保育士

保育士 保育の心理学 問2|臨界期・敏感期・可塑性

問題

保育士 | 保育の心理学 | 令和8年4月1日時点の法令・指針に基づく

次の文は、発達における「時期」と経験の関係についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 A ローレンツは、ハイイロガンなどのひなが孵化後の限られた時期に目にした動く対象の後を追うようになる現象を、刻印づけ(インプリンティング)と呼んだ。 B 刻印づけは、孵化後のどの時期であっても同じように成立し、一度成立した後も容易に別の対象に置き換えられる。 C 人間の発達については、ある時期を過ぎると学習がまったくできなくなるという厳密な意味の臨界期よりも、その時期に特定の経験の影響を受けやすいという意味で「敏感期」という言葉が用いられることが多い。 D 脳や行動が経験によって変化しうる性質を可塑性といい、可塑性は乳幼児期に限らず生涯にわたってある程度保たれていると考えられている。

【この問題について】

本問は、保育士試験(一般社団法人 全国保育士養成協議会 実施)の筆記試験科目「保育の心理学」の出題範囲に基づき、goukaku-navi.jp が独自に作成したオリジナル問題です。全国保育士養成協議会が作成した試験問題を転載・改変したものではありません。

※本サイトは一般社団法人 全国保育士養成協議会とは一切関係ありません。

キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ

タップするとすぐ答え合わせ

答え合わせ

正解は 4
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)

解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、一般社団法人 全国保育士養成協議会とは一切関係ありません。

正答は4です。ローレンツは、ガンなどのひなが孵化してすぐの限られた時期に見た動くものを親のように追いかける現象を「刻印づけ」と呼びました(A○)。刻印づけはその限られた時期にしか成立しにくく、一度成立すると変わりにくいのが特徴なので、Bは×です。人間では「その時期を過ぎると絶対にできない」という意味の臨界期より、「その時期に影響を受けやすい」という敏感期の考え方が使われます(C○)。経験によって変わる性質である可塑性は、生涯を通じてある程度保たれます(D○)。

A ○ 比較行動学者のローレンツは、ハイイロガンなどのひなが孵化後間もない時期に見た動く対象(親鳥に限らず人間などでもよい)の後を追うようになることを示し、これを刻印づけ(インプリンティング)と名付けました。

B × 刻印づけの特徴は、①孵化後の限られた時期にだけ成立しやすいこと、②一度成立すると変えにくい(不可逆性が高い)ことです。「どの時期でも同じように成立」「容易に置き換えられる」はどちらもこの特徴と反対です。

C ○ 臨界期は、その時期を逃すと特定の機能が獲得できなくなる時期を指す言葉です。人間の心理的な発達は、時期を過ぎても後から経験によって補える面が大きいことから、その時期に影響を受けやすいという意味の「敏感期」という言葉が多く用いられます。

D ○ 可塑性は、脳や行動が経験に応じて変化する性質です。乳幼児期に特に大きいとされますが、大人になってからの学習やリハビリテーションによる機能の回復などにも見られ、生涯にわたってある程度保たれると考えられています。

以上から A○ B× C○ D○ の4が正答です。

臨界期という言葉の出どころ 臨界期という考え方は、発生学や比較行動学で、ある時期にしか成立しない現象を説明するために用いられてきました。ローレンツの刻印づけはその代表例で、ひなは孵化後の限られた時間帯に見た動く対象に追従するようになり、その対象が人間であっても人間の後をついて歩くようになります。

人間の発達への当てはめ 人間の場合、言語の音の聞き分けや視覚の発達などで、早い時期の経験が大きな影響をもつことが知られています。しかし、心理的・社会的な発達の多くは、時期を過ぎたら取り返しがつかないという性質のものではなく、後の経験によって変わりうる余地があります。そのため「敏感期」という、より緩やかな言葉が使われます。「臨界期を逃すと手遅れ」という言い方を保育の場や子育て情報の中でそのまま当てはめると、保護者の不安をあおることにもつながります。

可塑性と発達の見方 可塑性は、発達が遺伝だけで固定されるのではなく、環境や経験によって変化しうることを示す概念です。生涯発達心理学では、発達は乳幼児期で終わるものではなく、成人期・高齢期にも獲得と喪失を伴いながら続くと考えます。可塑性はこの見方の土台になっています。

関連する論点 早期の経験の影響を示すものとして、ハーロウのアカゲザルの研究(布製の代理母を好んだ)や、ボウルビィのアタッチメント理論が挙げられます。これらは「早期の経験が大切である」ことを示すものであり、「早期でなければ一切取り返せない」ことを示すものではない、という点を区別して理解しておくことが大切です。

紛らわしい点 Bは刻印づけの特徴を正反対に述べた文です。「限られた時期」「変わりにくい」という2つのキーワードを押さえておくと判断しやすくなります。

この問題の根拠発達心理学・比較行動学の定説(ローレンツの刻印づけ、臨界期・敏感期、可塑性の概念)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です。保育士試験(一般社団法人 全国保育士養成協議会 実施)の筆記試験科目「保育の心理学」の出題範囲・保育所保育指針・関係法令に基づいて作っています。一般社団法人 全国保育士養成協議会が作成した試験問題を転載・改変したものではありません。根拠・出典:発達心理学・比較行動学の定説(ローレンツの刻印づけ、臨界期・敏感期、可塑性の概念)条文の原文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で確認できます。法令・指針は令和8年4月1日時点の内容に基づきます。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・指針は改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 全国保育士養成協議会の公式サイトや関係省庁の公表でご確認ください。本サイトは同協議会と一切関係ありません。

執筆・運営:合格ナビ運営事務局(運営者情報)・編集方針。