社会福祉士

社会福祉法とは?目的・社会福祉事業の範囲・地域福祉の条文社会福祉士で押さえる点

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

社会福祉法の目的(第1条)、福祉サービスの基本的理念と地域福祉の推進(第3条・第4条)、第一種・第二種社会福祉事業(第2条)、社会福祉法人、包括的な支援体制(第106条の3以降)を、e-Gov 法令検索の条文で整理します。社会福祉士国家試験の出題基準での位置づけも紹介します。

目次
  1. 社会福祉法とは:13章の構成
  2. 第1条〜第6条:理念と、国・地方公共団体・事業者の役割
  3. 社会福祉事業とは:第2条の列挙
  4. 第一種と第二種の違い:経営主体と、開始のときの手続
  5. 社会福祉法人:第22条〜第27条
  6. 地域福祉の推進と、包括的な支援体制
  7. 試験での位置づけ:センターの出題基準
  8. 間違えやすいポイントと、当サイトの作例
  9. まとめ
結論:社会福祉法は、社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項を定める法律です(第1条)。福祉サービスの基本的理念(第3条)、地域福祉の推進(第4条)、社会福祉事業の範囲(第2条)、社会福祉法人(第22条以下)、地域生活課題の解決に資する包括的な支援体制(第106条の3以降)などが書かれています。社会福祉事業は第一種と第二種に分かれ、第2条が事業を号ごとに列挙しています。社会福祉士国家試験では、これらの条文の言葉を、制度の名前と結びつけて整理することがポイントです。

この記事は、e-Gov 法令検索の社会福祉法(2026年10月9日時点の現行の版。令和8年6月25日施行)と、社会福祉振興・試験センター(以下「センター」)の社会福祉士国家試験 出題基準のページをもとに書いています。社会福祉主事の要件は社会福祉士と社会福祉主事の違いで扱っているので、この記事では扱いません。

社会福祉法とは:13章の構成

社会福祉法は、昭和26年法律第45号です。第1条は、この法律の目的を、社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項を定め、社会福祉を目的とする他の法律と相まって、福祉サービスの利用者の利益の保護及び地域における社会福祉(地域福祉)の推進を図るとともに、社会福祉事業の公明かつ適正な実施の確保及び社会福祉を目的とする事業の健全な発達を図り、もって社会福祉の増進に資することと書いています。

章章名
第1章総則
第2章地方社会福祉審議会
第3章福祉に関する事務所
第4章社会福祉主事
第5章指導監督及び訓練
第6章社会福祉法人
第7章社会福祉事業
第8章福祉サービスの適切な利用
第9章社会福祉事業等に従事する者の確保の促進
第10章地域福祉の推進
第11章社会福祉連携推進法人
第12章雑則
第13章罰則

この記事で条文を引くのは、第1章の第1条〜第6条、第6章の第22条〜第27条、第7章の第60条・第62条・第67条・第69条、第10章第1節の第106条の2〜第106条の5です。他の条は、e-Gov で条文を確認してください。

第1条〜第6条:理念と、国・地方公共団体・事業者の役割

条見出し書かれていること(要点)
第1条目的上のとおり
第2条定義社会福祉事業は、第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業をいう(第1項)。次の章で整理
第3条福祉サービスの基本的理念福祉サービスは、個人の尊厳の保持を旨とし、その内容は、利用者が心身ともに健やかに育成され、又はその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するものとして、良質かつ適切なものでなければならない
第4条第1項地域福祉の推進地域福祉の推進は、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現を目指して行われなければならない
第4条第2項同上地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者(地域住民等)は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されるように、地域福祉の推進に努めなければならない
第4条第3項同上地域住民等は、地域福祉の推進に当たっては、福祉サービスを必要とする地域住民及びその世帯が抱える課題(地域生活課題)を把握し、支援関係機関との連携等によりその解決を図るよう特に留意するものとする
第5条第1項福祉サービスの提供の原則社会福祉を目的とする事業を経営する者は、その提供する多様な福祉サービスについて、地域福祉の推進に係る取組を行う他の地域住民等との連携を図り、かつ、保健医療サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図るよう創意工夫を行いつつ、これを総合的に提供することができるようにその事業の実施に努めなければならない
第5条第2項同上社会福祉を目的とする事業を経営する者は、福祉サービスの提供に当たっては、利用者の意思決定の支援に配慮しつつ、その意向を十分に尊重するよう努めなければならない
第6条第1項国及び地方公共団体の責務国及び地方公共団体は、社会福祉を目的とする事業を経営する者と協力して、事業の広範かつ計画的な実施が図られるよう、福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策、福祉サービスの適切な利用の推進に関する施策その他の必要な各般の措置を講じなければならない
第6条第2項同上国及び地方公共団体は、地域福祉の推進に係る取組を行う地域住民等との密接な連携の下に、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備その他地域福祉の推進のために必要な各般の措置を講ずるよう努めるとともに、当該措置の推進に当たっては、保健医療、労働、教育、住まい、地域再生及び防災に関する施策、消費者の利益の擁護及び増進に関する施策その他の関連施策との連携に配慮するよう努めなければならない
第6条第3項同上国及び都道府県は、市町村において重層的支援体制整備事業その他地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備が適正かつ円滑に行われるよう、必要な助言、情報の提供その他の援助を行わなければならない
第6条第4項同上都道府県は、地域生活課題を抱える地域住民に対する支援を自ら行う場合には、前項の整備を行う市町村との密接な連携の下に行うものとする

