第二種電気工事士の実技(技能試験)を、電気技術者試験センターの令和8年度候補問題13問と「欠陥の判断基準」をもとに解説。合否の決まり方、複線図の書き方の手順、リングスリーブのサイズと刻印、当日のルールを表で整理し、同じ知識を問う学科の過去問へつなげます。
目次
結論:第二種電気工事士の実技は「技能試験」と呼ばれ、電気技術者試験センターが毎年公表する候補問題(令和8年度は No.1〜No.13)の配線図の中から出題されます。持参した工具で、支給される材料を使い、40分で配線図どおりの作品を完成させます。合否は点数ではなく、センターの「欠陥の判断基準」に当てはまる欠陥がない作品かどうかで決まります。対策の柱は、複線図を短時間で正しく描くこと、リングスリーブの選択と刻印、判断基準にある寸法を手で覚えることの3つです。センターが公表している令和6〜8年度の実施日10日分では、どの日も公表問題No.1〜No.13の13種類が出題された問題として掲載されているので、13問のどれが出ても作れる状態にしておくのが対策の目標です。
合格ナビの第二種電気工事士の問題382問のうち、リングスリーブを扱う問題は7問、配線図で「最少電線本数(心線数)」を問う問題は6問です。いずれも令和4〜7年度の学科試験の過去問です(2026-10-02 集計)。当サイトが扱うのは学科試験の問題で、技能試験そのものの練習はできませんが、複線図とリングスリーブの知識は学科の過去問で確かめられます。
この記事のルールと数値は、電気技術者試験センターの公表資料(令和8年度第二種電気工事士技能試験候補問題の公表について・電気工事士技能試験(第一種・第二種)欠陥の判断基準・技能試験の概要と注意すべきポイント(令和8年3月))を2026-10-02に確認して書いています。
電気工事士の技能試験(実技)の概要
| 項目 | 第二種電気工事士 | 第一種電気工事士 |
|---|---|---|
| 令和8年度の候補問題 | No.1〜No.13 | No.1〜No.10 |
| 試験時間 | 40分 | 60分 |
| 出題の範囲 | 一般用電気工作物等の電気工事に係る基本的な作業 | 最大電力500kW未満の自家用電気工作物及び一般用電気工作物等の電気工事に係る基本的な作業 |
| 工具 | 持参する(電動工具は使用不可) | 同じ |
| 材料 | 試験会場で支給される | 同じ |
| 合否 | 欠陥のない作品が合格 | 同じ |
| 受験できる人 | 学科試験の合格者又は学科試験免除者 | 同じ |
出典は、候補問題の公表資料(第二種・第一種)と、センターの試験概要(第二種・第一種)です。この記事は受験者が多い第二種を中心に説明し、第一種との違いは後半の章で扱います。
技能試験では何をするのか(当日の流れと合否の決まり方)
当日は、試験問題と「材料箱」が配られ、監督員の指示で試験問題の表紙にある材料表と中身を照らし合わせます。センターの資料は「試験開始後の材料交換には一切応じることができません」としているので、不足や不備はこの時点で申し出ます(例外として、端子ねじ・リングスリーブ・差込形コネクタは、作業のやり直しなどで不足したときに申し出れば追加支給されます。下の「当日のルール」の表を参照)。開始の合図で試験問題を開き、配線図と施工条件に従って作品を作ります。作業は椅子に座って行います。
合否は「欠陥があるかないか」で決まる
センターの「技能試験の概要と注意すべきポイント」は、合否について「欠陥のない作品が合格となります」と書いています。点数を積み上げる試験ではなく、判断基準に当てはまる欠陥が1つでもあれば合格になりません。
同じ資料は、技能試験で重視する能力として「① 回路を的確に構成する能力」「② 配線図や施工条件を理解し遵守する能力」「③ 接続等の作業を的確に行う能力」の3つを挙げています。②について「回路が電気的に正しく結線されていたとしても,欠陥であると判断します」とあるとおり、電気が正しく流れる回路でも、施工条件(電線の色、接続方法など)と違えば欠陥です。
技能試験は難しい?(合格率)
第二種電気工事士 技能試験の合格率:令和8年度上期は受験者58,393人のうち合格者42,875人で73.4%(令和7年度は上期・下期の合計で受験者99,610人・合格者71,471人、71.8%)。最終確認日:2026-10-02。出典:電気技術者試験センター 第二種電気工事士試験の試験結果と推移。
裏返すと、令和7年度は受験者の28.2%(28,139人)が不合格でした。学科試験の合格者と免除者だけが受ける試験でこの割合なので、「練習した課題をそのまま作れば受かる」とは言えません。欠陥の判断基準を知らずに作ると、完成していても不合格になります。合格率の年度ごとの推移は第二種電気工事士の合格率の分析で扱っています。
合格率の推移(令和3年度〜令和8年度上期)と「難しさ」の見方
センターが公表している試験結果から、第二種電気工事士の技能試験の受験者数・合格者数と、そこから計算した合格率を年度ごとに並べました。
| 年度 | 技能試験の受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和3年度 | 116,276人 | 84,684人 | 72.8% |
| 令和4年度 | 97,659人 | 70,888人 | 72.6% |
