管理監督者は労働基準法41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」で、労働時間・休憩・休日の規定が適用されませんが、肩書ではなく実態で判断されます。深夜割増賃金と年次有給休暇は別扱い。割増賃金の率(37条・割増賃金令・労基則20条)、基礎賃金(労基則19条・21条)、月60時間超と代替休暇、計算例を整理します。
目次
結論:管理監督者とは、労働基準法41条2号の「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」のことです。41条は、この章(第四章)で定める「労働時間、休憩及び休日に関する規定」を、該当する労働者には適用しないと定めています。厚生労働省のパンフレットは、該当するかどうかは役職名ではなく、職務内容・責任と権限・勤務態様・待遇などの実態で判断すると説明し、管理職の肩書があっても該当しなければ時間外割増賃金や休日割増賃金の支払が必要になること、管理監督者であっても深夜業の割増賃金と年次有給休暇の特例はないことを示しています。割増賃金の率は、時間外(33条または36条1項により延長した労働時間)が2割5分以上、休日(同じく33条または36条1項により労働させた休日)が3割5分以上(割増賃金令)、延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えたときのその超えた時間が5割以上(37条1項ただし書)、午後10時から午前5時までの労働が2割5分以上(37条4項)です。
「管理監督者」「割増賃金」は、働く人も、社労士試験を受ける人も検索する言葉です。この記事は、労働基準法・労働基準法施行規則・割増賃金令(e-Gov 法令検索)の条文と、厚生労働省のパンフレットだけをもとに、制度の意味、管理監督者に当たるかどうかの見方、割増賃金の率と計算の仕組みを整理します。個別の会社や個人の事情に当てはめた助言はしていません(相談先は、記事末尾の「相談先と、法令基準日」に載せています)。変形労働時間制の細かい要件は変形労働時間制の記事、フレックスタイム制はフレックスタイム制の記事、裁量労働制は裁量労働制の記事、年次有給休暇は年次有給休暇の記事で扱っています。
管理監督者とは:41条の文言と、適用されないもの
労働基準法41条1項は、次のように定めています。
「この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。」
各号は次の3つです。
| 号 | 条文の言葉 | 備考 |
|---|---|---|
| 1号 | 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者 | 別表第一の第六号は「土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業」、第七号は「動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業」 |
| 2号 | 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者 | 厚生労働省のパンフレットは「労働基準法第41条第2号に規定する「管理監督者」」と書いています。この記事では、2号のうち「監督若しくは管理の地位にある者」を扱います(「機密の事務を取り扱う者」は「又は」で並ぶ別の者です) |
| 3号 | 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの | 許可を受けたことが要件 |
条文にある「この章」は、第四章「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇」です。つまり41条が適用しないと書いているのは、第四章のうち「労働時間、休憩及び休日に関する規定」と、第六章(年少者)・第六章の二(妊産婦等)の同じ種類の規定です。深夜業や年次有給休暇については、41条は何も書いていません。この点は、厚生労働省のパンフレットも説明しています(後の節で扱います)。
41条1項2号は、該当する労働者の範囲を「監督若しくは管理の地位にある者」という文言で示すだけです。労働基準法41条には、委員会の決議や届出の記載がありません(2026-10-09 時点)。なお、3号は「使用者が行政官庁の許可を受けたもの」に限られます。手続を要件とする41条の2(高度プロフェッショナル制度)との違いは、後の「似た制度との違い」の表で比べます。
該当するかは実態で決まる:厚生労働省パンフレットの見方
厚生労働省のパンフレット「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」(厚生労働省 管理監督者の範囲の適正化のページからPDFを見られます)は、まず次のように説明しています。
- 「管理監督者」は労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限を受けない
- 「管理監督者」に当てはまるかどうかは、役職名ではなく、その職務内容、責任と権限、勤務態様等の実態によって判断する
- 企業内で管理職とされていても、判断基準に基づき総合的に判断した結果、労働基準法上の「管理監督者」に該当しない場合には、労働基準法で定める労働時間等の規制を受け、時間外割増賃金や休日割増賃金の支払が必要になる
判断基準として、パンフレットは次の4つを挙げています。
| 見方 | パンフレットの言葉 |
|---|---|
| 職務内容 | 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること |
| 責任と権限 | 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していること |
