問題
次の【事例】を読んで、保育士の関わりとして適切なものを3つ選びなさい。 【事例】 5歳児クラスでは、最近、園庭で縄跳びをする子どもが増えている。Tくん(5歳)は、友達が跳んでいる様子を見ながら「どうせぼくは下手だから」「Uくんみたいに跳べないもん」と言い、縄を持とうとしない。一方で、Tくんはクラスで飼っているカメの世話が好きで、えさの量や水の替え方をよく知っている。
【この問題について】
本問は、保育士試験(一般社団法人 全国保育士養成協議会 実施)の筆記試験科目「保育の心理学」の出題範囲に基づき、goukaku-navi.jp が独自に作成したオリジナル問題です。全国保育士養成協議会が作成した試験問題を転載・改変したものではありません。
※本サイトは一般社団法人 全国保育士養成協議会とは一切関係ありません。
※この問題は3つ選ぶ形式です。3つとも選ぶと答え合わせになり、正答の全部を選んだときだけ正解として扱います。
キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、一般社団法人 全国保育士養成協議会とは一切関係ありません。
正答は2、3、5です。Tくんは友達と自分を比べて「どうせ下手」と自信をなくしています。まず気持ちを受け止め、取り組めそうな小さな目標を一緒に考えること(3)、友達とではなく以前のTくんと比べた伸びを認めること(2)、得意なカメの世話で力を発揮し、認められる体験をつくること(5)が、自信を取り戻す支えになります。励ますつもりでも友達を目標として示すこと(1)は、比べて自信をなくしているTくんには逆効果になりやすく、気づかうつもりで縄跳びから遠ざけること(4)は、自分でやってみて達成感を味わう機会をなくしてしまいます。
1 不適切 幼児期の後半になると、友達と自分を比べること(社会的比較)が見られるようになります。すでにUくんと自分を比べて自信をなくしているTくんに、励ますつもりでもUくんを目標として示すと、比較をさらに強め、自己評価を下げるおそれがあります。
2 適切 他児との比較ではなく、その子自身の以前の姿と比べた伸びや工夫を具体的に認めることは、「自分にもできる」という感覚(有能感)を支えます。結果だけでなく、取り組みの過程を認めることが大切です。
3 適切 保育所保育指針は、3歳以上児の「人間関係」の内容の取扱い①で、子どもが試行錯誤しながら諦めずにやり遂げることの達成感や、前向きな見通しをもって自分の力で行うことの充実感を味わうことができるよう、子どもの行動を見守りながら適切な援助を行うことを示しています。気持ちを受け止め、達成できそうな小さな目標を一緒に考えることは、この考え方に沿った援助です。
4 不適切 Tくんを気づかう意図はあっても、保育士が先回りして縄跳びから遠ざけると、Tくんが自分なりの目標に挑み、達成感や充実感を味わう機会がなくなります。指針の内容の取扱い①が示す「見守りながら適切な援助を行う」関わりになっていません。
5 適切 指針の同じ箇所の②は、集団の生活の中で、子どもが自己を発揮し、保育士等や他の子どもに認められる体験をし、自分のよさや特徴に気付き、自信をもって行動できるようにすることを示しています。得意なカメの世話で友達に教える場面は、その具体例です。
社会的比較と自己評価の発達 幼児期の前半の子どもは、自分の能力を実際よりも高く見積もりやすく、「ぼく、何でもできる」という楽観的な自己評価をもつことが多いとされます。幼児期の後半から児童期にかけて、友達と自分を比べる社会的比較がさかんになり、自己評価はより現実的になっていきます。これは認知の発達として自然な変化ですが、比較の結果、「どうせできない」と自己評価を大きく下げてしまう子どももいます。
自尊感情を支える2つの方向 事例の援助は、大きく2つの方向から整理できます。一つは、苦手なこと(縄跳び)について、他児ではなく本人の以前の姿を基準にした伸びを認め、小さな目標を達成する経験を重ねること(2・3)です。もう一つは、得意なこと(カメの世話)で自分のよさを発揮し、周囲から認められる体験をつくること(5)です。どちらも、自分は価値ある存在だと感じる自尊感情や、やればできるという有能感を支える関わりです。
指針の位置づけ 保育所保育指針の第2章3(2)イ「人間関係」は、ねらいに「保育所の生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう」を掲げています。内容の取扱いでは、①達成感や充実感を味わえるように見守りながら援助すること、②一人一人を生かした集団を形成しながら、子どもが自己を発揮し、認められる体験をし、自分のよさや特徴に気付き、自信をもって行動できるようにすることが示されています。また、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の「自立心」には、自分の力で行うために考えたり工夫したりしながら、諦めずにやり遂げることで達成感を味わい、自信をもって行動するようになる姿が示されています。
関わりで気を付けたい点 励ますつもりで「Uくんみたいに頑張ろう」と他児を目標として示すことも、Tくんのように比べることで自信をなくしている子どもには逆効果になる場合があります。また、ごほうびで練習させることに頼ると、縄跳びそのものの楽しさを感じにくくなることもあります(アンダーマイニング効果)。子ども一人一人の受け止め方を見ながら、関わり方を選ぶことが大切です。
紛らわしい点 1と4は、どちらも善意から出た関わりです。1は「励ます」ために他児を目標として示していますが、比べて自信をなくしている子どもにはかえって比較を強めます。4は「傷つけない」ために挑戦の機会そのものを取り除いており、5のように得意なことで認められる体験をつくることとは違います。得意なことを生かす(5)ことと、苦手なことから遠ざける(4)ことを区別します。
- 保育所保育指針・同解説こども家庭庁の公表ページ
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です。保育士試験(一般社団法人 全国保育士養成協議会 実施)の筆記試験科目「保育の心理学」の出題範囲・保育所保育指針・関係法令に基づいて作っています。一般社団法人 全国保育士養成協議会が作成した試験問題を転載・改変したものではありません。根拠・出典:保育所保育指針(平成29年厚生労働省告示第117号)第2章 3(2)イ 人間関係 (ウ)①②/発達心理学の定説(自己評価・自尊感情・社会的比較)条文の原文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で確認できます。法令・指針は令和8年4月1日時点の内容に基づきます。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・指針は改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 全国保育士養成協議会の公式サイトや関係省庁の公表でご確認ください。本サイトは同協議会と一切関係ありません。
執筆・運営:合格ナビ運営事務局(運営者情報)・編集方針。

