危険物乙4に合格しても免状は自動では届かず、受験した都道府県への交付申請が必要です。写真の10年ごとの書換え、氏名・本籍の書換え、紛失時の再交付、仕事で取り扱う人の保安講習の期限まで、消防法令の条文と消防試験研究センターの案内で整理します。
目次
結論:危険物乙4に合格しても免状は自動では届きません。受験した都道府県の知事(窓口は消防試験研究センターの支部)に免状の交付を申請します。交付後は、写真の書換え(10年ごと)、氏名・本籍などが変わったときの書換え、なくしたときの再交付があり、製造所等で危険物を取り扱う仕事に就いたら保安講習を期限内に受けます。
合格後に起こる手続きを、いつ・どこへ・根拠の順に並べると次のとおりです。
| 手続き | いつ | 申請先 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 免状の交付申請 | 合格したら | 試験を行った都道府県知事(受験した道府県のセンター支部。東京都は中央試験センター) | 消防法第13条の2第3項、政令第32条 |
| 写真の書換え | 免状の交付(前回の写真書換え)から10年が経過する前 | 交付を受けた都道府県、または居住地・勤務地の都道府県 | 規則第51条第2項・第52条 |
| 氏名・本籍などの書換え | 記載事項に変更が生じたとき、遅滞なく(義務) | 同上 | 政令第34条 |
| 再交付 | 亡失・滅失・汚損・破損したとき(任意) | 免状の交付または書換えをした都道府県 | 政令第35条 |
| 保安講習 | 取扱作業に従事することになった日から原則1年以内、その後は受講日以後の最初の4月1日から3年以内ごと | 都道府県知事(総務大臣が指定する機関を含む) | 消防法第13条の23、規則第58条の14 |
条文の出典は e-Gov 法令検索です(2026-10-04 時点の現行条文):消防法、危険物の規制に関する政令、危険物の規制に関する規則。
合格ナビの危険物乙4 法令の論点別問題150問のうち、免状の交付・書換え・返納と保安講習を扱う問題は7問です(2026-10-02 当サイト集計。試験の出題頻度ではなく当サイトの問題数です)。手続きの知識は、そのまま法令科目の得点にもなります。
危険物乙4の「免許」「免許証」は、法令では「免状」
検索では「危険物乙4 免許」「免許証」と呼ばれることが多いのですが、法令上の名称は危険物取扱者免状です。消防法第13条の2第1項は「危険物取扱者免状の種類は、甲種危険物取扱者免状、乙種危険物取扱者免状及び丙種危険物取扱者免状とする。」と定め、第3項は免状を「危険物取扱者試験に合格した者に対し、都道府県知事が交付する」としています。乙4は、このうち乙種第4類の免状です。免状に記載される事項は政令第33条が定め、交付年月日・交付番号、氏名・生年月日、本籍地の属する都道府県、免状の種類と取り扱える危険物の種類などです。写真は、過去10年以内に撮影したものと規則第51条第2項が定めています。
運転免許証のような更新制度はありません。手続きが要る場面は、次の節で整理する3つの「期限」と、そのあとの書換え・再交付です。
危険物乙4の「期限切れ」で起こること:3つの期限を取り違えない
「期限切れ」と言われる場面は、実は次の3つのどれかです。免状そのものの有効期限ではありません。
| 期限 | 何の期限か | 過ぎるとどうなるか | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 合格後の免状交付申請の期間 | 合格後に案内される免状交付の申請期間 | 合格は取り消されない。ただし交付までに日数がかかることがある。試験日から6か月以上たって申請するときは新しい写真1枚が要る | センターのよくある質問 Q5・新規免状の交付 |
| 免状の写真(10年) | 免状の写真は過去10年以内の撮影でなければならない | 免状は失効しない。ただし10年を過ぎた免状は法令上不備な免状になるため、速やかに書換える | 規則第51条第2項、よくある質問 Q9・Q10 |
| 保安講習 | 取扱作業に従事することになった日から1年以内、その後は4月1日から3年以内ごと | 自動的に失効しない。違反している取扱者には返納命令が出されうる | 消防法第13条の23・第13条の2第5項、規則第58条の14 |
センターは写真の10年について、よくある質問 Q9で「10年を経過した免状は、違反をしているため消防法令上不備な免状となりますので、速やかに書換え申請をしてください。」と答え、Q10で「失効することはありません」としています。つまり、免状は期限切れで使えなくなるのではなく、書換えをしていない状態が法令違反になる、というのが正確な整理です。