「地域生活課題」は、第4条第3項の括弧書きで定義されています。福祉、介護、介護予防、保健医療、住まい、就労及び教育に関する課題、福祉サービスを必要とする地域住民の地域社会からの孤立その他の、福祉サービスを必要とする地域住民が日常生活を営み、あらゆる分野の活動に参加する機会が確保される上での各般の課題をいいます。

「措置を講じなければならない」(第6条第1項)と「講ずるよう努める」「配慮するよう努めなければならない」(第6条第2項)は、義務と努力義務の違いです。語尾を区別して読みます。

社会福祉事業とは:第2条の列挙

第2条は、社会福祉事業を、第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業に分け、事業を号ごとに列挙しています(第1項)。次の2つの表は、第2条第2項(第一種)と第3項(第二種)の条文です。

第一種社会福祉事業(第2条第2項)

第2項は、次に掲げる事業を第一種社会福祉事業とすると定めています。七つの号のうち、第五号は削除されているので、現行は6つの号です。

号事業(条文)
第一号生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)に規定する救護施設、更生施設その他生計困難者を無料又は低額な料金で入所させて生活の扶助を行うことを目的とする施設を経営する事業及び生計困難者に対して助葬を行う事業
第二号児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)に規定する乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設又は児童自立支援施設を経営する事業
第三号老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)に規定する養護老人ホーム、特別養護老人ホーム又は軽費老人ホームを経営する事業
第四号障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)に規定する障害者支援施設を経営する事業
第五号削除
第六号困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(令和四年法律第五十二号)に規定する女性自立支援施設を経営する事業
第七号授産施設を経営する事業及び生計困難者に対して無利子又は低利で資金を融通する事業

第二種社会福祉事業(第2条第3項)

