「登録販売者はやめとけ」「意味ない」「きつい」「受かる気がしない」は本当か。薬機法で登録販売者にできること、合格後の「研修中」と管理者要件、試験の大きさと合格率7年分、労働基準法などの最低ライン、令和7年の薬機法改正の内容を、一次資料だけで整理します。
目次
- 登録販売者にできること・できないこと(薬機法36条の9・28条)
- 合格してもすぐ一人前ではない:「研修中の登録販売者」と管理者要件
- 「簡単すぎ」「増えすぎ」?合格率と受験者数の推移
- 「受かる気がしない」「覚えられない」「一夜漬け」:試験の大きさを数字で測る
- 「登録販売者はなくなる?」令和7年の薬機法改正で公表されていること
- 受験資格は撤廃された?試験の形と出題範囲
- 「仕事がきつい」「正社員きつい」「辞めたい」:法律で決まっている最低ラインと相談先
- 「役に立たない」「割に合わない」と感じる前に:制度で決まっている「できること」と「かかるもの」
- 制度から見た「向いている状況」と「やめておいたほうがよい状況」
- まとめ
結論:登録販売者は、薬機法で第2類・第3類医薬品を販売できる専門家として定められた資格で、店舗管理者にもなれます(薬機法第28条・第36条の9)。「やめとけ」と言われる理由として挙がりやすいのは、①第1類医薬品は扱えない、②合格後しばらくは「研修中の登録販売者」として一人で売り場に立てない、③合格率が4〜5割前後で推移している、の3点で、いずれも制度上の事実です。一方、2026-10-02 時点で厚生労働省が公表している令和7年の薬機法改正の概要に、登録販売者の資格を廃止する項目はありません。
この記事では、薬機法の条文、厚生労働省の通知・試験実施状況・法改正の概要、労働関係の法律だけを使って、「やめとけ」「意味ない」「きつい」「受かる気がしない」「なくなる」を確かめます。
知恵袋やSNSの「ぶっちゃけ」の書き込みは、職場や時期によって内容が違い、確かめる方法がありません。そのため個人の体験談は使わず、職場ごとの働きやすさや人間関係の良し悪しは判断しません。制度で決まっていることだけを書きます。
| よく言われること | 一次資料で確認できること |
|---|---|
| 「意味ない」 | 第2類・第3類医薬品は薬剤師か登録販売者でなければ販売させられない(薬機法36条の9)。店舗管理者にもなれる(28条2項) |
| 「すぐには使えない」 | 管理者要件を満たすまでは「研修中の登録販売者」で、薬剤師などの管理・指導の下でしか業務に従事できない(厚労省通知) |
| 「簡単すぎ」「受かる気がしない」 | 合格率は令和元年度〜令和7年度で40.7%〜49.3%(延べ人数・厚労省)。試験は120問・240分で、手引きの本文は約293頁(当サイトの集計) |
| 「仕事がきつい」「辞めたい」 | 労働時間・休憩・休日・有給休暇・退職の申入れの最低ラインは労働基準法と民法で決まっている。相談先は厚労省の総合労働相談コーナー(無料) |
| 「なくなる」 | 令和7年改正の概要(9頁)に資格の廃止は書かれていない。遠隔管理の下で「薬剤師等が常駐しない店舗」での販売を可能にする制度が令和9年5月施行分に入っている(施行日ごとの条文の変化は登録販売者の法改正2026) |
| 「受験資格が撤廃された?」 | 学歴や実務経験は受験の条件ではない(厚労省通知) |
条文の出典は e-Gov 法令検索です(2026-10-04 取得の現行条文)。
合格ナビの登録販売者の論点別問題360問(すべて当サイトのオリジナル問題)のうち、第4章「薬事関連法規・制度」は62問です(2026-10-02 集計。本試験の出題数ではなく、当サイトの問題数です)。この記事で扱う販売区分・店舗管理者・研修の論点は、この62問で確認できます。
登録販売者にできること・できないこと(薬機法36条の9・28条)
「意味ない」かどうかの土台は、法律が登録販売者に何を任せているかです。薬機法第36条の9は次のように定めています(e-Gov 法令検索 薬機法)。
「薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者は、厚生労働省令で定めるところにより、一般用医薬品につき、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める者に販売させ、又は授与させなければならない。一 第一類医薬品 薬剤師 二 第二類医薬品及び第三類医薬品 薬剤師又は登録販売者」(薬機法第36条の9)
また第28条第2項は、店舗を実地に管理する「店舗管理者」について「薬剤師又は登録販売者でなければならない」と定めています。
| 項目 | 登録販売者 | 根拠 |
|---|---|---|
| 第1類医薬品の販売 | できない(薬剤師のみ) | 薬機法36条の9第1号 |
| 第2類・第3類医薬品の販売 | できる | 薬機法36条の9第2号 |
| 第2類医薬品の情報提供 | 薬剤師または登録販売者に行わせるよう努める(努力義務) | 薬機法36条の10第3項 |
| 購入者などからの相談への情報提供 | 薬剤師または登録販売者に行わせなければならない | 薬機法36条の10第5項 |
| 店舗管理者 | 第2類・第3類を扱う店舗なら、要件を満たせばなれる。第1類を扱う店舗は原則として薬剤師 | 薬機法28条2項・厚労省通知3(1) |
「第1類が売れないから意味がない」という意見は、第1類医薬品に限れば正しいです。ただし、第2類・第3類医薬品を販売させる相手として法律が名前を挙げているのは薬剤師と登録販売者だけです。薬局・店舗販売業・配置販売業のどこで働けるか、薬局で調剤はできるかといった勤務先ごとの違いは、登録販売者はドラッグストア以外でも働ける?で条文ごとに整理しています。
販売区分と担い手を問題で確認する(論点別問題):
合格してもすぐ一人前ではない:「研修中の登録販売者」と管理者要件
「やめとけ」の理由として最も具体的なのが、合格・登録してもしばらくは一人で業務ができないことです。厚生労働省の通知「登録販売者制度の取扱い等について」(令和5年3月31日薬生発0331第16号、最終改正 令和8年6月26日、令和8年10月1日から適用)は、店舗管理者になれる登録販売者を次の3つのいずれかに当てはまる人としています(厚生労働省 通知(PDF))。
| ルート | 要件(通知3(1)の要約) | 時間の数え方 |
|---|---|---|
| ⅰ | 過去5年間のうち、一般従事者として薬剤師・登録販売者の管理及び指導の下で実務に従事した期間と、登録販売者として業務に従事した期間の合計が通算2年以上 | 1か月80時間以上で1か月と数える |
| ⅱ | 過去5年間のうち従事期間の合計が通算1年以上で、継続的研修と、店舗の管理及び法令遵守についての研修を修了 | 1か月160時間以上で1か月と数える |
| ⅲ | 従事期間が通算1年以上で、過去に店舗管理者または区域管理者として業務に従事した経験がある | — |
ⅰ・ⅱには時間の例外があり、月単位の期間が通算1年以上または2年以上あり、かつ過去5年間で合計1,920時間以上従事した場合は、それぞれ1年以上・2年以上とみなしてよいとされています。
このⅰ〜ⅲのどれにも当てはまらない登録販売者が「研修中の登録販売者」です。通知は、研修中の登録販売者について次の扱いを定めています。
- 名札に「登録販売者(研修中)」のように、研修中であることが分かる表記をする
- 店舗で勤務中の薬剤師または登録販売者(研修中の登録販売者を除く)の管理及び指導の下に業務に従事させる
- 店舗管理者の代行者にもなれない
- 研修を受講させる(研修中かどうかにかかわらず、登録販売者には施行規則に定める研修を毎年度受講させる必要があるとされている)
よく検索される「登録販売者になって5年経過するとどうなる?」への答えは、この「過去5年間のうち」という数え方です。管理者要件は直近5年間の従事期間で判断するので、5年より前の経験は数えられません。逆に、5年間のうちに通算2年(ルートⅰ)働けば、間に空白があっても要件を満たせます。
店舗の管理者の要件を問題で確認する(論点別問題):
「簡単すぎ」「増えすぎ」?合格率と受験者数の推移
厚生労働省が公表している全国の実施状況(都道府県と関西広域連合の合計)は次のとおりです。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和元年度 | 65,288 | 28,328 | 43.4% |
