電験3種(第三種電気主任技術者試験)で使える電卓は、四則演算と開平計算(√)ができるものだけです。関数電卓・数式記憶・印字機能付きが使えない理由、筆記とCBTでの扱いの違い、√が要る計算の検算つきの例を、電気技術者試験センターの規定で解説します。
目次
結論:電験三種(第三種電気主任技術者試験)で使える電卓は、電気技術者試験センターの規定で「四則演算、開平計算(√)を行うための電卓」です。数式が記憶できる電卓・関数電卓・印字機能を有する電卓は使えず、使うと不正行為になります。√キーは必須で、電卓の貸与はありません。メーカーや型番の指定はないため、本記事は機種を勧めず、規定を機能で確かめる方法を示します。
| 項目 | 規定の内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 使える電卓 | 四則演算、開平計算(√)を行うための電卓。開平機能付きを使うこと | 試験概要 |
| 使えない電卓 | 数式が記憶できる電卓、関数電卓、印字機能を有する電卓(受験案内はさらに電子パッド付き、定規付きを挙げる) | 試験概要・受験案内(冊子38頁) |
| 音 | 電卓から音を発することはできない | 試験概要・受験案内 |
| 貸与 | なし(持参する) | 試験概要・受験案内 |
| スマートフォン・携帯電話 | 電卓として使用できない | 受験案内(冊子38頁) |
| 台数(CBT方式) | 1台まで | 受験案内(冊子37頁)・センターのよくある質問 |
合格ナビが収録する電験三種の本試験問題352問のうち、選択肢がすべて数字だけの問題は85問です(理論26問・電力11問・機械31問・法規17問、2026-10-02集計)。電卓を使って数値を出す問題の目安で、1問ずつ電卓が要るかどうかを判定した数ではありません。
電卓の規定:四則演算と開平計算(√)を行うための電卓が使える。数式が記憶できる電卓、関数電卓、印字機能を有する電卓(受験案内は電子パッド付き、定規付きも)は使用できない。音を発することはできず、貸与はない。CBT方式は1台まで。最終確認日:2026-10-02。出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者の試験概要、令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 受験案内(冊子37〜39頁。確認日時点で掲載されている受験案内は上期のもの)。
電験三種で使える電卓:センターの規定の原文
試験概要の「使用可能な電卓」は、次のように書かれています(センター 第三種電気主任技術者の試験概要、確認日2026-10-02)。
- 「試験では、四則演算、開平計算(√)を行うための電卓を使用することができます。」
- 使用できない電卓として「数式が記憶できる電卓」「関数電卓」「印字機能を有する電卓」を挙げ、「使用した場合は、不正行為となりますのでご注意ください。」
- 「電卓の使用に際しては、音を発することはできません。」
- 「試験問題によっては、開平計算(√)が必要になりますので、開平機能付きの電卓を使用するようにしてください。また、電卓の貸与はありません。」
令和8年度上期の受験案内(冊子38頁「電卓について」)は、使えない電卓にさらに「電子パット付きの電卓」「定規付きの電卓」を加え、「電卓の目的外の機能のある電卓は使用できません」とも書いています。試験概要より受験案内のほうが細かいので、買う前に、受験する回の受験案内を確認してください。下期の受験案内は、確認日時点では掲載されていません。
試験概要の写真には、見出し「電気主任技術者試験で使用できる電卓の代表例」の下に「√キーの機能は必須です。」、「使用できない電卓の代表例」の下に「関数電卓は使用できません。」と添えられています。
「√キーが必須」とは:写真から読み取れること
センターの写真(受験案内の冊子39頁)には、「試験で使用できる電卓の代表例」として2台、「使用できない電卓の代表例」として2台が載っています。写真を見てわかるのは次の点です(機種名の記載はありません)。
- 使える例の2台には、√キーと%キー、メモリ系のキー(MRC・M−・M+)が付いています。1台は税抜・税込・税率のキーも付いた、事務用の形の電卓です
- 使えない例の2台は、三角関数や対数のキーが並ぶ、関数電卓の形です(写真に×印が付いています)
規定の文面は「数式が記憶できる電卓」の禁止で、メモリキー(M+ など)や%キーそのものの可否には触れていません。この点は、使える例の写真がメモリ系のキーの付いた電卓であることから読み取れますが、規定の文として書かれているわけではありません。個別の機種が使えるかどうかはセンターの判断になります。
使えない電卓と、不正行為になる場面
受験案内に書かれている、電卓まわりの決まりは次のとおりです(冊子33〜38頁、確認日2026-10-02)。
| 場面 | 受験案内の記載 | 注意点 |
