危険物乙4の消火設備の覚え方を、政令の別表第五を表にして整理します。第1種〜第5種の区分、第4類と電気設備に適応する設備、設置距離・所要単位の数字、引っかけのパターンまで、2026年10月時点の現行条文どおりに確認できます。
目次
結論:消火設備は第1種〜第5種の5区分で、適応性は政令の別表第五に表で示されています。第4類(引火性液体)に○がつくのは、水蒸気・水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末(りん酸塩類等/炭酸水素塩類等)の設備、消火器のうち霧状の強化液・泡・二酸化炭素・ハロゲン化物・粉末、乾燥砂、膨張ひる石・膨張真珠岩です。消火栓・スプリンクラー・棒状の水の消火器・水バケツは第4類に適応しません。
消火設備は、語呂合わせで丸ごと覚えようとすると、設備の名前の取り違えで失点しがちです。この記事では、政令の別表第五を条文の表から直接取り出し、第4類と電気設備の欄だけを読めるように整理しました。表の読み方のルールは、他サイトのものを使わず、当サイトの整理として示します。
当サイトのデータ:当サイトの乙4の問題350問(自作問題)のうち、消火設備の区分・所要単位・警報設備を扱う問題は3問、第4類の消火方法を扱う問題は14問、消火の理論は1問です(2026-10-02 時点の問題データで集計)。
消火設備は第1種〜第5種の5区分
施設の位置・構造・設備の技術上の基準は、消防法で政令に委ねられています(消防法 第10条第4項)。そのうち消火設備は、危険物の規制に関する政令の第20条と別表第五が定めています(危険物の規制に関する政令)。
| 区分 | 設備(別表第五の表記) | 見分け方 |
|---|---|---|
| 第1種 | 屋内消火栓設備又は屋外消火栓設備 | 名前に「設備」がつく |
| 第2種 | スプリンクラー設備 | 名前に「設備」がつく |
| 第3種 | 水蒸気消火設備又は水噴霧消火設備/泡消火設備/不活性ガス消火設備/ハロゲン化物消火設備/粉末消火設備 | 名前に「設備」がつく(粉末は薬剤で3つに分かれる) |
| 第4種 | 消火器のうち大型のもの | 「消火器」 |
| 第5種 | 消火器のうち小型のもの/水バケツ又は水槽/乾燥砂/膨張ひる石又は膨張真珠岩 | 「消火器」と、簡易な用具 |
別表第五の備考には、「消火器は、第四種の消火設備については大型のものをいい、第五種の消火設備については小型のものをいう」とあります。つまり消火器は第4種か第5種で、大きさで区分が決まります。
どの施設にどの区分を置くかは、政令第20条第1項が3段階で定めています。
- 著しく消火が困難な施設等:第1種・第2種・第3種のうち適応するものに加えて、第4種・第5種を設置する(第1号)
- 消火が困難な施設等:第4種・第5種を設置する(第2号)
- それ以外:第5種を設置する(第3号)
どの施設がどの段階に当たるかは総務省令(規則第33条・第34条)が定めていますが、条文が長いため、この記事では扱いません。
法令の施行日:危険物の規制に関する政令は2026-04-04施行の版、危険物の規制に関する規則は2026-06-30施行の版を確認。最終確認日:2026-10-04。出典:e-Gov 法令検索 危険物の規制に関する政令、同 危険物の規制に関する規則。
第4類に使える消火設備の一覧表
次の表は、別表第五から「建築物その他の工作物」「電気設備」「第4類の危険物」の3つの欄を取り出したものです(○は適応、-は空欄)。
| 区分 | 設備・消火器 | 建築物等 | 電気設備 | 第4類 |
|---|---|---|---|---|
| 第1種 | 屋内消火栓設備又は屋外消火栓設備 | ○ | - | - |
| 第2種 | スプリンクラー設備 | ○ | - | - |
| 第3種 | 水蒸気消火設備又は水噴霧消火設備 | ○ | ○ | ○ |
| 第3種 | 泡消火設備 | ○ | - | ○ |
| 第3種 | 不活性ガス消火設備 | - | ○ | ○ |
| 第3種 | ハロゲン化物消火設備 | - | ○ | ○ |
| 第3種 | 粉末消火設備(りん酸塩類等を使用するもの) | ○ | ○ | ○ |
| 第3種 | 粉末消火設備(炭酸水素塩類等を使用するもの) | - | ○ | ○ |
| 第3種 | 粉末消火設備(その他のもの) | - | - | - |
| 第4種・第5種 | 消火器:棒状の水 | ○ | - | - |
| 第4種・第5種 | 消火器:霧状の水 | ○ | ○ | - |
| 第4種・第5種 | 消火器:棒状の強化液 | ○ | - | - |
| 第4種・第5種 | 消火器:霧状の強化液 | ○ | ○ | ○ |
| 第4種・第5種 | 消火器:泡 | ○ | - | ○ |
| 第4種・第5種 | 消火器:二酸化炭素 | - | ○ | ○ |
| 第4種・第5種 | 消火器:ハロゲン化物 | - | ○ | ○ |
| 第4種・第5種 | 消火器:消火粉末(りん酸塩類等を使用するもの) | ○ | ○ | ○ |
| 第4種・第5種 | 消火器:消火粉末(炭酸水素塩類等を使用するもの) | - | ○ | ○ |
| 第4種・第5種 | 消火器:消火粉末(その他のもの) | - | - | - |
| 第5種 | 水バケツ又は水槽 | ○ | - | - |
| 第5種 | 乾燥砂 | - | - | ○ |
| 第5種 | 膨張ひる石又は膨張真珠岩 | - | - | ○ |