| 勤務態様 | 現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること |
| 待遇 | 賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること |
パンフレットの「もっと詳しく!」では、多店舗展開する小売業・飲食業等の店舗の店長等について、管理監督者性を判断するときの特徴的な要素が示されています(平成20年9月9日基発第0909001号)。いずれも管理監督者性を否定する要素で、パンフレットは「これらの否定要素に当たらないものがあるからといって、直ちに管理監督者として認められるというわけではありません」と書いています。要素は、パンフレットでは次のように区別されています。
| 区分 | 要素(パンフレットの見出し) | パンフレットの位置づけ |
|---|---|---|
| 職務内容、責任と権限 | 採用、解雇、人事考課、労働時間の管理 | 管理監督者性を否定する重要な要素 |
| 勤務態様 | 遅刻、早退等に関する取扱い | 管理監督者性を否定する重要な要素 |
| 勤務態様 | 労働時間に関する裁量、部下の勤務態様との相違 | 管理監督者性を否定する補強要素 |
| 賃金等の待遇 | 基本給・役職手当等の優遇措置、支払われた賃金の総額 | 管理監督者性を否定する補強要素 |
| 賃金等の待遇 | 時間単価 | 管理監督者性を否定する重要な要素(特に、時間単価に換算した賃金額が最低賃金額に満たない場合は、極めて重要な要素) |
このパンフレットが対象にしているのは、小売業・飲食業等の店舗の店長等の判断です。パンフレットの別のページには金融機関の管理監督者の範囲(昭和52年2月28日基発第104号の2・第105号)も載っていますが、この記事では扱いません。
管理監督者にも必要なもの:深夜割増賃金・年次有給休暇・健康への配慮
パンフレットの「管理監督者であっても深夜割増賃金・年次有給休暇の特例はありません」の欄には、次のように書かれています。
- 「管理監督者であっても、深夜業(22時から翌日5時まで)の割増賃金は支払う必要があります。」
- 「また、年次有給休暇も一般労働者と同様に与える必要があります。」
同じページには、管理監督者についても「長時間にわたる過重な労働とならないようにしてください」、長時間労働となった場合には「労働安全衛生法に基づき医師による面接指導等の健康管理に係る措置が必要となる場合があります」と書かれています。
深夜の割増賃金の根拠は、労働基準法37条4項です。使用者が午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合は、その定める地域または期間については午後11時から午前6時まで)の間に労働させた場合は、その時間の労働について、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
また、パンフレットには、労働基準法の「管理監督者」と労働組合法の「監督的地位にある労働者」とは異なる、とも書かれています(同じ言葉に見えても別の法律の概念です)。
似た制度との違い:41条の2(高度プロフェッショナル制度)
41条の2も、労働時間等の規定を適用しない制度ですが、適用しない範囲と手続が41条2号とは違います。条文の言葉で並べます。
| 項目 | 41条2号(管理監督者) | 41条の2(高度プロフェッショナル制度) |
|---|---|---|
| 適用しない規定 | この章等で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定 | この章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定(対象労働者について) |
| 手続 | 41条2号の文言には、決議や届出の定めがない | 委員会が委員の5分の4以上の多数による議決で決議をし、かつ、使用者が厚生労働省令で定めるところにより決議を行政官庁に届け出た場合で、対象労働者が同意(書面その他の厚生労働省令で定める方法)をしたとき |
| 対象となる業務 | 業務の限定はない | 高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務(1項1号の「対象業務」) |
| 対象となる人 | 監督若しくは管理の地位にある者 | 対象業務に就かせようとする労働者で、使用者との間の書面その他の厚生労働省令で定める方法による合意に基づき職務が明確に定められていること(2号イ)に加え、労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を1年間当たりの賃金の額に換算した額が、基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上であること(2号ロ)の、いずれにも該当する者 |
| 休日 | 41条2号に定めなし | 1年間を通じ104日以上、かつ4週間を通じ4日以上の休日を、決議及び就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより与える(1項4号) |
| 適用されない場合 | ― | 3号から5号までの措置のいずれかを使用者が講じていない場合は、この限りでない(1項ただし書) |
高度プロフェッショナル制度では、条文が「深夜の割増賃金に関する規定」まで適用しないと書いている点が、管理監督者との違いです。1項は、委員会が決議をし、「かつ」使用者が決議を行政官庁に届け出た場合において、同意を得た対象労働者を対象業務に就かせたときに、規定を適用しないと定めています(決議と届出は、適用しないための条件に含まれています)。41条の2第2項は、届出をした使用者に、4号から6号までの措置の実施状況を行政官庁に報告する義務を定めています。
割増賃金の率:37条・割増賃金令・労基則20条
