電気工事士と電験(電気主任技術者)の違いを、根拠となる法律・できる仕事の範囲・免状の交付者・実務経験・試験の形・令和7年度の公表数値で比較します。第二種電気工事士が「主任技術者」になれるかも、電気主任技術者・許可主任技術者・主任電気工事士に分けて整理しました。
目次
結論:電気工事士は電気工事の作業に従事するための資格(電気工事士法)、電験(電気主任技術者)は事業用電気工作物の保安の監督のための資格(電気事業法)で、法律・免状の交付者・できる仕事が別です。電気技術者試験センターも「電気工事士は「工事・施工」、電気主任技術者は「保守・管理」が主な業務です。」と説明しています。第二種電気工事士の免状は電気主任技術者の免状の代わりにはなりませんが、条件を満たせば「主任電気工事士」になれ、一定の事業場では許可を受けて主任技術者に選任される場合もあります。
| 比べる点 | 第二種電気工事士 | 第一種電気工事士 | 第三種電気主任技術者(電験三種) |
|---|---|---|---|
| 根拠の法律 | 電気工事士法 | 電気工事士法 | 電気事業法 |
| 何の資格か | 電気工事の作業に従事する | 電気工事の作業に従事する | 事業用電気工作物の保安の監督 |
| 範囲 | 一般用電気工作物等の電気工事の作業 | 一般用電気工作物等と、自家用電気工作物(最大電力500キロワット未満の需要設備に限る)の電気工事の作業 | 電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所又は蓄電所を除く)の工事、維持及び運用の保安の監督 |
| 免状の交付者 | 都道府県知事 | 都道府県知事 | 経済産業大臣 |
| 試験 | 学科(四肢択一)と技能 | 学科(四肢択一)と技能 | 理論・電力・機械・法規の4科目(五肢択一)。二次試験なし |
| 免状に必要な実務経験(試験合格の場合) | 不要 | 3年以上 | 不要 |
条文の出典は e-Gov 法令検索です(2026-10-03 時点の現行条文。電気工事士法・電気工事士法施行規則・電気事業法・電気事業法施行規則)。
合格ナビには、第二種電気工事士の問題382問(公式の問題と当サイトが作った問題の合計)と、電験三種の本試験問題352問(令和4年度上期〜令和7年度下期のうち、令和6年度下期を除く7回分)を収録しています。問題文に「電気工事士法」と書かれている第二種電工の問題は10問、問題文に「主任技術者」と書かれている電験三種の問題は2問です(問題文のみ・選択肢は数えていません・2026-10-02 集計)。
電気工事士と電験の違い:工事の作業をする資格と、保安を監督する資格
電気技術者試験センターのよくあるご質問は、2つの資格を次のように説明しています。
電気工事士は、住宅等の電気工事の作業に従事するために必要な資格です。電気主任技術者は、特定の電圧以上で受電する事業場に設置される事業用電気工作物の保安監督を行うために必要な資格です。
出典:電気技術者試験センター よくあるご質問(14)
条文でも、役割が分かれています。
- 電気工事士法は、電気工事の作業に従事する人の資格を定める法律です。3条1項は、自家用電気工作物に係る電気工事の作業は第一種電気工事士でなければ従事してはならない(経済産業省令で定める作業を除く)、2項は、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業は第一種または第二種電気工事士でなければ従事してはならない(同)と定めています
- 電気事業法43条1項は、事業用電気工作物を設置する者に、工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから主任技術者を選任することを義務づけています
電験三種の免状だけでは、電気工事の作業に従事する資格にはなりません。電気工事士の免状だけでも、電気主任技術者として選任される資格にはなりません。電験三種で何ができるかは電験三種で何ができる?の記事に整理しています。
法令の違いに関する問題は、電気工事士の試験にも電験の試験にも出ています。
- 電気工事士法で、電気工事士でなければ従事できない作業を選ぶ(令和4年度下期(午後))
- 電気工作物の保安に関する法令の記述のうち、誤っているものを選ぶ(令和5年度上期(午後))
- 電気工事士法で、a・bともに電気工事士でなければ従事できない作業を選ぶ(令和6年度上期)
- 電気事業法に基づく主任技術者に関する記述の組合せ(令和5年度上期・電験三種 法規)
業務範囲の違い:電圧・設備の「どこまで」
