区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)の基本を、e-Govの現行条文(令和8年4月1日施行版)で整理。専有部分と共用部分、共用部分の持分、敷地利用権の分離処分の禁止、管理者・管理組合法人、規約、集会の招集と決議、建替え決議までを、令和8年度の宅建試験の法令基準日に合わせて確かめられます。
目次
結論:区分所有法(正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」)は、一棟の建物に構造上区分された数個の部分で、独立して住居や店舗などに使えるものを、それぞれ所有権の対象にできるとし(1条)、その建物の管理のルールを定めた法律です。基本は次の3つです。①建物は、各自が所有する専有部分と、それ以外の共用部分に分かれる(2条)。②区分所有者は全員で、管理のための団体を構成し、集会・規約・管理者を置くことができる(3条)。③決め方は、集会の決議(39条の普通決議が原則)で、規約の設定・変更や建替えなどは特別の多数が要る(31条・62条ほか)。この記事の条文は、e-Gov法令検索の令和8年4月1日施行版(現行)です。令和8年度の宅建試験は、令和8年4月1日現在施行の法令が出題の根拠なので、同じ版を使います。
令和8年度の宅建試験の実施日と法令の基準:実施日は令和8年10月18日(日)13時から15時まで(2時間)。登録講習修了者は13時10分から15時まで(1時間50分)。出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているもの。最終確認日:2026-10-09。出典:RETIO 試験日程、RETIO 宅建試験の概要。
区分所有法のe-Govでの版:現行版は令和8年4月1日施行版(law_revision_id 337AC0000000069_20260401_507AC0000000047、令和7年法律第47号による改正)。この版より後に施行される版は、e-Govの改正履歴にありません。最終確認日:2026-10-09。出典:e-Gov 法令検索 建物の区分所有等に関する法律。
令和7年法律第47号による改正の内容(決議要件の新旧表、所在等不明区分所有者、更新・敷地売却・取壊しの決議など)は、区分所有法改正2026の条文にまとめています。この記事は、改正の前後を比べるのではなく、現行の条文で基本の仕組みを一通り読むためのものです。令和8年度の法令全体の変更点は宅建の法改正(令和8年度)にあります。マンション管理士・管理業務主任者向けの整理は、マン管の区分所有法と管業の区分所有法にあります。
区分所有法の用語:専有部分・共用部分・敷地利用権
2条が、区分所有法の言葉を定義しています。
| 用語 | 条文の言葉(要点) | 条文 |
|---|---|---|
| 区分所有権 | 1条に規定する建物の部分(4条2項の規定により共用部分とされたものを除く)を目的とする所有権 | 2条1項 |
| 区分所有者 | 区分所有権を有する者 | 2条2項 |
| 専有部分 | 区分所有権の目的たる建物の部分 | 2条3項 |
| 共用部分 | 専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物、4条2項の規定により共用部分とされた附属の建物 | 2条4項 |
| 建物の敷地 | 建物が所在する土地と、5条1項の規定により建物の敷地とされた土地 | 2条5項 |
| 敷地利用権 | 専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利 | 2条6項 |
共用部分には、2種類あります。
| 種類 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 構造上の共用部分 | 数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならない | 4条1項 |
| 規約による共用部分 | 1条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。その旨の登記をしなければ、第三者に対抗することができない | 4条2項 |
土地については、庭、通路その他の土地で、区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をするものは、規約により建物の敷地とすることができます(5条1項)。
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共用部分の共有・持分と、敷地利用権の分離処分の禁止
共用部分の持ち方は、11条〜15条が定めています。
| 項目 | 条文の内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 誰の共有か | 区分所有者全員の共有。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有 | 11条1項本文・ただし書 |
| 規約による別段の定め | 規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、27条1項の場合(管理者による管理所有)を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない | 11条2項 |
| 民法177条 | 共用部分には適用しない | 11条3項 |
| 使用 | 各共有者は、共用部分をその用方に従って使用できる | 13条 |
| 持分の割合 | その有する専有部分の床面積の割合による。床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。規約で別段の定めをすることを妨げない | 14条1項・3項・4項 |
| 持分の処分 | 共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従う。共有者は、この法律に別段の定めがある場合を除いて、専有部分と分離して持分を処分することができない | 15条 |