労働基準法37条1項本文は、使用者が33条または36条1項により労働時間を延長し、または休日に労働させた場合には、その時間またはその日の労働について、通常の労働時間または労働日の賃金の計算額の「二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率」で計算した割増賃金を支払わなければならない、と定めています。政令は、労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令(割増賃金令)で、次のとおりです。
| 場面 | 割増の率 | 根拠 |
|---|---|---|
| 時間外(33条または36条1項により延長した労働時間の労働) | 2割5分以上 | 37条1項本文、割増賃金令 |
| 休日(33条または36条1項により労働させた休日の労働) | 3割5分以上 | 37条1項本文、割増賃金令 |
| 延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えたとき、その超えた時間の労働 | 5割以上 | 37条1項ただし書 |
| 午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合は、その定める地域または期間については午後11時から午前6時まで)の間の労働 | 2割5分以上 | 37条4項 |
| 時間外の労働が、午後10時から午前5時まで(同じく大臣が認める地域・期間は午後11時から午前6時まで)の間に及ぶとき、その時間の労働 | 5割以上(その時間のうち、1箇月について60時間を超える労働時間の延長に係るものは7割5分以上) | 労基則20条1項 |
| 休日の労働時間が、午後10時から午前5時まで(同じく大臣が認める地域・期間は午後11時から午前6時まで)の間に及ぶとき、その時間の労働 | 6割以上 | 労基則20条2項 |
2割5分に2割5分を足すと5割、5割に2割5分を足すと7割5分、3割5分に2割5分を足すと6割で、労基則20条の率は、時間外・休日の率と深夜の率を足した数字になっています(当サイトの計算)。
現行の37条1項の条文には、事業の規模による区別は書かれていません。かつての附則138条は、中小事業主(資本金の額または出資の総額と、常時使用する労働者の数の基準で定義)の事業について、「当分の間、第三十七条第一項ただし書の規定は、適用しない」と定めていました。平成30年法律第71号(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)の附則1条3号は、「第一条中労働基準法第百三十八条の改正規定」の施行日を令和5年(2023年)4月1日と定めています。e-Gov 法令検索の労働基準法では、2023年3月31日時点の版に附則138条があり、2023年4月1日時点の版と現行の版にはありません(2026-10-10 時点)。
37条の違反は、119条1号に、6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金が定められています。
割増賃金の基礎となる賃金と、1時間当たりの賃金額
労基則19条1項は、37条1項の「通常の労働時間又は通常の労働日の賃金の計算額」を、同項各号の金額に、延長した労働時間数・休日の労働時間数または午後10時から午前5時まで(大臣が認める地域・期間は午後11時から午前6時まで)の労働時間数を乗じた金額と定めています。割増賃金の額は、この計算額に割増の率を掛けて求めます(この記事では、各号の金額を「1時間当たりの賃金額」と呼びます)。37条5項は、1項と4項の割増賃金の基礎となる賃金に、「家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない」と定め、労基則21条は、家族手当・通勤手当のほか、次の5つを挙げています。
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に支払われた賃金
- 一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
1時間当たりの賃金額(19条1項各号の金額)は、賃金の決め方ごとに次のとおりです。
| 賃金の決め方 | 1時間当たりの賃金額(労基則19条1項各号の金額) |
|---|---|
| 時間によって定められた賃金 | その金額 |
| 日によって定められた賃金 | その金額を1日の所定労働時間数(日によって所定労働時間数が異なる場合には、1週間における1日平均所定労働時間数)で除した金額 |
| 週によって定められた賃金 | その金額を週における所定労働時間数(週によって所定労働時間数が異なる場合には、4週間における1週平均所定労働時間数)で除した金額 |
| 月によって定められた賃金 | その金額を月における所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1月平均所定労働時間数)で除した金額 |
| 月、週以外の一定の期間によって定められた賃金 | 前各号に準じて算定した金額 |
| 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金 | その賃金算定期間において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金算定期間における総労働時間数で除した金額 |
| 賃金が前各号の2以上の賃金よりなる場合 | その部分について各号によってそれぞれ算定した金額の合計額 |
労基則19条2項は、休日手当その他1項各号に含まれない賃金は、この計算では月によって定められた賃金とみなす、と定めています。
月60時間超と代替休暇(37条1項ただし書・3項、労基則19条の2)
