電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和6年度上期 理論 問9|交流回路

問題

電験三種 | 理論 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

次式に示す電圧e [V]及び電流i [A]による電力の値[kW]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 e=100 sin ωt+50 sin(3ωt-π/6) [V] i=20 sin(ωt-π/6)+10√3 sin(3ωt+π/6) [A]

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解説

基本波と第3高調波を含むひずみ波の電圧・電流から、電力(有効電力)を求める問題です(令和6年度上期 問9)。

ひずみ波の電力は「同じ周波数の電圧と電流の組ごとに求めた電力の和」になります。周波数の違う電圧と電流の組は、平均すると電力を生みません。

基本波:(100/√2)×(20/√2)×cos(π/6)=1 000×0.866≒866 W

第3高調波:(50/√2)×(10√3/√2)×cos(π/3)=250√3×0.5≒217 W

合計 約1 083 W≒1.08 kW。正答は(2)です。

【考え方】(令和6年度上期 問9)

ひずみ波交流の有効電力は、各調波ごとに P=(実効値の電圧)×(実効値の電流)×cosθ を求めて足し合わせます。最大値で書かれているので、実効値は最大値÷√2 です。

【基本波(ωt)】

電圧の最大値 100 V、位相 0

電流の最大値 20 A、位相 -π/6

位相差 θ₁=0-(-π/6)=π/6(30°)

P₁=(100/√2)(20/√2)cos30°=(100×20/2)×(√3/2)=1 000×0.866≒866 W

【第3高調波(3ωt)】

電圧の最大値 50 V、位相 -π/6

電流の最大値 10√3 A、位相 +π/6

位相差 θ₃=π/6-(-π/6)=π/3(60°)

P₃=(50/√2)(10√3/√2)cos60°=(50×10√3/2)×(1/2)=250√3×0.5≒216.5 W

【合計】

P=P₁+P₃=866+216.5≒1 082.5 W≒1.08 kW

よって正答は(2)です。

【間違えやすい点】

・第3高調波の電流の位相差を考えず cos を掛けないと、P₃=250√3≒433 W となり、合計は約1 299 W で(4)に近い値になります。電圧の位相 -π/6 と電流の位相 +π/6 の差は π/3 です。

・基本波だけで計算すると約0.87 kWで、どの選択肢とも一致しません。

【異なる周波数の積が電力にならない理由】(令和6年度上期 問9)

瞬時電力 p=ei を展開すると、基本波どうし、第3高調波どうしの積のほかに、「基本波電圧×第3高調波電流」「第3高調波電圧×基本波電流」の積が現れます。sin ωt×sin 3ωt のような積は、和と差の公式で cos 2ωt と cos 4ωt の和になり、1周期で平均すると0になります。同じ周波数どうしの積だけが cosθ の一定成分を残すので、平均電力(有効電力)は各調波の電力の和

P=Σ VₙIₙcosθₙ

で表されます。

【実効値と力率もあわせて求める】

ひずみ波の実効値は各調波の実効値の2乗和の平方根です。

電圧 V=√{(100²+50²)/2}≒79.1 V

電流 I=√{(20²+(10√3)²)/2}=√{(400+300)/2}≒18.7 A

皮相電力 S=VI≒79.1×18.7≒1 479 V・A

総合力率 P/S≒1 082.5/1 479≒0.73

となります。ひずみ波では電力をVI×cosθの1つの式でまとめて求めることはできず、各調波を別々に計算する必要があります。

【位相の読み方】

電力に効くのは電圧と電流の「位相差」で、各調波でそれぞれ求めます。第3高調波の式 sin(3ωt-π/6) の -π/6 は、3ωt の目盛での位相です。基本波の位相差(30°)と第3高調波の位相差(60°)は別のもので、基本波の位相差を3倍したり、同じ値を流用したりしないよう、調波ごとに電圧と電流の位相を引き算します。

【計算を簡単にするコツ】

最大値で書かれた式では、(Vm/√2)(Im/√2)=VmIm/2 なので、「最大値どうしの積の半分×cosθ」で計算すると√2を扱わずに済みます。本問では 100×20/2=1 000、50×10√3/2=250√3 で、cos30°=√3/2、cos60°=1/2 を掛ければ、P=500√3+125√3=625√3≒1 082.5 W と、きれいな形でまとまります。

この問題の根拠出典:令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。