| 負担と利益 | 規約に別段の定めがない限り、持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する | 19条 |
敷地利用権は、22条が専有部分との分離処分を禁止しています。
- 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができません(22条1項本文)。ただし書で、規約に別段の定めがあるときは、この限りでないとされています
- この禁止に違反する処分の無効は、善意の相手方に主張できません(23条本文)。ただし書で、不動産登記法の定めるところにより、分離して処分することができない専有部分及び敷地利用権であることを登記した後に、その処分がされたときは、この限りでないとされています
議決権は、各区分所有者について、規約に別段の定めがない限り、14条に定める割合(専有部分の床面積の割合)によります(38条)。
管理者・管理組合と、義務違反者への措置
区分所有者の団体と、管理者
3条は、区分所有者は全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができると定めています。この団体を、一般に管理組合と呼びます。条文に出てくる語は「第三条に規定する団体」と、法人になった場合の「管理組合法人」(47条2項)です(e-Gov、令和8年4月1日施行版には、「管理組合法人」を除いて「管理組合」の語の記載がありません。2026-10-09 時点)。
| 項目 | 条文の内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 管理者の選任・解任 | 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任できる | 25条1項 |
| 解任の請求 | 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求できる | 25条2項 |
| 管理者の権限 | 共用部分並びに21条に規定する場合における建物の敷地及び附属施設を保存し、集会の決議を実行し、規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う | 26条1項 |
| 代理権の制限 | 管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない | 26条3項 |
| 集会の開催・報告 | 少なくとも毎年1回集会を招集し(34条2項)、毎年1回一定の時期に、集会で事務の報告をする | 34条2項・43条 |
| 管理組合法人 | 3条の団体は、集会で、区分所有者(議決権を有しないものを除く)の過半数の者であって議決権の過半数を有するものが出席し(これらを上回る割合を規約で定めた場合は、その割合以上)、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数による決議で法人となる旨と名称・事務所を定め、かつ、主たる事務所の所在地で登記をすることによって法人となる | 47条1項 |
共同の利益に反する行為への措置
6条1項は、区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない、と定めています。この行為があった場合の措置は、57条〜60条が段階的に定めています。
| 措置 | 請求の内容 | 決議の要件 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 停止等の請求 | 行為の停止、結果の除去、予防に必要な措置 | 訴訟を提起するには、集会の決議による | 57条1項・2項 |
| 使用禁止の請求 | 相当の期間の、その区分所有者による専有部分の使用の禁止 | 集会で、定足数を満たしたうえで、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上。あらかじめ、弁明する機会を与える | 58条1項〜3項 |
| 競売の請求 | その区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売 | 58条2項・3項を準用(4分の3以上と弁明の機会)。判決確定から6月を経過したときは、競売の申立てができない | 59条1項〜3項 |
| 占有者に対する引渡し請求 | 占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除と引渡し | 58条2項・3項を準用 | 60条 |
58条〜60条の請求は、共同の利益に反する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、58条は57条1項の請求によっては、59条・60条は他の方法によっては、その障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときに、集会の決議に基づき、訴えをもってするものです(各条1項)。
58条2項の「定足数」は、条文では、区分所有者(議決権を有しないものを除く)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあっては、その割合以上)の者であって議決権の過半数(同じく)を有するものが出席することです。「定足数」は当サイトの呼び方で、条文の見出しの語ではありません。
規約:定められること、設定・変更の要件、保管
| 項目 | 条文の内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 規約で定められること | 建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる | 30条1項 |
| 区分所有者間の利害の衡平 | 専有部分・共用部分・敷地などの形状、面積、位置関係、使用目的、利用状況、区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、利害の衡平が図られるように定めなければならない | 30条3項 |
| 作成方法 | 書面又は電磁的記録により作成する | 30条5項 |
