第二種電工

第二種電気工事士の複線図の書き方単線図からの手順と検算

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

第二種電気工事士の技能試験で使う複線図を、単線図から5つの手順で描く方法を解説。電気技術者試験センターの施工条件・欠陥の判断基準に合わせた器具別の結線ルールと、心線数で確かめる検算つきです。

目次
  1. 単線図と複線図の違い
  2. 複線図を書く5手順
  3. 例で確かめる(接続点ごとの心線とスリーブ)
  4. 器具別の結線ルール(施工条件と欠陥の判断基準)
  5. 両切スイッチ(2極)の複線図と、片切との違い
  6. よくある書き間違いと、欠陥につながる例
  7. 複線図は書かないといけない?(「捨てる」「いらない」「裏ワザ」)
  8. 書けないときの練習の進め方と時間配分
  9. まとめ
結論:複線図は、候補問題の配線図(単線図)に出てくる電線を1本ずつ描き分けた図です。電源を置く→器具を置く→接地側を点滅器以外の器具へ結ぶ→非接地側を点滅器とコンセントへ結ぶ→点滅器と器具を返り線で結ぶ、の5手順で描けます。描いたあとは「各接続点のケーブルの心線の数の合計」と「接続グループの心線の数の合計」が一致するかで検算します。

合格ナビの第二種電気工事士の問題382問のうち、配線図で「最少電線本数(心線数)」を問う問題は6問、リングスリーブを扱う問題は7問、差込形コネクタを扱う問題は4問です(2026-10-02 集計。当サイトの問題数で、本試験の出題割合ではありません)。当サイトに技能試験そのものの問題はありませんが、複線図で数える心線数と接続の知識は、学科の問題で確かめられます。

この記事の施工条件・欠陥の基準は、電気技術者試験センターの公表資料(技能試験の概要と注意すべきポイント(令和8年3月)・欠陥の判断基準・令和8年度候補問題)を2026-10-03に確認して書いています。複線図の描き方そのものは公式には示されていないので、5手順と例は当サイトの整理です。

単線図と複線図の違い

項目単線図複線図
線1本が表すものケーブル1本(心線の数は表示の「2C」「3C」で読む)心線(電線)1本
使う場面候補問題の配線図・学科の配線図問題作業の前に自分で描く(試験問題としては出ない)
わかること器具の配置とケーブルの種類どの心線をどの器具の端子へつなぐか
描く目的設計を伝える誤接続を防ぎ、接続点ごとのスリーブ・コネクタを決める

候補問題の配線図は単線図で描かれていて、ケーブルの種類は「VVF 2.0-2C」のように書かれています。センターの注によると、記載のない電線の種類は VVF1.6 とされ、器具は端子台で代用する場合があります。

合格基準は「作品に欠陥がないこと」で、複線図を描いたかどうかを問う基準はありません(受験案内)。ただし、センターは「指定された配線図及び施工条件に従って施工されていない作品は,回路が電気的に正しく結線されていたとしても,欠陥であると判断します」としています。複線図は、この「配線図どおり」を作業の前に確かめる道具です。

複線図を書く5手順

手順は次のとおりです。ここでの接地側は電源の接地された側の電線、非接地側は電圧のかかる側の電線です。

  • ① 電源と、単線図に出てくる器具・接続点(ジョイントボックス)を、単線図と同じ配置で描く
  • ② 接地側の線を、電源から点滅器以外のすべての器具(ランプレセプタクル・コンセントなど)へ結ぶ
  • ③ 非接地側の線を、電源から点滅器とコンセントへ結ぶ
  • ④ 点滅器と、それで入り切りする器具(ランプレセプタクルなど)の間を結ぶ(返り線)
  • ⑤ 接続点ごとに「つながる心線の太さと本数」を書き出し、施工条件の色の指定を書き込む

②と③の根拠は、センターの施工条件の例にあります。「ランプレセプタクルの受金ねじ部の端子」には白色の電線を結線するとされているので、ランプレセプタクルのもう一方の端子には、点滅器を通った線(返り線)が来ます。電源から点滅器までの非接地側電線は黒色とされ、点滅器は非接地側の線の途中に入ることがわかります。

3路スイッチ・4路スイッチ・パイロットランプがある回路は、④の返り線が増えます。回路別の結線表と動作表は、3路・4路スイッチとパイロットランプの複線図で整理しています。

この論点の問題を解く(学科の配線図問題)