電気工事士は、工事の対象の設備で区分されます。電気技術者試験センターの電気工事士の資格概要は、第一種電気工事士は「一般用電気工作物等及び自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備に限る。)の電気工事の作業」、第二種電気工事士は「一般用電気工作物等の電気工事の作業」に従事できると説明しています。自家用電気工作物から発電所・変電所・最大電力500キロワット以上の需要設備などが除かれていることは、電気工事士法2条2項に書かれています。
自家用電気工作物の工事には、特殊電気工事と簡易電気工事という区分があります(電気工事士法3条3項・4項)。特殊電気工事はネオン工事と非常用予備発電装置工事で(同法施行規則2条の2)、特種電気工事資格者の認定証の交付を受けている人でなければ、作業に従事できません(資格者の作業を補助する作業は除く)。簡易電気工事は、第一種電気工事士のほか、認定電気工事従事者の認定証の交付を受けている人も作業に従事できます。
電験は、監督する設備の電圧で区分されます(電気事業法施行規則56条)。
| 免状 | 保安の監督をすることができる範囲 |
|---|---|
| 第一種 | 事業用電気工作物の工事、維持及び運用 |
| 第二種 | 電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物の工事、維持及び運用 |
| 第三種 | 電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所又は蓄電所を除く)の工事、維持及び運用 |
どの免状も、ダム水路主任技術者やボイラー・タービン主任技術者が監督する範囲は除かれます(56条の表の括弧書き)。電気工事士が「作業」の資格、電験が「監督」の資格なので、同じ設備を対象にしても、持つ資格が求められる場面が違います。
免状・試験・実務経験の違い
| 比べる点 | 電気工事士 | 電験三種 |
|---|---|---|
| 免状を交付する人 | 都道府県知事(電気工事士法4条2項) | 経済産業大臣(電気事業法44条2項)。試験合格者の交付事務はセンターが受託 |
| 免状の申請先 | 居住地の都道府県庁の免状窓口(センター) | 試験合格はセンター、認定は産業保安監督部(電験三種の免状申請先) |
| 受験資格 | なし(センターの案内:「受験資格に実務経験は不要で、誰でも受験可能です。」) | なし(電験3種の受験資格) |
| 試験の構成 | 学科(四肢択一・筆記方式またはCBT方式)と技能(持参した作業用工具で、配線図で与えられた問題を、支給される材料で一定時間内に完成させる)の2段階 | 理論・電力・機械・法規の4科目、五肢択一(第三種は一次試験のみ) |
| 免状に必要な実務経験 | 第二種:試験合格のみで不要(電気工事士法4条4項1号)。第一種:試験合格に加えて電気に関する工事の実務経験3年以上(同条3項1号・施行規則2条の4) | 試験に合格した場合は不要(電気事業法44条2項2号) |
第一種電気工事士の実務経験は、試験に合格する前の経験も対象になります(センターの免状交付のページ)。対象外の工事は、軽微な工事・特殊電気工事・電圧5万ボルト以上の架空電線路・保安通信設備の工事です(施行規則2条の4第1項)。
第二種電気工事士は主任技術者になれる?「主任」は4つある
「電気工事士 主任技術者」と検索すると、制度の違う4つの「主任」が混ざります。第二種電気工事士の免状との関係を、根拠の条文で分けると次のとおりです。
| 呼び名 | 根拠 | 何をする人か | 第二種電気工事士との関係 |
|---|---|---|---|
| 電気主任技術者(電験) | 電気事業法43条1項・44条 | 事業用電気工作物の保安の監督。設置者が、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから選任する | 電気工事士の免状では当たらない(免状の種類が別) |
| 許可主任技術者 | 電気事業法43条2項 | 自家用電気工作物(小規模事業用電気工作物を除く)の設置者が、主務大臣の許可を受けて、免状のない者を主任技術者に選任する | 条件を満たす小規模な事業場では、第二種電気工事士が対象に含まれる区分がある(下で説明) |
| 主任電気工事士 | 電気工事業の業務の適正化に関する法律19条 | 登録電気工事業者の、一般用電気工事の業務を行う営業所ごとに置き、作業を管理する | 第二種電気工事士は、免状の交付を受けた後、電気工事に関し3年以上の実務の経験があれば、なれる |
| 建設業法の主任技術者 | 建設業法26条1項 | 建設工事の現場で、施工の技術上の管理をつかさどる | 別の制度(資格の要件は建設業法が定める) |
