宅建の制限行為能力者を民法4条〜21条の条文で整理します。未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人の4類型で、同意が要る行為・取り消せる行為・代理権の違い、取消しと追認、相手方の催告権(20条)を表で確認できます。
目次
結論:宅建の制限行為能力者は、民法5条〜21条を「4類型の比較」「取消しと追認」「相手方の催告」の3つで整理します。制限行為能力者は、未成年者・成年被後見人・被保佐人・17条1項の審判を受けた被補助人の4つです(13条1項10号)。同意が必要な範囲、取り消せる範囲、法定の代理権が、類型ごとに違います。取り消せる行為を取り消すと、初めから無効であったものとみなされます(121条)。
この記事は、e-Gov 法令検索で読んだ民法の条文だけをもとに、宅建(宅地建物取引士資格試験)の権利関係で問われる制限行為能力者を整理したものです。権利関係の全体像は宅建の権利関係の攻略(14問の内訳と論点別の記事)にまとめてあり、ここでは民法4条〜21条を掘り下げます。意思表示は宅建の意思表示、代理は宅建の代理で扱っています。宅建業の免許や登録の欠格事由は宅建業法の論点で、宅建の欠格事由の覚え方で扱っています。
宅建の制限行為能力者:4類型の比較(早見表)
制限行為能力に関する民法の数字:成年は年齢18歳(民法4条)。制限行為能力者の相手方が行為能力者となった本人や法定代理人などに追認の確答を催告するときの期間は、1か月以上(民法20条1項)。取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは時効によって消滅し、行為の時から20年を経過したときも同様(民法126条)。最終確認日:2026-10-07。出典:e-Gov 法令検索 民法4条・20条・126条。
先に、4類型を1枚の表で並べます。
| 項目 | 未成年者 | 成年被後見人 | 被保佐人 | 被補助人(17条1項の審判あり) |
|---|---|---|---|---|
| 開始 | 18歳に達するまで(4条) | 後見開始の審判(7条・8条) | 保佐開始の審判(11条・12条) | 補助開始の審判(15条・16条)と、同意を要する旨の審判(17条1項) |
| 本人の事理を弁識する能力 | — | 欠く常況(7条) | 著しく不十分(11条) | 不十分(15条) |
| 同意が必要な行為 | 法律行為(権利を得、または義務を免れるだけの行為を除く)(5条1項) | 同意の規定なし。法律行為は取り消せる(9条) | 13条1項各号の行為(13条2項の審判で追加できる) | 17条1項の審判で定めた特定の法律行為(13条1項の行為の一部に限る) |
| 取り消せる範囲 | 5条1項で同意が必要なのに、同意なしにした法律行為(5条2項) | 日用品の購入その他日常生活に関する行為を除く法律行為(9条) | 同意(または代わる許可)なしにした13条1項などの行為(13条4項) | 同意(または代わる許可)なしにした審判の対象行為(17条4項) |
| 法定の代理権 | 法定代理人 | 成年後見人は、財産を管理し、財産に関する法律行為について代表する(859条1項) | 代理権を付与する審判があれば(876条の4) | 代理権を付与する審判があれば(876条の9) |
用語の意味:行為能力・意思能力・同意・取消し
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 行為能力 | 単独で、有効に法律行為をすることができる地位。民法20条1項は「行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。)」と書いている |
| 制限行為能力者 | 未成年者、成年被後見人、被保佐人、17条1項の審判を受けた被補助人(13条1項10号) |
| 意思能力 | 一般に、自分の行為の結果を理解する能力。意思能力を有しなかったときの法律行為は無効(3条の2)で、制限行為能力による取消しとは別の制度 |
| 同意 | 法定代理人・保佐人・補助人が、制限行為能力者の法律行為に与える承諾 |
| 取消し | 同意のない行為などを、後から取り消して、初めから無効にすること(121条) |
| 事理を弁識する能力 | 物事の道理を判断する能力。後見・保佐・補助の違いは、この能力の程度(欠く常況・著しく不十分・不十分)の違い |
審判の請求と本人の同意
後見・保佐・補助の開始は、家庭裁判所の審判によります。請求できる人のうち、本人、配偶者、四親等内の親族、検察官は、7条・11条・15条のすべてに挙がっています。