| 設定・変更・廃止 | 集会で、定足数を満たしたうえで、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数による決議。一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得る | 31条1項 |
| 最初の規約 | 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、4条2項・5条1項・22条1項ただし書・同条2項ただし書の規約を設定できる | 32条 |
| 保管・閲覧 | 管理者が保管(管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるもの)。利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、閲覧を拒めない。保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示 | 33条 |
| 効力の及ぶ範囲 | 規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、効力を生ずる | 46条1項 |
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集会の招集・通知・議決と、決議要件の早見表
集会のルール
| 項目 | 条文の内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 招集者 | 集会は、管理者が招集する。管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集する | 34条1項・2項 |
| 区分所有者による招集請求 | 区分所有者(議決権を有しないものを除く)の5分の1以上の者であって議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に、会議の目的たる事項を示して、招集を請求できる。この定数は、規約で減ずることができる | 34条3項 |
| 請求したのに招集されないとき | 請求の日から2週間以内に、請求の日から4週間以内の日を会日とする招集の通知が発せられなかったときは、請求をした区分所有者が集会を招集できる | 34条4項 |
| 招集の通知 | 会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項及び議案の要領を示して発する。この期間は、規約で伸長できる | 35条1項 |
| 招集手続の省略 | 区分所有者(議決権を有しないものを除く)全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開ける | 36条 |
| 決議事項の制限 | あらかじめ通知した事項についてのみ、決議できる。法律に特別の定数が定められている事項を除いて、規約で別段の定めをすることを妨げない | 37条1項・2項 |
| 書面・代理による議決権行使 | 議決権は、書面又は代理人によっても行使できる。書面又は代理人によって議決権を行使した区分所有者は、出席した区分所有者の数に算入する | 39条2項 |
| 共有の専有部分 | 専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、持分の価格の過半数で、議決権を行使すべき者1人を定める | 40条 |
| 議事録 | 議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成する。書面の場合、議長及び集会に出席した区分所有者の2人が署名する | 42条1項・3項 |
| 書面又は電磁的方法による決議 | 区分所有者(議決権を有しないものを除く)全員の承諾があるときは、できる | 45条1項 |
決議の割合の早見表(現行版)
決議の数え方は、出席者を分母にするものと、議決権を有しないものを除く全体を分母にするものがあります。下の表は、現行版(令和8年4月1日施行版)の条文の言葉です。改正前の割合との比較は、区分所有法改正2026の条文の新旧表を使ってください。
| 決議の内容 | 条文 | 現行版の要件 |
|---|---|---|
| 普通決議(集会の議事) | 39条1項 | この法律又は規約に別段の定めがない限り、出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く)及びその議決権の各過半数 |
| 共用部分の管理 | 18条1項 | 共用部分の変更(17条の場合)を除いて、集会の決議。保存行為は、各共有者ができる(ただし書)。これらは規約で別段の定めができる(2項)。決議の割合は18条に書かれておらず、39条1項による |
| 共用部分の変更(形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く) | 17条1項 | 定足数を満たしたうえで、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上(規約で、これを下回る割合で、2分の1を超える割合に限り、定められる) |
| 規約の設定・変更・廃止 | 31条1項 | 定足数を満たしたうえで、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上 |
| 管理組合法人の設立 | 47条1項 | 定足数を満たしたうえで、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上 |
| 使用禁止・競売・引渡し請求の決議 | 58条2項(59条2項・60条2項で準用) | 定足数を満たしたうえで、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上 |
| 建物の一部が滅失した場合の共用部分の復旧(61条1項本文の場合を除く) | 61条5項 | 定足数を満たしたうえで、出席した区分所有者及びその議決権の各3分の2以上 |
| 建替え決議 | 62条1項 | 区分所有者(議決権を有しないものを除く)及び議決権の各5分の4以上。出席者を分母にしていない |
