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保育士試験「教育原理」「社会的養護」の範囲と学び方社会的養護とは・2科目そろって6割

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

保育士試験の筆記科目「教育原理」と「社会的養護」の出題範囲を、協議会の出題範囲と養成課程の教科目の教授内容にそって整理しました。2科目とも6割が必要な合格の決まり、教育基本法・学校教育法・児童福祉法など読む資料、社会的養護の理念と施設・里親の仕組みを説明します。

目次
  1. 2科目の形式と、合格の決まり
  2. 協議会の出題範囲:2科目の基本方針
  3. 教育原理:教育の目的・制度・実践を法令で学ぶ
  4. 社会的養護:公的責任で養育する仕組みを学ぶ
  5. 国の最新資料:資料集「社会的養育の推進に向けて」と令和4年の児童福祉法改正
  6. 2科目を一緒に学ぶ:同じ法律を2つの科目の目で読む
  7. 学び方の例:2科目をまとめて仕上げる
  8. まとめ:2科目で1つの合否、範囲は協議会、中身は法令と国の資料
結論:教育原理と社会的養護は、どちらも満点50点・試験時間30分の科目で、令和8年後期は2科目とも満点の6割以上を得点して、はじめて合格になります。片方だけでは合格になりません。教育原理は、教育基本法・学校教育法・日本国憲法第26条などで、教育の目的・制度・実践を学ぶ科目、社会的養護は、児童福祉法と国の施設運営指針などで、公的責任による養育の理念と仕組みを学ぶ科目です。法令は令和8年4月1日以前に施行されたものが基準です。

教育原理と社会的養護は、問題数が少ない代わりに、2科目がそろって6割以上になってはじめて合格になる組み合わせです(2科目の合計点で決まるわけではありません)。このページでは、協議会の出題範囲と、養成課程の教科目の教授内容にそって、2科目の範囲と、読む資料を整理します。条文は、令和8年4月1日時点の e-Gov の条文で確認しました。科目の一覧と免除は保育士試験の科目と科目免除、保育所保育指針は保育所保育指針の全体像、勉強の計画は保育士試験の独学の勉強法にあります。

2科目の形式と、合格の決まり

令和8年後期の筆記試験では、教育原理と社会的養護は2日目の前半に続けて行われます。

令和8年後期の教育原理・社会的養護の試験日時:2026年(令和8年)10月25日(日)。5科目目の教育原理は入室9:50、試験時間10:00〜10:30、満点50点。6科目目の社会的養護は入室10:50、試験時間11:00〜11:30、満点50点。最終確認日:2026-10-11。出典:協議会 筆記試験(後期)概要。
教育原理・社会的養護の合格の決まり:「『教育原理』および『社会的養護』は、令和8年後期筆記試験にて両科目とも満点の6割以上得点した者を合格とします。(片方のみ6割以上得点しても合格とはなりません。)」最終確認日:2026-10-11。出典:協議会 筆記試験(後期)概要。
教育原理・社会的養護の試験中の扱い:試験開始後5分までは入室を認める。途中退室は認めない。最終確認日:2026-10-11。出典:協議会 筆記試験(後期)概要。
筆記試験の問題数:教育原理と社会的養護は各10問、そのほかの7科目は各20問(合計160問)。令和8年前期・地域限定の筆記試験の正答表で確認。最終確認日:2026-10-11。出典:協議会 令和8年筆記試験(前期・地域限定)問題・正答。
筆記試験の法令の基準日:「筆記試験における法令・保育所保育指針等については、令和8年4月1日以前に施行されたものに基づいて出題します。」最終確認日:2026-10-11。出典:協議会 筆記試験(後期)概要。

免除との関係は、次のとおりです(協議会の案内にそって科目と科目免除に詳しくまとめています)。幼稚園教諭免許状の所有者は、申請により教育原理が免除されますが、社会的養護は受験が必要です。社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の資格所有者は、社会的養護が免除されますが、教育原理は受験が必要です。