| 令和5年度 | 95,337人 | 67,749人 | 71.1% |
| 令和6年度 | 94,238人 | 66,215人 | 70.3% |
| 令和7年度 | 99,610人 | 71,471人 | 71.8% |
| 令和8年度上期のみ | 58,393人 | 42,875人 | 73.4% |
出典:電気技術者試験センター 第二種電気工事士試験の試験結果と推移(更新:令和8年8月、2026-10-04 時点)。各年度は上期と下期の合計です。技能試験を受けるのは学科試験の合格者と免除者で、令和5年度以降の数値にはCBT方式の受験者・合格者を含みます。合格率は「合格者÷受験者」で当サイトが計算しました(受験申込者ではなく、実際に受験した人が分母です)。
検算:令和7年度は 99,610−71,471=28,139人が不合格で、28,139÷99,610=28.2%。合格率71.8%との合計は 71.8+28.2=100% です。
この表から言えるのは次の3点です。
- 令和3〜7年度の5年度では、技能試験の合格率は 70.3%〜72.8% の範囲に収まっている
- 不合格になった人は毎年およそ2万6千〜3万2千人いる(令和3〜7年度の各年度で 26,771〜31,592人)
- センターのよくあるご質問(11)「難しい試験ですか?」は、「難易度の感じ方には個人差があります。」としたうえで、公表されている過去の問題で自分にとっての難易度を判断するよう案内しています(センター よくあるご質問、2026-10-04 時点)。技能試験については、公表された合格率と欠陥の判断基準から読み取ることになります
学科試験の合格率(令和7年度は56.6%)より技能試験の合格率が高いからといって、技能試験のほうが易しいとは言えません。技能試験を受けるのは学科試験の合格者か免除者で、母集団が違います。公表資料から「実技が難しい」と言える理由を挙げるなら、合否が点数ではなく欠陥の有無で決まり、欠陥が1つでもあれば合格にならないこと、40分という限られた時間で作ること、の2点です。欠陥の判断基準と作品の点検は、この記事の後半の章で扱います。
令和8年度の候補問題13問(No.1〜No.13)
センターは令和8年1月16日に候補問題を公表し、「令和8年度の技能試験問題は,次のNo.1~No.13の配線図の中から出題します」「試験時間は,すべての問題について40分の予定です」と示しています。配線図や施工条件の詳細は試験問題に書かれます。下の表は、公表資料の配線図に書かれている表示を当サイトが書き出したものです(配線図そのものは公表資料のPDFで確認してください)。
| No. | 電源(図の表示) | 図に書かれている主な表示 |
|---|---|---|
| 1 | 1φ2W 100V | EM-EEF 2.0-2C、Hの付いたスイッチ |
| 2 | 1φ2W 100V | VVF 2.0-2C、特記「確認表示灯(パイロットランプ)は,常時点灯とする。」 |
| 3 | 1φ2W 100V | VVF 2.0-2C、TS、Eの付いたコンセントと接地線 E1.6 |
| 4 | 1φ2W 100V と 3φ3W 200V | B と BE、VVF 2.0-3C、電源表示灯、M(3φ200V・施工省略) |
| 5 | 100V と 200V(対地電圧150V以下) | B と BE、VVF 2.0-3C、E 20A 250V のコンセント |
| 6 | 1φ2W 100V | VVF 2.0-2C、3の付いたスイッチ2個、露出形のコンセント |
| 7 | 1φ2W 100V | VVF 2.0-2C、3の付いたスイッチ2個と4の付いたスイッチ1個 |
| 8 | 1φ2W 100V | B 2個、VVR 2.0-2C、TR、Rイ・Rロ・Rハの付いたスイッチ |
| 9 | 1φ2W 100V | VVF 2.0-2C、EETの付いたコンセントと接地線 E1.6 |
| 10 | 1φ2W 100V | B、VVF 2.0-2C、特記「確認表示灯(パイロットランプ)は,同時点滅とする。」 |
| 11 | 1φ2W 100V | VVF 2.0-2C、IV 1.6(E19)の配管部分 |
| 12 | 1φ2W 100V | VVF 2.0-2C、IV 1.6(PF16)の配管部分 |
| 13 | 1φ2W 100V | VVF 2.0-2C、A(3A)、VVR 1.6-2C、Eの付いたコンセントと接地線 E1.6 |
No.1 に出てくる EM-EEF と VVF の材質や外装のむき方の違いはEM-EEFケーブルとVVFの違いにまとめています。
公表資料の注記によると、図記号は原則として JIS C 0303:2000 に準拠し、「記載のない電線の種類は,VVF1.6とする」、器具は「端子台で代用する場合がある」とされています。No.11・No.12 は電線管の部分を含むため、判断基準の「9.金属管工事部分」「10.合成樹脂製可とう電線管工事部分」が関係します。
令和8年度下期 第二種電気工事士 技能試験の日程:2026年12月12日(土)または12月13日(日)。最終確認日:2026-10-02。出典:電気技術者試験センター 第二種電気工事士試験。
候補問題は毎年同じ?
