・発行番号(施行規則14条の12)や、指示・事務禁止などの処分の内容と年月日(同14条の9)も登録簿に記載されます。宅建士証には、氏名・生年月日・住所・登録番号・登録年月日・交付年月日・有効期間の満了する日が書かれます(施行規則14条の11)。
合格から登録・宅建士証の交付までの流れは、宅建の合格後の流れに表でまとめています。
この論点の問題を解く
資格登録簿の閲覧について、条文は何と言っているか
資格登録簿の閲覧についての定めは、次のとおりです(宅建業法・同施行規則は2026-10-04 時点の現行条文)。
- 宅建業法の本則で「閲覧」の語が出てくるのは10条(宅建業者名簿等)・17条の11(登録講習機関の財務諸表)・48条(従業者名簿)・78条の4(事務の区分)に限られ、資格登録簿の閲覧を定めた条文はありません
- 施行規則にも、資格登録簿の閲覧を定めた条文はありません(2026-10-04 時点の現行条文。「閲覧」の語が出てくる条文には、5条の宅建業者名簿閲覧所、17条の2の従業者名簿などがあります)
- 国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)の全文にも、「資格登録簿」の語はありません
つまり、条文のうえでは「誰でも資格登録簿を閲覧できる」とも「閲覧できない」とも書かれていません。ここは条文の範囲での確認結果です。都道府県の窓口で、特定の人が登録されているかをどう扱うかは、この記事では扱いません。必要なときは、その人が登録している都道府県の担当窓口に確認してください。
一般の人が閲覧できるのは宅建業者名簿
条文で一般の閲覧が定められているのは、宅建業者名簿です。
- 国土交通大臣または都道府県知事は、国土交通省令の定めるところにより、宅建業者名簿と特定書類(免許申請書の添付書類の一部)を一般の閲覧に供しなければならない(宅建業法10条)
- そのために、国土交通大臣または都道府県知事は、宅建業者名簿閲覧所を設けなければならない(施行規則5条1項)
国土交通省の解釈・運用の考え方(第10条関係)は、この閲覧制度の趣旨を、「宅地建物取引業者の事業の状態に関する情報を提供し、宅地建物取引業者と取引する相手方や取引の関係者が、当該宅地建物取引業者の免許の有無、事業規模等を把握し、適切な宅地建物取引業者を選定することができる措置を講ずること」と説明しています(国土交通省 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(令和8年4月1日施行版))。ここで説明されている趣旨は、宅建業者の事業の状態に関する情報の提供です。
業者名簿の中身は、宅建業法8条2項で次のとおりです。
| 登載事項(現行の8条2項) | 内容 |
|---|---|
| 1号 | 免許証番号・免許の年月日 |
| 2号 | 4条1項各号(5号を除く)の事項。商号・名称、役員等の氏名、事務所の名称・所在地など |
| 3号 | 50条の2第1項の認可を受けているときは、その旨と認可の年月日 |
| 4号 | 65条の処分を受けたことがあるときは、処分の年月日と内容 |
2号が除いている4条1項5号は、「事務所ごとに置かれる第三十一条の三第一項に規定する者」、つまり専任の宅建士の氏名です。現行条文では、宅建業者名簿に専任の宅建士の氏名は登載事項として挙がっていません。
改正前の条文との違い
e-Gov 法令検索の改正履歴で、2025年4月1日施行の改正(令和6年法律第53号)より前の版を確認すると、8条2項は登載事項を個別に列挙していました。その中に「前号の事務所ごとに置かれる第三十一条の三第一項に規定する者の氏名」(6号)がありました。2025年4月1日施行の版から、現在の「第四条第一項各号(第五号を除く。)」という書き方になっています。
古い解説で「宅建業者名簿には専任の宅建士の名前が載る」と書かれているのは、この改正前の条文に基づく可能性があります。改正の理由は、条文からは読み取れないので書きません。
従業者名簿は取引の関係者が閲覧できる
宅建業者は、事務所ごとに従業者名簿を備え、従業者の氏名・従業者証明書の番号などを記載しなければなりません(宅建業法48条3項)。施行規則17条の2第1項は、記載事項として、主たる職務内容、宅地建物取引士であるか否かの別、従業者となった年月日、従業者でなくなったときはその年月日を挙げています。
