基本情報技術者は意味ない・時代遅れ・なくなる?をIPAの一次資料だけで確認。2027年度の新制度でも継続予定、令和7年度の応募者は172,217人で平成22年度以来の多さ。誰が受けているか、国家試験としての位置づけ、ITパスポートとの違いまで整理します。
目次
結論:基本情報技術者試験(FE)が「なくなる」予定はありません。IPA(情報処理推進機構)は、2027年度からの新試験制度でも基本情報技術者試験を「継続」する区分とし、科目A 90分・60問、科目B 100分・20問のまま2027年度春頃に始める予定と公表しています。応募者は令和7年度に172,217人で、平成22年度以来の多さです。一方で、合格して登録する「国家資格」ではなく「国家試験」で、IPAが挙げる中小企業診断士・弁理士・技術士の試験の科目免除も、応用情報技術者試験以上が対象です。意味があるかどうかは「何に使うか」で決まります。
| よく言われること | IPAの公表・統計で分かること |
|---|---|
| なくなる? | 2027年度以降も継続する予定。いまのCBT試験は2026年12月28日以降に一時休止の予定 |
| 時代遅れ? | 2023年4月に形式を変更し、プログラム言語の出題は擬似言語に統一。シラバスは2026年1月にVer.9.2へ改訂 |
| 受ける人は減っている? | 応募者は令和2年度60,411人→令和7年度172,217人(令和3年度から5年続けて増加) |
| 誰が受けている? | 令和7年度の応募者の72.5%が社会人、27.5%が学生 |
| 公式の位置づけ | 「情報処理の促進に関する法律」に基づく国家試験。共通キャリア・スキルフレームワークのレベル2に相当 |
| 他の試験の免除に使える? | IPAが挙げる中小企業診断士・弁理士・技術士の科目免除は、応用情報技術者試験以上が対象 |
出典:IPA 見直しの検討状況、IPA 推移表(平成21年度春期以降)、IPA 統計資料 令和7年度、試験要綱 Ver.5.6、IPA 国家試験等の一部免除(いずれも2026-10-02に確認)。
合格ナビには、IPAが公表した基本情報技術者試験の過去問を520問収録しています。内訳は、科目Aの形式の問題120問(2022年12月公開の科目Aサンプル問題60問と、令和5〜7年度の公開問題各20問)と、旧形式の午前問題400問(平成21年度春期〜令和元年度秋期の21回分)です(2026-10-02 集計)。
「なくなる」は本当? 2027年度からも基本情報技術者試験は継続する予定
経済産業省とIPAは、情報処理技術者試験の試験区分体系を見直す検討状況を2026年3月31日に公表しました。そこでは「2027年度から新試験制度に移行する予定です」としたうえで、基本情報技術者試験を「(継続)」と明記しています。試験時間は科目A 90分・科目B 100分、出題数は科目A 60問・科目B 20問で、いまと同じです。開始時期は「2027年度春頃」で、これまでと同様に通年で試験を行う予定です。
基本情報技術者試験について挙げられている変更は「科目Aの出題範囲体系の変更」と「科目Bの出題範囲の一部変更」の2点です。IPAはこれについて「技術動向や環境変化等を踏まえて表記の変更等を行うもので、試験で問う知識・技能の範囲そのものに変更はありません。」と説明しています。科目A免除制度も「変更を予定していません」とされています(免除の仕組みは科目A免除の解説で扱っています)。
新試験制度での扱い:基本情報技術者試験は2027年度春頃から新試験制度で継続予定(科目A 90分・60問、科目B 100分・20問)。現行試験制度は2026年度の試験実施をもって終了予定。公表は検討状況で、今後変更の可能性あり。最終確認日:2026-10-02。出典:IPA 情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について。
大きく変わるのは別の区分です。同じ公表では、現在の応用情報技術者試験と高度試験を「大括り化したうえで内容を再編し」、「プロフェッショナルデジタルスキル試験」(仮称)として「マネジメント領域」「データ・AI領域」「システム領域」の3区分を設ける予定です。新制度の8試験区分の一覧には、基本情報技術者試験の名前はありますが、応用情報技術者試験の名前はありません。「なくなる」という話は、基本情報ではなくこちらの再編と混ざっている可能性があります。
もう一つ、いまのCBT方式の試験はシステムの入れ替えのため一時休止する予定です。2026年9月1日以降に新しく申し込む場合、選べる試験日は2026年12月27日までで、会場によってはそれより前に休止となる場合があります。