主任電気工事士:第二種電気工事士にも道がある
電気工事業の業務の適正化に関する法律19条1項は、登録電気工事業者に、一般用電気工事の営業所ごとに、作業を管理させるため「第一種電気工事士又は電気工事士法による第二種電気工事士免状の交付を受けた後電気工事に関し三年以上の実務の経験を有する第二種電気工事士」を主任電気工事士として置くことを求めています(e-Gov 法令検索・2026-10-03 時点)。主任電気工事士は、一般用電気工事の作業の管理の職務を行います(20条1項)。
許可主任技術者:第二種電気工事士が対象になる場合
電気事業法43条2項は、自家用電気工作物(小規模事業用電気工作物を除く)を設置する者が、主務大臣の許可を受けて、主任技術者免状の交付を受けていない者を主任技術者に選任できると定めています。許可の基準は、経済産業省の内規「主任技術者制度の解釈及び運用」にあります(令和7年4月1日改正までの版で確認)。
内規の2.(1)は、選任しようとする者の条件に、第一種電気工事士や高等学校で電気工学の所定の科目を修めて卒業した人などを挙げたうえで、「最大電力100キロワット未満(…)の需要設備又は電圧600ボルト以下の配電線路を管理する事業場のみを直接統括する事業場に係る場合」は、これらの人のほか、「電気工事士法第3条第2項に規定する第2種電気工事士」なども対象にしています。ただし、これは事業場の規模が小さい場合に限られ(選任する事業場は、最大電力500キロワット未満の需要設備などに限られます)、許可は保安上支障がないと認められる場合だけです。
次の点に注意してください。
- 許可主任技術者は、電気主任技術者の「免状」を取る制度ではありません。事業場ごとに設置者が許可を受けて選任する仕組みです
- 内規は改正されることがあります(2026-10-04 時点の版は令和7年4月1日改正まで)。許可の条件は、最新の内規と、事業場を管轄する産業保安監督部で確認してください
- 建設業法の主任技術者は、これらとは別の制度です
電験と電気工事士を両方取る:取得の順番に効く公式の決まり
どちらにも受験資格はなく、先に取らなければならない順番はありません。順番に影響する公式の決まりは、次の3つです。
- 電験の免状を持っていると、第二種電気工事士の学科試験が免除される:センターの第二種電気工事士の試験概要に、「第一種、第二種又は第三種電気主任技術者免状の取得者」は申請により学科試験が免除になると書かれています(免状の複写が必要)。技能試験は受けます
- 電験三種の免状を取った後、実務経験で第一種電気工事士の免状を取る道がある:センターの免状交付のページに、「電気主任技術者免状の取得者で、免状取得後5年以上電気工作物の工事、維持または運用に関する実務に従事していた方」は、都道府県知事に申請して第一種電気工事士免状の交付を受けられると書かれています。電験三種の受験案内(令和8年度上期)にも、同じ趣旨の案内があります
- 電気工事士の免状による電験三種の免除は、試験概要・受験案内に記載がない:電験三種の試験概要と受験案内には、電気工事士の免状を持っていることによる免除の記載がありません(2026-10-03 時点)
第一種電気工事士から電験三種へ進むときの学習内容は、第一種電工からのステップアップの記事で、新しく学ぶ領域ごとに整理しています。
難易度の違い:試験の形と、令和7年度の公表数値
試験の形が違うため、合格率を並べても同じ尺度では比べられません。
- 電気工事士は、学科試験の合格者などが技能試験を受ける2段階で、受験者と合格者の人数は学科と技能で別々に公表されます
- 電験三種は、4科目すべてに合格した人が合格者で、一部の科目だけ合格した人は「科目合格者」になります。受験者は1科目でも出席した人の合計です
| 試験(令和7年度) | 受験者 | 合格者 | 合格者÷受験者(当サイト算出) |
|---|---|---|---|
| 第二種電気工事士 学科試験 | 139,087人 | 78,711人 | 56.6% |
| 第二種電気工事士 技能試験 | 99,610人 | 71,471人 | 71.8% |
| 電験三種(第三種電気主任技術者) | 48,942人 | 6,365人 | 13.0% |
第二種電気工事士 令和7年度の受験者・合格者:学科試験は受験者139,087人・合格者78,711人、技能試験は受験者99,610人・合格者71,471人(上期・下期の合計。CBT方式を含む)。最終確認日:2026-10-03。出典:電気技術者試験センター 第二種電気工事士試験の試験結果と推移。
