第二種電工

分電盤とは?中のブレーカーとしくみ第二種電気工事士の学科・配線図で押さえる点

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

分電盤は、引込口から入った電気を回路ごとに分け、遮断器で守る盤です。主幹・分岐の配線用遮断器・漏電遮断器の役割を整理し、条文が「分電盤」ではなく開閉器・低圧幹線・低圧分岐回路で定めていること(解釈第147〜149条)、単相3線式の中性線欠相、配線図の出題を、第二種電気工事士の学科の観点で解説します。

目次
  1. 分電盤の中身:主幹・分岐の遮断器・漏電遮断器
  2. 条文は「分電盤」と書かない:開閉器・幹線・分岐回路で読む
  3. 単相3線式の住宅用分電盤:中性線と欠相保護
  4. 配線図問題での現れ方:分電盤結線図と注意書き
  5. 絶縁抵抗と漏えい電流:分電盤で区切れる電路ごと
  6. ご自宅の分電盤について:資格が要る作業の確認先
  7. 間違えやすいポイント
  8. まとめ
結論:分電盤とは、引込口から入った電気を、部屋や機器ごとの回路(分岐回路)に分け、回路ごとに遮断器を付けて守る盤です(当サイトの説明)。中には、大元の遮断器・開閉器(一般に「主幹」と呼ばれる)、分岐回路ごとの配線用遮断器、漏電を検出して遮断する漏電遮断器が収められます。条文は「分電盤」という語ではなく、引込口の開閉器(解釈第147条)、低圧幹線(第148条)、低圧分岐回路(第149条)、地絡遮断装置(第36条)という機能で定めています。第二種電気工事士の学科では、住宅用分電盤の工事の適否や、配線図の「電灯分電盤結線図」を読む問題が出ています(後半の表)。

この記事は、「分電盤とは何か」を調べている方にも、試験の準備をしている方にも読めるように、はじめに分電盤の中身を整理し、後半で条文と試験の問われ方を扱います。個別の住宅の分電盤について、交換や増設の可否、ブレーカーが落ちる原因などを当サイトが判断することはできません。工事の資格については、電気工事士2種でできることで条文を整理しています。

試験センター非提携:本サイトは一般財団法人 電気技術者試験センターと一切関係ありません。試験の出題・資料は、出典を示して内容を紹介しています。製品名やメーカーは扱いません。
解釈の版:電気設備の技術基準の解釈(経済産業省のPDF)の最終改正は、令和7年11月20日付けです。条文の番号や数値は改正で変わることがあります。最終確認日:2026-10-09。出典:電気設備の技術基準の解釈(PDF)。

分電盤の中身:主幹・分岐の遮断器・漏電遮断器

次の表は、分電盤に収められる主な器具と、条文・試験での位置づけです(当サイトの整理。盤の構成は設備によって異なります)。

器具役割条文・試験での位置づけ
主幹(通称。大元の開閉器・遮断器)引込口に近い側で、屋内の電路全体を入り切りし、保護する引込口に近い箇所の開閉器(解釈第147条)。低圧幹線を保護する過電流遮断器(第148条第1項第四号)
分岐の配線用遮断器回路ごとに、過電流から電線を守る。開閉器の役目も兼ねられる低圧分岐回路の過電流遮断器と開閉器(第149条第1項)。兼ねる場合は第四号
漏電遮断器地絡(漏電)が生じたとき、自動で電路を遮断する省令第15条、解釈第36条

「ブレーカー」は通称で、解釈では「遮断器」と書かれます。配線用遮断器と漏電遮断器の違い、引込口開閉器を省略できる15m以下の条件は、遮断器と開閉器の違いの記事にまとめているので、ここでは繰り返しません。

分電盤に取り付ける部品の名前は、電気用品安全法の施行令にも出ています。電気用品安全法施行令別表第二には、開閉器の一つとして「分電盤ユニットスイッチ」が挙げられています。電気用品の区分は電気用品安全法の記事で扱っています。

条文は「分電盤」と書かない:開閉器・幹線・分岐回路で読む

電気設備の技術基準の解釈(以下「解釈」)には、「分電盤」という語の記載がありません(令和7年11月20日改正の版、2026-10-09 時点)。条文は、電路のどの部分に、どの器具を施設するかを定めています。分電盤の中身は、次の条文に分けて読みます。

