問題
次の【事例】は、子どもに人形を使った劇を見せて質問する課題である。この課題と「心の理論」に関する記述として、最も適切なものを一つ選びなさい。 【事例】 保育士は、Hちゃん(5歳)の前で2体の人形を使って短い劇を演じた。人形のIくんは、ボールを赤い箱に入れて部屋を出ていった。Iくんがいない間に、もう1体の人形のJくんが、ボールを赤い箱から取り出して青いかごに移した。その後、Iくんが部屋に戻ってきた。保育士はHちゃんに「Iくんがボールで遊ぼうと思ったら、最初にどこを探すかな」とたずねた。
【この問題について】
本問は、保育士試験(一般社団法人 全国保育士養成協議会 実施)の筆記試験科目「保育の心理学」の出題範囲に基づき、goukaku-navi.jp が独自に作成したオリジナル問題です。全国保育士養成協議会が作成した試験問題を転載・改変したものではありません。
※本サイトは一般社団法人 全国保育士養成協議会とは一切関係ありません。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、一般社団法人 全国保育士養成協議会とは一切関係ありません。
正答は5です。この課題は「誤信念課題」と呼ばれ、他者が自分とは違う、しかも事実と異なる考えをもっていることを理解できるかを調べるものです。Iくんはボールが移されたところを見ていないので、まだ赤い箱にあると思っています。そのため「赤い箱」と答えられる子どもは、Iくんの心の中を推測できていると考えられます。「青いかご」と答える子どもは、自分が知っている事実をそのままIくんにも当てはめています。
1 不適切 「青いかご」は、ボールが今ある場所です。Iくんはボールの移動を見ていないのに、自分の知っている事実をそのまま答えているので、他者が自分と異なる考えをもつことを理解しているとはいえません。
2 不適切 保存の概念を調べるのは、ピアジェの保存課題(液体の移し替えなど)です。この課題は物の量ではなく、人の考えの理解を調べています。
3 不適切 心の理論は、他者にも自分とは別の心(考え、信念、意図、欲求など)があることを理解し、それをもとに他者の行動を予測したり説明したりする働きです。他者の心の推測こそが中心です。
4 不適切 子どもがボールの移動の順番を覚えているかを確かめる質問を加えることはありますが、課題の目的は、記憶ではなく「Iくんがどう考えているか」を推測できるかどうかを調べることです。
5 適切 Iくんは、ボールが赤い箱にあるという、実際とは違う考え(誤信念)をもっています。「赤い箱」と答えられることは、自分の知っている事実と他者の考えとを区別して理解できていることを示します。
心の理論とは 心の理論という言葉は、プレマックとウッドラフがチンパンジーの研究の中で用いたのが始まりとされます。他者の行動の背後に、目には見えない心の状態(信念・意図・欲求など)を想定し、それによって行動を理解したり予測したりする働きを指します。「理論」と呼ばれるのは、目に見えない心の状態を想定して行動を説明する点が、仮説を使って現象を説明する理論に似ているからです。
誤信念課題の構造 事例のような課題は、物の置き場所が本人の知らないうちに移される「位置移動課題」と呼ばれる型です。正しく答えるには、①現実の状況(ボールは青いかご)と、②他者の頭の中にある状況(ボールは赤い箱)を区別し、②をもとに他者の行動を予測する必要があります。もう一つの代表的な型に、中身が予想と違う箱を見せて「ほかの子はこの中に何が入っていると思うか」とたずねる「予期せぬ中身課題」があります。
保育の中での表れ 心の理論の理解が進むと、かくれんぼで相手から見えない場所を選ぶ、うそやごまかし、相手を驚かせようとするいたずら、相手の気持ちを考えた言葉かけなどが見られるようになります。友達とのいざこざの場面でも、「〇〇ちゃんは知らなかったんだね」と相手の知っていることと知らないことを言葉にする援助は、他者の心を理解する手がかりになります。
関連する概念との区別 ピアジェの自己中心性(三つの山問題に代表される、他者の視点からの見え方の理解の難しさ)は、「見え方」の視点取得の問題として扱われます。心の理論は、「考え(信念)」の理解を扱う点で区別されます。また、選択肢2の保存の概念は、物の量や数についての論理的な理解の問題で、他者の心の理解とは別の領域です。
紛らわしい点 1は正答の根拠と逆の答えを、正しい理解の表れとしている肢です。事実(青いかご)を答えるのか、他者の考え(赤い箱)を答えるのかが、この課題の判断の分かれ目です。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です。保育士試験(一般社団法人 全国保育士養成協議会 実施)の筆記試験科目「保育の心理学」の出題範囲・保育所保育指針・関係法令に基づいて作っています。一般社団法人 全国保育士養成協議会が作成した試験問題を転載・改変したものではありません。根拠・出典:発達心理学の定説(心の理論、誤信念課題〔位置移動課題〕、プレマックとウッドラフによる心の理論の提唱)条文の原文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で確認できます。法令・指針は令和8年4月1日時点の内容に基づきます。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・指針は改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 全国保育士養成協議会の公式サイトや関係省庁の公表でご確認ください。本サイトは同協議会と一切関係ありません。
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