例で確かめる(接続点ごとの心線とスリーブ)

当サイトが作った例です。電源(VVF 2.0-2C)がジョイントボックスJ1に入り、J1から次のように分かれます。

  • J1とJ2の間:VVF 1.6-3C
  • J1から片切スイッチ:VVF 1.6-2C
  • J2からランプレセプタクル:VVF 1.6-2C
  • J2からコンセント:VVF 1.6-2C

スイッチはJ1側、ランプはJ2側にあるので、スイッチで入り切りした返り線は、J1とJ2の間を通ってランプへ行きます。J1とJ2の間のケーブルが3心になるのはこのためです。

リングスリーブで接続する条件のときの、接続点ごとの結果は次の表です(スリーブと刻印は、センター資料に載っている JIS C 2806 の組合せ表によります)。

接続点接続グループつながる心線スリーブ・刻印
J1接地側電源 2.0mm、J1-J2 1.6mm小・「小」
J1非接地側電源 2.0mm、J1-J2 1.6mm、スイッチ 1.6mm小・「小」
J1返り線スイッチ 1.6mm、J1-J2 1.6mm小・「○」
J2接地側J1-J2 1.6mm、ランプ 1.6mm、コンセント 1.6mm小・「小」
J2非接地側J1-J2 1.6mm、コンセント 1.6mm小・「○」
J2返り線J1-J2 1.6mm、ランプ 1.6mm小・「○」

組合せ表の読み方は、1.6mm の2本は小スリーブで刻印「○」、1.6mm の3〜4本は小スリーブで刻印「小」、2.0mm の1本と 1.6mm の1〜2本も小スリーブで刻印「小」です。

検算を3通りで行う

  • 検算1(心線の数):J1に入るケーブルは、電源が2心、J1-J2が3心、スイッチが2心で、心線の端は 2+3+2=7本。表のJ1の行は 2+3+2=7本で一致します。J2も、J1-J2が3心、ランプが2心、コンセントが2心で 3+2+2=7本、表は 3+2+2=7本で一致します
  • 検算2(最少電線本数):J1-J2のケーブルは、接地側・非接地側・返り線の3本が通るので3心。学科の「最少電線本数(心線数)」の問題では、この3を答えます
  • 検算3(点検):スイッチに接続された線は非接地側と返り線の2本で、接地側が入っていません。ランプレセプタクルの受金ねじ部へ来る線は接地側(接続点J2の接地側)です

施工条件の色は問題ごとに指定されます。この例では、返り線の色は書いていません。

この論点の問題を解く(リングスリーブの組合せ)

器具別の結線ルール(施工条件と欠陥の判断基準)

センターの資料に載っている施工条件の例と、対応する欠陥の判断基準をまとめた表です。色は問題ごとの施工条件で決まるので、例として読んでください。

器具白色の電線をつなぐ端子(施工条件の例)関係する欠陥の判断基準
ランプレセプタクル受金ねじ部の端子4(色別・極性)、8-5〜8-7(台座・外装・巻き付け)
コンセント接地側極端子(N・W または接地側と表示)4(色別・極性)
引掛シーリング接地側極端子(N・W または接地側と表示)4(色別・極性)、8-9(差込口から1mm 以上の露出)、8-10
配線用遮断器接地側極端子(N と表示)4(色別・極性)、8-1〜8-4(ねじ締め端子)
接地線緑色を使用(施工条件の例)4(色別)
200V 回路の電源R相に赤、S相に白、T相に黒(施工条件の例)4

ねじ締め端子の器具(端子台・配線用遮断器・ランプレセプタクル・露出形コンセントなど)と、ねじなし端子の器具(埋込連用タンブラスイッチ・埋込連用コンセント・パイロットランプ・引掛シーリングローゼットなど)では、欠陥の判断基準の項目が分かれています。ランプレセプタクルへの結線で「心線を左巻きにしたもの」は、ねじ締め端子の欠陥(8-7ロ)です。

複線図に、器具ごとの端子(白をつなぐ端子・つながない端子)まで書き込んでおくと、作業中に迷いません。

この論点の問題を解く(図記号・点滅器)

両切スイッチ(2極)の複線図と、片切との違い

結論:両切スイッチは、当サイトの説明では、電路の2本の線(非接地側と接地側)を同時に入り切りするスイッチです。5手順のうち「接地側は点滅器以外の器具へ」「非接地側を点滅器へ」は、点滅器が片切のときの手順なので、両切のときは接地側も点滅器を通る線として描きます。

