不動産取得税の仕組みを、地方税法の条文で整理します。納税義務者、課税標準、標準税率4%と住宅・土地の3%、宅地の課税標準2分の1、新築住宅の1,200万円控除、免税点(令和8年4月1日以後の数字)、申告と納付までを表と計算例で確認します。
目次
結論:不動産取得税は、土地や家屋を取得したときに、その不動産のある道府県が、取得者に課す税金です(地方税法73条の2第1項)。課税標準は取得した時の不動産の価格で(73条の13第1項)、標準税率は4%、ただし住宅又は土地の取得は令和9年3月31日までの間3%です(73条の15・附則11条の2第1項)。宅地の課税標準は同じ期限まで価格の2分の1、新築住宅(床面積などの要件を満たすもの)は一戸につき1,200万円(認定長期優良住宅は令和13年3月31日までの取得で1,300万円)を価格から控除します(附則11条の5第1項・73条の14第1項・附則11条8項)。免税点は、令和8年4月1日以後は土地16万円・建築66万円・その他34万円です(73条の15の2第1項)。宅建の「税・その他」で扱われる税目の1つです。
この記事は、e-Govの地方税法と地方税法施行令の条文(令和8年4月1日時点の内容と、2026-10-21 時点の現行の内容。この記事で使った条は、両方で同じ文でした)をもとに、不動産取得税だけを詳しく整理したものです。固定資産税・登録免許税・印紙税・譲渡所得を含む全体像は宅建の税・その他の記事にあります。個別の不動産や税額についての助言はしません。個別の税額は、不動産の所在する道府県の窓口で確かめてください。
不動産取得税の基本:誰が、何に、いくら課されるか
条文の順に、基本をまとめます。
| 項目 | 条文の内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 課税する者 | 不動産所在の道府県 | 73条の2第1項 |
| 納税義務者 | 不動産の取得者 | 73条の2第1項 |
| 課税標準 | 不動産を取得した時における不動産の価格 | 73条の13第1項 |
| 価格の決め方 | 固定資産課税台帳に価格が登録されている不動産は、その価格により決定する。ただし増築・改築・損かい・地目の変換その他特別の事情があって固定資産の価格により難いときは、固定資産評価基準によって決定する | 73条の21第1項・2項 |
| 標準税率 | 100分の4 | 73条の15 |
| 納期 | 道府県の条例の定めによる | 73条の16 |
| 徴収の方法 | 普通徴収 | 73条の17第1項 |
用語は73条に定義があります。「土地」は田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野その他の土地、「家屋」は住宅、店舗、工場、倉庫その他の建物、「住宅」は人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分で政令で定めるもの、とされています(73条2号〜4号)。73条には「取得」自体の定義の記載がありません(2026-10-21 時点)。
「価格」が売買代金ではなく、固定資産課税台帳に登録された価格が基本になる点は、固定資産税と並べて整理すると混同を避けられます。
「取得」とみなされる場合と、課税できない取得
新築と改築(73条の2第2項・3項)
家屋が新築された場合は、その家屋について最初の使用又は譲渡が行われた日に家屋の取得があったものとみなし、所有者又は譲受人を取得者とみなして課します(2項本文)。ただし書で、新築された日から6月を経過してなお最初の使用又は譲渡が行われない場合は、新築の日から6月を経過した日に取得があったものとみなし、所有者を取得者とみなします。この「6月」には例外があり、附則10条の3第1項は、独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社又は家屋を新築して譲渡することを業とする者で政令で定めるものが売り渡す新築の住宅について、新築が平成10年10月1日から令和13年3月31日までの間に行われたときに限り、ただし書の「六月」を「一年」と読み替えます。
家屋を改築したことにより家屋の価格が増加した場合は、その改築をもって家屋の取得とみなします(3項)。この場合の課税標準は、改築により増加した価格です(73条の13第2項)。
課することができない取得(73条の7)
73条の7は、「次に掲げる不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない」として、いくつもの場合を挙げています。その一部を表にします。
| 号 | 不動産の取得 |
|---|---|