|---|---|---|
| 禁止の電卓・電子機器を使った | 不正行為(失格行為)の例に「禁止としている電卓や電子機器を使用した場合」 | 失格になると試験結果通知書は送付されない |
| スマートフォン・携帯電話 | 「電卓として使用することはできません」 | 携帯電話・スマートウォッチ・イヤホン・パソコン・電子辞書なども電子機器として禁止 |
| 音 | 電卓から音を発することはできない | キー操作音の設定を事前に確認する |
| 時計(筆記方式の使用できるものの項) | 電卓機能・通信機能・アラーム音のある時計は使用できない | 電卓機能付きの時計は使えない |
| 貸与 | 電卓は貸与しない | 忘れたときの代わりは会場で用意されない |
悪質な不正行為により失格となった場合は、次回以降の受験を断られることがある、とも受験案内に書かれています。電卓は、試験の前日までに動作(電池・√キー)を確かめておきます。
筆記方式とCBT方式で、電卓の扱いはどう違うか
試験概要の「使用可能な電卓」は方式を分けずに書かれ、受験案内にも「電卓について(筆記方式/CBT 方式)」の項があります。センターのよくある質問も、CBT方式で使える電卓について受験案内の「電卓」の項を見るよう案内しています。違うのは、持ち込み方と台数です。
| 項目 | CBT方式 | 筆記方式 |
|---|---|---|
| 台数 | 1台まで(受験案内冊子37頁・センターのよくある質問) | 台数の記載は受験案内に確認できない |
| 当日の電卓の扱い | 受付後、手荷物をロッカーなどに預け、持参した電卓を持って試験室に入る | 着席後、受験票・筆記用具とともに机上に置く(受験案内冊子36頁) |
| 筆記用具・時計 | ボールペン(黒)とメモ用紙は会場で貸出し。持参の筆記用具や時計等は使用できない | HBの鉛筆またはシャープペンシルを持参。時計はアラーム音や電卓機能がないもの |
| 貸出される物以外の私物 | 電卓と、援助措置で許可されたもの以外は試験室に持ち込めない | — |
CBT方式と筆記方式の選び方は電験三種のCBT方式で扱っています。
「おすすめの電卓」を載せない理由と、機能での選び方
「電験3種 電卓 おすすめ」で調べると、機種の比較や順位づけが並びます。センターは機種や型番を指定していないため、本記事は機種名を挙げません。選ぶときは、次の順に機能で確かめられます。
- ① 開平(√)キーがある:試験概要が「√キーの機能は必須」としています
- ② 関数電卓ではない:三角関数・対数・累乗のキーが並ぶ電卓は使えません
- ③ 数式を記憶する機能(プログラム機能)がない:これも使えません
- ④ 印字機能・電子パッド・定規が付いていない:受験案内が挙げる条件です
- ⑤ キー操作音が出ない、または消せる:音を発することはできません
- ⑥ 試験室で操作しやすい:桁数と、手に合うキー配置です(センターの規定ではなく、使う人の感覚の話です)
100円ショップなどで売られている電卓も、規定は機能で書かれているため、購入場所や値段は条件になっていません。ただし、機種が規定に当たるかどうかの最終判断はセンターが行います。不安な場合は、受験総合支援センター(03-3552-7691、土・日・祝日を除く9時から17時15分、令和8年度の実施日程のご案内に記載)へ問い合わせてください。
√が要る計算の例:検算つきで追う
試験概要が「開平計算(√)が必要になります」と書くとおり、√は単発の補助ではなく、電気の計算に頻繁に出てきます。次の3例は、本記事用に作った数値例です(試験問題ではありません)。いずれも、四則演算と√だけで計算できます。
例①:短絡試験で漏れリアクタンスを出す
単相変圧器の二次側を短絡し、電圧120 V・電流24 A・電力1,152 Wを得たとします。
- インピーダンス Z=V/I=120÷24=5 Ω
- 抵抗 R=W/I²=1,152÷24²=1,152÷576=2 Ω
- 漏れリアクタンス X=√(Z²−R²)=√(25−4)=√21≒4.583 Ω
別の式で確かめます。皮相電力 S=VI=2,880 VA、有効電力 W=1,152 W なので、無効電力 Q=√(S²−W²)=√(8,294,400−1,327,104)=√6,967,296≒2,639.6 var、X=Q/I²=2,639.6÷576≒4.583 Ω。一致します。
短絡試験と短絡電流の問題を解く。
例②:三相電力から電流を出す(√3を使う)
線間電圧6,600 V、三相の有効電力600 kW、力率0.8の負荷の線電流を求めます。
- I=P/(√3・V・cosθ)=600,000÷(1.732×6,600×0.8)≒65.6 A(電卓に√3を打つと1.7320508…)
別の式で確かめます。皮相電力 S=P/cosθ=750 kVA、I=S/(√3・V)=750,000÷(1.7320508×6,600)≒65.6 A。逆算すると √3×6,600×65.6×0.8≒600,000 W(600 kW)で、元の値に戻ります。√3を1.732と覚えた値で代入しても65.61 Aで、差は0.003%です。