当サイトで、令和6年度・令和7年度・令和8年度の第二種の候補問題PDFを突き合わせました。年度・日付と前書きの一部の言い回しを除いて、No.1〜No.13 の配線図に書かれた表示は3年とも同じで、図を構成する線や記号の数もページごとに一致しました(2026-10-02 時点)。ただし、センターは候補問題を毎年公表するとしており、翌年度も同じとは限りません。受験する年度の公表資料を必ず確認してください。
この論点の問題を解く(学科)
第二種電気工事士の実技は何が出た?(令和6〜8年度の出題実績)
電気技術者試験センターの「第二種電気工事士試験の問題と解答」には、技能試験の問題が実施日ごとに公表されています。各実施日のページには「出題された問題は、以下の13種類です。」と書かれ、公表問題No.1〜No.13の試験問題と解答のPDFが並んでいます。令和6年度から令和8年度上期までの5回(各回2日間)は、10日すべてが13種類でした(2026-10-03 時点)。
| 回 | 実施日 | センターの掲載ページ |
|---|---|---|
| 令和8年度上期 | 2026年7月18日(土) | 出題された13種類 |
| 令和8年度上期 | 2026年7月19日(日) | 出題された13種類 |
| 令和7年度下期 | 2025年12月13日(土) | 出題された13種類 |
| 令和7年度下期 | 2025年12月14日(日) | 出題された13種類 |
| 令和7年度上期 | 2025年7月19日(土) | 出題された13種類 |
| 令和7年度上期 | 2025年7月20日(日) | 出題された13種類 |
| 令和6年度下期 | 2024年12月14日(土) | 出題された13種類 |
| 令和6年度下期 | 2024年12月15日(日) | 出題された13種類 |
| 令和6年度上期 | 2024年7月20日(土) | 出題された13種類 |
| 令和6年度上期 | 2024年7月21日(日) | 出題された13種類 |
この公表から読み取れるのは次の3点です。
- 出題は候補問題の13種類で、受験前にどれが当たるかはわからない。13問のすべてを作れる状態にしておくことが対策になる
- 公表されているのは実施日ごとの出題問題で、都道府県ごとの出題は、このページには載っていない。「どの課題が多く出る」といった予想は、公表資料からは言えないので書きません
- 配線図に書かれていない条件は、試験問題の「施工条件」で示される
試験問題には何が書かれているか(施工条件の例)
試験問題は、表紙の材料表、配線図、施工条件で構成されています。令和8年度上期(2026年7月19日実施)の公表問題No.1では、施工条件に次のように書かれています。
電線の色別(絶縁被覆の色)は,次によること。①電源からの接地側電線には,すべて白色を使用する。②電源から点滅器までの非接地側電線には,すべて黒色を使用する。③次の器具の端子には,白色の電線を結線する。(ランプレセプタクルの受金ねじ部の端子・引掛シーリングローゼットの接地側極端子(接地側と表示))
出典:令和8年度上期 第二種電気工事士 技能試験(2026年7月19日実施)公表問題No.1 施工条件(一般財団法人電気技術者試験センター)。原文の箇条書きは、続けて書いています。
同じ問題には、「VVF 用ジョイントボックス部分を経由する電線は,その部分ですべて接続箇所を設け,接続方法は,次によること。①A部分は,リングスリーブによる接続とする。②B部分は,差込形コネクタによる接続とする。」という施工条件もあります。接続方法は施工条件で指定され、違えば欠陥(判断基準の2-4)です。
同じ試験問題の「なお」書きには「電線接続箇所のテープ巻きや絶縁キャップによる絶縁処理は省略する。」とあります。技能試験では絶縁処理を省略しますが、学科試験では終端接続部分の絶縁処理が問われます。
この論点の問題を解く(学科)
技能試験の試験地と日程(県別・令和8年度下期)
技能試験は、試験地によって試験日が分かれます。センターの受験案内には、技能試験の日が試験地ごとに12月12日(土)か12月13日(日)に設定され、「× 印のある日は、技能試験を実施しません。」と書かれています。学科試験(筆記方式)は、全試験地で10月25日です。