タンクローリー乗務など免状の携帯義務がある人(消防法第16条の2第3項)の書換えは、申請前に支部へ相談するようセンターが案内しています(写真の書換え)。
危険物乙4に合格したら:免状の交付申請
合格発表の日の調べ方や、試験結果通知書の届き方は、危険物の合格発表はいつ?にまとめています。
免状は「危険物取扱者試験に合格した者に対し、都道府県知事が交付する」と定められています(消防法第13条の2第3項)。申請先は、その試験を行った都道府県の知事です(政令第32条)。実務の窓口は、受験した道府県の消防試験研究センター支部(東京都は中央試験センター)です。
センターの新規免状の交付のページによると、主な必要書類は次のとおりです。
- 免状交付申請書と試験結果通知書(切り離さない)
- すでに危険物取扱者免状か消防設備士免状を持っている人は、その免状(規則第50条第2項第2号も、他の種類の免状を受けている人に既得免状の添付を求めています)
- 郵送で受け取る場合は送付用封筒
- 手数料を納付した証明(納付方法は都道府県で異なる)
試験日から6か月以上たってから申請する場合は、新たに写真1枚が必要です。申請期間を過ぎても合格は取り消されませんが、交付までに日数がかかることがあるとセンターは案内しています(よくある質問 Q5)。
免状の交付手数料:2,900円(1種類につき)。最終確認日:2026-10-04。出典:消防試験研究センター 新規免状の交付。
複数の類の免状を一度に申請する場合も、手数料は免状の種類ごとに必要です(センターのよくある質問 Q3)。
すでに乙4の免状を持っている人が別の類に合格したときは、新しく受験した都道府県に交付を申請します(センターのよくある質問 Q4)。
合格通知書兼免状交付申請書をなくした場合も、免状の交付は可能です。受験した都道府県の支部(東京は中央試験センター)に再発行を依頼します(Q1)。二連の用紙を切り離してしまったときは、透明なテープなどでつなぎ合わせて申請できます(Q2)。免状に書かれる事項と履歴書での書き方は、危険物乙4の正式名称と履歴書の書き方で扱っています。
なお、都道府県知事は、免状の返納を命ぜられてから1年を経過しない人や、消防法令違反で罰金以上の刑に処せられ、執行を終えるなどしてから2年を経過しない人には、免状を交付しないことができます(消防法第13条の2第4項)。
写真の書換え(10年ごと)
免状には写真が載り、その写真は「過去十年以内に撮影した写真」でなければなりません(規則第51条第2項)。このため、10年ごとに写真の書換えが必要です。センターは「免状が交付されてから10年が経過する前に、写真の書換えの申請をしてください」とし、写真書換えを完了した日が次回の基準日になると案内しています(写真の書換え)。
申請先は、免状の交付を受けた都道府県のほか、居住地・勤務地の都道府県でもかまいません(政令第34条)。必要なものは書換え・再交付申請書、申請前6か月以内に撮影した写真1枚(縦4.5cm×横3.5cm など。規則第52条第2項第1号)、今の免状などです。
写真の書換え手数料:1,600円。最終確認日:2026-10-04。出典:消防試験研究センター 写真の書換え。
期限を過ぎても免状は失効しませんが、法令で定められているので速やかに書換えるよう、センターは案内しています(よくある質問 Q10)。書換えが必要な場合と不要な場合、再交付との違い、必要書類は危険物免状の書き換えが必要なときで扱っています。
氏名・本籍が変わったときの書換え(住所変更は不要)
免状の記載事項に変更が生じたら、遅滞なく書換えを申請しなければなりません(政令第34条)。再交付が「申請することができる」なのに対し、書換えは「申請しなければならない」と義務になっている点が違いです。
記載事項は政令第33条に定められ、住所は含まれていません。センターの本籍等の書換えのページも、申請が必要な変更を次の3つとしています。
| 変わったもの | 書換え | 添えるもの |
|---|---|---|
| 氏名(結婚など) | 必要 | 書換えの事由を証明する書類(規則第52条第2項第2号) |
| 本籍 | 他の都道府県へ移したときは必要(同じ都道府県内なら不要) | 同上 |
| 生年月日 | 必要 | 同上 |
| 住所(引っ越し) | 不要(記載事項ではない) | ― |
氏名・生年月日の変更については、都道府県知事が住民基本台帳法に基づく本人確認情報を利用できる場合は、書換えの事由を証明する書類の添付が要らないと規則第52条第3項が定めています。実際に添付を省けるかどうかは申請先によって異なる可能性があるため、申請前に申請先の支部で確認してください。