第3項は、次に掲げる事業を第二種社会福祉事業とすると定めています。第七号は削除されているので、現行は16の号です(一の二、二の二、二の三、四の二の号を含む)。

号事業(条文)
第一号生計困難者に対して、その住居で衣食その他日常の生活必需品若しくはこれに要する金銭を与え、又は生活に関する相談に応ずる事業
第一号の二生活困窮者自立支援法(平成二十五年法律第百五号)に規定する認定生活困窮者就労訓練事業
第二号児童福祉法に規定する障害児通所支援事業、障害児相談支援事業、児童自立生活援助事業、放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業、地域子育て支援拠点事業、一時預かり事業、小規模住居型児童養育事業、小規模保育事業、病児保育事業、子育て援助活動支援事業、親子再統合支援事業、社会的養護自立支援拠点事業、意見表明等支援事業、妊産婦等生活援助事業、子育て世帯訪問支援事業、児童育成支援拠点事業、親子関係形成支援事業又は乳児等通園支援事業、同法に規定する助産施設、保育所、児童厚生施設、児童家庭支援センター又は里親支援センターを経営する事業及び児童の福祉の増進について相談に応ずる事業
第二号の二就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)に規定する幼保連携型認定こども園を経営する事業
第二号の三民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律(平成二十八年法律第百十号)に規定する養子縁組あつせん事業
第三号母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)に規定する母子家庭日常生活支援事業、父子家庭日常生活支援事業又は寡婦日常生活支援事業及び同法に規定する母子・父子福祉施設を経営する事業
第四号老人福祉法に規定する老人居宅介護等事業、老人デイサービス事業、老人短期入所事業、小規模多機能型居宅介護事業、認知症対応型老人共同生活援助事業又は複合型サービス福祉事業及び同法に規定する老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、老人福祉センター又は老人介護支援センターを経営する事業
第四号の二障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害福祉サービス事業、一般相談支援事業、特定相談支援事業又は移動支援事業及び同法に規定する地域活動支援センター又は福祉ホームを経営する事業
第五号身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)に規定する身体障害者生活訓練等事業、手話通訳事業又は介助犬訓練事業若しくは聴導犬訓練事業、同法に規定する身体障害者福祉センター、補装具製作施設、盲導犬訓練施設又は視聴覚障害者情報提供施設を経営する事業及び身体障害者の更生相談に応ずる事業
第六号知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)に規定する知的障害者の更生相談に応ずる事業
第七号削除
第八号生計困難者のために、無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業
第九号生計困難者のために、無料又は低額な料金で診療を行う事業
第十号生計困難者に対して、無料又は低額な費用で介護保険法(平成九年法律第百二十三号)に規定する介護老人保健施設又は介護医療院を利用させる事業
第十一号隣保事業(隣保館等の施設を設け、無料又は低額な料金でこれを利用させることその他その近隣地域における住民の生活の改善及び向上を図るための各種の事業を行うものをいう。)
第十二号福祉サービス利用援助事業(精神上の理由により日常生活を営むのに支障がある者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービス(前項各号及び前各号の事業において提供されるものに限る。以下この号において同じ。)の利用に関し相談に応じ、及び助言を行い、並びに福祉サービスの提供を受けるために必要な手続又は福祉サービスの利用に要する費用の支払に関する便宜を供与することその他の福祉サービスの適切な利用のための一連の援助を一体的に行う事業をいう。)
第十三号前項各号及び前各号の事業に関する連絡又は助成を行う事業

社会福祉事業に含まれないもの(第2条第4項)

第4項は、この法律における「社会福祉事業」には、次に掲げる事業は含まれないものとすると定めています。

号含まれない事業(条文)
第一号更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)に規定する更生保護事業(以下「更生保護事業」という。)
第二号実施期間が六月(前項第十三号に掲げる事業にあつては、三月)を超えない事業
第三号社団又は組合の行う事業であつて、社員又は組合員のためにするもの
第四号第二項各号及び前項第一号から第九号までに掲げる事業であつて、常時保護を受ける者が、入所させて保護を行うものにあつては五人、その他のものにあつては二十人(政令で定めるものにあつては、十人)に満たないもの
第五号前項第十三号に掲げる事業のうち、社会福祉事業の助成を行うものであつて、助成の金額が毎年度五百万円に満たないもの又は助成を受ける社会福祉事業の数が毎年度五十に満たないもの

第一種と第二種の違い:経営主体と、開始のときの手続

第7章の条文から、第一種と第二種の違いを整理します。第60条は、第一種についてだけ書かれています。

項目第一種社会福祉事業第二種社会福祉事業
経営主体(第60条)国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則とする第60条には、第二種の経営主体についての記載がありません(2026-10-09 時点)
施設を設置して経営するとき(第62条)市町村又は社会福祉法人は、事業の開始前に、その施設を設置しようとする地の都道府県知事に届け出る(第1項)。国、都道府県、市町村及び社会福祉法人以外の者は、事業の開始前に、都道府県知事の許可を受ける(第2項)—(この記事では扱わない)
施設を必要としない事業を開始するとき(第67条)市町村又は社会福祉法人は、事業開始の日から一月以内に、事業経営地の都道府県知事に届け出る(第1項)。国、都道府県、市町村及び社会福祉法人以外の者は、事業の開始前に、都道府県知事の許可を受ける(第2項)—(この記事では扱わない)
住居の用に供するための施設を必要としない第二種を開始したとき(第69条)—国及び都道府県以外の者は、事業開始の日から一月以内に、事業経営地の都道府県知事に届け出る(第1項)

この表は、第62条・第67条・第69条の主な定めです。許可の審査基準(第62条第4項など)や、変更・廃止の手続(第63条・第68条・第69条第2項など)は、e-Gov で条文を確認してください。