| 1号 | 相続(包括遺贈及び被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む)による取得 |
| 2号 | 法人の合併又は政令で定める分割による取得 |
| 2号の3 | 共有物の分割による取得(分割前の持分の割合を超える部分の取得を除く) |
| 5号の2 | 相続税法46条1項の承認に基づき物納の許可があった不動産を、物納の許可を受けた者に移す場合の取得 |
1号は「相続」であり、括弧書きで包括遺贈と相続人への遺贈が含まれると書かれています。括弧書きの外にある取得(たとえば相続人以外への特定遺贈)は、この号の文言には入りません。2号の3は、持分の割合を超える部分の取得が括弧書きで除かれています。条文に括弧書きがあるものは、括弧の中まで読んでください。国、非課税独立行政法人、都道府県、市町村などが取得者のときは、73条の3第1項が不動産取得税を課することができないと定めています。
税率と課税標準の特例(令和9年3月31日まで)
標準税率は100分の4ですが、期限つきの特例が重なっています。
| 内容 | 条文 | 期限・条件 |
|---|---|---|
| 住宅又は土地の取得は、標準税率を100分の3とする | 附則11条の2第1項 | 平成18年4月1日から令和9年3月31日までの間に取得が行われた場合 |
| 宅地評価土地(宅地及び宅地比準土地)の取得は、課税標準を価格の2分の1とする | 附則11条の5第1項 | 取得が平成18年1月1日から令和9年3月31日までの間に行われた場合 |
| 新築住宅は一戸につき1,200万円を価格から控除する | 73条の14第1項 | 政令で定める住宅の建築。新築された住宅でまだ人の居住の用に供されたことのないものの購入を含む |
| 認定長期優良住宅は控除額を1,300万円とする | 附則11条8項 | 令和13年3月31日までの取得。附則11条8項が、73条の14第1項の「千二百万円」を「千三百万円」と読み替える |
3%になるのは、附則11条の2第1項に書かれている「住宅又は土地」の取得です。住宅以外の家屋(たとえば店舗の建築)は、この項に書かれていないので、73条の15の標準税率4%になります(当サイトの条文の読み方)。
附則11条の2第2項は、第1項の取得が73条の24(住宅用土地の減額)などの規定に該当する場合は、それらの規定中の「税率」を「当該税額の算定に用いられた税率」と読み替えると書いています。
不動産取得税の税率と特例の期限:標準税率4%。住宅・土地の取得の税率3%(令和9年3月31日までの取得)、宅地評価土地の課税標準2分の1(同期限)、認定長期優良住宅の控除1,300万円(令和13年3月31日までの取得)。最終確認日:2026-10-21。出典:e-Gov 法令検索 地方税法(73条の15・附則11条の2・11条の5・11条8項)。
新築住宅の控除の対象と、中古住宅の控除
73条の14第1項の「政令で定める」住宅の建築は、地方税法施行令37条の16に書かれています。1号は共同住宅等以外の住宅で、その床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下のもの、2号は共同住宅等で、居住の用に供するために独立的に区画された一の部分のいずれかの床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下のものです。共同住宅等で控除の単位となる「独立的に区画された一の部分」は、37条の17が、床面積40平方メートル以上240平方メートル以下のものと定めています。e-Govで令和7年4月1日時点の施行令を見ると、37条の16・37条の17とも下限は50平方メートル(貸家の用に供されるものは40平方メートル)でした。
中古住宅は、73条の14第3項が、個人が自己の居住の用に供する耐震基準適合既存住宅を取得した場合に、一戸について、その住宅が新築された時において施行されていた73条の14第1項の規定により控除するものとされていた額を価格から控除する、と定めています。対象となる既存住宅は、施行令37条の18が、床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下のもののうち、昭和57年1月1日以後に新築されたもの、又は耐震基準に適合することにつき総務省令で定めるところにより証明がされたもの、と書いています。
控除は、取得者から条例で定める申告がなされた場合に限り適用されます(73条の14第4項)。ただし、申告がなくても、要件に該当すると認められるときは、道府県は適用することができます(同条5項)。