協議会の出題範囲:2科目の基本方針

協議会の「保育士試験出題範囲」(PDF)には、2科目の基本方針が次のように書かれています。

科目出題の基本方針出題範囲
教育原理「教育に関する基本的概念、教育における実践原理を体系的に理解しているかを問うことを基本とする。」平成15年通知別紙に定める教科目「教育原理」の内容
社会的養護「現代社会における社会的養護の意義及び役割について体系的に理解しているかを問うことを基本とする。」平成15年通知別紙に定める教科目「社会的養護Ⅰ」及び「社会的養護Ⅱ」の内容

出題上の留意事項のうち、2科目に共通して書かれているのは、ほかの科目との関連です。教育原理は「保育原理、子ども家庭福祉及び社会的養護の出題と十分関連をとって出題する」、社会的養護は「保育原理、子ども家庭福祉及び社会福祉の出題と十分関連をとって出題する」とされています。

「平成15年通知別紙」は、「指定保育士養成施設の指定及び運営の基準について」(平成15年12月9日付け雇児発第1209001号)の別紙3「教科目の教授内容」のことです。次の節からは、協議会が掲載している教授内容の版にそって説明します。この通知のこども家庭庁・厚生労働省側の最新の原本は、この記事では確認していません(2026-10-11 時点)。

教育原理:教育の目的・制度・実践を法令で学ぶ

教科目「教育原理」の目標と内容

協議会の問題選択の方針には、「教育の思想及び制度について、また、子ども家庭福祉等との関連性及び教育を巡る現代的課題に関しても配慮が必要である」とあります。教授内容の「目標」は5つで、それぞれに内容の大項目が対応します。右の列の「読む資料の例」は当サイトの整理で、協議会の資料に、読む法令の指定はありません(2026-10-11 時点)。

目標(要旨)内容の小項目読む資料の例(当サイトの整理)
1 教育の意義、目的及び子ども家庭福祉等との関わり教育の意義/教育の目的/乳幼児期の教育の特性/教育と子ども家庭福祉の関連性/人間形成と家庭・地域・社会等との関連性教育基本法第1条・第2条・第10条・第11条・第13条
2 教育の思想と歴史的変遷、基礎的な理論諸外国の教育の思想と歴史/日本の教育の思想と歴史/子ども観と教育観の変遷項目名のみ(人名・年号の記載なし)
3 教育の制度教育制度の基礎/教育法規・教育行政の基礎/諸外国の教育制度日本国憲法第26条、教育基本法、学校教育法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律
4 教育実践の様々な取り組み教育実践の基礎理論(内容・方法・計画と評価)/教育実践の多様な取り組み保育所保育指針第1章、学校教育法第23条
5 生涯学習社会における教育の現状と課題生涯学習社会と教育/現代の教育課題教育基本法第3条

思想と歴史の項目は、協議会の資料に項目名しかありません。個別の人名や年号は載っていません(2026-10-11 時点)。また、社会的養護と子ども家庭福祉の「歴史的に古いもの又は現在の制度体系と関連のないものは出題しない」という留意事項は、教育原理の出題上の留意事項には書かれていません。

教育の目的と理念:日本国憲法と教育基本法

教育の出発点は、日本国憲法第26条です。第1項は「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」と定めています。

教育基本法は、教育の目的や理念を定める法律です。要点は次のとおりです。

条見出し要点
第1条教育の目的教育は「人格の完成を目指し」、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われる
第2条教育の目標目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、5つの目標(幅広い知識と教養・個人の価値の尊重・正義と責任・生命と自然の尊重・伝統と文化の尊重)を達成するよう行われる
第3条生涯学習の理念国民一人一人が、生涯にわたって、あらゆる機会、あらゆる場所で学習でき、成果を適切に生かせる社会の実現が図られなければならない
第4条教育の機会均等「ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず」、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位、門地によって教育上差別されない
第10条家庭教育父母その他の保護者は、「子の教育について第一義的責任を有する」。国及び地方公共団体は家庭教育を支援する施策を講ずるよう努める
第11条幼児期の教育「幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものである」ことにかんがみ、国及び地方公共団体は、良好な環境の整備などでその振興に努める
第13条学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力それぞれの役割と責任を自覚し、相互の連携及び協力に努める
第16条教育行政教育は「不当な支配に服することなく」行われ、教育行政は国と地方公共団体の適切な役割分担と相互の協力の下、公正かつ適正に行われる