社会福祉法人:第22条〜第27条

第6章の第1節(通則)が、社会福祉法人の基本を定めています。

条見出し書かれていること
第22条定義社会福祉法人とは、社会福祉事業を行うことを目的として、この法律の定めるところにより設立された法人をいう
第23条名称社会福祉法人以外の者は、その名称中に、「社会福祉法人」又はこれに紛らわしい文字を用いてはならない
第24条第1項経営の原則等社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため、自主的にその経営基盤の強化を図るとともに、その提供する福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性の確保を図らなければならない
第24条第2項同上社会福祉法人は、社会福祉事業及び第26条第1項に規定する公益事業を行うに当たっては、日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならない
第25条要件社会福祉法人は、社会福祉事業を行うに必要な資産を備えなければならない
第26条第1項公益事業及び収益事業社会福祉法人は、その経営する社会福祉事業に支障がない限り、公益を目的とする事業(公益事業)又はその収益を社会福祉事業若しくは公益事業(第2条第4項第4号に掲げる事業その他の政令で定めるものに限る)の経営に充てることを目的とする事業(収益事業)を行うことができる
第26条第2項同上公益事業又は収益事業に関する会計は、それぞれ当該社会福祉法人の行う社会福祉事業に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない
第27条特別の利益供与の禁止社会福祉法人は、その事業を行うに当たり、その評議員、理事、監事、職員その他の政令で定める社会福祉法人の関係者に対し特別の利益を与えてはならない

第24条第1項の「ならない」と、同条第2項の「努めなければならない」は、語尾が違います。第26条第1項は「行うことができる」で、条件は「その経営する社会福祉事業に支障がない限り」です。

地域福祉の推進と、包括的な支援体制

第10章(地域福祉の推進)の第1節が、包括的な支援体制の整備を定めています。第4条・第6条と合わせて、「誰が」「何をするか」を、語尾とともに整理します。

条主語内容語尾
第4条第2項地域住民等相互に協力し、地域福祉の推進に努める努めなければならない
第4条第3項地域住民等地域生活課題を把握し、支援関係機関との連携等によりその解決を図るよう特に留意する留意するものとする
第6条第1項国及び地方公共団体福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策等の措置を講ずる講じなければならない
第6条第2項国及び地方公共団体地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備等の措置を講ずる講ずるよう努める
第106条の2社会福祉を目的とする事業を経営する者のうち、第1号〜第4号の事業を行うもの(市町村の委託を受けてこれらの事業を行う者を含む)事業を行うに当たり、自らがその解決に資する支援を行うことが困難な地域生活課題を把握したときは、支援関係機関による支援の必要性を検討するよう努めるとともに、必要があると認めるときは、支援関係機関に支援を求めるよう努める努めなければならない
第106条の3第1項市町村第1号〜第3号の施策の積極的な実施その他の措置を通じ、地域福祉の推進のための相互の協力が円滑に行われ、支援が包括的に提供される体制を整備する整備するよう努めるものとする
第106条の3第2項厚生労働大臣適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表する公表するものとする
第106条の4第1項市町村包括的な支援体制を整備するため、厚生労働省令で定めるところにより、重層的支援体制整備事業を行う行うことができる
第106条の5第1項市町村重層的支援体制整備事業を実施するときは、重層的支援体制整備事業実施計画を策定する策定するよう努めるものとする

第106条の3第1項の3つの施策は、次のとおりです。

1. 地域福祉に関する活動への地域住民の参加を促す活動を行う者に対する支援、地域住民等が相互に交流を図ることができる拠点の整備、地域住民等に対する研修の実施その他の、地域住民等が地域福祉を推進するために必要な環境の整備に関する施策(第1号)

2. 地域住民等が自ら他の地域住民が抱える地域生活課題に関する相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行い、必要に応じて、支援関係機関に対し、協力を求めることができる体制の整備に関する施策(第2号)

3. 生活困窮者自立支援法第3条第2項に規定する生活困窮者自立相談支援事業を行う者その他の支援関係機関が、地域生活課題を解決するために、相互の有機的な連携の下、その解決に資する支援を一体的かつ計画的に行う体制の整備に関する施策(第3号)