令和8年度下期 第二種電気工事士 技能試験の試験地別の試験日:52試験地のうち、12月12日(土)が30試験地、12月13日(日)が22試験地。受験申込み時に選ぶのは試験地までで、試験会場は選べません。令和8年度下期の申込受付は2026年9月3日に終了。最終確認日:2026-10-03。出典:電気技術者試験センター 令和8年度第二種電気工事士下期試験 受験案内(試験地の一覧表)。
| 地区(受験案内の区分) | 12月12日(土) | 12月13日(日) |
|---|---|---|
| 北海道 | 旭川市・北見市・釧路市・室蘭市・函館市 | 札幌市 |
| 東北(新潟県を含む) | 宮城県・新潟県 | 青森県・岩手県・秋田県・山形県・福島県 |
| 関東 | 栃木県・群馬県・東京都 | 茨城県・埼玉県・千葉県・神奈川県・山梨県 |
| 中部 | 長野県・岐阜県・静岡県・三重県 | 愛知県 |
| 北陸 | 富山県・福井県 | 石川県 |
| 関西 | 京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県 | 滋賀県・大阪府 |
| 中国 | 鳥取県・岡山県・山口県 | 島根県・広島県 |
| 四国 | 徳島県・愛媛県・高知県 | 香川県 |
| 九州 | 佐賀県・熊本県・大分県・宮崎県 | 福岡県・長崎県・鹿児島県 |
| 沖縄 | (実施なし) | 沖縄県 |
検算:12月12日は 5+2+3+4+2+4+3+3+4+0=30、12月13日は 1+5+5+1+1+2+2+1+3+1=22 で、合計52試験地になります。
この表は令和8年度下期のものです。受験する回の日程は、その回の受験案内の試験地一覧で確認してください。離島での開催はありません。
欠陥の判断基準:不合格になる12の区分
センターの「電気工事士技能試験(第一種・第二種)欠陥の判断基準」は、欠陥を12の区分で定めています。下の表は区分ごとの要点と、基準に書かれている数値をまとめたものです(細目は原文で確認してください)。
| 区分 | 主な内容 | 基準にある数値 |
|---|---|---|
| 1.未完成 | 作品が完成していない | — |
| 2.配置・寸法・接続方法の相違 | 配線・器具の配置、電線の種類、接続方法が配線図や施工条件と違う | 寸法が配線図の50%以下 |
| 3.誤接続・誤結線 | 回路のつなぎ方が違う | — |
| 4.色別・極性の相違 | 電線の色や器具の極性が施工条件と違う | — |
| 5.電線の損傷 | 外装・絶縁被覆・心線の傷、より線の減線 | 外装の縦われ20mm以上。リングスリーブの下端から10mm以内の絶縁被覆の傷は欠陥としない |
| 6.リングスリーブ | スリーブの選択や刻印の誤り、1つのスリーブに2つ以上の刻印、1か所に2個以上のスリーブ、心線の先端が上から見えない、絶縁被覆の上から圧着 | 上端から心線5mm以上の露出、下端から心線10mm以上の露出、外装のはぎ取り不足で絶縁被覆が20mm以下 |
| 7.差込形コネクタ | 先端を真横から見て心線が見えない、下端で心線が見える | — |
| 8.器具への結線 | ねじの締め付け不良、被覆のむき過ぎ、被覆の締め付け、心線の左巻き、ケーブル外装が台座に入っていない など | 端子台(低圧側)・配線用遮断器などで心線5mm以上の露出、ねじなし端子の差込口から2mm以上(引掛シーリングローゼットは1mm以上)、引掛シーリングローゼットで絶縁被覆が台座の下端から5mm以上 |
| 9.金属管工事 | 部品の位置・接続、止めねじをねじ切っていない、ボンド工事 | — |
| 10.合成樹脂製可とう電線管工事 | 部品の位置、管が抜ける・すき間がある | — |
| 11.取付枠 | 指定外の箇所で使う、裏返し、器具の位置 | — |
| 12.その他 | 支給品以外の材料、不要・余分な工事、器具の破損 など | — |
実際に多い欠陥
センターの資料は、多く見られる欠陥として「1.未完成のもの」「3.誤接続,誤結線のもの」「6-1.リングスリーブ用圧着工具の使用方法が適切でないもの」「8-10.引掛シーリングローゼットへの結線で,絶縁被覆が台座の下端から5mm以上露出したもの」「8-7.ランプレセプタクル又は露出形コンセント等の巻き付けによる結線部分の処理が適切でないもの」を挙げています。未完成には時間内に仕上げる練習、誤接続には複線図を正しく描く練習が対策として書かれています。