学校教育法と、教育・保育の施設の位置づけ

教育制度の中心になるのは、学校教育法です。幼児期の教育と保育の施設は、根拠の法律が違います。目的の書き方を並べると、違いが分かります。

施設根拠目的の書き方(要点)
幼稚園学校教育法第22条「義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする」
保育所児童福祉法第39条「保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行うことを目的とする施設」(利用定員が20人以上のもの)
幼保連携型認定こども園児童福祉法第39条の2、認定こども園法満3歳以上の幼児に対する教育と、保育を必要とする乳児・幼児に対する保育を「一体的に行い」、健やかな成長が図られるよう適当な環境を与えて心身の発達を助長することを目的とする施設

学校教育法第1条が「学校」として挙げるのは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校です。保育所の記載はありません(令和8年4月1日時点の条文)。幼稚園に入園できるのは、第26条により、満3歳から小学校就学の始期に達するまでの幼児です。

学校教育法には、次のような決まりもあります。

  • 第11条:校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、懲戒を加えることができるが、「ただし、体罰を加えることはできない。」
  • 第17条:保護者は、子を小学校などに就学させる義務を負う(就学義務)
  • 第23条:幼稚園における教育の目標が5つ示されている。基本的な習慣、集団生活への参加、身近な社会生活や自然への興味、言葉、音楽・造形などの表現が順に挙がる

教育行政は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律が定めます。第2条は、「都道府県、市(特別区を含む。以下同じ。)町村及び第二十一条に規定する事務の全部又は一部を処理する地方公共団体の組合に教育委員会を置く。」としています。

保育所保育指針と教育

保育所保育指針(厚生労働省告示第117号)の第1章には、「幼児教育を行う施設として共有すべき事項」があります。保育所は、生涯にわたる生きる力の基礎を培うため、次の資質・能力を一体的に育むよう努めるものとされています。

  • 「知識及び技能の基礎」
  • 「思考力、判断力、表現力等の基礎」
  • 「学びに向かう力、人間性等」

「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は、保育活動全体を通して資質・能力が育まれている子どもの小学校就学時の具体的な姿で、「保育士等が指導を行う際に考慮するもの」とされています。指針そのものの章立てや改定の経緯は、保育所保育指針の全体像で扱っています。

社会的養護:公的責任で養育する仕組みを学ぶ

社会的養護とは:こども家庭庁の説明と理念

こども家庭庁は、社会的養護を、「保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うこと」と説明しています。理念は、「こどもの最善の利益のために」と「社会全体でこどもを育む」です。

国の施設運営指針の概要では、社会的養護の基本理念と原理が次のように整理されています(6つの施設・事業の指針に共通する部分)。

  • 基本理念:「子どもの最善の利益」「すべての子どもを社会全体で育む」
  • 原理:「家庭的養護と個別化」「発達の保障と自立支援」「回復を目指した支援」「家族との連携協働」「継続的支援と連携アプローチ」「ライフサイクルを見通した支援」

保育所には保育所保育指針がありますが、概要資料は、「保育所保育指針に相当するものが、社会的養護の施設には無いことから」施設の種別ごとに指針を作成した、と説明しています。こども家庭庁のページには、児童養護施設運営指針、乳児院運営指針、情緒障害児短期治療施設(現・児童心理治療施設)運営指針、児童自立支援施設運営指針、母子生活支援施設運営指針、里親及びファミリーホーム養育指針、自立援助ホーム運営指針が掲載されています。

教科目「社会的養護Ⅰ」「社会的養護Ⅱ」の目標と内容

協議会の出題範囲は、社会的養護を、教科目「社会的養護Ⅰ」と「社会的養護Ⅱ」の内容としています。問題選択の方針には、「社会的養護の理念・制度の体系を概括的に理解しているかという点のほか、子ども及び社会的養護を取り巻く状況並びに家庭養護及び施設養護の援助の実際について」とあります。