| 令和2年度 | 52,959 | 21,953 | 41.5% |
| 令和3年度 | 61,070 | 30,082 | 49.3% |
| 令和4年度 | 55,606 | 24,707 | 44.4% |
| 令和5年度 | 52,214 | 22,814 | 43.7% |
| 令和6年度 | 54,526 | 25,459 | 46.7% |
| 令和7年度 | 58,996 | 24,004 | 40.7% |
出典:厚生労働省「これまでの登録販売者試験実施状況等について」の各年度PDF(各年度末=翌年の3月31日現在の数値)。厚生労働省は「同一人が複数の試験を受験し、複数の試験で合格している可能性があるため、受験者数及び合格者数の計は延べ人数である」と注記しています。
登録販売者試験の合格率:令和7年度 受験者数58,996・合格者数24,004・合格率40.7%(延べ人数、令和8年3月31日現在)。最終確認日:2026-10-02。出典:厚生労働省 令和7年度登録販売者試験実施状況。
7年間の合格率は40.7%〜49.3%で、受験者のおよそ半分以上が不合格になっています。「簡単すぎ」かどうかは人によりますが、数字の上では毎年過半数が合格する試験ではありません。
また、試験は都道府県ごとに行われるため、合格率には地域差があります。令和7年度は、表に載っている都道府県のうち最も高い北海道が54.8%(1,598人中875人)、最も低い沖縄県が23.2%(887人中206人)でした。試験実施要領は合格基準を「総出題数に対して7割程度の正答の場合であって、各試験項目ごとに、都道府県知事が定める一定割合以上の正答のときに合格とすること」と定めています(厚生労働省「登録販売者試験実施要領」)。都道府県別41区分の全表と地方別の推移は登録販売者の難易度と合格率にまとめています。
「増えすぎ」については、毎年2万人台〜3万人台の合格者(延べ)が出ていることは上の表のとおりですが、現在働いている登録販売者の総数を示す最新の公的統計は、この記事で挙げた厚生労働省のページには載っていません。そのため「増えすぎ」かどうかの判断はしません。
章ごとの問題で実力を確かめる:
「受かる気がしない」「覚えられない」「一夜漬け」:試験の大きさを数字で測る
「受かる気がしない」と感じる理由の1つは、試験の大きさが見えないことです。公表されている数字を並べます。
| 項目 | 数字 | 根拠 |
|---|---|---|
| 問題数と時間 | 120問・240分(1問あたり平均2分。当サイトの計算) | 試験実施要領 |
| 合格の基準 | 総出題数に対して7割程度の正答(120問なら84問前後。当サイトの計算)。かつ各試験項目ごとに都道府県知事が定める一定割合以上の正答 | 試験実施要領 |
| 出題の元 | 厚生労働省の「試験問題の作成に関する手引き」から出題 | 試験実施要領 |
| 手引きの本文の頁数 | 第1章20頁・第2章36頁・第3章148頁・第4章67頁・第5章22頁、合計約293頁(当サイトが目次の印字頁から集計) | 手引き(令和8年4月) |
| 令和7年度の結果 | 受験者58,996人・合格者24,004人・合格率40.7%(延べ人数) | 厚生労働省 試験実施状況 |
出典:厚生労働省「登録販売者試験実施要領」・厚生労働省 試験問題の作成に関する手引き・手引き本文PDF。
この表から、「覚えられない」と感じやすい理由が1つ読み取れます。第3章(主な医薬品とその作用)は、出題が120問のうち40問(3分の1)なのに、手引きの頁数では約293頁のうち148頁(約5割)を占めます(当サイトの計算)。出題の割合より、覚える量が大きい章です。この章は、同じ成分が複数の節に出てくるため、かぜ薬の節を最後にするなど、覚える順番を変えると負担が減ります。手引きの記載にもとづく整理は第三章の覚え方に、ノートの作り方は勉強ノートの作り方にまとめています。
「一夜漬け」で合格できるかを示す公的な数字は、この記事で挙げた公的資料には載っていません。公式資料に書かれている事実は、合格基準に「各試験項目ごとに、都道府県知事が定める一定割合以上」という条件があることです。一部の章だけを覚える方法では、この項目別の基準を満たせない場合があります。章ごとの基準の割合は自治体ごとに違うため、受験する都道府県の受験案内で確認してください。