CBT試験の休止:基本情報技術者試験は2026年12月28日以降に休止予定。2026年9月1日以降の新規申込みは、申込日から2026年12月27日までの試験開催日から選択。再開時期は決まり次第公表。最終確認日:2026-10-02。出典:IPA CBT方式で実施する3試験区分における2026年5月以降の試験実施について。
「時代遅れ」? 出題形式と出題範囲は改訂が続いている
基本情報技術者試験は、2023年4月に形式が大きく変わっています。IPAの2022年の公表によると、変更前は午前150分・80問と午後150分(11問出題・5問解答)でしたが、科目A 90分・60問と科目B 100分・20問(選択問題なし)になり、採点はIRT(項目応答理論)に基づく方式に変わりました(IPA 変更内容の公表)。
プログラミングの出題についても、IPAのプレス発表は「個別プログラム言語(C、Java、Python、アセンブラ言語、表計算ソフト)による出題を実施してきましたが、普遍的・本質的なプログラミング的思考力を問う擬似言語に統一します。」としています(IPA プレス発表 2022年4月25日)。特定の言語の流行に合わせる試験ではない、という設計です。IPAは試験全体について「特定の製品やソフトウェアに関する試験ではなく、情報技術の背景として知るべき原理や基礎となる知識・技能について、幅広く総合的に評価しています。」と説明しています(IPA 試験の概要)。
出題範囲を細かく定めたシラバスは、2026年1月8日にVer.9.2が掲載されました(「下請法」を削除し「中小受託取引適正化法」を追加)。2027年度の新制度向けには「基本情報技術者試験 シラバス案 Ver.0.1」が2026年9月30日に掲載されています(IPA 試験要綱・シラバスについて、IPA 新試験制度のシラバス案)。
実際の問題で確かめると、IPAが公開した令和7年度の科目Aの問題には、大規模言語モデルや生成AIを扱う問題が入っています。次の問題は、当サイトでそのまま解けます。
- 大規模言語モデルのファインチューニング(令和7年度 科目A 問1)
- 生成AIサービスでオプトアウトを設定する意味(令和7年度 科目A 問17)
- ローコード開発ツールを用いた開発(令和7年度 科目A 問5)
- カーボンフットプリントの説明(令和7年度 科目A 問20)
- HRテックの説明(令和6年度 科目A 問18)
- エッジコンピューティングの説明(令和5年度 科目A 問4)
受ける人は減っている? 応募者は令和7年度に172,217人
IPAの推移表から、基本情報技術者試験の年度ごとの応募者数を並べると次のとおりです。
| 年度 | 応募者 |
|---|---|
| 平成21年度 | 198,552人 |
| 平成22年度 | 192,221人 |
| 平成23年度 | 170,091人 |
| 平成24年度 | 154,759人 |
| 平成25年度 | 142,687人 |
| 平成26年度 | 139,718人 |
| 平成27年度 | 138,791人 |
| 平成28年度 | 136,376人 |
| 平成29年度 | 144,501人 |
| 平成30年度 | 155,928人 |
| 令和元年度 | 168,869人 |
| 令和2年度 | 60,411人 |
| 令和3年度 | 97,577人 |
| 令和4年度 | 117,624人 |
| 令和5年度 | 140,774人 |
| 令和6年度 | 157,259人 |
| 令和7年度 | 172,217人 |
出典:IPA 推移表(平成21年度春期以降・令和8年4月21日現在)の年度合計。推移表の注記によると、令和2年度以降の数値にはCBT方式の応募者を含みます。
平成28年度の136,376人を底に増え始め、令和2年度に60,411人まで減ったあと、令和3年度から令和7年度まで5年続けて増えています。令和7年度の172,217人は、令和4年度より46.4%多く、平成21年度以降では平成21年度(198,552人)と平成22年度(192,221人)に次ぐ多さです。令和2年度に減った理由は推移表には書かれていません。
基本情報技術者試験の応募者数:令和7年度は172,217人(受験者147,186人・合格者56,370人)。令和8年度は4〜9月の集計で78,551人。最終確認日:2026-10-29。出典:IPA 統計資料 基本情報技術者試験(令和8年9月分)。
同じ推移表の累計欄では、昭和44年度からの累計で応募者9,733,621人・合格者1,361,083人です(旧制度の第二種情報処理技術者試験を含む)。合格率の年次推移と難易度は基本情報技術者試験の難易度にまとめています。
誰が受けているか:令和7年度は応募者の7割が社会人
IPAの統計資料には、応募者が申込みのときに答えた勤務先の集計があります。令和7年度の年度合計は次のとおりです。