電験三種 令和7年度の受験者・合格者:受験者48,942人、合格者6,365人(上期・下期の合計。ほかに科目合格者13,539人)。最終確認日:2026-10-03。出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験の試験結果と推移。
受験者の層も、試験の構成も違うので、この数字から「どちらが難しい」とは言えません。電験三種の回ごとの合格率と科目別の内訳は電験三種の難易度と合格率の記事にまとめています。
どちらを取るか:目的で選ぶ
資格の違いは条文で決まっているので、取る資格は「何をしたいか」で選べます。
| したいこと | 対応する資格 | 根拠 |
|---|---|---|
| 住宅・店舗などの電気工事の作業をする | 第二種電気工事士 | 電気工事士法3条2項 |
| 工場・ビルなどの自家用電気工作物(最大電力500キロワット未満の需要設備)の電気工事の作業をする | 第一種電気工事士 | 電気工事士法2条2項・3条1項 |
| 事業用電気工作物の保安の監督(主任技術者)を担当する | 電験(電気主任技術者)。電圧5万ボルト未満の範囲なら第三種 | 電気事業法43条1項・施行規則56条 |
| 登録電気工事業者の営業所で、一般用電気工事の作業の管理をする | 第一種電気工事士、または第二種電気工事士(免状取得後3年以上の実務経験) | 電気工事業の業務の適正化に関する法律19条1項 |
両方を取るなら、電験を取ると第二種電気工事士の学科試験が免除になる点を、順番を決める材料の1つにできます。ただし、この記事は収入や求人の話はしません。仕事の面では、どの設備を相手にするかで、必要な資格が決まります。
電験三種側の法規の問題で、主任技術者の制度を確かめられます。
よくある質問
Q電験三種の免状だけで、電気工事の作業をしてもよいですか?
できません。電気工事の作業に従事できるのは電気工事士法3条で定められた資格者で、一般用電気工作物等の作業は第一種または第二種電気工事士、自家用電気工作物の作業は第一種電気工事士でなければ従事できません(経済産業省令で定める軽微な作業などを除く)。電験三種(第三種電気主任技術者)は電気事業法に基づく保安の監督の資格で、法律も目的も別です。
Q電気工事士の免状は、電験の免状と同じ窓口で申請しますか?
別です。電気工事士免状は都道府県知事が交付し(電気工事士法4条2項)、申請は居住地の都道府県庁の窓口です。電気主任技術者免状は経済産業大臣が交付し(電気事業法44条2項)、試験合格者の免状交付事務は電気技術者試験センターが受託しています。認定(学歴と実務経験)で取る場合は、住所地を担当する産業保安監督部です。
Q電験三種を持っていると、第二種電気工事士の試験で有利ですか?
公式に決まっているのは免除です。電気技術者試験センターの第二種電気工事士の試験概要では、第一種・第二種・第三種電気主任技術者免状の取得者は、申請により学科試験が免除になります(免除申請には免状の複写が必要)。技能試験は免除されません。
Q第二種電気工事士の免状で、主任技術者になれますか?
電気主任技術者(電験)の免状の代わりにはなりません。電験の免状は、試験に合格した人か、学歴と実務経験の認定を受けた人に交付されます(電気事業法44条2項)。一方、制度の違う別の「主任」があります。主任電気工事士(電気工事業の業務の適正化に関する法律19条)には、第二種電気工事士が免状の交付を受けた後に電気工事に関し3年以上の実務の経験を積めばなれます。許可主任技術者(電気事業法43条2項)は、経済産業省の内規で、最大電力100キロワット未満の需要設備または電圧600ボルト以下の配電線路を管理する事業場のみを直接統括する事業場に限り、第2種電気工事士が選任の対象に含まれます(許可は事業場ごとで、保安上支障がないと認められる場合だけです)。
Q電気工事士と電験三種は、どちらが難しいですか?
公表されている数字だけでは比べられません。令和7年度は、第二種電気工事士の学科試験が受験者139,087人・合格者78,711人(56.6%)、技能試験が受験者99,610人・合格者71,471人(71.8%)、電験三種が受験者48,942人・合格者6,365人(13.0%)でした(割合は当サイトの算出)。ただし、電気工事士は学科と技能の2段階の試験で、電験三種の受験者数は1科目でも出席した人の合計、合格者は4科目すべてに合格した人だけです。受験者の層も試験の形も違うので、同じ尺度では比べられません。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月3日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