本人以外の請求に、本人の同意が要るかどうかは、条文ごとに違います。
| 審判 | 本人以外の請求のとき、本人の同意が要るか | 条文 |
|---|---|---|
| 後見開始 | 同意の定めはない | 7条 |
| 保佐開始 | 同意の定めはない | 11条 |
| 補助開始 | 要る | 15条2項 |
| 保佐人の同意を要する行為の追加(13条2項) | 同意の定めはない | 13条2項 |
| 補助人の同意を要する旨の審判 | 要る | 17条2項 |
| 保佐人・補助人への代理権の付与 | 要る | 876条の4第2項・876条の9第2項 |
審判の相互の関係は、19条にあります。後見開始の審判をする場合に、本人が被保佐人または被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始または補助開始の審判を取り消さなければなりません。
未成年者(5条・6条)
18歳に達した者が成年です(4条)。18歳未満の未成年者について、民法5条が定めているのは次の3点です。
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 1項 | 未成年者が法律行為をするには、法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、または義務を免れる法律行為は、この限りでない |
| 2項 | 1項に反する法律行為は、取り消すことができる |
| 3項 | 法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内で、未成年者が自由に処分できる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも同様 |
未成年者が営業を許された場合は、6条が定めています。一種または数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有します(6条1項)。営業に堪えることができない事由があるときは、法定代理人は、許可を取り消し、または制限できます(同条2項)。
成年被後見人(7条〜10条)
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、家庭裁判所が後見開始の審判をします(7条)。審判を受けた人が成年被後見人で、成年後見人が付きます(8条)。
- 成年被後見人の法律行為は、取り消せます。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為は、除かれます(9条)
- 9条には、成年後見人の同意を得た行為は取り消せない、という例外は書かれていません。同意の仕組みで守る未成年者・被保佐人・被補助人とは、仕組みが違います
- 成年後見人は、被後見人の財産を管理し、その財産に関する法律行為について被後見人を代表します(859条1項)
- 7条の原因が消滅したときは、家庭裁判所は、請求により、後見開始の審判を取り消さなければなりません(10条)
被保佐人(11条〜14条)と同意が要る10の行為
精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者について、保佐開始の審判をします。ただし、7条の原因がある者(後見の対象)は除かれます(11条)。審判を受けた人が被保佐人で、保佐人が付きます(12条)。
被保佐人が次の行為をするには、保佐人の同意が必要です(13条1項)。ただし、9条ただし書の行為(日用品の購入など)は除かれます。
| 号 | 行為 |
|---|---|
| 1 | 元本を領収し、または利用すること |
| 2 | 借財または保証をすること |
| 3 | 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること |
| 4 | 訴訟行為をすること |
| 5 | 贈与、和解または仲裁合意をすること |
| 6 | 相続の承認もしくは放棄、または遺産の分割をすること |
| 7 | 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、または負担付遺贈を承認すること |
| 8 | 新築、改築、増築または大修繕をすること |
| 9 | 602条に定める期間を超える賃貸借をすること |
| 10 | 1号〜9号の行為を、制限行為能力者の法定代理人としてすること |
13条のそのほかの項は、次のとおりです。