また、判断基準の数値は試験のための許容範囲で、同じ資料は「実際の工事では限りなく0mm に近い施工が求められている」と注意しています。基準ぎりぎりを狙わず、余裕をもって収めるのが安全です。
この論点の問題を解く(学科)
複線図の書き方(手順と検算)
候補問題の配線図は単線図で書かれていて、1本の線がケーブル1本を表します。作業の前に、電線1本ずつを描いた複線図に直すと、つなぐ相手と本数がはっきりします。センターの資料も、誤接続を防ぐために「複線図を正しく描く練習」を挙げています。
この章は手順の要約です。器具ごとの端子と電線の色の対応、接続点ごとのスリーブの決め方、書き間違いが欠陥になる例まで含めた詳しい説明は、第二種電気工事士の複線図の書き方にまとめています。
手順は次のとおりです。
- ① 単線図のとおりに、電源・接続点(ジョイントボックス)・器具を配置する
- ② 電源の接地側の電線を、点滅器以外のすべての器具(電灯・コンセントなど)に結ぶ。点滅器には接地側を通さない
- ③ 電源の非接地側の電線を、すべての点滅器とコンセントに結ぶ
- ④ 点滅器と、それで点滅させる器具を結ぶ(返り線)。図の「イ」「ロ」の記号で組合せを確かめる
- ⑤ 3路スイッチがあれば、3路スイッチどうしの間を2本で結び、片方の3路スイッチに非接地側、もう片方から器具へ返り線を出す。4路スイッチは3路スイッチどうしの間に入る
- ⑥ 接続点ごとに、つながる電線の太さと本数を書き出し、リングスリーブか差込形コネクタかを施工条件どおりに決める
- ⑦ 施工条件の色の指定を書き込む
施工条件の例として、センターの資料には「電源からの接地側電線は,すべて白色を使用する。」「電源から点滅器までの非接地側電線は,すべて黒色を使用する。」が示されています。色の指定は問題ごとに試験問題で示されるので、必ずその問題の施工条件に従います。
例:スイッチ1個・電灯1個・コンセント1個の場合
当サイトが作った例で確かめます。電源(VVF 2.0-2C)が接続点1か所に入り、そこから片切スイッチ・ランプレセプタクル・コンセントに VVF 1.6-2C で分かれる回路です。
| 接続する電線 | つながる心線 | スリーブと刻印 |
|---|---|---|
| 接地側(白) | 電源 2.0mm・ランプレセプタクル 1.6mm・コンセント 1.6mm | 小(刻印「小」) |
| 非接地側(黒) | 電源 2.0mm・スイッチ 1.6mm・コンセント 1.6mm | 小(刻印「小」) |
| 返り線 | スイッチ 1.6mm・ランプレセプタクル 1.6mm | 小(刻印「○」) |
検算を2通りで行います。1つ目は心線の数です。接続点に入るケーブルは4本で、それぞれ2心なので心線の端は 4×2=8本。表の合計は 3+3+2=8本で一致するので、つなぎ忘れや余りはありません。2つ目は点滅器の確認です。スイッチから出る2本は「非接地側」と「返り線」に入っていて、接地側には入っていません。手順②のとおり、点滅器に接地側が通っていないことが確かめられます。
この論点の問題を解く(学科の配線図問題)
リングスリーブのサイズと刻印(選び方・覚え方)
リングスリーブ(E形)には小・中・大の3種類があり、センターの資料は「「電線の径」と「接続する本数」に応じて,正しいリングスリーブを選択する必要があります」としています。下の表は、JIS C 2806 に準拠した組合せ(同資料 p.22 に掲載)から、第二種でよく使う直径1.6mmと2.0mmの組合せを当サイトが抜き出したものです。
| 接続する電線(直径) | スリーブ | 刻印 |
|---|---|---|
| 1.6mm × 2本 | 小 | ○ |
| 1.6mm × 3〜4本 | 小 | 小 |
| 2.0mm × 2本 | 小 | 小 |
| 2.0mm × 1本 + 1.6mm × 1〜2本 | 小 | 小 |
| 1.6mm × 5〜6本 | 中 | 中 |
| 2.0mm × 3〜4本 | 中 | 中 |
| 2.0mm × 1本 + 1.6mm × 3〜5本 | 中 | 中 |