勉強時間の目安は、この記事で根拠にできる一次資料がないため書きません。時間の組み立ては勉強時間と3ヶ月の週次スケジュールで、例として示しています。
合格基準と出題形式:5つの試験項目で120問・240分。合格基準は総出題数に対して7割程度の正答かつ、各試験項目ごとに都道府県知事が定める一定割合以上の正答。最終確認日:2026-10-04。出典:厚生労働省 登録販売者試験実施要領。
弱い章を見つけるには、章ごとの問題が便利です。合格ナビの登録販売者の論点別問題360問(すべて当サイトのオリジナル問題)は、第1章40問・第2章44問・第3章150問・第4章62問・第5章64問です(2026-10-04 集計。本試験の出題数ではありません)。
「登録販売者はなくなる?」令和7年の薬機法改正で公表されていること
「登録販売者 資格 なくなる」「なくなる仕事」と検索する人が確かめておきたい公式の動きが、令和7年の薬機法改正(令和7年法律第37号)です。厚生労働省の概要資料に書かれている内容は次のとおりです(厚生労働省「令和7年の薬機法等の一部改正について」・概要(PDF))。
- 「薬剤師等による遠隔での管理の下で、薬剤師等が常駐しない店舗における一般用医薬品の販売を可能とする。」
- 「委託元の薬剤師等による遠隔での管理の下、あらかじめ登録された薬剤師等が常駐しない店舗(登録受渡店舗)において医薬品を保管し、購入者へ受け渡すことを可能とする。」
- 「販売は委託元の薬局や店舗販売業者が行い、販売に関する責任は原則として委託元の薬局や店舗販売業者が有するものとする。」
- 濫用のおそれのある医薬品について「販売時、薬剤師等に必要な事項(…)を確認させ、情報提供を行わせること等を義務付ける。」
この概要資料(9頁)で「登録販売者」という語が出てくるのは、現行の制度を説明した「第1類は薬剤師のみ、第2類・第3類は薬剤師又は登録販売者が販売可能」という箇所だけで、登録販売者の資格や試験を廃止する項目はありません。登録受渡店舗の登録証に関する政令は、厚生労働省のページで「令和9年5月施行分」として掲載されています(政令案要綱(PDF))。
まとめると、公表されているのは「資格がなくなる」ではなく、「専門家が常駐しない受け渡しの店舗を、委託元の遠隔管理の下で認める」という販売方法の見直しです。概要資料の「薬剤師等」に登録販売者がどう位置づけられるかは、施行に向けた省令・通知で確認する必要があり、この記事では推測しません。
現行の販売区分を問題で確認する(論点別問題):
受験資格は撤廃された?試験の形と出題範囲
よく検索される「登録販売者の受験資格は撤廃されたのですか?」の答えは、厚生労働省の通知にあります。
「登録販売者試験の受験資格としてこれまで求めてきた実務経験等については、今後不要となるため、学歴や実務経験に関する書類の提出は必要ない。」(厚生労働省「登録販売者制度の取扱い等について」1(3))
試験は都道府県知事が行い(薬機法第36条の8第1項)、試験実施要領が問題数と時間を次のように定めています。
| 試験項目 | 出題数 | 時間 |
|---|---|---|
| 医薬品に共通する特性と基本的な知識 | 20問 | 40分 |
| 人体の働きと医薬品 | 20問 | 40分 |
| 主な医薬品とその作用 | 40問 | 80分 |
| 薬事関連法規・制度 | 20問 | 40分 |
| 医薬品の適正使用・安全対策 | 20問 | 40分 |
| 合計 | 120問 | 240分 |
出典:厚生労働省「登録販売者試験実施要領」。試験日・受験料・申込期間は都道府県ごとに異なるため、受験する都道府県の公示で確認してください。
学歴や実務経験の条件がないことは、「誰でも受けられる=簡単」という印象につながりやすい点です。ただし上の表のとおり、主な医薬品とその作用(第3章)だけで40問あり、合格には全体の7割程度に加えて項目ごとの基準も満たす必要があります。
章ごとの論点を問題で確認する:
「仕事がきつい」「正社員きつい」「辞めたい」:法律で決まっている最低ラインと相談先