本籍等の書換え手数料:700円。最終確認日:2026-10-04。出典:消防試験研究センター 本籍等の書換え。
写真の書換えと本籍等の書換えは一緒に申請でき、旧姓を併記する手続きもあります(センターのよくある質問 Q16・Q23)。
免状をなくしたときの再交付(再発行)
免状を亡失・滅失・汚損・破損したときは、免状の交付または書換えをした都道府県知事に再交付を申請できます(政令第35条第1項)。書換えと違い、居住地・勤務地の都道府県は申請先に挙がっていません。複数の都道府県で交付・書換えを受けている場合は、そのいずれにも申請できます(センターのよくある質問 Q12)。
| ケース | 手続き | 根拠 |
|---|---|---|
| 汚損・破損した | 申請書にその免状を添えて提出 | 政令第35条第2項 |
| なくした・焼失した | 申請書を提出(免状は添えられない) | 政令第35条第1項 |
| どのケースでも共通 | 申請前6か月以内に撮影した写真を添える | 規則第53条第2項 |
| 再交付後に、なくした免状が見つかった | 10日以内に、再交付を受けた都道府県知事へ提出 | 政令第35条第3項 |
再交付手数料:1,900円。最終確認日:2026-10-04。出典:消防試験研究センター 再交付。
本人確認のため運転免許証などの写しを求められる場合があります。免状をなくした状態で別の類に合格した場合は、先に再交付を受けてから新しい免状の交付を申請します(よくある質問 Q15)。
なお、別の類を受験して科目免除を受けるには、申請時に既得免状の免状番号が必要です。書換えや再交付の申請で免状が手元を離れる前に、免状のコピーなどで番号を控えておくと安心です(試験のよくある質問 Q13)。
免状が不要になったとき・本人が亡くなったとき
免状が必要なくなったときは、危険物取扱者免状自主返納申請書に免状を添えて、交付を受けた知事に自主返納できます。免状を紛失している場合は添える必要がありません(免状のよくある質問 Q20)。免状を取得していた方が亡くなったときは、関係者が免状返納届出書で届け出ます(Q22)。いずれも手続きの詳細は、届出先の都道府県の消防主管課か、センターの支部にご確認ください。
保安講習はいつ受けるか
製造所等で危険物の取扱作業に従事する危険物取扱者は、都道府県知事(総務大臣が指定する市町村長その他の機関を含む)が行う保安講習を受けなければなりません(消防法第13条の23)。免状を持っているだけで取扱作業に従事していない人は対象ではありません。
受講の時期は規則第58条の14が定めています。
| 状況 | 受講期限 |
|---|---|
| 取扱作業に従事することになった | 従事することになった日から1年以内 |
| 従事する日の前2年以内に免状の交付を受けた、または講習を受けた | その交付日(受講日)以後の最初の4月1日から3年以内 |
| 講習を受けた後も従事を続ける | 受講日以後の最初の4月1日から3年以内。以後も同じ |
具体例(当サイトの作例)で確かめます。
- ① 2026年7月に免状の交付を受け、同年10月にガソリンスタンドで働き始めた → 従事の前2年以内に交付を受けているので、交付日以後の最初の4月1日=2027年4月1日から3年以内に受講
- ② 2022年5月に免状の交付を受け、2026年10月に初めて取扱作業に従事した → 交付から2年を超えているので、従事した日から1年以内に受講
- ③ ②の人が2027年6月に受講した → 次は2028年4月1日から3年以内
確かめ方:①は「従事の前2年以内」に当たるかを先に見て、当たれば4月1日起算、当たらなければ従事日から1年、と2段階で判定すると取り違えません。
保安講習は、都道府県知事(総務大臣が指定する市町村長その他の機関を含む)が行う講習で(消防法第13条の23)、日程・申込先・受講料は実施主体ごとに分かれます。例として、総務大臣の指定を受けた指定講習機関の一つはオンラインで保安講習を行い、対面の講習を希望する場合は都道府県ごとの危険物安全協会連合会に確認するよう案内しています(全国危険物安全協会 オンライン保安講習、2026-10-09 時点)。受講しないと直ちに免状が失効するわけではありませんが、法令に違反している危険物取扱者には、免状を交付した都道府県知事が返納を命ずることができます(消防法第13条の2第5項)。受講の対象・数え方・受講料の見方を掘り下げた記事は危険物の保安講習とはです。
危険物乙4の資格は一生有効?