第106条の4第2項は、「重層的支援体制整備事業」を、次に掲げるこの法律に基づく事業及び他の法律に基づく事業を一体のものとして実施することにより、地域生活課題を抱える地域住民及びその世帯に対する支援体制並びに地域住民等による地域福祉の推進のために必要な環境を一体的かつ重層的に整備する事業と定義し、次の6つの号の事業を挙げています。表は条文のとおりです(第一号・第三号のイ〜ニは、括弧内にまとめて載せています)。

号事業(条文)
第一号地域生活課題を抱える地域住民及びその家族その他の関係者からの相談に包括的に応じ、利用可能な福祉サービスに関する情報の提供及び助言、支援関係機関との連絡調整並びに高齢者、障害者等に対する虐待の防止及びその早期発見のための援助その他厚生労働省令で定める便宜の提供を行うため、次に掲げる全ての事業を一体的に行う事業(イ 介護保険法第百十五条の四十五第二項第一号から第三号までに掲げる事業、ロ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第七十七条第一項第三号に掲げる事業、ハ 子ども・子育て支援法第五十九条第一号に掲げる事業、ニ 生活困窮者自立支援法第三条第二項各号に掲げる事業)
第二号地域生活課題を抱える地域住民であつて、社会生活を円滑に営む上での困難を有するものに対し、支援関係機関と民間団体との連携による支援体制の下、活動の機会の提供、訪問による必要な情報の提供及び助言、現在の住居において日常生活を営むのに必要な援助その他の社会参加のために必要な便宜の提供として厚生労働省令で定めるものを行う事業
第三号地域住民が地域において自立した日常生活を営み、地域社会に参加する機会を確保するための支援並びに地域生活課題の発生の防止又は解決に係る体制の整備及び地域住民相互の交流を行う拠点の開設その他厚生労働省令で定める援助を行うため、次に掲げる全ての事業を一体的に行う事業(イ 介護保険法第百十五条の四十五第一項第二号に掲げる事業のうち厚生労働大臣が定めるもの、ロ 介護保険法第百十五条の四十五第二項第五号に掲げる事業、ハ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第七十七条第一項第九号に掲げる事業、ニ 子ども・子育て支援法第五十九条第九号に掲げる事業)
第四号地域社会からの孤立が長期にわたる者その他の継続的な支援を必要とする地域住民及びその世帯に対し、訪問により状況を把握した上で相談に応じ、利用可能な福祉サービスに関する情報の提供及び助言その他の厚生労働省令で定める便宜の提供を包括的かつ継続的に行う事業
第五号複数の支援関係機関相互間の連携による支援を必要とする地域住民及びその世帯に対し、複数の支援関係機関が、当該地域住民及びその世帯が抱える地域生活課題を解決するために、相互の有機的な連携の下、その解決に資する支援を一体的かつ計画的に行う体制を整備する事業
第六号前号に掲げる事業による支援が必要であると市町村が認める地域住民に対し、当該地域住民に対する支援の種類及び内容その他の厚生労働省令で定める事項を記載した計画の作成その他の包括的かつ計画的な支援として厚生労働省令で定めるものを行う事業

第106条の4には、ほかに次の定めがあります。

  • 第3項:市町村は、重層的支援体制整備事業を実施するに当たっては、こども家庭センター、地域包括支援センター、基幹相談支援センター、生活困窮者自立支援法第3条第2項各号に掲げる事業を行う者その他の支援関係機関相互間の緊密な連携が図られるよう努めるものとする
  • 第4項:市町村は、重層的支援体制整備事業を実施するに当たっては、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律に規定する支援協議会その他の居住の支援に関する機関と緊密に連携しつつ、地域生活課題を抱える地域住民の居住の安定の確保のために必要な支援を行うよう努めるものとする
  • 第5項:市町村は、第2項各号の事業の一体的な実施が確保されるよう必要な措置を講じた上で、重層的支援体制整備事業の事務の全部又は一部を、当該市町村以外の厚生労働省令で定める者に委託することができる
  • 第6項:委託を受けた者などの秘密保持