項目片切スイッチ両切スイッチ
入り切りする線非接地側の1本非接地側と接地側の2本
点滅器に入る線非接地側1本(電源側)非接地側と接地側の2本(電源側)
点滅器から出る線返り線1本2本(非接地側と接地側)
接地側の線の通り道点滅器を通らず、器具へ直接点滅器を通ってから器具へ
欠陥の判断基準8-8・8-9(ねじなし端子の器具)同左

欠陥の判断基準では、埋込連用タンブラスイッチ(片切、両切、3路、4路)が、ねじなし端子の器具の例として挙げられています(欠陥の判断基準の「ねじなし端子の器具への結線部分」)。「電線を引っ張って外れるもの」「心線が差込口から2mm 以上露出したもの」は、両切でも欠陥の対象です。

令和8年度の候補問題13問の公表資料(候補問題)は、配線図が単線図で示され、「配線図,施工条件等の詳細については,試験問題に明記します」とされています。両切を使う問題が出るかどうかは、候補問題の図だけでは当サイトでは判断していません。出題されたときに、次の手順で描けるようにしておく、という位置づけです。

両切の複線図を描く手順

  • ① 5手順の①と同じ。電源と器具・接続点を単線図と同じ配置で描く
  • ② 電源側の非接地側と接地側の2本を、両切スイッチの入力側の2つの端子へ結ぶ
  • ③ 両切スイッチの出力側の2つの端子から、ランプレセプタクルの2つの端子へ結ぶ(接地側は受金ねじ部の端子へ)
  • ④ 接続点ごとに「つながる心線の太さと本数」を書き出す
  • ⑤ 色の指定を書き込む。両切で接地側の線がスイッチを通るときの色の扱いは、その問題の施工条件の文言に従う

例で確かめる(両切スイッチ1個とランプレセプタクル1個)

当サイトが作った例です。電源(VVF 2.0-2C)がジョイントボックスJ1に入り、J1から両切スイッチへ VVF 1.6-2C、両切スイッチからランプレセプタクルへ VVF 1.6-2C で配線する場合を考えます。

接続点接続グループつながる心線スリーブ・刻印
J1非接地側電源 2.0mm、J1-スイッチ 1.6mm小・「小」
J1接地側電源 2.0mm、J1-スイッチ 1.6mm小・「小」

スリーブと刻印は、センター資料の JIS C 2806 の組合せ表の「φ2.0mm 1本とφ1.6mm 1〜2本」の行(小・「小」)によります(技能試験の概要と注意すべきポイント)。スイッチ側とランプ側は器具へ直接つなぐので、この例のスリーブはJ1の2個だけです。

  • 検算1(心線の数):J1に入る心線の端は、電源が2心、J1-スイッチが2心で 2+2=4本。表のグループは 2+2=4本で一致します
  • 検算2(最少電線本数):J1-スイッチ間は2本、スイッチ-ランプ間も2本。両切スイッチを通る線は2本なので、どちらの区間も2心で足ります
  • 検算3(点検):スイッチを入り切りすると、ランプレセプタクルへ来る2本の線が両方とも入り切りされます。受金ねじ部へ来る線は、接地側の線(施工条件の例では白色)です

片切スイッチの例(前の節)では、スイッチに接地側の線が入らないことを点検の3つ目にしました。両切では逆に、スイッチに接地側の線が入ることが正しい姿です。どちらの点滅器かは単線図の図記号で読み取るので、描き始める前に点滅器の種類を確認してください。

よくある書き間違いと、欠陥につながる例

複線図の書き間違いが、そのまま欠陥に結びつく例です。

書き間違い作品でどうなるか判断基準の項目
点滅器に接地側の線を結んだランプが点灯する場合でも、配線図・施工条件(電源から点滅器までは非接地側、受金ねじ部は白色)と違う作品になる4(色別・極性)・3(誤接続,誤結線)
非接地側と返り線を取り違えた回路が正しく構成されなくなる。センターは「スイッチを入れてもランプが点灯しない、あるいは短絡など」を誤接続としている3(誤接続,誤結線)
返り線を描き忘れたランプとスイッチの間がつながらず、回路が完成しない1(未完成)・3
白と黒を逆に描いた施工条件の色と違う作品になる(電気的に正しくても欠陥)4(色別・極性)
接続点の心線を数え違えたスリーブの種類や刻印が組合せ表と合わない6-1イ・ロ(スリーブの選択・圧着マーク)
接続点のスリーブを2個にした1箇所の接続に2個以上のリングスリーブを使ったことになる6-1ヘ
施工条件と違う接続方法を選んだ接続方法が施工条件に相違する2-4