37条3項は、使用者が、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)との書面による協定により、1項ただし書の規定により割増賃金を支払うべき労働者に対して、その割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(39条の規定による有給休暇を除く。)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、労働者がその休暇を取得したときは、その労働者の1項ただし書に規定する時間(60時間)を超えた時間の労働のうち、取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、1項ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない、と定めています。
労基則19条の2は、次の点を定めています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 協定で定める事項(1項) | ① 代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法、② 代替休暇の単位(1日または半日。代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇と合わせて与えることができる旨を定めた場合は、その休暇と合わせた1日または半日を含む)、③ 代替休暇を与えることができる期間(延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた当該1箇月の末日の翌日から2箇月以内) |
| 算定方法(2項) | 1箇月について60時間を超えて延長して労働させた時間の時間数に、換算率(代替休暇を取得しなかった場合の1項ただし書の割増賃金の率と、取得した場合の同項本文の割増賃金の率との差に相当する率)を乗じる |
| 省令で定める時間(3項) | 取得した代替休暇の時間数を換算率で除して得た時間数の時間 |
計算例(当サイトの計算)
前提:割増賃金の基礎に算入する賃金(月給)が252,000円、1年間における1月平均所定労働時間数が168時間の労働者。労基則19条1項4号により、1時間当たりの賃金額は252,000円÷168時間=1,500円です(検算:1,500円×168時間=252,000円)。以下は、割増賃金の額(通常の労働時間の賃金に当たる部分は含みません)の作例です。
| 場面 | 式 | 割増賃金の額 | 検算(別の式) |
|---|---|---|---|
| 時間外12時間(月の合計が60時間以内) | 1,500円×0.25×12時間 | 4,500円 | 1,500円×12時間=18,000円、18,000円×0.25=4,500円 |
| 休日労働8時間 | 1,500円×0.35×8時間 | 4,200円 | 1,500円×8時間=12,000円、12,000円×0.35=4,200円 |
| 時間外が1箇月で70時間(深夜を含まない) | 60時間分:1,500円×0.25×60時間=22,500円、超えた10時間分:1,500円×0.5×10時間=7,500円 | 30,000円 | 60×0.25+10×0.5=20時間分となり、1,500円×20=30,000円 |
| 時間外の労働が深夜に及ぶ2時間(月の合計が60時間以内) | 1,500円×0.5×2時間 | 1,500円 | 時間外分0.25+深夜分0.25=0.5。1,500円×2時間=3,000円、3,000円×0.5=1,500円 |
| 休日の労働が深夜に及ぶ1時間 | 1,500円×0.6×1時間 | 900円 | 休日分0.35+深夜分0.25=0.6。1,500円×0.6=900円 |
代替休暇の作例:時間外が1箇月で70時間、60時間を超える時間が10時間、換算率は5割-2割5分=2割5分の場合、算定方法(労基則19条の2第2項)は10時間×0.25=2.5時間です(検算:労基則19条の2第3項により、2.5時間÷0.25=10時間)。協定で算定方法を定めるときは、この規則の方法に従います。
社労士試験での問われ方と、間違えやすいポイント
出題の型を、問題文は載せずに、条文の言葉で整理します。
- ① 41条各号の対象と、適用されない規定の範囲を問う型(「この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定」)
- ② 管理監督者であっても必要なもの(深夜の割増賃金・年次有給休暇)を問う型
- ③ 割増賃金の率(時間外・休日・深夜・60時間超、重なる場合)を問う型
- ④ 割増賃金の基礎となる賃金に算入しない賃金を問う型(37条5項、労基則21条)
- ⑤ 1時間当たりの賃金額の算出(労基則19条)に数字を当てはめる型
- ⑥ 代替休暇の要件・協定事項・算定方法を問う型(37条3項、労基則19条の2)
間違えやすい点は次のとおりです。
- 管理職の肩書があること(役職名)と、41条2号の管理監督者であることは、別の問題です。実態で判断されます
- 41条が適用しないと書くのは「労働時間、休憩及び休日に関する規定」です。深夜の割増賃金(37条4項)と年次有給休暇(39条)には、41条の文言が及んでいません(パンフレットの説明どおり)
- 41条2号の「管理監督者」と、41条の2の高度プロフェッショナル制度は別の制度です。後者は深夜の割増賃金に関する規定まで適用しません
- 60時間を超える割増の5割以上は、「その超えた時間」の労働だけです(37条1項ただし書)
- 深夜の割増賃金の率2割5分と、時間外または休日の率は、重なる時間は足し合わせます(労基則20条)
- 割増賃金の基礎から除かれる賃金は、37条5項の「家族手当、通勤手当」と労基則21条の5つ、合わせて7種類です
- 代替休暇として与える休暇に、39条の年次有給休暇は含まれません(37条3項のかっこ書)
この論点の問題を解く
相談先と、法令基準日
個別の会社や個人の労働時間・賃金に関する相談は、この記事ではお答えできません。次の厚生労働省のページから窓口を探せます。