生活困窮者自立支援法については、社会福祉士の生活困窮者自立支援法の記事で扱っています。

社会福祉法の改正の状況:現行の版は令和8年6月25日施行(令和8年法律第51号による改正)。第5条と第6条(第3項を除く)の改正は、この法律の附則第1条第1号で、公布の日(令和8年6月25日)の施行とされており、この記事の第5条・第6条は、その改正後の条文。e-Gov には、同じ改正法による次の版が登録されている。(1) 令和9年(2027年)4月1日施行の版:第6条第3項、第106条の2〜第106条の5などが変わる(第106条の3第1項の各号の施策の書き方も変わる)。(2) 附則第1条第3号の「公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日」に施行される版(e-Gov では令和10年(2028年)6月24日の版として登録):第2条第3項第12号の福祉サービス利用援助事業の規定が変わる。(3) 附則第1条第4号の「公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日」に施行される版(e-Gov では令和11年(2029年)6月24日の版として登録):この記事で引いた条文は、(2)の版から変わらない。(2)と(3)の施行日は、2026-10-09 時点の e-Gov の登録では確定していない。最終確認日:2026-10-09。出典:e-Gov法令検索 社会福祉法(改正履歴)。
第39回社会福祉士国家試験の試験日:令和9年(2027年)2月7日(日曜日)。最終確認日:2026-10-09。出典:社会福祉振興・試験センター 第39回社会福祉士国家試験。

試験日は、令和9年4月1日施行の版より前です。センターの第39回社会福祉士国家試験の案内ページ、よくある質問、出題基準のページには、出題の基準とする法令の時点(「○年○月○日現在で施行されている法令」など)の記載がありません(2026-10-09 時点)。出題基準には、出題基準公表後の法改正による制度の重大な変更等、出題基準にない事項であっても、社会福祉士として習得すべき事項については出題することができる、と書かれています。この記事の条文は、2026年10月9日時点の現行の版です。

試験での位置づけ:センターの出題基準

センターは、出題基準を、標準的な出題範囲の例示であって、出題範囲を厳密に限定するものではなく、法律、政省令等に規定されている事項などからも出題される、と説明しています。大項目は中項目を束ねる見出し、中項目が出題内容、小項目は例示です。

この記事の条文に近い、出題基準の項目は次のとおりです(科目別出題基準のPDF)。

科目大項目 → 中項目小項目(例示)から
福祉サービスの組織と経営1 福祉サービスに係る組織や団体の概要と役割 → 1)福祉サービスを提供する組織社会福祉法人、NPO法人、一般社団法人、株式会社 などを含む例示
福祉サービスの組織と経営同上 → 2)福祉サービスの沿革と概況社会福祉基礎構造改革、社会福祉法人制度改革 などを含む例示
福祉サービスの組織と経営3 福祉サービス提供組織の経営と実際 → 1)経営体制理事会、評議員会等の役割 などを含む例示
地域福祉と包括的支援体制5 地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制 → 4)地域共生社会の実現に向けた各種施策多機関協働による包括的支援体制、住民に身近な圏域における相談支援体制、重層的支援体制整備事業
地域福祉と包括的支援体制8 地域福祉と包括的支援体制の課題と展望 → 1)地域福祉ガバナンス社会福祉法における包括的な支援体制づくり などを含む例示
地域福祉と包括的支援体制8 地域福祉と包括的支援体制の課題と展望 → 2)地域共生社会の構築地域共生社会、地域力の強化、包括的支援体制 など

科目全体の構成は、社会福祉士の試験科目19科目で整理しています。社会福祉士及び介護福祉士法の側は、社会福祉士及び介護福祉士法とはです。

間違えやすいポイントと、当サイトの作例

取り違えやすい点条文での区別
第一種と第二種第2条第2項(第一種)と第3項(第二種)で、事業の名前が別に列挙されている。経営主体の原則(第60条)は第一種のみ
義務と努力義務「講じなければならない」(第6条第1項)と「講ずるよう努める」(第6条第2項)。第106条の3第1項は「整備するよう努めるものとする」、第106条の4第1項は「行うことができる」
社会福祉事業の範囲第2条第4項の5つの号に当たる事業は、この法律の社会福祉事業に含まれない。第4号と第2号・第5号は、数字などの条件つき
社会福祉法人の事業社会福祉事業を行うことが目的(第22条)。公益事業・収益事業は、社会福祉事業に支障がない限り行うことができる(第26条第1項)

以下は、当サイトが条文をもとに作った例(作例)です。

1. 児童福祉法に規定する保育所を経営する事業は、第2条第3項第2号に挙げられており、第二種社会福祉事業です。特別養護老人ホームを経営する事業は、第2条第2項第3号に挙げられており、第一種社会福祉事業です

