電験三種(第三種電気主任技術者)に実技・技能の試験はあるのかを、電気技術者試験センターの試験概要・受験案内で確認しました。4科目の学科試験だけで合否が決まる仕組み、第一種・第二種の二次試験や電気工事士の技能試験との違い、実務経験と免状取得の流れを整理します。
目次
結論:電験三種(第三種電気主任技術者試験)に、実技や技能の試験はありません。電気技術者試験センターの試験概要では、理論・電力・機械・法規の4科目について「学科試験」を行い、解答方式はCBT方式またはマークシート(筆記方式)の五肢択一です。二次試験もありません。「実技」と混同されやすいのは、第一種・第二種電験の二次試験(記述方式)と、電気工事士の技能試験です。
| 試験 | センターが示す試験の方法 | 実技・技能の試験 |
|---|---|---|
| 第三種電気主任技術者(電験三種) | 理論・電力・機械・法規の4科目の学科試験(五肢択一) | なし |
| 第二種電気主任技術者 | 一次試験(4科目・マークシート)と二次試験(2科目・記述方式)。いずれも筆記試験 | なし(二次試験は記述方式の筆記) |
| 第一種電気主任技術者 | 同上 | なし(二次試験は記述方式の筆記) |
| 第二種電気工事士 | 学科試験と技能試験 | あり(技能試験) |
出典:電気技術者試験センターの試験概要(第三種・第二種・第一種・第二種電気工事士)。確認日2026-10-04。
電験三種に実技はあるか:試験は4科目の学科試験だけ
第三種電気主任技術者の試験概要は、試験を「電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物の主任技術者として必要な知識について、次の方法・内容により学科試験を行います。」と説明し、次の4科目を示しています。
| 科目 | センターが示す内容 |
|---|---|
| 理論 | 電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測 |
| 電力 | 発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料 |
| 機械 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理 |
| 法規 | 電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理 |
各科目の解答方式は「マークシートに記入(筆記方式)又はパソコンで解答(CBT方式)する五肢択一方式」です。試験概要のページと令和8年度上期の受験案内の本文に、「実技」「技能」「実地」「二次試験」の語はありません(2026-10-04 時点)。第三種の試験は、この4科目の学科試験で完結しています。法令でも同じで、電気事業法の規定に基づく主任技術者の資格等に関する省令の第6条第1項は、電気主任技術者試験を一次試験と二次試験に分けたうえで、「第三種電気主任技術者免状に係るものにあつては、二次試験を行わないものとする。」と定めています(条文の出典は e-Gov 法令検索。2026-10-04 時点の現行条文)。
試験は科目ごとに合否が決まり、4科目すべてに合格すれば試験合格です。一部の科目だけ合格した場合は「科目合格」となり、最初に合格した試験以降、申請により最大で連続して5回まで、その科目の試験が免除されます(試験概要)。
令和8年度下期の試験日程と受験手数料:申込受付 2026年11月9日(月)10時〜11月26日(木)17時。一次試験はCBT方式が2027年2月4日(木)〜2月28日(日)、筆記方式が2027年3月21日(日)。受験手数料はインターネット申込み7,700円(非課税)、郵送で書面の申込み8,100円(非課税)。最終確認日:2026-10-04。出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験。
科目ごとの内容と合格率は電験三種の合格率と難易度、科目合格の使い方は電験三種の科目合格で扱っています。
「実技」と間違えやすい3つの試験
「電験三種 実技」と検索する人が思い浮かべている試験は、多くの場合、次のどれかです。センターの試験概要で、それぞれ何をする試験なのかを確かめます。
① 第一種・第二種電験の二次試験
第二種の試験概要には、一次試験と二次試験を「いずれも筆記試験」で行うとあります。一次試験は4科目のマークシート方式、二次試験は「電力・管理」「機械・制御」の2科目で、解答方式は「記述方式」です。二次試験は同じ年度の一次試験の合格者及び一次試験免除者のみ受験できます(第二種の試験概要。第一種も同じ構成)。二次試験は実技ではなく、記述式の筆記試験です。
② 電気工事士の技能試験
第二種電気工事士の試験概要では、試験を「学科試験及び技能試験により行います」とし、技能試験は「持参した作業用工具により、配線図で与えられた問題を支給される材料で、一定時間内に完成させる方法」で行うと書かれています。電線の接続や配線工事を実際に作る試験で、電験三種にはこれに当たる試験がありません。電気工事士の技能試験の対策は電気工事士の技能試験対策、2つの資格の違いは電験三種と電気工事士の違いにまとめています。
③ 認定ルートの「実務経験」
認定ルートでは、学歴に加えて「実務の経験」が条件になります(次の章で説明します)。実際の現場の実務を積むことが求められますが、これは試験ではなく免状を申請するときの条件です。
「実技」を実務経験の意味で探している人へ:試験で取るなら実務経験は要らない
電験三種の免状を取る道は、法律上2つに分かれます。電気事業法第44条第2項は、主任技術者免状は次の各号のいずれかに該当する者に経済産業大臣が交付すると定めています(条文は e-Gov 法令検索で確認(2026-10-04 時点の現行条文):電気事業法)。
- 第一号:「主任技術者免状の種類ごとに経済産業省令で定める学歴又は資格及び実務の経験を有する者」(認定のルート)
- 第二号:第一種から第三種の電気主任技術者免状にあっては「電気主任技術者試験に合格した者」(試験のルート)
