保育士

保育士 保育の心理学 問25|自己中心性と視点取得・役割取得

問題

保育士 | 保育の心理学 | 令和8年4月1日時点の法令・指針に基づく

次の文は、子どもの自己中心性や他者の視点の理解に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 A ピアジェの「三つ山課題」では、前操作期の子どもは、自分とは別の位置に置かれた人形から山がどう見えるかを問われると、自分の位置から見える景色を選ぶことが多いとされる。 B ピアジェのいう自己中心性とは、自分の利益だけを優先しようとする、わがままな性格傾向のことを指す。 C セルマンは、他者の立場に立ってその気持ちや考えを推し量る力(役割取得能力)が、いくつかの段階を経て発達するという考えを示した。 D セルマンによれば、他者の立場に立って考える力(役割取得能力)の発達は、幼児期のうちにおおむね完成するとされる。 E 脱中心化とは、一つの視点や一つの側面にとらわれず、複数の視点や側面を考え合わせられるようになることをいう。

【この問題について】

本問は、保育士試験(一般社団法人 全国保育士養成協議会 実施)の筆記試験科目「保育の心理学」の出題範囲に基づき、goukaku-navi.jp が独自に作成したオリジナル問題です。全国保育士養成協議会が作成した試験問題を転載・改変したものではありません。

※本サイトは一般社団法人 全国保育士養成協議会とは一切関係ありません。

キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ

タップするとすぐ答え合わせ

答え合わせ

正解は 2
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)

解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、一般社団法人 全国保育士養成協議会とは一切関係ありません。

正答は2です。ピアジェのいう自己中心性は「わがまま」という意味ではなく、自分の見え方や考え方から離れて物事をとらえることがまだ難しい、という認知の特徴です。三つ山課題で、幼い子どもが人形の位置からの景色を問われても自分から見た景色を選びやすいのはその表れです(A○、B×)。セルマンは、他者の立場に立って考える力が段階を追って育つことを示しました(C○)。その発達は幼児期で終わらず、児童期以降も続きます(D×)。複数の視点を考え合わせられるようになることを脱中心化といいます(E○)。

A ○ 三つ山課題は、三つの山の模型を置き、子どもとは別の位置にいる人形からどう見えるかを写真や絵の中から選ばせる課題です。前操作期の子どもは自分の位置からの見え方を選びやすく、ピアジェはこれを自己中心性の表れと考えました。

B × 自己中心性は、性格や道徳の問題ではなく、自分の視点と他者の視点を区別して考えることがまだ難しいという思考の特徴を指す用語です。日常語の「自己中心的」と混同しないことが大切です。

C ○ セルマンは、子どもに葛藤のある物語を聞かせて登場人物の気持ちを考えさせるなどの方法で、自分と他者の視点を区別し、さらに互いの視点を関係づけていく力(役割取得能力)が段階的に発達すると考えました。

D × セルマンの段階は幼児期で終わるものではありません。幼児期には自分と他者で見え方や考えが違うことに気付き始め、児童期以降も、相手の視点に立つ、第三者の立場から双方を眺める、といった形でより複雑になっていきます。

E ○ 脱中心化は、自己中心性を抜け出していく過程を表す言葉です。見え方だけでなく、物の量や形などを一つの側面だけで判断しなくなることも含みます。

以上から、A○ B× C○ D× E○の2が正答です。

自己中心性の位置づけ ピアジェの認知発達理論で、自己中心性は前操作期(おおむね幼児期)の思考の特徴として説明されます。この時期の子どもは、言葉やイメージを使って考えられるようになる一方で、「自分にはこう見える」ことと「他の人にもこう見える」ことを分けて考えるのが難しいとされます。アニミズム(物にも心があると考える)なども、自分の経験から離れて考えることの難しさと関係づけて説明されます。ここで大事なのは、自己中心性は道徳的な欠点ではなく、発達の途中で誰にでも見られる思考の特徴だという点です。保育の場で「わがままだから」と評価するのではなく、相手の見え方や気持ちを言葉で補って伝える関わりが意味をもちます。

三つ山課題をめぐる注意点 三つ山課題は、視点取得の難しさを示した代表的な課題として扱われます。一方で、後の研究では、課題を子どもにとってなじみのある場面に変えると、より幼い子どもでも他者の見え方を理解できることが示されています。そのため、「幼児は他者の視点がまったくわからない」と言い切る形は適切ではありません。

セルマンの役割取得 セルマンは、自他の視点が未分化な段階から、自分と他者で考えが違うことに気付く段階、相手の立場から自分を見られる段階、二人のやり取りを第三者の視点から眺められる段階、さらに社会全体の視点も考慮する段階へと進むと考えました。各段階の年齢の目安は資料によって幅があるため、年齢を暗記するより「区別する→相手の立場に立つ→第三者の視点→社会の視点」という順序で理解すると整理しやすくなります。第三者の視点や社会の視点を取る段階は幼児期より後に位置づけられるので、D のように幼児期で完成するとするのは誤りです。

心の理論との関係 他者が自分とは違う考え(誤った信念を含む)をもつことを理解する力は「心の理論」と呼ばれ、幼児期に大きく発達します。三つ山課題が「見え方」の理解、役割取得や心の理論が「気持ち・考え」の理解を扱う、と分けると整理しやすくなります。

脱中心化と保存 脱中心化は、具体的操作期に成立する保存の概念(見た目が変わっても量は変わらないとわかること)とも関わります。一つの目立つ側面(コップの水の高さなど)だけに注意が向く状態を「中心化」と呼び、そこから複数の側面を考え合わせられるようになる変化が脱中心化です。

この問題の根拠発達心理学の定説(ピアジェの自己中心性・三つ山課題・脱中心化、セルマンの役割取得能力の発達段階)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です。保育士試験(一般社団法人 全国保育士養成協議会 実施)の筆記試験科目「保育の心理学」の出題範囲・保育所保育指針・関係法令に基づいて作っています。一般社団法人 全国保育士養成協議会が作成した試験問題を転載・改変したものではありません。根拠・出典:発達心理学の定説(ピアジェの自己中心性・三つ山課題・脱中心化、セルマンの役割取得能力の発達段階)条文の原文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で確認できます。法令・指針は令和8年4月1日時点の内容に基づきます。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・指針は改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 全国保育士養成協議会の公式サイトや関係省庁の公表でご確認ください。本サイトは同協議会と一切関係ありません。

執筆・運営:合格ナビ運営事務局(運営者情報)・編集方針。