教科目内容の大項目内容の小項目(抜粋)
社会的養護Ⅰ1 意義と歴史的変遷社会的養護の理念と概念/歴史的変遷
社会的養護Ⅰ2 社会的養護の基本子どもの人権擁護と社会的養護/基本原則/保育士等の倫理と責務
社会的養護Ⅰ3 制度と実施体系制度と法体系/仕組みと実施体系
社会的養護Ⅰ4 対象・形態・専門職社会的養護の対象/家庭養護と施設養護/関わる専門職
社会的養護Ⅰ5 現状と課題社会的状況/施設等の運営管理/被措置児童等の虐待防止/社会的養護と地域福祉
社会的養護Ⅱ1 社会的養護の内容子どもの理解/日常生活支援/治療的支援/自立支援
社会的養護Ⅱ2 社会的養護の実際施設養護の生活特性及び実際/家庭養護の生活特性及び実際
社会的養護Ⅱ3 計画と記録及び自己評価アセスメントと個別支援計画の作成/記録及び自己評価
社会的養護Ⅱ4 専門的技術保育の専門性に関わる知識・技術/相談援助の知識・技術
社会的養護Ⅱ5 今後の課題と展望社会的養護における家庭支援/課題と展望

出題上の留意事項には、制度と歴史的変遷の部分について、「歴史的に古いもの又は現在の制度体系と関連のないものは出題しない」と書かれています。

措置の仕組み:児童相談所と児童福祉法第27条・第28条

社会的養護の制度は、児童福祉法に定められています。第1条は、全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されること、愛され、保護されることなどの福祉を等しく保障される権利を有する、と書いています。第2条は、児童の保護者が児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負い、国及び地方公共団体は保護者とともに育成する責任を負う、としています。

家庭での養育を支えるための考え方は、第3条の2にあります。国と地方公共団体は、保護者を支援しなければならず、そのうえで、次の順で必要な措置を講じます。

1. 児童を家庭において養育することが困難または適当でない場合は、児童が「家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう」措置を講じる

2. 児童を家庭及びその養育環境において養育することが適当でない場合は、児童が「できる限り良好な家庭的環境において養育されるよう」措置を講じる

児童相談所は、都道府県が設置しなければなりません(第12条第1項)。都道府県は、第27条第1項第3号により、児童を小規模住居型児童養育事業を行う者もしくは里親に委託し、または乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設もしくは児童自立支援施設に入所させる措置を採ります。この措置は、児童に親権を行う者などがあるときは、原則としてその意に反して採ることができません(第27条第4項)。

保護者が児童を虐待し、著しくその監護を怠るなどの場合に、親権者などの意に反する措置が必要なときの決まりが、第28条です。保護者が親権を行う者または未成年後見人であるときは、家庭裁判所の承認を得て、第27条第1項第3号の措置を採ります。この措置の期間は、開始した日から2年を超えてはならず、保護者への指導措置の効果などに照らして必要なときは、家庭裁判所の承認を得て更新することができます(第28条第2項。同条第1項第2号ただし書の措置も同じ。令和8年4月1日時点の条文)。

児童福祉施設と里親

児童福祉法第7条は、児童福祉施設として、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター及び里親支援センターを挙げています。社会的養護に関わる主な施設の目的を、条文から整理します。

施設条目的(要点)
乳児院第37条乳児(特に必要がある場合は幼児を含む)を入院させて養育し、退院した者について相談その他の援助を行う
母子生活支援施設第38条配偶者のない女子またはこれに準ずる事情にある女子とその監護すべき児童を入所させて保護し、自立の促進のため生活を支援する
児童養護施設第41条保護者のない児童、虐待されている児童、その他環境上養護を要する児童を入所させて養護し、退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行う
児童心理治療施設第43条の2環境上の理由により社会生活への適応が困難となった児童を、短期間、入所させ、または通わせて、心理に関する治療及び生活指導を主として行う
児童自立支援施設第44条不良行為をなし、またはなすおそれのある児童、および環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、または通わせて、必要な指導を行い、自立を支援する
児童家庭支援センター第44条の2地域の児童の福祉に関する問題について、専門的な知識及び技術を必要とする相談に応じ、助言を行う
里親支援センター第44条の3里親支援事業を行うほか、里親及び里親に養育される児童、里親になろうとする者について相談その他の援助を行う