条文内容(要点)分電盤との対応(当サイトの整理)
解釈第142条第一号「低圧幹線」とは、第147条の規定により施設した開閉器(又は変電所に準ずる場所に施設した低圧開閉器)を起点とする、電気使用場所に施設する低圧の電路であって、電気機械器具(配線器具を除く)に至る低圧電路で過電流遮断器を施設するものを接続するもの主幹の開閉器が、低圧幹線の起点になる
解釈第142条第二号「低圧分岐回路」とは、低圧幹線から分岐して電気機械器具に至る低圧電路分岐の配線用遮断器から先の回路
解釈第147条低圧屋内電路には、引込口に近い箇所であって、容易に開閉することができる箇所に開閉器を施設する。ただし、各号のいずれかに該当する場合は除く主幹の開閉器
解釈第148条第1項第四号低圧幹線の電源側電路には、その低圧幹線を保護する過電流遮断器を施設する。ただし、同号イ〜ニのいずれかに該当する場合は除く主幹の過電流遮断器
解釈第149条第1項低圧分岐回路には、過電流遮断器と開閉器を施設する。過電流遮断器は、低圧幹線との分岐点から電線の長さが3m以下の箇所に施設する(ただし書あり)。過電流遮断器は各極(多線式電路の中性極を除く)に施設する(ただし書あり)。開閉器は各極に施設する(ただし書あり)分岐の配線用遮断器
解釈第36条第1項金属製外箱を有する使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路には、地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設する(例外あり)漏電遮断器

出典:電気設備の技術基準の解釈第36条・第142条・第147条〜第149条。各条の例外(ただし書)の細かい条件は、条文のとおりに読みます。第149条の3mと、分岐点から3mを超える箇所に施設できる場合の55%・8m・35%の数値は、電気工事士2種の暗記表にまとめています。

つまり、試験で「分電盤の工事」が問われても、答えの根拠になるのは、過電流遮断器と開閉器の施設場所(第147〜149条)、中性線の扱い(第35条・第149条)、地絡遮断装置(第36条)といった、個々の器具の条文です。

単相3線式の住宅用分電盤:中性線と欠相保護

住宅の分電盤は、単相3線式100/200Vの屋内配線に使われることがあります。単相3線式のしくみと、中性線が切れたときの電圧は、単相3線式の記事で扱っています。分電盤に関係する条文は、次の2つです。

  • 中性線に過電流遮断器を施設しない:解釈第35条第1項は、多線式電路の中性線を、過電流遮断器を施設しない箇所の一つとして挙げています(第2項に例外あり)。
  • 住宅の屋内の、中性線を有する分岐回路:解釈第149条第3項は、「住宅の屋内には、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、中性線を有する低圧分岐回路を施設しないこと。」と定めています。各号は、第一号が1の電気機械器具に至る専用の低圧配線として施設する場合、第二号が中性線が欠損した場合に、中性線に接続される電気機械器具に異常電圧が加わらないように施設する場合、第三号が中性線が欠損した場合に、電路を自動的に、かつ、確実に遮断する装置を施設する場合です。

試験での出題は、次のとおりです。

  • 令和5年度上期(午後)問21:単相3線式100/200V屋内配線の住宅用分電盤の工事のうち、不適切なものを選ぶ問題。センターの解答はニで、ニは、電灯専用(単相100V)の分岐回路に2極1素子の配線用遮断器を付け、素子(過電流を検出する部分)のある極に中性線をつないだ、という記述でした。この結線では、素子のない極に電圧側の電線がつながり、電圧側の電線に過電流遮断器の素子がありません。解釈第149条第1項第二号は、過電流遮断器を各極(多線式電路の中性極を除く)に施設すると定め、ただし書イで施設しないことができるのは、対地電圧150V以下の電路の接地側電線以外の電線に施設した過電流遮断器が動作して各極が同時に遮断される場合の、接地側電線の極です。素子が中性線側にだけある結線は、これに合いません(当サイトの整理)
  • 令和5年度上期(午後)問34:配線図の④で示す部分に施設する機器を選ぶ問題。センターの解答はロの「3 極2 素子漏電遮断器(過負荷保護付,中性線欠相保護付)」でした

配線図問題での現れ方:分電盤結線図と注意書き

配線図問題には、その回の問題の前提を示す【注意】が付いています。分電盤に関係するのは、外箱の材質と、漏電遮断器の定格です。次の表は、センターが公表した令和6年度上期〜令和8年度上期の学科問題(と令和5年度上期(午後))で、分電盤が出てくる箇所を並べたものです(当サイトの整理。問題文の引用は、短い語句に限っています)。