- 13条2項:家庭裁判所は、請求により、1項の各号以外の行為にも、保佐人の同意を要する旨の審判ができる。ただし、9条ただし書の行為(日用品の購入その他日常生活に関する行為)は除かれる
- 13条3項:保佐人が、被保佐人の利益を害するおそれがないのに同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、同意に代わる許可を与えられる
- 13条4項:同意(または代わる許可)を得ないでした行為は、取り消せる
当サイトの作例:9号の線引き(602条の期間)
9号は、602条に定める期間を「超える」賃貸借が対象です。602条は、処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合の上限として、次の期間を定めています。
| 賃貸借の目的 | 602条の期間 | 9号の同意が要る賃貸借(超えるもの) |
|---|---|---|
| 樹木の栽植または伐採を目的とする山林 | 10年 | 10年を超える |
| 上記以外の土地 | 5年 | 5年を超える |
| 建物 | 3年 | 3年を超える |
| 動産 | 6か月 | 6か月を超える |
被保佐人が建物を賃貸する場合で、9号だけで考えると、3年の賃貸借は期間を超えないので9号に当たらず、4年の賃貸借は3年を超えるので9号に当たります。土地(山林以外)なら、5年は当たらず、6年は当たります。この例は、1号〜8号に当たるかどうかは考えていません。表の「超えるもの」は、4行とも、602条の期間より長い賃貸借で、ちょうど同じ期間のものは含みません。
この論点の問題を解く
被補助人(15条〜18条)
精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者について、補助開始の審判をします。ただし、7条または11条本文の原因がある者は除かれます(15条1項)。審判を受けた人が被補助人で、補助人が付きます(16条)。
補助だけの仕組みは、次の2点です。
- 補助開始の審判は、17条1項の審判(同意を要する旨)または876条の9第1項の審判(代理権の付与)とともにしなければなりません(15条3項)
- 同意を要する旨の審判で定められる行為は、13条1項に規定する行為の一部に限られます(17条1項ただし書)
同意を要する審判がない被補助人は、13条1項10号の定義上、制限行為能力者に含まれません。補助人の同意を得なければならない行為を、同意も代わる許可も得ずにしたときは、取り消せます(17条4項)。
代理権の付与(876条の4・876条の9)
保佐人と補助人は、法律上当然には代理権を持ちません。家庭裁判所の審判で、特定の法律行為について代理権を付与します(876条の4第1項・876条の9第1項)。本人以外の請求には、本人の同意が必要です(876条の4第2項・876条の9第2項)。後見・保佐・補助のうち、成年後見人だけが、859条により、財産に関する法律行為の代表を、審判なしに持ちます。
取消し・追認・期間(120条〜126条)
制限行為能力による取消しの流れを、条文の順に並べます。
| 項目 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 取消権者 | 制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為では、当該他の制限行為能力者を含む)、その代理人、承継人、同意をすることができる者 | 120条1項 |
| 取消しの方法 | 相手方が確定している場合は、相手方に対する意思表示 | 123条 |
| 効果 | 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなされる | 121条 |
| 返還の範囲 | 行為の時に制限行為能力者であった者は、その行為によって現に利益を受けている限度で、返還の義務を負う | 121条の2第3項 |
| 追認 | 取消権者が追認したときは、以後、取り消せない | 122条 |
| 追認の要件 | 取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後でなければ、効力を生じない | 124条1項 |
| 追認の要件の例外 | 法定代理人・保佐人・補助人が追認するとき。制限行為能力者(成年被後見人を除く)が、法定代理人・保佐人・補助人の同意を得て追認するとき | 124条2項 |
| 法定追認 | 追認をすることができる時以後に、履行、履行の請求などがあったときは、異議をとどめない限り、追認したものとみなす | 125条 |