登録販売者の職場の実態(忙しさ、人間関係、離職の多さ)を示す公的な統計は、この記事で挙げた資料には載っていません。そのため「きつい」かどうかの判断はしません。ここで示せるのは、登録販売者に限らず、働く人全員に法律が定めている最低ラインです(e-Gov 法令検索、2026-10-04 取得の現行条文)。
| 悩み | 法律が定めていること | 根拠 |
|---|---|---|
| 長時間労働 | 休憩時間を除き、1週間40時間・1日8時間を超えて働かせてはならない。超えるには、労使協定の締結と届出が必要。協定で延長できる時間は、原則として1か月45時間・1年360時間が限度 | 労働基準法32条・36条 |
| 休憩がとれない | 労働時間が6時間を超えるときは少なくとも45分、8時間を超えるときは少なくとも1時間を、労働時間の途中に与える | 労働基準法34条 |
| 休みがない | 毎週少なくとも1回の休日(4週間を通じて4日以上でも可) | 労働基準法35条 |
| 有給休暇 | 雇入れの日から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には、10労働日の有給休暇を与える。以降は勤続年数に応じて増える | 労働基準法39条 |
| 職場の言動がつらい | 事業主は、職場の優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによって就業環境が害されないよう、相談に応じ適切に対応する体制の整備などの措置を講じなければならない。相談したことを理由とする不利益な取扱いは禁止 | 労働施策総合推進法31条 |
| 辞めたい | 期間の定めのない雇用は、申入れの日から2週間で終了する(民法627条1項)。期間の定めのある契約は、やむを得ない事由があれば直ちに解除できる(628条) | 民法627条・628条 |
労働時間の延長の限度には、同じ条文に例外の定め(特別な事情がある場合など)があり、細かい条件は条文と厚生労働省の資料で確認が必要です。有給休暇の日数も、週の所定労働日数が少ない人は別の定めがあります。この表は、原則を示したものです。
時間外労働の限度:労使協定で延長できる労働時間の限度は、原則として1か月45時間・1年360時間(労働基準法36条)。最終確認日:2026-10-04。出典:e-Gov法令検索 労働基準法。
「正社員だからきつい」「パートなら楽」といった雇用形態ごとの違いは、この記事で挙げた一次資料からは言えません。契約の内容(期間の定めの有無、所定労働時間、職務の範囲)が人ごとに違うためです。
職場に相談しにくいときは、厚生労働省の総合労働相談コーナーがあります。厚生労働省のページによると、各都道府県労働局や全国の労働基準監督署内などの378か所に設置され、解雇・雇止め・いじめ・嫌がらせ・パワハラなどあらゆる分野の労働問題を対象に、予約不要・無料で専門の相談員が面談または電話で対応します(厚生労働省 総合労働相談コーナーのご案内)。土・日・祝日・年末年始は閉庁です。
登録販売者の仕事そのものの内容は、法律上は、第2類・第3類医薬品の販売、購入者への情報提供、店舗管理者(要件を満たす場合)に定められています(薬機法28条・36条の9・36条の10)。仕事の中身は、この記事の前半の表で確認できます。
「役に立たない」「割に合わない」と感じる前に:制度で決まっている「できること」と「かかるもの」
「役に立たない」「割に合わない」の中身は人によって違います。給与や手当の額を定めた法律・通知は、この記事で使っている資料にはないため、金額で「割に合う・合わない」を判断することはしません。ここでは、制度で決まっている「できること」と「かかるもの」を並べます。
| 項目 | 制度で決まっていること | 根拠 |
|---|---|---|
| できること | 第2類・第3類医薬品の販売は、薬剤師または登録販売者に限られる。要件を満たせば店舗管理者にもなれる | 薬機法36条の9・28条2項 |
| できないこと | 第1類医薬品の販売(薬剤師のみ) | 薬機法36条の9第1号 |
| 受験 | 学歴・実務経験は不要。受験手数料は都道府県の条例等で規定 | 厚労省通知1(3) |