三相の線間電圧と電流を扱う問題を解く。
例③:三角関数のキーがなくても、無効電力は出せる
有効電力90 kW、力率0.6の負荷の無効電力を求めます。
- 皮相電力 S=P/cosθ=90÷0.6=150 kVA
- 無効電力 Q=√(S²−P²)=√(22,500−8,100)=√14,400=120 kvar
別の式で確かめます。cosθ=0.6のとき sinθ=√(1−0.36)=0.8 なので、Q=P×sinθ/cosθ=90×0.8÷0.6=120 kvar。関数電卓のsin・tanのキーは使っていません。力率と抵抗・リアクタンスの比から力率を出す問題は抵抗とリアクタンスの直列回路の力率(理論 問61)で解けます。使う数学の整理は電験三種の公式の「電験3種の数学」にまとめています。
四則演算だけで解ける問題もある
電卓に求められる機能は多くありません。次の問題は、四則演算と、πに3.14を使う程度で解けます。
- 三相変圧器の百分率リアクタンス(電力 問79)換算した値を基準容量と電圧で割る計算です
- かご形三相誘導電動機のトルク(機械 問66)同期速度と滑りから回転速度を出し、出力を角速度で割ります
- 変圧器の負荷力率を変えたときの効率(機械 問19)損失を求めて効率の式に代入します
- 二電力計法による三相電力(理論 問56)2台の電力計の指示値を足し引きします
問題を解く練習のときから、試験で使う電卓と同じ機種で解いておくと、キー配置と操作の手順に慣れます。
電験一種・二種の試験でも同じ電卓が使えるか
センターの第一種・第二種の試験概要にも、第三種と同じ文面の「使用可能な電卓」が載っています(第一種・第二種、確認日2026-10-02)。四則演算と開平計算(√)ができ、数式記憶・関数電卓・印字機能付きは使えません。√キーの機能は必須で、電卓の貸与はありません。二次試験は、ここでは扱いません。
試験の前に確かめること(チェックリスト)
- ① 受験する回の受験案内で、電卓の項(令和8年度上期は冊子38頁)を読んだ
- ② √キーがあり、関数電卓・数式記憶・印字機能・電子パッド・定規のいずれでもない
- ③ キー操作音が出ない(または消せる)
- ④ 電池が切れていない。電卓の貸与はない
- ⑤ スマートフォンやスマートウォッチを電卓代わりにしない
- ⑥ CBT方式は1台まで。ロッカーに荷物を預けたあと、電卓だけを持って入室する
- ⑦ 不安な機種は、試験の前にセンターへ問い合わせる
試験の全体像は電験三種とは(取り方・免除・窓口)、使う数学は電験三種の公式、参考書の選び方は電験三種の参考書を参照してください。
よくある質問
Q電験三種の試験に、スマートフォンの電卓アプリは使えますか?
使えません。電気技術者試験センターの令和8年度上期の受験案内には「スマートフォンや携帯電話等を電卓として使用することはできません」と書かれています。携帯電話・スマートウォッチ・スマートグラス・イヤホン・パソコン・電子辞書などの電子機器を使うと不正行為の扱いになり、失格となった場合は試験結果通知書も送付されません(確認日2026-10-02)。
Q100円ショップで売っている電卓でも、電験三種の試験に使えますか?
センターの規定は、売っている場所や値段ではなく機能で書かれています。√(開平)の計算ができ、数式が記憶できない・関数電卓ではない・印字機能がない・電子パッドや定規が付いていない・音が出ないなど、使えない条件に当たらなければ、規定上の問題はありません。ただし、個々の機種が規定に当たるかどうかを判断するのはセンターです。迷う機種は、試験の前に受験総合支援センター(03-3552-7691、土・日・祝日を除く9時から17時15分)へ問い合わせてください。
Q電験三種の試験に、電卓は何台まで持ち込めますか?
電気技術者試験センターのよくある質問では、第三種電気主任技術者試験のCBT方式は「1台のみ、電卓の持ち込みができます」と案内されています。令和8年度上期の受験案内も、CBT方式の使用できるものとして「電卓(1台まで)」と書いています。筆記方式の台数について、同じ受験案内に数字の記載は見当たりません。複数台を持ち込む前に、受験案内と試験センターの案内を確認してください。
Q電験一種・二種の試験でも、同じ電卓が使えますか?
電気技術者試験センターの第一種・第二種の「試験概要」にも、第三種と同じ文面の「使用可能な電卓」が載っています。四則演算と開平計算(√)を行うための電卓が使え、数式が記憶できる電卓・関数電卓・印字機能を有する電卓は使用できません。√キーの機能は必須で、電卓の貸与はありません(確認日2026-10-02)。二次試験は、本記事では扱いません。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

