問題
次の文は、ピアジェの認知発達理論の基本的な考え方に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 A シェマとは、子どもが外界を理解したり外界に働きかけたりするときに用いる、認識や行動の枠組みのことである。 B 犬を見て「ワンワン」と言えるようになった子どもが、初めて見た猫を指して「ワンワン」と言うのは、新しい対象を自分のもっている既存のシェマに取り込む同化の例である。 C 調節とは、新しい経験を、自分のもっているシェマをまったく変えないまま取り込むことをいう。 D 同化と調節を繰り返しながら、認識の枠組みがより安定した状態へと再構成されていく過程を、均衡化という。 E ピアジェは、子どもは大人から与えられる知識を受け身の形で受け取ることによって認識を発達させていくと考えた。
【この問題について】
本問は、保育士試験(一般社団法人 全国保育士養成協議会 実施)の筆記試験科目「保育の心理学」の出題範囲に基づき、goukaku-navi.jp が独自に作成したオリジナル問題です。全国保育士養成協議会が作成した試験問題を転載・改変したものではありません。
※本サイトは一般社団法人 全国保育士養成協議会とは一切関係ありません。
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答え合わせ
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自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、一般社団法人 全国保育士養成協議会とは一切関係ありません。
正答は3です。ピアジェは、子どもがもっている認識の枠組みを「シェマ」と呼びました(A○)。新しいものを今のシェマに当てはめて取り込むのが「同化」で、猫を「ワンワン」と呼ぶのはその例です(B○)。今のシェマでうまくいかないときにシェマそのものを作り変えるのが「調節」なので、Cは×です。同化と調節を繰り返して安定した状態に向かう過程が「均衡化」です(D○)。ピアジェは子どもを自ら働きかけて知識をつくる存在と考えたので、Eは×です。
A ○ シェマは、物をつかむ・吸うといった行動の型から、分類や数のような考え方の型まで含む、外界をとらえるための枠組みです。
B ○ 「四本足で毛のある動物=ワンワン」というシェマに猫を当てはめて取り込んでいるので、同化の例です。既存の枠組みに合わせて新しいものを理解しようとする働きです。
C × 調節は、新しい経験が既存のシェマにうまく当てはまらないときに、シェマそのものを変える働きです。例えば、猫は「ニャー」と鳴き、犬とは違うと気付いて、「ワンワン」と「ニャンニャン」を区別するようになるのが調節です。「シェマをまったく変えないまま取り込む」は同化の説明に近く、調節の説明としては誤りです。
D ○ 同化と調節のバランスがとれた状態に向かって、認識の枠組みが組み替えられていく過程を均衡化といいます。ピアジェは、この過程を通して認知が段階的に発達すると考えました。
E × ピアジェの立場は構成主義と呼ばれ、子どもが自ら環境に働きかけ、その経験から知識を構成していくと考えます。受け身に知識を受け取るという見方とは逆です。
以上から A○ B○ C× D○ E× の3が正答です。
構成主義という考え方 ピアジェは、知識は外から写し取られるものではなく、子どもが環境との相互作用の中で自分でつくり上げていくものだと考えました。シェマ・同化・調節・均衡化は、その「つくり上げていく」仕組みを説明する概念です。認識は、既存の枠組みで世界をとらえる(同化)ことと、うまくいかないときに枠組みを変える(調節)ことの往復によって、より高い水準の均衡へと進んでいきます。
同化と調節の見分け方 「今もっている枠組みに合わせて相手を理解する」のが同化、「相手に合わせて自分の枠組みを変える」のが調節です。乳児がガラガラを口に入れる行動を、初めて手にした積み木にも同じように当てはめるのは同化、大きすぎて口に入らない物に対して手でつかむ・振るなど別のやり方を工夫するのは調節と説明できます。
語彙の拡張との関係 「ワンワン」が四本足の動物全般に広がる現象は、言葉の発達の領域では「語彙の過大般用(過拡張)」と呼ばれます。ピアジェの用語で見ると同化の働きにあたり、その後、周囲の大人の言い直しなどを手がかりに意味の範囲を狭めていく過程は調節にあたります。
保育への示唆 構成主義の立場から見ると、子どもにとって少し「あれ?」と思うような、既存の枠組みでは説明しきれない経験が、調節を引き起こし、考えを深めるきっかけになります。保育所保育指針の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の「思考力の芽生え」に、身近な事象に積極的に関わる中で物の性質や仕組みなどを感じ取ったり気付いたりし、考えたり予想したり工夫したりするなど多様な関わりを楽しむ、と書かれているのも、子どもが自ら環境に関わって考えを育てていくという見方と重なります。
紛らわしい点 Cは同化と調節の説明を入れ替えた形、Eは構成主義と反対の見方(受け身の学習観)を述べた形です。
- 保育所保育指針・同解説こども家庭庁の公表ページ
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です。保育士試験(一般社団法人 全国保育士養成協議会 実施)の筆記試験科目「保育の心理学」の出題範囲・保育所保育指針・関係法令に基づいて作っています。一般社団法人 全国保育士養成協議会が作成した試験問題を転載・改変したものではありません。根拠・出典:発達心理学の定説(ピアジェの認知発達理論:シェマ・同化・調節・均衡化、構成主義)条文の原文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で確認できます。法令・指針は令和8年4月1日時点の内容に基づきます。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・指針は改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 全国保育士養成協議会の公式サイトや関係省庁の公表でご確認ください。本サイトは同協議会と一切関係ありません。
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