実務の経験が出てくるのは第一号です。免状の交付申請の書類も違います。電気事業法の規定に基づく主任技術者の資格等に関する省令の第4条では、第一号(認定)の申請には「学歴又は資格及び実務の経験を有することを証する書類」を添えるのに対し(第1項)、試験合格の申請は戸籍の抄本等と試験結果通知書を添えて提出するとされています(第2項・第3項)。試験合格の申請書類に、実務の経験を証する書類は含まれていません。
受験の条件も同じです。令和8年度上期の受験案内には「受験に対して制限や条件はございません。どなたでも受験ができます。」とあります。学歴・年齢・実務の経験は問われません。
実務の経験が関わるのは、免状を取ったあとの資格です。同じ受験案内の「資格の概要」には、第三種免状の取得者が電圧10,000V以上の電気施設で5年以上の保安監督の実務を経験すると、第二種電気主任技術者の資格を得ることができる、とあります。
| 場面 | 実務の経験 | 参照する記事 |
|---|---|---|
| 電験三種の試験を受ける | 不要(受験の制限・条件なし) | 電験三種の受験資格 |
| 試験に合格して免状を申請する | 不要(試験結果通知書などで申請) | 上の電気事業法第44条・省令第4条 |
| 学歴と実務の経験で免状を取る(認定) | 必要 | 実務経験なしで電験三種を取る方法 |
| 免状を取ったあとに第二種の資格を得る | 必要(受験案内の記載) | 電験三種でできること |
免状取得までの流れ
センターの「第三種電気主任技術者の資格取得フロー」(PDF)と令和8年度上期の受験案内に載っている流れを、試験のルートに絞って整理すると次のとおりです。
- ① 第三種電気主任技術者試験に申し込む(上期・下期ともに申込みができ、申込みは原則インターネット)
- ② CBT方式か筆記方式のどちらかで、4科目を受験する
- ③ 一部の科目だけ合格した場合は「科目合格」。次回以降の申込み時に科目合格者として申請する
- ④ 4科目すべてに合格する(試験合格)
- ⑤ 経済産業大臣に免状の交付を申請する(試験合格の場合)
- ⑥ 免状が交付される
受験案内の「はじめに」には、この試験に合格すると「所要の手続きを経て、経済産業大臣より第三種電気主任技術者免状が交付され」るとあり、センターは経済産業大臣から免状の交付事務も受託しています。申請の窓口・書類・手数料・日数は、センターの免状交付のページと最新の受験案内で確認してください。
流れの中に、技能試験や実地の審査にあたる段階はありません。免状を取ると、第三種では電圧50,000V未満の電気施設(出力5,000kW以上の発電所を除く)の保安監督にあたる電気主任技術者として選任を受けることができる、と受験案内に書かれています。
実技がないことの意味:筆記の4科目で決まる
試験が学科の筆記だけということは、合否が次の条件で決まるということです。
- 電卓:センターの試験概要では、使えるのは四則演算と開平計算(√)を行うための電卓です。数式が記憶できる電卓、関数電卓、印字機能を有する電卓は使えません。電卓の貸与はありません。計算の練習は、このルールの電卓でします(電験三種の電卓)
- 方式:CBT方式(パソコンで解答)か筆記方式(マークシート)を、受験者が選びます。CBT方式の違いは電験三種のCBTで扱っています
- 合格基準:各科目とも原則60点です。試験の難易度等から調整する場合があると受験案内に書かれています
- 科目合格:4科目を一度に通さなくても、最大で連続5回まで合格科目の免除を使えます
実技がない試験では、4科目の問題に慣れることが勉強の中心になります。センターが公表している過去の試験問題を使って、各科目で1問ずつ、どんな問われ方をするかを確かめてみてください。
- 内部抵抗と起電力を求める直流回路(理論・令和7年度下期)
- 発電機の比較(電力 問10)
- フローチャートに従ったプログラムの実行結果(機械 問56)
- 低圧電線路の漏えい電流の許容最大値を求める(法規・令和7年度下期)
機械の問題には、電気機器や制御のほかに、電力システムに関する情報伝送及び処理(フローチャートや論理演算)が含まれます。これも実技ではなく、筆記で解く範囲です。
4科目を解いて、筆記だけの試験の感触をつかむ
合格ナビには、電験三種の問題を352問(理論87問・電力90問・機械86問・法規89問)収録しています。センターが公表した本試験問題を、令和4年度上期から令和7年度下期までのうち令和6年度下期を除く7回分から収録したもので、すべての回・すべての問題を収録しているわけではありません(2026-10-02 集計)。
試験全体の流れは電験三種とは(取り方・免除・窓口)、免状でできることは電験三種でできることで扱っています。
よくある質問
Q電験三種に二次試験はありますか?
第三種にはありません。電気技術者試験センターの第三種の試験概要には、理論・電力・機械・法規の4科目を科目別に試験すると書かれていて、二次試験の記載はありません(確認日2026-10-04)。二次試験があるのは第一種・第二種で、一次試験の合格者などが受験でき、解答方式は記述方式です。
Q電験三種を取るのに、先に電気の仕事の経験は必要ですか?
試験で取る場合は必要ありません。令和8年度上期の受験案内に「受験に対して制限や条件はございません。どなたでも受験ができます。」と書かれています。実務の経験が条件になるのは、学歴と実務の経験で免状を申請する認定のルートです。認定の中身は、当サイトの別記事で扱っています。
Q電気工事士の技能試験の練習は、電験三種の勉強に役立ちますか?
電験三種の試験範囲に技能試験の内容は含まれません。センターが示す電験三種の4科目は、理論・電力・機械・法規で、電気工事士の技能試験(持参した工具で材料を使って施工する試験)に当たるものはありません。電気工事士の学科試験と電験三種の理論科目で範囲が重なる部分があるか、重なるとしてどの程度かは、センターは示していません。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