閲覧については、48条4項が「宅地建物取引業者は、取引の関係者から請求があつたときは、前項の従業者名簿をその者の閲覧に供しなければならない」と定めています。請求できるのは取引の関係者で、国の閲覧所で一般の人が見る宅建業者名簿とは仕組みが違います。名簿の保存期間は、最終の記載をした日から10年間です(施行規則17条の2第4項)。
従業者名簿の「宅建士であるか否かの別」の欄は、その業者の従業者が宅建士かどうかを、取引の関係者が確かめる手がかりになります。
この論点の問題を解く
相手が宅建士か確かめたいときの条文上の方法
取引の場面で、相手が宅建士かどうかを確かめる方法として、条文から確認できるものは次のとおりです。
| 方法 | 根拠 | 内容 |
|---|---|---|
| 宅建士証の提示を求める | 22条の4 | 宅建士は、取引の関係者から請求があったときは宅建士証を提示しなければならない |
| 重要事項の説明時の提示 | 35条4項 | 宅建士は、説明の相手方に対し宅建士証を提示しなければならない |
| 従業者名簿の閲覧を請求する | 48条4項 | 取引の関係者は、宅建士か否かの別を含む従業者名簿の閲覧を請求できる |
| 従業者証明書の提示を求める | 48条2項 | 従業者は、取引の関係者の請求があったとき、証明書を提示しなければならない |
名簿を調べなくても、宅建士証の提示という確認手段が条文に用意されています。
この論点の問題を解く
名刺や宅建士証との関係は、宅建士は名刺に書ける?で整理しています。
登録簿の内容が変わるとき
登録簿に載った内容は、宅建士の側の手続きで変わります。概要だけ整理します。
| できごと | 根拠 | 内容 |
|---|---|---|
| 氏名・住所などの変更 | 宅建業法20条・施行規則14条の7 | 遅滞なく、登録をしている都道府県知事に変更の登録を申請する |
| 別の都道府県の業者に勤めるとき | 宅建業法19条の2 | 登録をしている都道府県知事を経由して、登録の移転を申請できる |
| 死亡・欠格事由に当たるなど | 宅建業法21条 | 30日以内に、登録をしている都道府県知事に届け出る(死亡は相続人) |
| 登録の消除 | 宅建業法22条 | 本人の申請があったときなどに、都道府県知事が登録を消除する |
申請書の様式や添付書類の運用は、登録した都道府県の案内で確認してください。宅建士証の更新は、この登録簿の手続きとは別に、5年ごとに講習を受けて申請します(22条の3)。
まとめ
- 「宅建士名簿」には、資格登録簿(18条2項)・宅建業者名簿(8条)・従業者名簿(48条3項)の3種類がある
- 一般の閲覧に供すると条文で定められているのは宅建業者名簿(10条・施行規則5条)。従業者名簿は取引の関係者の請求で閲覧できる(48条4項)
- 資格登録簿の閲覧を定めた条文は、宅建業法・同施行規則・国土交通省の解釈・運用の考え方にはない。窓口の運用はこの記事では扱っていない
- 現行の宅建業者名簿(2025年4月1日施行の版から)には、専任の宅建士の氏名は登載事項として挙がっていない
- 相手が宅建士かどうかは、宅建士証の提示(22条の4)や従業者名簿の閲覧(48条4項)で確かめられる
当サイトの宅建の問題は、過去の出題論点をもとに作成した論点別問題です。各問に初級・標準・上級の3段階の解説がついています。
よくある質問
Q宅建士の登録番号が分かれば、その人が宅建士か調べられますか?
宅建業法の条文には、登録番号で第三者が資格登録簿を調べられると定めた規定はありません。取引の場面で確かめたいときは、宅建士に宅建士証の提示を求める方法があります(22条の4)。宅建士証には登録番号や有効期間の満了する日が書かれています(施行規則14条の11)。
Q従業者名簿を見せてほしいと言ったら、宅建業者は断れますか?
宅建業法48条4項は、宅建業者は取引の関係者から請求があったときは従業者名簿をその者の閲覧に供しなければならないと定めています。請求できるのは「取引の関係者」で、一般の人が誰でも対象になるわけではありません。
Q宅建士になったあと、住所が変わったら名簿の変更は必要ですか?
宅建業法20条は、登録を受けている事項に変更があったときは、遅滞なく変更の登録を申請しなければならないと定めています。申請先は登録をしている都道府県知事です(施行規則14条の7)。手続きの書式や期限の運用は、登録した都道府県の案内で確認してください。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