| 令和7年度 | 応募者 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 社会人 | 124,788人(72.5%) | 104,698人 | 39,012人 | 37.3% |
| 学生 | 47,429人(27.5%) | 42,488人 | 17,358人 | 40.9% |
| 合計 | 172,217人 | 147,186人 | 56,370人 | 38.3% |
出典:IPA 統計資料 基本情報技術者試験 令和7年度(令和8年3月分)の勤務先別一覧表。割合は当サイトが計算。
社会人のうち勤務先を記入した65,976人を見ると、ソフトウェア業(20,988人)、情報処理・提供サービス業(21,970人)、コンピュータ及び周辺機器製造又は販売業(1,101人)の3区分で44,059人(66.8%)、それ以外の業種が21,917人(33.2%)でした。それ以外の業種には、製造業5,789人、金融・保険業・不動産業3,728人、官公庁・公益団体3,310人などが含まれます。「無職、その他無記入」が58,812人いるため、社会人全体の内訳ではない点に注意してください。
数字からは、IT系の業種で働く人だけでなく、それ以外の業種で働く人や学生も受けている試験だと分かります。学生の中の大学・大学院・専門学校別の受験者数と合格率、年齢別の数字は、基本情報技術者試験は大学生・新卒の就活に役立つ?で確認できます。
「意味ない」と言われる理由をIPAの資料で確かめる
「意味ない」という声の中身を、IPAの公表資料と照らし合わせると、次の3点は事実として確かめられます。
| 指摘 | IPAの資料で確かめられること |
|---|---|
| 合格しても名乗れる資格がない | 試験区分一覧では基本情報技術者試験は「国家試験」。「国家資格」は登録手続きをする情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)だけ |
| 他の試験の免除に使えない | 国家試験等の一部免除の中小企業診断士・弁理士・技術士の免除は、応用情報技術者試験・高度試験・情報処理安全確保支援士試験の合格者が対象 |
| 入門レベルの試験 | 試験要綱のレベル対応は「共通キャリア・スキルフレームワークの…レベル2 に相当」。業務と役割は「上位者の指導の下に」 |
同じ「国家試験等の一部免除」のページは、高等学校卒業程度認定試験の「情報」がITパスポート試験の合格で免除になることも挙げています。文部科学省告示の一覧でも、この免除の対象はITパスポート試験で、基本情報技術者試験は挙がっていません(文部科学省 試験科目を免除できる検定・試験の一覧、2026-10-02に確認)。
試験要綱は、レベル2を「基本的知識・スキルを有し,一定程度の難易度又は要求された作業について,その一部を独力で遂行できる。」と定義しています。レベル3(応用情報技術者試験)は「要求された作業について全て独力で遂行できる。」です。要綱の定義どおりに読むと、基本情報技術者試験は、作業のすべてを独力でこなせる水準ではなく、基礎を持ち一部を独力でこなせる水準を示す試験です(試験要綱 Ver.5.6)。
一方で、試験の根拠は法律にあります。情報処理の促進に関する法律第26条1項は「経済産業大臣は、情報処理に関する業務を行う者の技術の向上に資するため、情報処理に関して必要な知識及び技能について情報処理技術者試験を行う。」と定めています(条文はe-Gov法令検索で確認(2026-10-02時点の現行条文):情報処理の促進に関する法律)。IPAは、合格者に資格手当・一時金を設ける企業や、採用の際に試験合格を考慮する企業がある、システム開発の発注で合格者の参画を求める組織がある、と説明しています(IPA 企業等の組織での活用)。ただし、企業の数や手当の金額は示されていません。
まとめると、「登録して名乗る資格がほしい」「他の国家試験の科目免除に使いたい」という目的なら、基本情報技術者試験は直接の手段になりません。「ITの基礎とプログラムを読む力があることを、共通の物差しで示したい」という目的なら、国家試験として通年で受けられる手段の一つです。
ITパスポートと基本情報技術者、どちらを受けるか
試験要綱の対象者像を並べると、二つの試験の狙いの違いがはっきりします。
| 項目 | ITパスポート試験 | 基本情報技術者試験 |
|---|---|---|
| 対象者像 | 職業人及びこれから職業人となる者が備えておくべき、ITに関する共通的な基礎知識をもち、ITに携わる業務に就くか、担当業務に対してITを活用していこうとする者 | ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者 |