| 期間 | 追認をすることができる時から5年、行為の時から20年 | 126条 |
120条1項には、取消しに法定代理人の同意が要る、という定めは書かれていません。
追認の要件は、124条1項のとおり「原因となっていた状況が消滅した後」が原則です。そのため、18歳になる前の未成年者が、同意を得ずに自分だけで追認しても、効力を生じません。124条2項の例外は、法定代理人などが追認する場合と、同意を得て追認する場合です。
相手方の保護:催告権(20条)と詐術(21条)
制限行為能力者と契約した相手方は、取り消されるかどうか分からない不安定な立場に置かれます。20条は、相手方に催告権を与えています。催告の期間は、1か月以上です。
| 催告の相手 | 条文 | 確答がないとき |
|---|---|---|
| 行為能力者となった後の、もとの制限行為能力者本人 | 20条1項 | 追認したものとみなす |
| 本人が行為能力者とならない間の、法定代理人・保佐人・補助人(その権限内の行為) | 20条2項 | 追認したものとみなす |
| 特別の方式を要する行為(1項・2項の催告) | 20条3項 | 期間内に、その方式を具備した旨の通知を発しないと、取り消したものとみなす |
| 被保佐人、17条1項の審判を受けた被補助人本人に、保佐人・補助人の追認を得るべき旨の催告 | 20条4項 | 期間内に、追認を得た旨の通知を発しないと、取り消したものとみなす |
条文の文言上、制限行為能力者本人に、行為能力者となる前に催告する定めがあるのは、被保佐人と被補助人に対する4項だけです。
無権代理の催告との違い
同じ「催告」でも、確答がないときの扱いが違います。
| 制度 | 催告の条文 | 確答がないとき |
|---|---|---|
| 制限行為能力者の相手方(本人・法定代理人など) | 20条1項・2項 | 追認したものとみなす(特別の方式を要する行為は、方式を具備した旨の通知がなければ取り消したものとみなす・3項) |
| 制限行為能力者の相手方(保佐人・補助人の追認を得る催告) | 20条4項 | 取り消したものとみなす |
| 無権代理の相手方 | 114条 | 追認を拒絶したものとみなす |
無権代理の催告は宅建の代理で扱っています。
詐術(21条)
制限行為能力者が、行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができません(21条)。詐術の中身は、条文に書かれていません。
似た制度との違い:意思能力・錯誤・詐欺
制限行為能力による取消しと、似た制度を比べます。
| 制度 | 効果 | 条文 |
|---|---|---|
| 意思能力を有しなかったときの法律行為 | 無効 | 3条の2 |
| 制限行為能力者の行為(同意のないものなど) | 取り消すことができる | 5条2項・9条・13条4項・17条4項 |
| 錯誤・詐欺・強迫による意思表示 | 取り消すことができる | 95条・96条 |
取消権者は、制限行為能力による取消しが120条1項、錯誤・詐欺・強迫による取消しが120条2項で別々に定められています。120条2項は「瑕疵ある意思表示をした者またはその代理人もしくは承継人」に限っており、同意をすることができる者は含まれません。錯誤・詐欺・強迫は宅建の意思表示で扱っています。
制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消せません。ただし、他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為は、取り消せます(102条)。
試験での問われ方:出題の型
宅建の権利関係では、制限行為能力者は次のような型で問われます(当サイトの整理で、実際の問題文の引用ではありません)。
1. 4類型の違い(同意権・取消権・代理権)を、組み合わせとして選ばせる型。成年被後見人には同意の仕組みがない点が分かれ目です
2. 被保佐人が、13条1項のどの号に当たる行為をしたか、同意が要るかを問う型。3号(不動産など)や9号(602条の期間)のような、号ごとの中身の理解が前提になります
3. 取り消せる範囲を問う型。日用品の購入などの例外(9条ただし書)が前提です
4. 取消しの効果と追認の要件を問う型(121条・122条・124条)
5. 相手方の催告で、確答がないときの効果を問う型。20条の2つの方向(追認とみなす/取り消したとみなす)を区別できるかが分かれ目です
6. 補助人・保佐人の代理権や、本人の同意を問う型
間違えやすいポイント
- 被補助人を、いつも制限行為能力者だと読む。13条1項10号は「17条1項の審判を受けた被補助人」だけを挙げる