| 販売従事登録 | 医薬品の販売・授与に従事しようとするときに都道府県知事の登録が必要。手数料は都道府県の条例等で規定 | 薬機法36条の8第2項・厚労省通知1(5) |
| 継続的研修 | 店舗販売業者は、店舗で業務に従事する登録販売者に研修を毎年度受講させなければならない。研修は講義で総時間数12時間以上 | 施行規則147条の11の3第1項・第3項第1号 |
| 研修の費用 | 研修実施機関は、受講者から実費に相当する額の負担金を徴収できる | 施行規則15条の11の3第5項(147条の11の3第4項で準用) |
| 追加的研修 | 管理者要件ⅱ(過去5年間のうち従事期間が通算1年以上)で店舗管理者になる場合に必要。少なくとも計6時間以上 | 施行規則140条1項2号ロ・厚労省 研修の実施要領 |
出典:e-Gov 法令検索 薬機法・薬機法施行規則(2026-10-04 取得の現行条文)、厚生労働省 通知(PDF)、厚生労働省 登録販売者に対する研修の実施要領(PDF)。
この表から言えることは3つです。
- 勤務先が負うのは、登録販売者に研修を「受講させる」義務です。一方、研修実施機関は受講者から実費に相当する負担金を徴収できます。この記事で挙げた条文・通知・実施要領には、勤務先と本人のどちらが負担するかを定めた規定はありません。就業規則や雇用契約で確認してください
- 「合格してすぐ店舗を任される」わけではありません。管理者要件ⅰは、1か月80時間以上の月が24か月(合計1,920時間)の積み上げです。数え方と例外は登録販売者の販売従事登録と実務経験のしくみで、通知の文言どおりに整理しています
- 第2類・第3類医薬品を扱う仕事に就くかどうかが、資格が役に立つかどうかの分かれ目です。第1類医薬品を扱う仕事だけを考えている場合は、登録販売者ではできません
「割に合わない」と感じる原因が、手続きや研修の負担なのか、勤務先の待遇なのかによって、確認する先が変わります。手続き・研修は上の表の根拠で、待遇は雇用契約と、困ったときは前の節の総合労働相談コーナーで確認できます。
継続的研修・追加的研修の時間数:継続的研修は毎年度少なくとも計12時間以上、追加的研修は少なくとも計6時間以上。最終確認日:2026-10-04。出典:厚生労働省 登録販売者に対する研修の実施要領(令和8年3月19日改正)。
制度の論点を問題で確認する(論点別問題):
制度から見た「向いている状況」と「やめておいたほうがよい状況」
ここまでの一次資料から言えることを、状況別にまとめます。仕事の向き不向きや待遇は人と職場によって違うため、制度で決まっていることだけを書きます。
| 状況 | 制度から言えること |
|---|---|
| 第2類・第3類医薬品の販売や相談対応に携わりたい | 法律が販売の担い手として名前を挙げているのは薬剤師と登録販売者だけ(36条の9) |
| 合格後すぐに店舗管理者として一人で店を任されたい | 管理者要件(ⅰ〜ⅲ)を満たすまでは研修中の登録販売者。管理者の経験がない人の最短はルートⅱ(過去5年間で通算1年以上の従事期間+研修の修了) |
| 第1類医薬品の販売まで担当したい | 登録販売者ではできない(薬剤師のみ) |
| 数年働けない期間がありそう | 管理者要件は「過去5年間のうち」で数えるので、5年より前の経験は数えられない |
| 毎年の研修の時間を確保できない | 登録販売者は施行規則に定める研修を毎年度受講することが前提とされている(厚労省通知7(2)①) |
まとめ
- 第2類・第3類医薬品の販売は薬剤師または登録販売者に限られ(薬機法36条の9)、登録販売者は店舗管理者にもなれる(28条2項)
- 第1類医薬品は扱えない。合格後は管理者要件を満たすまで「研修中の登録販売者」として、薬剤師などの管理・指導の下で働く
- 管理者要件は「過去5年間のうち」通算2年(またはⅱ・ⅲの1年)の従事期間で判断する
- 合格率は令和元年度〜令和7年度で40.7%〜49.3%(延べ人数)、令和7年度は都道府県で23.2%〜54.8%の差
- 令和7年の薬機法改正の概要に資格の廃止はなく、公表されているのは遠隔管理の下での受け渡し店舗などの販売方法の見直し
よくある質問
Q研修中の登録販売者は、一人で第2類・第3類医薬品を販売できますか?
