電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和7年度上期 機械 問4|電気機器(誘導機)

問題

電験三種 | 機械 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

一般的な三相かご形誘導電動機がある。 出力が大きい定格運転条件では,誘導機の等価回路の電流は,「二次電流≫励磁電流」であるから,励磁回路を省略しても特性をほぼ表現できる。さらに,「二次抵抗による電圧降下≫その他の電圧降下」となるので,一次抵抗と漏れリアクタンスを省略しても,おおよその特性を検討できる。 このような電動機でトルク一定負荷の場合に,電流80 A の定格運転から電源電圧と周波数を共に5 %下げて回転速度を少し下げた。このときの電動機の電流の値[A]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

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解説

誘導電動機の電源電圧と周波数を同じ割合で下げたとき、トルク一定負荷での電流を求める問題です(令和7年度上期 問4)。

問題文の指示どおり等価回路を「二次抵抗r₂/sだけ」に簡略化すると、電流はI=sV/r₂、トルクはT∝I²(r₂/s)/f∝sV²/fになります。

Vとfをともに0.95倍にするとV²/fは0.95倍なので、トルクを一定に保つには滑りsが1/0.95倍になります。すると電流はI=sV/r₂=(s/0.95)×(0.95V)/r₂で元と同じ80 Aです。正答は(3)です。

【簡略化した等価回路】(令和7年度上期 問4)

問題文の条件から、励磁回路・一次抵抗・漏れリアクタンスを省略すると、1相の回路は電源電圧Vに二次抵抗r₂/sだけがつながった形になります。

電流 I=V/(r₂/s)=sV/r₂

【トルクの式】

二次入力 P₂=3I²(r₂/s)、同期角速度 ωs∝f なので

T=P₂/ωs=3(sV/r₂)²(r₂/s)/ωs ∝ sV²/(r₂f)

【電圧と周波数を5 %下げたとき】

V′=0.95V、f′=0.95f、トルク一定なので

s′×(0.95V)²/(0.95f)=s×V²/f

s′×0.95=s → s′=s/0.95

電流 I′=s′V′/r₂=(s/0.95)×0.95V/r₂=sV/r₂=I

よって I′=80 A のまま変わりません。正答は(3)です。

【別の見方】

V/fが一定なので磁束が一定に保たれます。トルクは磁束と二次電流の積に比例するので、トルク一定・磁束一定なら電流も一定になります。

【数値の取り違えに注意】

滑りが変わらないとして I∝V とすると 80×0.95=76 A((2))、逆に割ると 80/0.95≒84 A((4))になります。0.95²を掛けると約72 A((1))、0.95²で割ると約89 A((5)付近)です。

【V/f一定制御の意味】(令和7年度上期 問4)

誘導機の一次側の誘導起電力は E∝fΦ なので、一次の電圧降下を無視すれば Φ∝V/f です。電圧と周波数を同じ割合で変えるV/f一定制御では磁束が一定に保たれ、インバータ駆動でかご形誘導電動機の速度を変える基本的な方法になっています。本問の5 %低下はまさにこの操作です。

【滑りと回転速度の変化】

トルク一定のとき、滑り周波数 sf は

s′f′=(s/0.95)×0.95f=sf

で変わりません。すなわち同期速度と回転速度の差(ns-n=s・ns)は一定のまま、同期速度だけが5 %下がるので、回転速度は「少し」下がります。問題文の「回転速度を少し下げた」はこのことを表しています。

【トルク・速度特性で見る】

r₂/sだけの簡略回路では、T∝(V²/f)×s で、トルクは滑り周波数sfに比例します(T∝(V/f)²×sf)。V/f一定なら、トルク‐速度特性の直線部分が傾きを変えずに左へ平行移動したものになり、同じトルクの点では電流も同じになります。

【簡略化が使える条件】

本問の簡略化は、問題文にあるとおり出力が大きい運転状態で「二次電流≫励磁電流」「二次抵抗の電圧降下≫その他の電圧降下」が成り立つときのものです。周波数を大きく下げると一次抵抗の電圧降下の割合が増えて磁束が減るため、実際のインバータでは低速域で電圧を少し上乗せする補償(トルクブースト)を行います。5 %程度の変化ならこの影響は小さく、電流は80 Aと考えてよい、というのが本問の趣旨です。

【選択肢の読み方】

選択肢は80 Aを中心に、0.95倍・0.95²倍、1/0.95倍・1/0.95²倍が並んでいます。どの量が電圧に比例し、どの量が周波数で割られるのかを式で確かめないと、もっともらしい値を選んでしまう構成です。式を立てればVとfの効果が電流の式の中で打ち消し合うことが分かり、計算せずに80 Aと判断できます。

この問題の根拠出典:令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験 機械(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験 機械(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。