| 2.0mm × 2本 + 1.6mm × 1〜3本 | 中 | 中 |
| 2.0mm × 3本 + 1.6mm × 1本 | 中 | 中 |
大スリーブの組合せと、直径2.6mmを含む組合せは同資料で確認してください。
覚え方:表の「境目」だけを押さえる
- 1.6mm と 2.0mm の組合せでは、刻印が「○」になるのは 1.6mm 2本のときだけ。同じ小スリーブでも、1.6mm 3本以上や 2.0mm が入ると刻印は「小」
- 2.0mm が入って小スリーブで済むのは「2.0mm 2本」か「2.0mm 1本+1.6mm 1〜2本」まで。それより多ければ中
- 1.6mm だけなら、4本までが小、5〜6本が中
工具は、センターの資料が「握り部分の色が黄色のもの」で「○,小,中,大の刻印が明確にでるもの」を使うよう求めています。圧着端子用の工具を使って刻印が数字になったものは、正しい工具を使ったと認められず欠陥になります。
この論点の問題を解く(学科)
- リングスリーブの種類と圧着マークの組合せで不適切なもの(令和7年度下期 問19)
- リングスリーブの種類と圧着マークの組合せで不適切なもの(令和5年度上期午後 問19)
- 絶縁電線相互の接続で不適切なもの(令和4年度下期午前 問19)
合格するための作業順(コツ)と作品の点検
合否は欠陥の有無で決まるので、コツは「欠陥になる箇所を、作業の順に1つずつつぶす」ことです。次の作業順と点検は、センターの欠陥の判断基準とよくある欠陥に対応させた当サイトの例です。センターが作業順を指定しているわけではありません。
| 順 | やること | 防ぐ欠陥(判断基準の番号) |
|---|---|---|
| 1 | 材料表と支給材料を照合し、不足・不備は開始前に申し出る | 12(支給品以外の材料)、1(未完成) |
| 2 | 施工条件を読み、配置・色・接続方法を確認して複線図を描く | 2-1・2-4、3、4 |
| 3 | 配線図の寸法どおりに電線を切る | 2-2(寸法が配線図の50%以下) |
| 4 | ケーブル外装と絶縁被覆をはぎ取る(傷とむき過ぎに注意) | 5、6-2、8-3 |
| 5 | 電線相互を接続する(リングスリーブ・差込形コネクタ) | 6-1、6-2、7 |
| 6 | 器具へ結線する | 8-1〜8-10 |
| 7 | 点検する(時間を残す) | 全区分 |
センターの資料は、「施工条件で配線の方法が指定されている場合にはそれに従ってください」と注意しています。手順2で施工条件を読み落とすと、電気的に正しい回路でも欠陥になります。
作品の点検チェックリスト
センターは「本番の試験では,完成した作品の見直しを忘れずに行いましょう」と案内しています。見直しの順番の例は次のとおりです。
| 見る箇所 | 欠陥の判断基準 | 確認すること |
|---|---|---|
| 完成しているか | 1 | 器具・取付枠・接地線の取り付けと結線のし忘れがないか |
| 回路は正しいか | 3 | スイッチを入れてランプが点灯する回路か。短絡していないか |
| 電線の色・器具の極性 | 4 | 白・黒が施工条件どおりか。白をつなぐ端子(受金ねじ部など)に白がつながっているか |
| リングスリーブ | 6-1、6-2 | サイズと刻印が組合せ表どおりか。心線の先端が上から見えるか。上端から心線5mm以上・下端から10mm以上の露出がないか。1つに圧着マークが2つ以上ないか |
| 差込形コネクタ | 7 | 先端側から心線が見えるか。下端側から心線が見えないか |
| 器具への結線 | 8-1〜8-10 | ねじの締め付け、被覆の締め付け、心線の巻き方(左巻きでない)、露出(5mm以上・差込口から2mm以上)がないか |
| 電線の傷 | 5 | 外装の縦われ(20mm以上)、折り曲げたときに心線が露出する傷がないか |
数値は欠陥の判断基準に書かれている試験の許容範囲で、実際の工事では限りなく0mmに近い施工が求められると、センターは注意しています。
この論点の問題を解く(学科)
- リングスリーブの種類と圧着マークの組合せで不適切なもの(工事の方法 問21)
- リングスリーブの種類と圧着マークの組合せで不適切なもの(工事の方法 問26)
- 終端接続部分の絶縁処理として不適切なもの(工事の方法 問116)