回分電盤が出てくる箇所
令和5年度上期(午後)問21(住宅用分電盤の工事)、問34(配線図の④に施設する機器)
令和6年度上期配線図の注意書き「電灯分電盤及び動力分電盤の外箱は金属製である。」、電灯分電盤結線図・動力分電盤結線図
令和6年度下期問11の選択肢に「分電盤」(多数の金属管が集合する場所で通線を容易にするために用いられるものを選ぶ問題で、正答はロのプルボックス)、電灯分電盤結線図・動力分電盤結線図、問36(結線図で施設してはならない過電流遮断装置を選ぶ問題)
令和7年度上期配線図の注意書き「配電盤,分電盤及び制御盤の外箱は金属製である。」
令和7年度下期問25(分電盤の各分岐回路の漏えい電流)、配線図の注意書き「分電盤の外箱は合成樹脂製である。」、電灯分電盤結線図
令和8年度上期問25の選択肢(分電盤で各回路を一括して測定する場合)、分電盤結線図

出典:センター公表の学科試験問題と解答。令和5年度上期(午後)、令和6年度上期、令和6年度下期、令和7年度上期、令和7年度下期、令和8年度上期。

結線図の中の遮断器の記号や、「100/200V」「30mA」といった表記の読み方は、配線図問題の記事にまとめています。令和6年度下期の問36は、遮断器と開閉器の違いの記事で扱っています。

絶縁抵抗と漏えい電流:分電盤で区切れる電路ごと

解釈第14条第1項は、電気使用場所における使用電圧が低圧の電路(一部の電路を除く)の絶縁性能を、「第147条から第149条までの規定により施設する開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに」定めています。同項第二号は、絶縁抵抗測定が困難な場合に、使用電圧が加わった状態の漏えい電流が1mA以下であることを、第一号(省令第58条)の代わりの基準として認めています。分電盤の遮断器で区切れる電路ごとに、絶縁性能が問われる、という構造です。

令和7年度下期の問25は、単相100/200Vの分電盤の各分岐回路について、クランプ形漏れ電流計で漏えい電流を測定した結果(A回路0.5mA、B回路1.5mA、C回路3mA)から、絶縁性能が解釈に適合している回路を選ぶ問題で、センターの解答はハ(A回路のみが適合)でした。1mA以下という基準に当てはめると、A回路だけが当てはまります(当サイトの整理)。令和8年度上期の問25の選択肢には、分電盤で各回路を一括して測定する場合が出ています。測定値の基準と一括測定の考え方は、絶縁抵抗の記事で扱っています。

ご自宅の分電盤について:資格が要る作業の確認先

ブレーカーの交換、分電盤の取り替え、回路の増設などが、電気工事士の資格が要る作業にあたるかは、工事の内容によって変わります。条文は、電気工事士法第2条第3項(「電気工事」の定義。政令で定める軽微な工事を除く)、第3条第2項(一般用電気工作物等に係る電気工事の作業は、第一種電気工事士又は第二種電気工事士でなければ従事してはならない。経済産業省令で定める作業を除く)と、同法施行規則第2条(軽微な作業)にあります。施行規則第2条第2項第一号イは、第1項第一号ヌの「配電盤を造営材に取り付け、又はこれを取り外す作業」を、軽微な作業から除かれる作業として挙げています。電気工事士法施行規則には、「分電盤」の語は、ネオン用として設置される分電盤(第2条の2第1項第一号と、第4条の2の表のネオン工事の欄)のほかには記載がありません(2026-10-09 時点)。

個別の工事が、これらの条文に当てはまるかどうかは、当サイトでは判断できません。ご自宅の工事は、電気工事を業として行う事業者に相談してください。軽微な工事・軽微な作業の範囲は、電気工事士2種でできることで条文ごとに整理しています。電気工事士法・同施行規則の条文は、e-Gov法令検索で読めます(電気工事士法、電気工事士法施行規則)。