免状に更新制度はなく、有効期限はありません。注意したいのは次の2点です。
- 写真の書換え(10年ごと)は免状の更新ではありませんが、法令上の義務です(規則第51条第2項)
- 免状は日本国内で有効で、交付を受けた都道府県の外でも使えます(センターのよくある質問 Q18)
法令に違反したときの返納命令(消防法第13条の2第5項)を除けば、一度交付された免状はそのまま使えます。乙4で何ができるか、仕事でどう求められるかは乙4は食いっぱぐれないか、他の類や甲種へ進む場合は甲種と乙種の違いで扱っています。
まとめ
- 合格したら、受験した都道府県へ免状の交付申請(自動では届かない)
- 写真は10年ごとに書換え。期限を過ぎても失効はしないが義務
- 氏名・本籍(他県へ)・生年月日の変更は遅滞なく書換え。住所変更は不要
- なくしたら交付または書換えをした都道府県へ再交付。見つかったら10日以内に提出
- 製造所等で取り扱う仕事に就いたら、原則1年以内に保安講習、その後は4月1日から3年以内ごと
※ 本記事は現行の消防法令と消防試験研究センターの案内に基づくオリジナル解説です。手数料の納付方法や窓口での受け取りの可否は都道府県(センター支部)ごとに異なるため、申請前に申請先の支部の案内をご確認ください。
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よくある質問
Q合格してから免状の交付申請をしないまま時間がたつと、合格は取り消されますか?
消防試験研究センターは、申請期間を過ぎても合格が取り消されることはないと案内しています。ただし交付までに日数が長くかかることがあり、試験日から6か月以上たって申請する場合は新しい写真が1枚必要です。
Q危険物取扱者免状に有効期限はありますか?
免状そのものに更新の期限はありません。ただし免状の写真は過去10年以内に撮影したものでなければならず(危険物の規制に関する規則第51条第2項)、10年ごとに写真の書換えが必要です。センターは、期限を過ぎても免状は失効しないが速やかに書換えをするよう案内しています。
Q引っ越して住所が変わりました。書換えは必要ですか?
住所は免状の記載事項に含まれていないため(危険物の規制に関する政令第33条)、住所が変わっただけなら書換えの対象ではありません。書換えが必要なのは氏名・本籍(他の都道府県へ移した場合)・生年月日の変更と、写真の書換えです。
Q別の都道府県で交付された免状は、今住んでいる県でも使えますか?
使えます。センターは、免状は日本国内で有効と案内しています。写真や氏名の書換えも、免状を交付した都道府県のほか、居住地・勤務地の都道府県に申請できます(危険物の規制に関する政令第34条)。
Q保安講習を受けないと免状は失効しますか?
自動的に失効するわけではありません。ただし受講は消防法第13条の23の義務で、法令に違反している危険物取扱者に対しては、免状を交付した都道府県知事が返納を命ずることができます(消防法第13条の2第5項)。
Q危険物乙4の「免許」と「免状」は同じものですか?
同じものを指しています。法令上の名称は「危険物取扱者免状」で、免状の種類は甲種・乙種・丙種です(消防法第13条の2第1項)。乙4は乙種第4類の免状のことで、「免許」「免許証」は通称です。
Q合格通知書兼免状交付申請書をなくしました。免状は交付してもらえますか?
消防試験研究センターは、免状の交付は可能と案内しています。受験した都道府県の支部(東京は中央試験センター)に、合格通知書兼免状交付申請書の再発行を依頼します。二連の用紙を切り離してしまった場合も申請でき、透明なテープなどでつなぎ合わせて申請します。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月9日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。