できません。厚生労働省の通知「登録販売者制度の取扱い等について」は、店舗販売業者は研修中の登録販売者を、その店舗で勤務中の薬剤師または登録販売者(研修中の登録販売者を除く)の管理及び指導の下に業務に従事させなければならないとしています。研修中の登録販売者は店舗管理者の代行者にもなれません。
Q管理者要件の「過去5年間」とはどういう意味ですか?
店舗管理者になれる登録販売者の要件は、従事期間を「過去5年間のうち」で数えます。たとえば2年ルートは、過去5年間のうち従事期間の合計が通算2年以上であることが条件です。働いていない期間が長く、従事した期間が5年より前にしかない場合、その期間は数えられません。
Q別の都道府県の店舗に転職したら、販売従事登録をやり直す必要がありますか?
厚生労働省の通知は、販売従事登録は一つの都道府県知事の登録しか受けられないとしたうえで、「販売従事登録を行った都道府県以外の都道府県においても、一般用医薬品の販売等に従事しても差し支えない」としています。登録事項の変更などの手続きは、登録した都道府県の案内で確認してください。
Q登録販売者は第1類医薬品を販売できますか?
できません。薬機法第36条の9は、第1類医薬品は薬剤師に、第2類医薬品と第3類医薬品は薬剤師または登録販売者に販売させなければならないと定めています。
Q一夜漬けで登録販売者試験に受かりますか?
一夜漬けで合格できるかを示す公的な数字は、この記事で挙げた公的資料には載っていません。公式資料に書かれている事実は、試験が120問・240分で、合格基準が「総出題数に対して7割程度の正答」かつ「各試験項目ごとに都道府県知事が定める一定割合以上の正答」であることです。項目ごとの基準があるため、一部の章だけを覚える方法は、基準を満たせない場合があります。
Q仕事を辞めたいときは、何日前に伝えればよいですか?
民法第627条第1項は、雇用の期間を定めなかったときは、各当事者はいつでも解約の申入れをすることができ、申入れの日から2週間を経過すると雇用が終了すると定めています。期間を定めた契約は、第628条のとおり、やむを得ない事由がある場合に直ちに解除できる定めです。就業規則や契約の内容は職場ごとに違うため、不安があるときは総合労働相談コーナーなどに相談してください。
Q職場の人間関係がつらいときの相談先はありますか?
厚生労働省の総合労働相談コーナーは、各都道府県労働局や労働基準監督署内などに設置され、いじめ・嫌がらせ・パワハラなどあらゆる分野の労働問題を対象に、予約不要・無料で相談を受けるとしています。労働施策総合推進法第31条は、事業主に、職場の優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによって就業環境が害されないよう、相談に応じ適切に対応する体制の整備などの措置を講じることを義務づけています。
Q「登録販売者は役に立たない」と言われるのは、制度のどこが理由ですか?
制度から言える理由は主に3つです。①第1類医薬品は薬剤師しか販売できない(薬機法第36条の9)、②合格・登録してもしばらくは「研修中の登録販売者」として、薬剤師などの管理・指導の下で従事する(厚生労働省の通知)、③店舗管理者になるには過去5年間の従事期間などの要件がある(薬機法施行規則第140条)。一方で、第2類・第3類医薬品を販売させる相手として法律が名前を挙げているのは薬剤師と登録販売者だけで、登録販売者は要件を満たせば店舗管理者にもなれます(薬機法第28条第2項・第36条の9)。「役に立つかどうか」は、自分がどの区分の医薬品を扱う仕事をしたいかで変わります。
Q登録販売者は「割に合わない」と聞きますが、制度で決まっている負担は何ですか?
給与や手当の額を定めた法律・通知は、この記事で挙げた資料には記載がないため、金額で「割に合う・合わない」は判断できません。制度で決まっている負担は、受験手数料と販売従事登録の手数料(どちらも都道府県の条例等で規定)、毎年度12時間以上の継続的研修(勤務先が受講させる義務を負い、研修実施機関は受講者から実費に相当する額の負担金を徴収できます)、管理者要件ⅱを使う場合の6時間以上の追加的研修です。研修の負担金を勤務先と本人のどちらが負担するかを定めた箇所は、この記事で挙げた条文・通知・実施要領には記載がありません。勤務先の就業規則や雇用契約で確認してください。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