練習の進め方と時間配分(いつから・1ヶ月で間に合うか)
候補問題は毎年公表され、令和8年度分は令和8年1月16日に公表されました。技能試験は学科試験の合格者か学科試験の免除者が受ける試験ですが、候補問題は公表された時点から練習できます。令和8年度下期は、学科試験(筆記方式)が10月25日、技能試験が12月12日または13日の予定です。
練習期間の長さで合否が決まるわけではありません。合否は欠陥の有無で決まるので、目安は「13問を一通り作り、判断基準の表で自分の作品を点検して欠陥がない状態にできること」です。進め方の例を示します。
| 段階 | やること(例) |
|---|---|
| 1 | 13問すべての複線図を描き、接続点ごとのスリーブと刻印を書き出す |
| 2 | 13問を時間を気にせず一通り作り、判断基準の12区分で点検する |
| 3 | 欠陥が出た作業(被覆のむき過ぎ、輪作りなど)だけを繰り返す |
| 4 | 40分を計って作り、最後に見直す時間を残す |
40分の中の時間の割り振りと、時間切れになったときの扱いは第二種電気工事士の技能試験の時間にまとめています。
「1ヶ月で間に合うか」について、センターは練習期間の目安を示していません。判断の材料は、表の1〜2(13問を一通り作り、判断基準で点検する)を終えたうえで、4(40分を計って作る)の練習まで進めるかどうかです。学科を含めた勉強時間の見積もりは、電気工事士2種の勉強時間で式を使って計算しています。
40分の使い方の例としては、最初に複線図と寸法・色を書き込み、作業の後に判断基準の区分(未完成・誤接続・スリーブ・器具への結線)を順に見直す時間を残すと、センターが「多い」とする欠陥を拾えます。
実技は独学でも合格できる?
独学で合格できるかどうかを示す公的なデータは、電気技術者試験センターの公表資料に記載がありません。制度から読み取れる独学の条件は次のとおりです。
- 受験に制限や条件はない(令和8年度下期の受験案内「受験に対して制限や条件はございません。どなたでも受験ができます。」)
- 候補問題13問の配線図が、試験の前に公表される(令和8年度は令和8年1月16日)
- 合否の基準である欠陥の判断基準が、公表されている
- 作業用工具は持参、材料は試験会場で支給される。練習用の材料は、支給されるものとは別に自分で用意する必要がある
独学では、作った作品に欠陥があるかどうかを自分で見つけなければなりません。この記事の「作品の点検チェックリスト」を使い、判断基準の区分ごとに見る箇所を決めておくと、見落としを減らせます。練習用の道具や材料の考え方は第二種電気工事士の練習キット、学科も含めた独学の進め方は電気工事士の資格を独学で取るにまとめています。
当日のルールと「コツ・裏ワザ」の正体
検索で「裏ワザ」と呼ばれているものの多くは、センターが認めている範囲の工夫です。センターの資料の「よくある問合せ」には、次の取り扱いが書かれています。
| できること | できないこと |
|---|---|
| ケーブルにペンで印をつける | 電動工具を使う(電動機能をOFFにしても不可・使うと失格) |
| 工具箱や工具袋を机に置く | 目盛を書き込むなど改造した工具を使う |
| スケールを保護板(厚紙)に貼る(試験開始後) | 小さな部品を入れるケース(小箱など)を持ち込んで使う |
| 力を入れるときに一時的に立つ | 立ったまま作業を続ける |
| 作業のやり直しで不足した端子ねじ・リングスリーブ・差込形コネクタの追加支給を、申し出て受ける(追加支給しても欠陥にならない) | それ以外の材料の交換・追加支給を求める(開始後は応じてもらえない)、支給品以外の材料を使う |
支給品以外の材料を使うことも欠陥(区分12)です。工具は練習で使い慣れたものを、改造せずに持参します。
技能試験に落ちたら:再受験の条件と費用(再試験)
結論:学科試験に合格していれば、不合格になった技能試験は、学科試験の免除を申請して技能試験だけ再受験できます。免除の権利は「次々回の試験まで有効」で、自動では適用されないため、申込み時に申請します。受験手数料は、令和8年度下期はインターネット申込みで学科試験免除者も同額(11,100円)です。