第58回(令和8年度)社会保険労務士試験の受験案内は、「試験問題の解答に当たり適用すべき法令等は、令和8年4月10日(金)現在施行のものとします」としています。この記事が引用した労働基準法37条・41条・41条の2・119条、労働基準法施行規則19条・19条の2・20条・21条と、割増賃金令は、e-Gov 法令検索の2026年4月10日時点の版と2026年10月9日時点の現行の版で、本文が同じです。e-Gov に載っている未施行の改正(労働基準法は令和8年法律第60号による2027年4月1日施行の改正と、令和8年法律第46号による改正(施行は、民法等の一部を改正する法律(令和8年法律第45号)の施行の日)、施行規則は2027年4月1日施行の改正)でも、これらの条の本文は変わりません。次の回以降の法令基準日と日程は、その年度の受験案内で確認してください(社労士試験の日程)。当サイトの社労士の問題は、過去の出題論点をもとに作成した論点別問題です。
まとめ
- 管理監督者は、41条2号の「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」。41条が適用しないのは、第四章等の「労働時間、休憩及び休日に関する規定」
- 該当するかは役職名ではなく、職務内容・責任と権限・勤務態様・待遇などの実態で判断される(厚生労働省パンフレット)。該当しなければ、時間外割増賃金や休日割増賃金の支払が必要になる
- 管理監督者であっても、深夜業の割増賃金と年次有給休暇の特例はない(パンフレット)。41条の2(高度プロフェッショナル制度)は、深夜の割増賃金に関する規定まで適用しない別の制度
- 割増賃金の率:時間外2割5分以上、休日3割5分以上、60時間を超えた時間は5割以上、深夜2割5分以上。重なる場合は労基則20条で、時間外が深夜に及ぶと5割以上(60時間超の部分は7割5分以上)、休日が深夜に及ぶと6割以上
- 基礎賃金から除くのは、家族手当・通勤手当と、別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金。1時間当たりの賃金額は労基則19条
- 月60時間を超える割増賃金に代えて、労使協定により代替休暇(39条の年次有給休暇を除く)を与えることができる(37条3項、労基則19条の2)
本サイトは社会保険労務士試験の実施機関とは関係ありません。条文は e-Gov 法令検索の労働基準法・労働基準法施行規則・割増賃金令にもとづき、厚生労働省のパンフレットの内容は2026年10月9日時点のものです。個別の事情に当てはめた助言は行っていません。
よくある質問
Q課長や店長など、管理職の肩書があれば、管理監督者として扱ってよいのですか?
肩書だけでは決まりません。厚生労働省のパンフレット「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」は、「管理監督者」に当てはまるかどうかは「役職名ではなく、その職務内容、責任と権限、勤務態様等の実態によって判断します」と説明しています。企業内で管理職とされていても、判断基準に基づき総合的に判断した結果、労働基準法上の「管理監督者」に該当しない場合には、労働時間等の規制を受け、時間外割増賃金や休日割増賃金の支払が必要になる、とも書かれています。個別の会社や個人の事情に当てはめた判断はこの記事ではできません。相談は、記事末尾の労働基準監督署などの窓口へどうぞ。
Q管理監督者にも、深夜の割増賃金は必要ですか?
厚生労働省のパンフレットは、管理監督者であっても、深夜業(22時から翌日5時まで)の割増賃金は支払う必要があると説明しています。労働基準法41条が適用しないと定めているのは「労働時間、休憩及び休日に関する規定」で、37条4項の深夜の割増賃金(通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上)については、41条は何も書いていません。
Q管理監督者にも、年次有給休暇はありますか?
厚生労働省のパンフレットは、年次有給休暇も一般労働者と同様に与える必要があると説明しています。41条が適用しないと定めるのは、同じ章(第四章)の中でも「労働時間、休憩及び休日に関する規定」です。年次有給休暇の要件は39条にあります(詳しくは年次有給休暇の記事を参照)。
Q割増賃金の基礎となる賃金に入れなくてよい手当は、何ですか?
労働基準法37条5項は「家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金」を算入しないと定め、労働基準法施行規則21条が、家族手当・通勤手当のほか、次の5つを挙げています。別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金です。37条5項と労基則21条が挙げるのは、合わせてこの7種類です。
Q月60時間を超える時間外労働の割増賃金の代わりに、休暇を与えることはできますか?
37条3項は、労使協定(過半数組合、ない場合は過半数代表者との書面による協定)で定めたうえで、1項ただし書(月60時間を超えた時間の労働)の割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(39条の年次有給休暇を除く)を与えることを認めています。労働者がその休暇を取得したときは、月60時間を超えた時間の労働のうち、取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働について、1項ただし書の割増賃金を支払うことを要しません。協定で定める事項は、労働基準法施行規則19条の2第1項の3つです。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月10日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