センターは、技能試験で多く見られる欠陥として「未完成」「誤接続,誤結線」「リングスリーブ用圧着工具の使用方法が適切でないもの」などを挙げています。複線図は、このうち未完成と誤接続を減らすための準備です。

複線図は書かないといけない?(「捨てる」「いらない」「裏ワザ」)

結論から書くと、複線図を描くことを求める規定は、電気技術者試験センターの受験案内や公表資料にはありません。合格基準は作品に欠陥がないことで、複線図は提出物ではありません。

ただし、複線図を描かない場合でも、次の3つを作業の前に判断できる必要があります。

  • 接地側・非接地側・返り線のどの線が、どの器具のどの端子へ行くか
  • 接続点ごとの心線の太さと本数(リングスリーブの種類と刻印がここで決まる)
  • 施工条件の色の指定

センターは、誤接続の対策として「複線図を正しく描く練習」を挙げています。「裏ワザ」と呼ばれる省略した描き方があっても、施工条件と欠陥の判断基準が試験の基準であることは変わりません。省略する場合は、上の3つを判断できるかを、候補問題13問のすべてで確かめてください。

書けないときの練習の進め方と時間配分

複線図が書けない原因は、多くの場合「どこまでが1本のケーブルか」の読み違いです。次の順で練習すると確認しやすくなります。

  • ① 単線図の線1本ごとに、心線の数(2C・3C)を書き込む
  • ② 5手順で描き、各接続点で心線の数を検算する
  • ③ 学科の「最少電線本数(心線数)」の問題で、答えが一致するか確かめる
  • ④ 候補問題を時間を計って描き、描き終わるまでの時間を短くする

試験時間は40分です(令和8年度の候補問題の公表資料)。時間の使い方の例として、当サイトは次の配分を示します(例であり、目標値ではありません)。

工程時間の例
複線図と寸法・色の書き込み5分
電線の切断・はぎ取り5分
電線相互の接続(スリーブ・コネクタ)10分
器具への結線12分
作品の点検8分

合計は5+5+10+12+8=40分です。点検の時間を残すことが重要で、センターも「本番の試験では,完成した作品の見直しを忘れずに行いましょう」としています。技能試験の全体の対策は技能試験の対策にまとめています。

令和8年度下期 第二種電気工事士 技能試験の日程と試験時間:2026年12月12日(土)または12月13日(日)。試験開始11:30、試験終了12:10(40分)。最終確認日:2026-10-03。出典:電気技術者試験センター 令和8年度第二種電気工事士下期試験 受験案内。

まとめ

  • 複線図は単線図の線(ケーブル)を心線1本ずつに描き分けた図で、作業前に自分で描く
  • 5手順:電源と器具を置く→接地側を点滅器以外へ→非接地側を点滅器とコンセントへ→返り線→接続点ごとの心線と色
  • 検算は、接続点ごとの心線数の合計の一致と、最少電線本数、点滅器に接地側が入っていないことの3点
  • 色と接続方法は施工条件で決まる。指定と違えば、電気的に正しくても欠陥
  • 複線図は提出物ではないが、誤接続・未完成を減らす準備として有効

よくある質問

Q複線図を書かずに作業してもよいのですか?

複線図そのものは提出する物ではなく、合否は作品に欠陥がないかどうかで決まります(電気技術者試験センター)。ただし、センターは多い欠陥の「誤接続,誤結線」への対策として「複線図を正しく描く練習」を挙げています。描かない場合も、頭の中で接地側・非接地側・返り線の3つの線を追えていることが前提です。

Q複線図で電線の色はどう決まりますか?

色は問題ごとの施工条件で指定されます。センターの資料には、接地側電線は白色、電源から点滅器までの非接地側電線は黒色、接地線は緑色といった施工条件の例が載っていますが、「必ず,課題の施工条件をよく読んで」と注意されています。

Qリングスリーブと差込形コネクタはどちらを使うか、複線図でわかりますか?

複線図からは、接続点ごとの電線の太さと本数がわかります。使う接続方法は施工条件で指定され、指定と違うと「接続方法が施工条件に相違したもの」として欠陥になります。

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