間違えやすいポイント

  • 分電盤は盤、ブレーカーは中に入る器具の通称です。 解釈では「遮断器」と書かれます。
  • 条文に「分電盤」は出てきません。 引込口の開閉器(第147条)、低圧幹線の過電流遮断器(第148条)、低圧分岐回路の過電流遮断器と開閉器(第149条)を、器具ごとに読みます。
  • 過電流遮断器は、多線式電路の中性線には施設しないのが原則です(第35条第1項。第2項に例外)。 分岐回路の過電流遮断器は、中性極を除く各極に施設します(第149条第1項第二号)。令和5年度上期(午後)問21の不適切な結線は、2極1素子の配線用遮断器の素子が中性線側にあり、電圧側の極に素子がない、という点です。
  • 「分電盤」は、器具の名称を選ぶ問題の選択肢にも出ます。 令和6年度下期の問11は、プルボックス(通線を容易にする箱)を選ぶ問題で、分電盤は誤りの選択肢でした。
  • 配線図の注意書きの外箱の材質は、その回ごとに確認します。 金属製か合成樹脂製かで、接地工事の問題の前提が変わります。

まとめ

  • 分電盤は、引込口から入った電気を回路ごとに分け、遮断器で守る盤。中には、主幹、分岐の配線用遮断器、漏電遮断器が収められる
  • 解釈に「分電盤」の語はなく、第147条(引込口の開閉器)・第148条(低圧幹線)・第149条(低圧分岐回路)・第36条(地絡遮断装置)で読む
  • 過電流遮断器は多線式電路の中性線に施設しないのが原則(第35条第1項。第2項に例外)で、分岐回路では中性極を除く各極に施設する(第149条第1項第二号)。住宅の屋内の中性線を有する分岐回路は、第149条第3項の各号に当てはまる場合に限る
  • 配線図問題は、分電盤結線図と、外箱の材質などの注意書きが前提になる
  • 絶縁性能は、第147〜149条の開閉器・過電流遮断器で区切れる電路ごとに定められている(第14条第1項)

よくある質問

Q分電盤とブレーカーは、同じものですか?

同じではありません。分電盤は、遮断器などを収めて回路を分ける盤で、ブレーカー(遮断器)はその中に取り付ける器具です(当サイトの説明)。「ブレーカー」「安全ブレーカー」は通称で、電気設備の技術基準の解釈は「遮断器」「配線用遮断器」「漏電遮断器」という名称で書いています。試験の問題文も「配線用遮断器」「漏電遮断器」などの名称を使いますが、令和6年度下期 問40の「モータブレーカ」のように、ブレーカの語が出る問題もあります。

Q法令に「分電盤」や「主幹」という言葉は出てきますか?

電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月20日改正の版)には「分電盤」「主幹」の記載がありません(2026-10-09 時点)。電気設備に関する技術基準を定める省令の現行の条文(e-Gov、2026-10-09 時点)にも「分電盤」の記載がありません。「分電盤」の語が出る条文として、電気工事士法施行規則第2条の2第1項第一号(ネオン用として設置される分電盤)と、電気用品安全法施行令別表第二(「分電盤ユニットスイッチ」)があります。出典:電気設備の技術基準の解釈、電気設備に関する技術基準を定める省令、電気工事士法施行規則、電気用品安全法施行令。

Q配線図の注意書きに「分電盤の外箱は金属製/合成樹脂製である」と書いてあるのは、なぜですか?

外箱の材質は、その回の配線図問題を解く前提として、問題ごとに指定されるからです。令和6年度上期は「電灯分電盤及び動力分電盤の外箱は金属製である」、令和7年度上期は「配電盤,分電盤及び制御盤の外箱は金属製である」、令和7年度下期は「分電盤の外箱は合成樹脂製である」と書かれていました。電路に施設する機械器具の金属製の台及び外箱には、使用電圧の区分に応じた接地工事を施すのが原則(解釈第29条第1項。同項ただし書と第2項に、接地工事を施さなくてよい場合があります)なので、外箱の材質は接地工事の問題の前提になります。接地工事は接地工事の記事で扱っています。出典:電気設備の技術基準の解釈第29条、センター公表の学科試験問題(令和6年度上期・令和7年度上期・令和7年度下期)。

Q住宅の分電盤で、絶縁抵抗はどの単位ごとに測るのですか?

解釈第14条第1項は、電気使用場所における使用電圧が低圧の電路(一部の電路を除く)の絶縁性能を、第147条から第149条までの規定により施設する開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに定めています。分電盤では、引込口の開閉器と分岐回路の遮断器で区切られる電路が、その単位にあたります。測定値の基準や一括測定の考え方は、絶縁抵抗の記事にまとめています。出典:電気設備の技術基準の解釈第14条。

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