| 試験の形 | 120分・100問(知識を問う) | 科目A 90分・60問(知識)+科目B 100分・20問(技能) |
| 合格基準 | 総合600点以上かつ3分野それぞれ300点以上 | 科目A・科目Bそれぞれ600点以上 |
出典:試験要綱 Ver.5.6。対象者像は要綱の文言(句読点は表記をそろえた)。
ITを使う側の基礎知識を示したいならITパスポート、システムやソフトウェアを作る側に進みたいなら基本情報技術者、という分け方が要綱の文言に沿っています。基本情報の科目Aでは、次のようにITパスポートより一歩踏み込んだ技術の問題が出ます。
- 双方向リストに社員を追加したときに変わるポインタ(令和5年度 科目A 問2)
- 処理時間が等しくなるキャッシュメモリのヒット率(令和6年度 科目A 問3)
- 再帰的に定義された関数 f(5) の値(科目A サンプル問題 問8)
ITパスポートで学んだ範囲から何を足せばよいかはITパスポートと基本情報技術者の違いで扱っています。合否の決まり方(科目A・Bの両方で600点以上が必要な理由)は600点以上でも不合格になる理由で詳しく説明しています。
参考書はいらない? IPAが無料で公開している素材
IPAは、科目A・科目Bの問題を無料で公開しています。
- ① サンプル問題セット:科目A 60問・科目B 20問(2022年12月公開・IPA サンプル問題セット)
- ② 公開問題:令和5〜8年度の各年度、科目A 60問のうち20問、科目B 20問のうち6問(IPA 公開問題)
- ③ シラバス Ver.9.2 と試験要綱 Ver.5.6:出題範囲の細目と試験の決まり(IPA 試験要綱・シラバスについて)
公開問題は実際の試験の一部で、科目Aでは60問中20問です。範囲全体の説明を順に読みたい場合は参考書が役に立ちます。本の選び方は基本情報技術者試験の参考書の比べ方にまとめています。当サイトでは、上の①②のうち科目Aの120問(サンプル問題60問と令和5〜7年度の公開問題60問)と、旧形式の午前問題400問を解けます。
自分にとって意味があるかを確かめる方法
意味があるかどうかは、試験そのものより「自分の目的に合うか」と「いまの自分がどこまで解けるか」で決まります。迷っている段階なら、まず公開問題を数問解いてみると、勉強にかかる時間の見当がつきます。
- 2027年度以降も継続する予定(科目A 90分・60問、科目B 100分・20問)
- いまのCBT試験は2026年12月28日以降に一時休止の予定で、再開時期は未定
- 応募者は令和7年度172,217人で、令和3年度から5年続けて増加
- 令和7年度の応募者の72.5%が社会人、27.5%が学生
- 国家試験で、登録して名乗る国家資格ではない。中小企業診断士・弁理士・技術士の試験の科目免除は応用情報技術者試験以上が対象
よくある質問
Q2027年度に新しい試験制度になったら、いままでの基本情報技術者試験の合格は無効になりますか?
IPAの「試験に関するよくある質問」は、情報処理技術者試験は受験時点の知識・技能を認定する試験で、試験合格の有効期限もなく、過去の試験合格が無効となることもないと説明しています。ただし過去の合格が新しい試験区分の合格に自動的に置き換わることはない、とも書かれています。新制度での扱いは、IPAの今後の公表で確認してください。
Q応用情報技術者試験はなくなるのですか?
IPAの検討状況の公表(2026年3月31日公開)では、現在の応用情報技術者試験と高度試験を大括り化したうえで内容を再編し、「プロフェッショナルデジタルスキル試験」(仮称)の3区分を設ける予定です。新制度の8試験区分の一覧に「応用情報技術者試験」の名前はありません。いずれも検討状況で、今後変わる可能性があるとIPAは断っています。
Q2026年12月28日以降は、いつまで基本情報技術者試験を受けられないのですか?
再開時期は決まっていません。IPAは、CBT方式の試験を2026年12月28日以降に休止する予定とし、再開時期は決まり次第ウェブページで知らせるとしています。2027年1月以降の試験実施は2026年秋頃に知らせる予定です。
Q基本情報技術者試験は「国家資格」ですか?
IPAの試験区分一覧では、基本情報技術者試験は「国家試験」の欄にあります。同じ一覧で「国家資格」の欄にあるのは、試験合格後に登録手続きをして名乗る「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」だけです。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月29日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