17条1項(と3項)の「4分の3」は、5項が定める2つの共用部分の変更には、「3分の2」になります(17条5項)。①共用部分の設置又は保存に瑕疵があることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合に、その瑕疵の除去に関して必要となる変更、②高齢者、障害者等の移動又は施設の利用に係る身体の負担を軽減することにより、移動上又は施設の利用上の利便性及び安全性を向上させるために必要となる変更です。
マンション管理士向けの決議要件の一覧と計算例は、マン管の区分所有法にあります。
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建替え決議(62条・63条)
建替え決議は、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く)及び議決権の各5分の4以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、その敷地や、その敷地を含む土地に新たに建物を建築する旨を決議するものです(62条1項)。
| 項目 | 条文の内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 5分の4が4分の3になる場合 | 建物が次の5つのいずれかに当たるとき。1号 地震に対する安全性、2号 火災に対する安全性、5号 移動等の円滑化(バリアフリー)は、法務大臣が定める基準に適合していないとき。3号 外壁等の剝離・落下により周辺に危害を生ずるおそれ、4号 給水・排水その他の配管設備(改修工事が著しく困難なものとして法務省令で定めるものに限る)の劣化により著しく衛生上有害となるおそれは、法務大臣が定める基準に該当するとき(各号の細かな条件は条文による) | 62条2項1号〜5号 |
| 決議で定めなければならない事項 | 再建建物の設計の概要、取壊し及び建築に要する費用の概算額、費用の分担に関する事項、再建建物の区分所有権の帰属に関する事項 | 62条4項 |
| 招集の通知 | 会日より少なくとも2月前に発する。ただし、この期間は規約で伸長できる | 62条6項 |
| 説明会 | 集会を招集した者は、会日より少なくとも1月前までに、通知した事項について説明を行う説明会を開催する | 62条8項 |
| 賛成しなかった区分所有者への催告 | 建替え決議があったときは、集会を招集した者は、遅滞なく、建替え決議に賛成しなかった区分所有者に、建替えに参加するか否かを回答すべき旨を書面で催告する(その区分所有者の承諾を得て、電磁的方法で催告することもできる。2項)。催告を受けた日から2月以内に回答しなければならず、回答しなかった者は、参加しない旨を回答したものとみなされる | 63条1項〜4項 |
| 売渡し請求 | 回答の期間が経過したときは、建替え決議に賛成した各区分所有者、建替えに参加する旨を回答した各区分所有者(いずれも承継人を含む)、またはこれらの者の全員の合意で指定された買受指定者は、期間の満了の日から2月以内に、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者に、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求できる | 63条5項 |
建替えのほか、建物更新決議・建物敷地売却決議・建物取壊し敷地売却決議・取壊し決議が、現行版の64条の5〜64条の8に置かれています。内容は区分所有法改正2026の条文にあります。
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宅建試験での扱い:どの版の条文で解くか
RETIOは、宅建試験の出題の根拠となる法令を、「試験を実施する年度の4月1日現在施行されているもの」と示しています(RETIO 宅建試験の概要)。令和8年度の試験の実施日は令和8年10月18日で、基準日は令和8年4月1日です。e-Govの区分所有法は、令和8年4月1日施行版が現行です。そのため、令和8年度の宅建試験の準備には、この記事の現行版の条文を使います。
| 資料 | 見るときの注意 |
|---|---|
| 令和8年4月1日より前に作られた市販・ネット上の一覧表 | 令和7年法律第47号による改正前の割合(普通決議は区分所有者及び議決権の各過半数、共用部分の変更・規約の変更は区分所有者及び議決権の各4分の3以上、など。いずれも現行ではない)で書かれている可能性がある。条文番号を手がかりに、e-Govの現行版で確かめる |
| 令和7年度以前の試験問題とその解説 | 出題の根拠は、その年度の4月1日現在施行の法令。現行版と割合が違う場合がある |
| この記事・改正2026の記事 | 現行版(令和8年4月1日施行版)の条文。新旧の比較は改正2026の記事 |
RETIOの試験の内容の説明では、試験の内容は、宅建業法施行規則8条にもとづき、「土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること」などと書かれています(RETIO 宅建試験の概要)。区分所有法は、この「権利及び権利の変動に関する法令」に当たる法律です(この対応づけは当サイトの整理で、RETIOのページに区分所有法という語の記載はありません。2026-10-09 時点)。権利関係全体の出題内容は宅建の出題内容、権利関係の主な論点は宅建 権利関係の攻略にあります。
当サイトで作成した例題(自作問題で、実在の試験問題の写しではありません)です。
- 例題1:敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合、区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。
- 例題2:共用部分の持分は、規約で別段の定めをすることができず、必ず専有部分の床面積の割合による。
- 例題3:建替え決議を会議の目的とする集会の招集の通知は、会日より少なくとも1月前に発しなければならず、この期間は規約で伸長することができない。