なお、令和8年法律第2号(令和8年3月31日公布)の附則1条8号は、73条の14第1項・73条の24第1項の改正規定を令和11年4月1日の施行としています。この記事が使う令和8年4月1日現在の条文には、その改正は入っていません。
免税点:令和8年4月1日以後の数字
73条の15の2第1項は、課税標準となるべき額が次の額に満たない場合は、不動産取得税を課することができない、と書いています。
| 取得の区分 | 免税点(令和8年4月1日以後) |
|---|---|
| 土地の取得 | 16万円 |
| 家屋の取得のうち建築に係るもの | 一戸につき66万円 |
| 家屋のその他の取得 | 一戸につき34万円 |
e-Govで令和7年4月1日時点の条文を見ると、同じ項の額は土地10万円・建築23万円・その他12万円でした。令和8年3月31日公布の地方税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第2号)の附則8条は、不動産取得税に関する新法の規定は施行日(令和8年4月1日)以後の不動産の取得に対して課すべき不動産取得税に適用し、施行日前の取得についてはなお従前の例による、と書いています。学習に使う教材や問題集が令和7年度以前のものである場合は、免税点の数字を現行の条文と照らして確認してください。
不動産取得税の免税点:土地16万円、家屋の建築一戸につき66万円、その他一戸につき34万円(令和8年4月1日以後の取得)。最終確認日:2026-10-21。出典:e-Gov 法令検索 地方税法(73条の15の2第1項)、令和8年法律第2号附則8条。
73条の15の2第2項は、土地を取得した者がその取得の日から1年以内に隣接する土地を取得した場合、家屋を取得した者が1年以内にその家屋と一構となるべき家屋を取得した場合は、前後の取得を合わせて一の土地の取得又は一戸の家屋の取得とみなして、免税点を判断する、と書いています。
申告と納付
不動産を取得した者は、道府県の条例で定めるところにより、条例で定める期間内に、不動産の取得の事実その他の事項を申告又は報告しなければなりません。ただし、その期間内に不動産登記法18条の規定により表示に関する登記又は所有権の登記の申請をした場合(申請が却下された場合を除く)は、この限りではありません(73条の18第1項)。前項ただし書の場合でも、道府県知事は必要があると認めるときは、条例で定めるところにより申告させ、又は報告させることができます(同条2項)。
納期は条例で定められ(73条の16)、徴収は普通徴収の方法によります(73条の17第1項)。納税通知書は、納期限前10日までに交付しなければなりません(同条2項)。
計算例(当サイトの計算)
条文の順に、課税標準、控除または2分の1、税率、免税点を当てはめます。数字は当サイトが作った例で、他の特例(73条の24の住宅用土地の減額など)は使わない前提です。
- 宅地(価格3,000万円)を令和8年中に取得した場合:課税標準は3,000万円×2分の1=1,500万円。税額は1,500万円×3%=45万円。検算:3,000万円×1.5%=45万円
- 新築住宅(価格2,000万円、床面積80平方メートル)を取得した場合:課税標準は2,000万円−1,200万円=800万円。税額は800万円×3%=24万円。逆算:24万円÷3%=800万円=2,000万円−1,200万円
- 宅地(価格28万円)を取得した場合:課税標準は28万円×2分の1=14万円。免税点は土地16万円で、14万円は16万円に満たないので、課することができない。検算:14万円×2=28万円
3つ目の例は、免税点を、2分の1にした後の「課税標準となるべき額」で判断する点を確認するためのものです。73条の15の2第1項の文言は「課税標準となるべき額が…に満たない」です。
令和8年度の宅建試験との関係
不動産適正取引推進機構(RETIO)は、宅建試験の出題の根拠となる法令を、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものとしています(宅建試験の概要)。令和8年度試験なら令和8年4月1日現在の条文が基準で、免税点は上の表の数字です。
機構が公表している問題冊子では、不動産取得税は令和5年度と令和6年度の問24に出ています(令和7年度の問24は固定資産税)。問題文はここに載せません。年度によって、出る税目は入れ替わっています。
税率と控除額、免税点の数字は、特例の期限や改正で変わるため、覚えた数字が「いつ時点のものか」を毎年確かめる必要があります。
令和8年度宅建試験の法令の基準日:出題の根拠となる法令は、試験年度の4月1日現在施行されているもの(令和8年度は令和8年4月1日)。最終確認日:2026-10-21。出典:不動産適正取引推進機構 宅建試験の概要。