- 成年被後見人にも、同意の仕組みがあると読む。9条は、日用品などを除いて取り消せる、とだけ書かれている
- 20条の催告で、確答がないときの効果を逆にする。1項・2項は追認とみなし(特別の方式を要する行為は3項で取り消したものとみなす)、4項は取り消したものとみなす。さらに114条は拒絶とみなす
- 13条1項9号を、賃貸借すべてに当てはめる。対象は、602条の期間を超える賃貸借だけ
- 本人以外の請求で本人の同意が要る審判を混同する。補助開始・17条の審判・代理権の付与は要り、後見開始・保佐開始・13条2項の審判は定めがない
- 未成年者が18歳になる前に、同意なしで自分だけで追認して有効になると読む(124条1項)
- 保佐人・補助人は法律上当然には代理権を持たない点を落とす(876条の4・876条の9)
まとめ
- 制限行為能力者は、未成年者・成年被後見人・被保佐人・17条1項の審判を受けた被補助人の4つ(13条1項10号)
- 未成年者は、法定代理人の同意が必要(権利を得、または義務を免れるだけの行為を除く)で、同意なしの行為は取り消せる(5条)
- 成年被後見人は、日用品の購入などを除いて、法律行為を取り消せる(9条)
- 被保佐人は、13条1項の10の行為に保佐人の同意が必要で、9号は602条の期間を超える賃貸借
- 補助は、17条1項の審判(同意)か、876条の9第1項の審判(代理権)のどちらかとともに開始する(15条3項)
- 取り消された行為は、初めから無効とみなされる(121条)。取消権は、追認できる時から5年、行為の時から20年で消滅する(126条)
- 相手方の催告権は、期間が1か月以上で、確答がないときの効果が、1項・2項は追認(特別の方式を要する行為は3項で取消し)、4項は取消し(20条)
同じ科目の時効は宅建の時効、相続は宅建の相続で確認できます。どの科目が弱いかは、次の診断でも調べられます。
本サイトは一般財団法人 不動産適正取引推進機構とは関係ありません。掲載している問題は、機構が公表する出題範囲を参照して合格ナビが作成した論点別問題です。条文は e-Gov 法令検索の民法(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)を2026年10月7日に読んだものです。
よくある質問
Q成年被後見人が日用品を買った場合、取り消せますか?
取り消せません。民法9条は、成年被後見人の法律行為は取り消すことができる、としたうえで、ただし書で「日用品の購入その他日常生活に関する行為」を除いています。なお、9条には、成年後見人の同意を得たときは取り消せない、という例外は書かれていません。
Q被補助人は、いつも制限行為能力者ですか?
いつもではありません。民法13条1項10号は、制限行為能力者を「未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人」と定義しています。補助開始の審判を受けただけで、補助人の同意を要する旨の審判(17条1項)を受けていない被補助人は、この定義に入りません。補助開始の審判は、17条1項の審判(同意を要する旨)か、876条の9第1項の審判(代理権の付与)のどちらかとともにしなければなりません(15条3項)。
Q相手方が催告したのに、制限行為能力者から返事がなければ、どうなりますか?
催告の相手によって、みなされる効果が逆になります。行為能力者となった後の本人への催告(20条1項)と、本人が行為能力者とならない間に、法定代理人・保佐人・補助人へその権限内の行為についてした催告(同条2項)は、期間内に確答を発しないと追認したものとみなされます。ただし、特別の方式を要する行為は、期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないと、取り消したものとみなされます(同条3項)。一方、被保佐人または17条1項の審判を受けた被補助人本人に、保佐人・補助人の追認を得るべき旨を催告した場合(20条4項)は、期間内に追認を得た旨の通知を発しないと、取り消したものとみなされます。期間は、いずれも1か月以上です。
Q制限行為能力者が「成年者だ」と偽って契約したら、取り消せますか?
取り消せません。民法21条は、制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない、と定めています。何が詐術に当たるかは、条文には書かれておらず、判例の考え方による論点です。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