第二種電気工事士 令和8年度下期の受験手数料:インターネット申込みは11,100円(非課税)で、学科試験免除者も同額。郵送で書面の申込みは12,500円(非課税)。受験手数料の納付には別途事務手数料が必要で、申込者の負担です。令和8年度下期の申込受付は終了しています。最終確認日:2026-10-04。出典:電気技術者試験センター 令和8年度下期受験案内、第二種電気工事士試験。
令和8年度下期の受験案内(13頁)では、学科試験に合格した回ごとの免除の権利は、令和7年度の下期合格者が令和8年度の下期試験まで、令和8年度の上期合格者が令和9年度の上期試験まで、令和8年度の下期合格者が令和9年度の下期試験までとされています。免除の申請を忘れて学科試験から受験する申込みをすると、学科試験からの受験者になり、学科試験に不合格・欠席の場合は技能試験を受けられません。
免除の期限の数え方、申込みの手順、落ちた原因の探し方は、技能試験に落ちた原因の探し方|欠陥の基準と再受験の流れで詳しく扱っています。免除の制度そのものは第二種電気工事士の学科免除にあります。
第一種電気工事士の実技との違い
第一種の技能試験は、令和8年度は No.1〜No.10 の候補問題から出題され、試験時間は60分の予定です。出題の範囲に「最大電力500kW未満の自家用電気工作物」の作業が加わります。欠陥の判断基準は第一種・第二種共通の資料です。第一種の候補問題に書かれている機器と、第一種で特に注意したい欠陥の項目は第一種電気工事士の技能試験にまとめています。資格としての違い(従事できる工事・免状の要件)は電気工事士1種と2種の違いで整理しています。
まとめ
- 技能試験は、公表された候補問題(第二種は令和8年度 No.1〜No.13)の配線図の中から出題され、40分で作る
- 工具は持参、材料は支給。電動工具は使えない
- 合否は欠陥の有無で決まる。判断基準の12区分と数値(5mm・10mm・20mm・2mm など)を作業で守る
- 複線図は「接地側は点滅器以外へ、非接地側は点滅器とコンセントへ、点滅器と器具を返り線で」の順に描き、心線の数で検算する
- リングスリーブは「1.6mm 2本だけ刻印○」「2.0mm が入ったら小で済む範囲は狭い」を押さえる
よくある質問
Q技能試験の材料は自分で用意して持って行くのですか?
いいえ。持参するのは作業用工具で、材料は試験会場で支給されます。電気技術者試験センターの試験概要は、技能試験を「持参した作業用工具により、配線図で与えられた問題を支給される材料で、一定時間内に完成させる方法」と説明しています。試験開始後の材料の交換には応じてもらえないため、開始前の材料確認で不足や不備を申し出ます。ただし、ランプレセプタクル用などの端子ねじ・リングスリーブ・差込形コネクタは、作業のやり直しなどで不足したときに申し出れば追加支給され、追加支給しても欠陥の対象にはなりません(令和8年度下期の受験案内)。
Q技能試験の13問のうち、どれが出たかは公表されますか?
電気技術者試験センターの「第二種電気工事士試験の問題と解答」のページに、実施日ごとの出題問題が公表されています。令和6年度上期〜令和8年度上期の5回(各回2日間・計10日)は、どの日も公表問題No.1〜No.13の13種類として掲載されていました。都道府県ごとの出題は、このページには載っていません。
Q電動ドライバーは使えますか?
使えません。センターの資料「技能試験の概要と注意すべきポイント」は、電動工具は電動機能をOFFにして使う場合でも使用できないとし、試験中に電動工具を使うと不正行為として失格になると書いています。
Qリングスリーブの刻印を間違えたら、上からもう一度圧着してよいですか?
同じスリーブに刻印を重ねると「1つのリングスリーブに2つ以上の圧着マークがあるもの」として欠陥になります。センターの資料は、刻印などを間違えた場合は新しいリングスリーブで正しくやり直すよう案内しています。
Q技能試験に落ちたら、次は学科試験から受け直しですか?
前回または前々回の第二種電気工事士の学科試験に合格していれば、申請により学科試験が免除され、技能試験から受けられます(電気技術者試験センターの試験概要)。申請の方法などの詳細は、受験する回の受験案内で確認してください。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

