問題
静電界に関する次の記述のうち,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
電気力線と導体の性質について,誤っている記述を選ぶ問題です(令和5年度上期 問2)。
誤っているのは(5)です。電界中に導体を置くと,導体内の自由電子が移動して表面に電荷が現れ(静電誘導),その電荷がつくる電界が外部の電界を打ち消します。電荷の移動が止まった状態では,導体内部の電界は0です。
導体表面には電界があるので,「内部の電界は表面の電界に等しい」は誤りです。(1)〜(4)は電気力線の基本的な性質として正しい記述です。正答は(5)です。
【(1) 正しい】
誘電率εの媒質中で電荷Q[C]から出る電気力線の本数は Q/ε 本です。電荷に比例し,誘電率に反比例します(電束の本数はQ本で誘電率によらない点と区別します)。
【(2) 正しい】
電気力線の向きはその点の電界の向きです。交差すると,交点で電界の向きが二つになってしまうので,電気力線は交差しません。
【(3) 正しい】
等電位面に沿って電荷を動かしても仕事はゼロなので,電界には等電位面に沿った成分がありません。したがって電気力線は等電位面と直交します。
【(4) 正しい】
電界の強さE[V/m]は,電界に垂直な面1m²を通る電気力線の本数として定義されます。電気力線が密なところほど電界が強くなります。
【(5) 誤り】
静電界中の導体では,自由電子が移動して表面に正負の電荷が誘導され,導体内部の電界が0になったところで移動が止まります(静電遮蔽の原理)。導体全体は等電位になり,電荷は表面にだけ分布します。表面の外側すぐの電界は,表面電荷密度をσとして E=σ/ε で,向きは表面に垂直です。内部(0)と表面(σ/ε)は等しくありません。
正答は(5)です。
【導体内部の電界が0になる理由】
導体には自由に動ける電子が大量にあります。内部に少しでも電界が残っていれば電子は力を受けて動き続けるので,静電界(電荷が止まった状態)が成り立つのは内部の電界が0のときだけです。電界が0なら,導体内のどの2点の間でも電位差は0になり,導体全体が等電位になります。ガウスの法則を導体内部の閉曲面に当てはめると,囲む電荷も0になるので,電荷は表面にしか存在できません。
【表面の電界が垂直になる理由】
導体表面は等電位面の一つです。(3)と同じ理由で,表面の外側の電界は表面に垂直になります。表面に沿った成分があれば,表面の電子がその方向に動いてしまうからです。表面のすぐ外側の電界の大きさはガウスの法則から E=σ/ε で,尖った部分ほど電荷密度σが大きくなり電界が強くなります。避雷針や,高電圧機器で導体の角を丸める設計はこの性質と関係しています。
【(1)の電気力線と電束の区別】
ガウスの法則では,電荷Qから出る電気力線の総数がQ/ε本,電束の総数がQ本です。誘電率の大きな媒質中では電気力線の本数が減り,電界が弱くなります。一方,電束密度D=εEは媒質によらず電荷だけで決まります。「電気力線は誘電率に反比例,電束は誘電率によらない」という組合せは繰り返し出題されます。
【静電遮蔽】
中空の導体(導体の箱)で囲まれた空間には,外部の電界が入りません。外部電界による誘導電荷が外側の表面に現れて,内部の電界を0にするからです。計測用ケーブルのシールドや,高電圧設備での遮蔽はこの原理を使っています。
【関連する出題パターン】
・電気力線・電束・等電位面の性質の正誤問題
・導体球や同心球導体の内外の電界・電位を求める問題
・誘電体中の電気力線の本数や電界の強さを求める問題
いずれも「導体内部はE=0・等電位」「電気力線はQ/ε本」が判断の基準になります。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