里親は、第6条の4が定義しています。内閣府令で定める人数以下の要保護児童を養育することを希望する者で、研修を修了して養育里親名簿に登録された者が「養育里親」、養育と養子縁組によって養親となることを希望する者で、養子縁組里親名簿に登録された者が「養子縁組里親」です。このほか、要保護児童の父母以外の親族で内閣府令で定めるものも里親に含まれます。

こども家庭庁のページには、日本で、様々な事情で親と暮らすことができないこどもの数が書かれています。

親と暮らせないこどもの数:約4万2千人。基準日の記載はページにありません。最終確認日:2026-10-11。出典:こども家庭庁 里親制度等について。

権利擁護:被措置児童等虐待の防止と第三者評価

施設や里親のもとで暮らす子どもを守る決まりも、範囲に含まれます(教授内容の「被措置児童等の虐待防止」)。児童福祉法第33条の10は、被措置児童等虐待を、施設職員等が、事業を利用する児童、委託された児童、入所する児童または一時保護が行われた児童に対して行う、次の4つの行為と定めています。

1. 身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加えること

2. わいせつな行為をすること、またはさせること

3. 心身の正常な発達を妨げるような著しい減食、長時間の放置、他の児童による行為の放置などの、養育または業務を著しく怠ること

4. 著しい暴言、著しく拒絶的な対応その他の、著しい心理的外傷を与える言動を行うこと

こども家庭庁は、平成21年4月に施行された児童福祉法改正により、都道府県市等が児童本人からの届出や周囲の人からの通告を受けて調査等の対応を行う制度が法定化された、と説明しています。保護者による児童虐待の定義(児童虐待の防止等に関する法律第2条)にも、よく似た4つの行為が並びます(文言は同じではありません)。

施設の質を高める仕組みとして、国の資料は、施設種別ごとの指針とあわせて、自己評価と第三者評価を位置づけています。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準は、乳児院(第24条の3)、母子生活支援施設(第29条の3)、児童養護施設(第45条の3)、児童心理治療施設(第76条の2)、児童自立支援施設(第84条の3)に、自ら業務の質の評価を行うとともに、「定期的に外部の者による評価を受けて、それらの結果を公表し、常にその改善を図らなければならない」と定めています(令和8年4月1日時点の条文)。受審の頻度は、こども家庭庁支援局長通知「社会的養護関係施設における第三者評価及び自己評価の実施について」(令和7年3月31日、こ支家第154号)が、第三者評価を「令和7年度から始まる3か年度毎に1回以上受審し、その結果の公表をしなければならない」とし、自己評価は毎年度行うとしています。

社会的養護関係施設の第三者評価の頻度:令和7年度から始まる3か年度ごとに1回以上受審し、結果を公表。自己評価は毎年度。令和7年4月1日から適用の通知。最終確認日:2026-10-11。出典:こども家庭庁 社会的養護の第三者評価について。

国の最新資料:資料集「社会的養育の推進に向けて」と令和4年の児童福祉法改正

社会的養護の国の資料は、こども家庭庁の「社会的養護」のページにまとまっています。中心になるのは、支援局家庭福祉課がまとめた資料集「社会的養育の推進に向けて」です。理念と原理、現状と施策、里親制度と各施設の概要、里親等委託の推進、特別養子縁組、自立支援、権利擁護、令和4年改正児童福祉法の概要、都道府県社会的養育推進計画などの章に分かれています。

資料集「社会的養育の推進に向けて」:こども家庭庁のページに掲載されている版は「令和8年3月」版(PDF全355ページ。ページには「令和8年3月16日に掲載資料を更新」とある)。協議会の出題範囲と教科目の教授内容には、この資料集を読むよう指定する記載はない。最終確認日:2026-10-14。出典:こども家庭庁 社会的養護・資料集(PDF)・協議会 保育士試験出題範囲(PDF)。

資料集の冒頭は、基本理念と原理(前の節で紹介した内容)です。同じページでは、家庭養育優先原則に基づいて、家庭での養育が困難または適当でない場合は、里親やファミリーホーム(家庭養護)を優先し、児童養護施設や乳児院も、できる限り小規模かつ地域分散化された家庭的な養育環境の形に変えていく、と説明されています。