2. 国、都道府県、市町村及び社会福祉法人以外の者が、施設を設置して第一種社会福祉事業を経営しようとするときは、事業の開始前に、施設を設置しようとする地の都道府県知事の許可を受けます(第62条第2項)

3. 市町村が、重層的支援体制整備事業を行うかどうかは、第106条の4第1項が「行うことができる」と書いているので、行うことが義務とは書かれていません。体制の整備そのものは、第106条の3第1項が「整備するよう努めるものとする」と書いています

まとめ

  • 社会福祉法は、社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項を定める法律(第1条)。13章で構成される
  • 福祉サービスは、個人の尊厳の保持を旨とし、良質かつ適切なものでなければならない(第3条)。地域福祉の推進は、地域住民が参加し、共生する地域社会の実現を目指して行われなければならない(第4条第1項)
  • 社会福祉事業は、第2条第2項(第一種、現行6つの号)と第3項(第二種、現行16の号)に列挙されている。第4項の5つの号に当たる事業は含まれない。第一種の経営主体は、国、地方公共団体又は社会福祉法人が原則(第60条)
  • 社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的として設立された法人(第22条)。社会福祉事業に支障がない限り、公益事業又は収益事業を行うことができる(第26条第1項)
  • 包括的な支援体制の整備は、市町村が「整備するよう努めるものとする」(第106条の3第1項)。重層的支援体制整備事業は「行うことができる」(第106条の4第1項)
  • 社会福祉法(現行条文)に「地域共生社会」の語はない。試験の出題基準には「地域共生社会」の項目があり、条文では第4条第1項や第106条の3以降を読む
本サイトはセンター・厚生労働省・各自治体とは関係のない民間のサイトです。条文の引用・要約は e-Gov 法令検索の現行条文(2026年10月9日確認)にもとづきます。

よくある質問

Q「地域共生社会」という言葉は、社会福祉法に書かれていますか。

社会福祉法(e-Gov 現行条文)には、「地域共生社会」という語の記載がありません(2026-10-09 時点)。第4条第1項に、地域福祉の推進は、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現を目指して行われなければならないと書かれています。センターの社会福祉士国家試験の出題基準には、「地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制」などの項目があります。

Q第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業は、どこで区別されますか。

第2条第2項が第一種社会福祉事業を、第3項が第二種社会福祉事業を、それぞれ号に分けて列挙しています。第2条第2項の第一種は、第五号が削除されており、現行では6つの号です。第3項の第二種は、第七号が削除されており、現行では16の号です。経営主体は、第60条が、第一種社会福祉事業は国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則と書いています。

Q社会福祉法人は、社会福祉事業以外の事業も行えますか。

第26条第1項は、社会福祉法人は、その経営する社会福祉事業に支障がない限り、公益を目的とする事業(公益事業)又はその収益を社会福祉事業若しくは公益事業(第2条第4項第4号に掲げる事業その他の政令で定めるものに限る)の経営に充てることを目的とする事業(収益事業)を行うことができると定めています。「政令で定めるものに限る」の括弧書きは、収益を充てる先の「公益事業」に付いています。第26条第2項は、公益事業又は収益事業に関する会計を、社会福祉事業に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならないと定めています。

Q社会福祉法の「社会福祉事業」に含まれない事業はありますか。

第2条第4項が、この法律における社会福祉事業に含まれない事業を、5つの号で定めています。更生保護事業法に規定する更生保護事業(第1号)、実施期間が六月(第3項第13号の事業は三月)を超えない事業(第2号)、社団又は組合の行う事業であって社員又は組合員のためにするもの(第3号)、第2項各号及び第3項第1号から第9号までの事業であって、常時保護を受ける者が、入所させて保護を行うものは五人、その他のものは二十人(政令で定めるものは十人)に満たないもの(第4号)、第3項第13号の事業のうち社会福祉事業の助成を行うものであって、助成の金額が毎年度五百万円に満たないもの又は助成を受ける社会福祉事業の数が毎年度五十に満たないもの(第5号)、の5つです。

この資格の問題を解く社会福祉士 過去問(第36〜38回・全408問)
解いてみる

法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月10日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

合格ナビ 編集長・運営者

社会福祉士の出題範囲・法令・公式の統計を参照して書いています。プロフィール・編集方針