- 例題4:規約の変更が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その区分所有者の承諾を得なければならない。
答えは、例題1が正(22条1項)、例題2が誤り(14条4項は、規約で別段の定めをすることを妨げないと書く)、例題3が誤り(62条6項は少なくとも2月前で、ただし書で規約による伸長ができる)、例題4が正(31条1項後段)です。
間違えやすいポイント
| 誤りになる書き方(当サイトの例) | 条文の言葉 |
|---|---|
| 普通決議は、区分所有者及び議決権の各過半数で決める(出席者かどうかを書かない) | 39条1項は、「出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及びその議決権の各過半数」 |
| 建替え決議も、出席した区分所有者の5分の4で決める | 62条1項は、区分所有者(議決権を有しないものを除く)及び議決権の各5分の4以上。「出席した」の限定はない |
| 規約の変更は、特別の影響を受ける人がいても、4分の3があればできる | 31条1項後段は、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない |
| 敷地利用権の分離処分の禁止は、どの場合にも例外がない | 22条1項ただし書は、規約に別段の定めがあるときを除く。条件として、敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合 |
| 共用部分は、区分所有者全員の共有で、規約でも変えられない | 11条1項ただし書は一部共用部分、2項は規約で別段の定めができること(区分所有者以外の者を所有者と定められないが、27条1項の場合を除く) |
| 集会の招集の通知は、すべて1週間前でよい | 35条1項は1週間前(規約で伸長可)。建替え決議の集会は、62条6項で少なくとも2月前 |
| 管理組合は、区分所有法に定義がある | 条文にあるのは「第三条に規定する団体」と、法人になった場合の「管理組合法人」 |
まとめ
- 区分所有法は、一棟の建物の部分ごとの所有(専有部分)と、共同で持つ部分(共用部分)、その管理のルールを定めた法律。専有部分は2条3項、共用部分は2条4項と4条
- 共用部分は区分所有者全員の共有(一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有)で、持分は専有部分の床面積の割合(規約で別段の定めができる)。持分は専有部分の処分に従う(11条・14条・15条)
- 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合は、専有部分と敷地利用権を分離して処分できない。規約に別段の定めがあるときは、この限りでない(22条1項)
- 区分所有者は全員で管理のための団体を構成し、集会を開き、規約を定め、管理者を置くことができる(3条)。法人になると管理組合法人(47条)
- 普通決議は出席者基準(39条1項)。規約の変更など特別の決議は、定足数を満たしたうえで出席者の各4分の3以上(31条1項など)。建替え決議は、議決権を有しないものを除く全体の各5分の4以上(62条1項)
- 令和8年度の宅建試験は、令和8年4月1日現在施行の法令が出題の根拠。区分所有法は同日施行の版(現行)を使い、改正前の割合の資料と混ぜない
参照した一次ソース
- e-Gov法令検索 建物の区分所有等に関する法律(令和8年4月1日施行版・1条〜6条の2、11条〜26条、30条〜47条、57条〜63条、附則)
- RETIO 宅建試験の概要・RETIO 試験日程
よくある質問
Q「管理組合」は、区分所有法のどの条文に書かれていますか?
建物の区分所有等に関する法律(e-Gov、令和8年4月1日施行版)には、「管理組合法人」を除いて、「管理組合」という語の記載がありません(2026-10-09 時点)。3条は、区分所有者は全員で、建物とその敷地・附属施設の管理を行うための団体を構成し、集会を開き、規約を定め、管理者を置くことができる、と書いています。この団体が一般に管理組合と呼ばれます。47条は、この「第三条に規定する団体」が、所定の決議と登記により法人となり、「管理組合法人」と称する、と定めています。
Q専有部分と敷地利用権は、別々に売ることができますか?
22条1項は、敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない、と書いています。ただし書で、規約に別段の定めがあるときは、この限りでないとされています。23条は、この規定に違反する処分の無効は、善意の相手方に主張することができないと定め、ただし書で、分離して処分することができない旨を登記した後に処分がされたときは、この限りでないとしています。
Q規約を変更するとき、一部の区分所有者に不利になる場合は、どうなりますか?
31条1項後段は、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない、と書いています。決議の要件は、集会で、区分所有者(議決権を有しないものを除く)の過半数の者であって議決権の過半数を有するものが出席し(これらを上回る割合を規約で定めた場合は、その割合以上)、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数で決議することです。
Q集会の招集の通知は、何日前までに出す必要がありますか?
35条1項は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項及び議案の要領を示して、各区分所有者(議決権を有しないものを除く)に発しなければならないと定めています。ただし書で、この期間は規約で伸長することができるとされています。建替え決議を会議の目的とする集会は別で、62条6項が、少なくとも2月前に発しなければならないとしています(ただし書で、規約で伸長できる)。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月9日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