里親等委託率:26.3%(令和7年3月末)。資料集は、里親等委託率を「里親+ファミリーホーム」の委託児童数を「養護+乳児+里親+ファミリーホーム」で割った割合と定義している。最終確認日:2026-10-14。出典:こども家庭庁 資料集「社会的養育の推進に向けて」(令和8年3月・PDF)(PDFの4ページ)。

近年の制度の変化では、令和4年の児童福祉法改正(令和4年法律第66号)が重要です。資料集に載っている改正の概要は、一時保護施設の設備・運営基準の策定、里親支援センターの児童福祉施設としての位置づけ、妊産婦等生活援助事業の創設、児童自立生活援助の年齢による一律の利用制限の弾力化、社会的養育経験者等を通所や訪問等で支援する拠点を設置する事業の創設、児童の意見聴取等の仕組みの整備などです。

令和4年児童福祉法改正の施行期日:令和6年4月1日(ただし、一時保護開始時の司法審査の導入は令和7年6月1日、児童をわいせつ行為から守る環境整備の一部は令和4年9月15日または令和5年4月1日)。最終確認日:2026-10-14。出典:こども家庭庁 資料集「社会的養育の推進に向けて」(令和8年3月・PDF)(「令和4年改正児童福祉法の概要」の章)。
里親支援センターと社会的養護自立支援拠点事業の設置状況:里親支援センターは、令和7年4月1日時点で34自治体・55か所。社会的養護自立支援拠点事業は、令和7年4月1日時点で57自治体・63か所。最終確認日:2026-10-14。出典:こども家庭庁 資料集「社会的養育の推進に向けて」(令和8年3月・PDF)。

協議会の基準は、法令は「令和8年4月1日以前に施行されたもの」です。資料集で読んだ改正の内容を条文で確かめるときは、その条文の施行日がこの日以前かどうかを、e-Gov の改正履歴で自分で確認してください。資料集には、予算や統計の数字も多く含まれています。

2科目を一緒に学ぶ:同じ法律を2つの科目の目で読む

協議会の出題範囲は、教育原理も社会的養護も、保育原理・子ども家庭福祉との関連をとって出題するとしています。そのほかの関連先は、教育原理は社会的養護、社会的養護は社会福祉です。社会的養護の関連先に教育原理の記載はありません(2026-10-11 時点)。同じ条文を、複数の科目の視点で読み直せる箇所があります。

  • 児童福祉法第39条・第39条の2・学校教育法第22条:幼児期の施設の違い(教育原理)と、児童福祉施設の体系(社会的養護・子ども家庭福祉)
  • 教育基本法第10条(保護者の第一義的責任)と児童福祉法第2条第2項:どちらも保護者の第一義的責任を書いている
  • 保育所保育指針第1章:保育の基本(保育原理)と、幼児教育を行う施設として共有すべき事項(教育原理)

子どもの分野の法令は科目「子ども家庭福祉」に、福祉の共通の決まりは科目「社会福祉」にまとめています。

学び方の例:2科目をまとめて仕上げる

勉強の計画は受験者ごとに違います。協議会の資料には、必要な勉強時間の記載がありません(2026-10-11 時点)。この2科目の構造から考えた進め方の例を挙げます。

1. 教授内容の目標を、2科目それぞれのノートの見出しにする

2. 教育原理は、教育基本法の第1条〜第4条、第10条、第11条と、学校教育法第1条・第22条・第26条から読む

3. 社会的養護は、児童福祉法の第1条〜第3条の2、第7条、第27条・第28条を読み、施設の表を自分で作る

4. 国の施設運営指針の概要と、こども家庭庁の「社会的養護」のページで、理念と原理を確かめる

5. 令和8年4月1日以前の条文かどうかを確かめる

6. 合格ナビのオリジナル問題で確認する。教育原理と社会的養護の科目別の演習、2科目をまとめて解ける模擬試験が使えます

2科目で1つの合否になるため、片方だけを仕上げて終わらせない進め方が必要です。免除の対象になる資格を持っている場合は、受験する科目を確かめてから計画を立ててください。