まとめ
- 不動産取得税は、不動産の取得に対し、不動産所在の道府県が取得者に課す税(73条の2第1項)。課税標準は取得時の価格で、固定資産課税台帳の登録価格が基本(73条の13・73条の21)
- 標準税率は4%(73条の15)。住宅又は土地の取得は令和9年3月31日までの間3%(附則11条の2第1項)。宅地評価土地は同期限まで課税標準が価格の2分の1(附則11条の5第1項)
- 新築住宅は一戸につき1,200万円を控除(73条の14第1項)。対象の床面積は40平方メートル以上240平方メートル以下(施行令37条の16・37条の17)。認定長期優良住宅は令和13年3月31日までの取得で1,300万円
- 新築家屋は、最初の使用又は譲渡の日に取得とみなされ、6月を経過すればその日に取得とみなされる(73条の2第2項。一定の売渡しには附則10条の3第1項の読み替えがある)。相続(包括遺贈・相続人への遺贈を含む)などは課することができない(73条の7)
- 免税点は、令和8年4月1日以後の取得で、土地16万円・建築66万円・その他34万円(73条の15の2第1項)。令和7年4月1日時点の条文とは数字が違う
本サイトは一般財団法人 不動産適正取引推進機構とは関係ありません。掲載している問題は、過去の出題論点をもとに合格ナビが作成した論点別問題で、公式の試験問題ではありません。条文は、必ず e-Gov 法令検索の最新の内容で確認してください。この記事は一般的な制度の説明であり、個別の不動産や税額についての助言ではありません。
参照した一次ソース
- e-Gov法令検索 地方税法(73条・73条の2・73条の3・73条の7・73条の13〜73条の18・73条の21・附則11条の2・11条の5・11条8項、および令和8年法律第2号附則1条8号・8条)
- e-Gov法令検索 地方税法施行令(37条の16〜37条の18)
- 不動産適正取引推進機構 宅建試験の概要・公表されている問題冊子(令和5年度・令和6年度・令和7年度)
よくある質問
Q不動産取得税は、誰に、どこが課す税金ですか?
地方税法73条の2第1項は、不動産取得税は、不動産の取得に対し、その不動産の所在する道府県において、その不動産の取得者に課する、と書いています。課税標準は、不動産を取得した時における不動産の価格です(73条の13第1項)。
Q相続で不動産を取得したときも、不動産取得税がかかりますか?
73条の7第1号は、相続(包括遺贈及び被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む)による不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない、と書いています。括弧書きに挙がっているのは包括遺贈と相続人への遺贈で、相続人以外への特定遺贈は括弧書きに入っていません。個別のケースがどれに当たるかは、この記事では判断しません。
Q新築住宅の1,200万円控除は、申告しないと受けられませんか?
73条の14第4項は、控除の規定は、取得者から条例で定めるところにより適用があるべき旨の申告がなされた場合に限り適用する、と書いています。ただし5項は、申告がなかった場合でも、取得が要件に該当すると認められるときは、道府県は4項にかかわらず適用することができる、と書いています。具体的な手続は、道府県の条例と窓口で確認してください。
Q新築した家屋を、誰も使わず譲渡もしないままにしておくと、いつ取得したことになりますか?
73条の2第2項は、家屋が新築された場合は、その家屋について最初の使用又は譲渡が行われた日に家屋の取得があったものとみなす、と書いています。ただし書で、家屋が新築された日から6月を経過してなお最初の使用又は譲渡が行われない場合は、新築された日から6月を経過した日に取得があったものとみなし、家屋の所有者を取得者とみなして課する、と定めています。この「6月」は、都市再生機構などが売り渡す新築の住宅について、附則10条の3第1項が一定の期間は「一年」と読み替えています(本文参照)。
Q不動産取得税の納期は、法律で決まっていますか?
73条の16は、不動産取得税の納期については、当該道府県の条例の定めるところによる、と書いています。徴収は普通徴収の方法によらなければならず(73条の17第1項)、納税通知書は遅くとも納期限前10日までに交付します(同条2項)。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月21日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