まとめ:2科目で1つの合否、範囲は協議会、中身は法令と国の資料

  • 教育原理と社会的養護は、各50点・30分で、令和8年後期は2科目とも満点の6割以上で合格です。片方だけでは合格になりません
  • 教育原理は、教育基本法・学校教育法・日本国憲法第26条などで、教育の目的・制度・実践を学ぶ科目です。思想と歴史は、項目名だけが示されています
  • 社会的養護は、児童福祉法と、こども家庭庁の資料(施設運営指針など)で、理念・制度・施設と里親・権利擁護を学ぶ科目です
  • 法令は令和8年4月1日以前に施行されたものが基準です。条文は施行日を確かめて読みます

次にやることは、次のとおりです。

出典の一覧:協議会 保育士試験出題範囲(PDF)、協議会 教科目の教授内容(PDF)、協議会 筆記試験(後期)概要、協議会 令和8年筆記試験(前期・地域限定)問題・正答、こども家庭庁 社会的養護、こども家庭庁 施設運営指針、里親及びファミリーホーム養育指針について(概要)(PDF)、こども家庭庁 里親制度等について、こども家庭庁 被措置児童等虐待届出等制度の実施状況について、こども家庭庁 保育所保育指針(PDF)、e-Gov法令検索 日本国憲法、教育基本法、学校教育法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、児童福祉法、児童虐待の防止等に関する法律。数字と条文は2026-10-11 時点で、法令は令和8年4月1日時点の条文を確認しました。

よくある質問

Q保育所は、学校教育法の「学校」に含まれますか?

含まれません。学校教育法第1条は「学校」として、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校を挙げていて、保育所の記載はありません(令和8年4月1日時点の条文・2026-10-11 時点)。保育所は児童福祉法第39条の施設で、幼稚園は学校教育法第22条の学校です。幼保連携型認定こども園は、児童福祉法第39条の2に目的が書かれています。

Q「家庭養護」と「施設養護」は、どう違いますか?

こども家庭庁の施設運営指針の概要では、里親・ファミリーホームを「養育者の家庭に迎え入れる家庭養護」と位置づけています。乳児院、児童養護施設などは、施設を使う養護です。児童福祉法第3条の2は、家庭での養育が適当でない場合に、まず家庭と同様の養育環境、それが適当でない場合にできる限り良好な家庭的環境での養育のための措置を求めています。

Q教育原理で、教育の思想家の名前や年号は、協議会の資料に書かれていますか?

書かれていません。協議会の出題範囲が出題範囲とする養成課程の教科目「教育原理」の内容には、「諸外国の教育の思想と歴史」「日本の教育の思想と歴史」「子ども観と教育観の変遷」という項目名があるだけで、個別の人名や年号は載っていません(2026-10-11 時点)。使うテキストの目次と、この項目名を見比べて確認する方法があります。

Q社会的養護の「歴史的変遷」は、どこまで範囲に入りますか?

協議会の出題範囲は、社会的養護の制度及び歴史的変遷の部分からは「歴史的に古いもの又は現在の制度体系と関連のないものは出題しない」としています。教科目の内容には「社会的養護の歴史的変遷」の項目があるので、範囲には入りますが、現在の制度体系とのつながりが基準になります。

Q里親支援センターとは何ですか。いつ新設された施設ですか?

里親支援事業を行うほか、里親と里親に養育される児童、里親になろうとする者に相談その他の援助を行う児童福祉施設です(児童福祉法第44条の3)。令和4年の児童福祉法改正で児童福祉施設に位置づけられ、令和6年4月1日に施行されました。こども家庭庁の資料では、令和7年4月1日時点で34自治体・55か所に設置されています。運営の考え方は、こども家庭庁の「里親支援センター及びその業務に関するガイドライン」に示されています。

Q社会的養護自立支援拠点事業とは何ですか?

施設入所等の措置を解除された人など(措置解除者等)やこれに類する人が相互に交流する場所を開設し、情報の提供、相談及び助言、関係機関との連絡調整などの支援を行う事業です(児童福祉法第6条の3第16項。令和8年4月1日時点の条文)。令和4年の児童福祉法改正で、社会的養育経験者等を通所や訪問等で支援する拠点を設置する事業として創設され、令和6年4月1日に施行されました。こども家庭庁の資料では、令和7年4月1日時点で57自治体・63か所で実施されています。

この資格の問題を解く保育士 科目別問題集
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法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月14日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

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