出典:危険物の規制に関する政令 別表第五(第二十条関係)(e-Gov 法令検索、2026-10-04 時点の現行の表)。「りん酸塩類等」は、りん酸塩類・硫酸塩類その他防炎性を有する薬剤、「炭酸水素塩類等」は、炭酸水素塩類および炭酸水素塩類と尿素との反応生成物を指します(同表の備考)。
覚え方:表を暗記せず、4つのルールで読む
次の4つは、上の表を読み取るための当サイトの整理です。語呂合わせではなく、表の並びから導けるルールにしてあります。
- ルール1:第4類は「水の棒」がだめ。屋内外の消火栓、スプリンクラー、棒状の水の消火器、棒状の強化液の消火器、水バケツは、いずれも第4類が空欄です
- ルール2:第4類は「薬剤で覆う・断つ」設備が○。泡・不活性ガス(二酸化炭素)・ハロゲン化物・粉末(りん酸塩類等/炭酸水素塩類等)は、設備でも消火器でも第4類が○です
- ルール3:「水」の例外が2つ。水噴霧消火設備(第3種)と霧状の強化液の消火器は第4類が○ですが、霧状の水の消火器は空欄です。棒状と霧状、水と強化液の4通りで、○になるのは「霧状の強化液」だけです
- ルール4:電気設備は「棒状の水・消火栓などの水の棒」と「泡」がだめ。電気設備が○なのは、水噴霧、不活性ガス、ハロゲン化物、粉末(りん酸塩類等/炭酸水素塩類等)と、消火器の霧状の水・霧状の強化液・二酸化炭素・ハロゲン化物・粉末です
粉末は「その他のもの」だけが、建築物等・電気設備・第4類のすべてで空欄である点にも注意してください。
この論点の問題:
類ごとの違い:第4類は棒状の水がだめ、乾燥砂はすべての類で○
同じ表を横に読むと、類によって適否が大きく変わります。次は、4つの設備を選び、12の対象物の欄を並べたものです。
| 対象物 | 棒状の水の消火器 | 泡の消火器 | 二酸化炭素の消火器 | 乾燥砂 |
|---|---|---|---|---|
| 建築物その他の工作物 | ○ | ○ | - | - |
| 電気設備 | - | - | ○ | - |
| 第1類(アルカリ金属の過酸化物等) | - | - | - | ○ |
| 第1類(その他) | ○ | ○ | - | ○ |
| 第2類(鉄粉・金属粉・マグネシウム等) | - | - | - | ○ |
| 第2類(引火性固体) | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 第2類(その他) | ○ | ○ | - | ○ |
| 第3類(禁水性物品) | - | - | - | ○ |
| 第3類(その他) | ○ | ○ | - | ○ |
| 第4類 | - | ○ | ○ | ○ |
| 第5類 | ○ | ○ | - | ○ |
| 第6類 | ○ | ○ | - | ○ |
出典:政令 別表第五(上と同じ。e-Gov 法令検索で2026-10-04に確認)。
読み取れることは3つです。
- 乾燥砂は、第1類から第6類までのすべての欄が○です(建築物等・電気設備は空欄)
- 棒状の水の消火器が空欄になるのは、電気設備、第1類のアルカリ金属の過酸化物等、第2類の鉄粉等、第3類の禁水性物品、第4類です
- 第4類の欄は、泡・二酸化炭素・乾燥砂が○で、棒状の水が空欄です。同じ引火性の第2類(引火性固体)と比べると、二酸化炭素と泡の○は同じで、棒状の水が違います
類ごとの性質・消火の違いは、第4類以外を学ぶときにも同じ表を使えます。第4類の性質の全体像は、第4類危険物の性質一覧表にまとめています。
設置の基準で出てくる数字(規則)
設置の基準は、政令を受けた危険物の規制に関する規則(危険物の規制に関する規則)に定められています。2026-10-04 時点の現行条文から、数字のあるものを抜き出します。
| 対象 | 条文 | 内容 |
|---|---|---|
| 第1種の屋内消火栓設備 | 規則第32条第1号 | 各部分から1つのホース接続口までの水平距離が25メートル以下 |
| 同上 | 規則第32条第3号 | 放水圧力0.35メガパスカル以上、放水量が毎分260リットル以上 |
| 第4種の消火設備 | 規則第32条の10 | 各部分から1つの消火設備までの歩行距離が30メートル以下(ただし書:第1種〜第3種と併置する場合は除く) |
| 第5種の消火設備 | 規則第32条の11 | 歩行距離20メートル以下。地下タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所・給油取扱所・販売取扱所は「有効に消火することができる位置」(ただし書:第1種〜第4種と併置する場合は除く) |
| 地下タンク貯蔵所 | 規則第35条第1号 | 第5種の消火設備を2個以上設ける |
| 電気設備 | 規則第36条 | 電気設備のある場所の面積100平方メートルごとに1個以上 |
第4種と第5種の距離は「30と20」、第5種の例外は「施設の種類で位置の決め方が変わる」と整理すると、条文の構造を忘れにくくなります。センターの「試験科目及び問題数」の案内に示されているのは科目名と問題数だけで、これらの数字がどこまで問われるかは示されていません。区分と適応(上の2つの表)を先に固め、距離は余力で確認するのが現実的です。
移動タンク貯蔵所(タンクローリー)の消火器は、規則第35条第2号に、充てん量などの条件が定められています。
所要単位と能力単位:指定数量の10倍が1所要単位
消火設備を「どれだけ置くか」の目安が、所要単位と能力単位です。規則第29条は、所要単位を「消火設備の設置の対象となる建築物その他の工作物の規模又は危険物の量の基準の単位」、能力単位を「所要単位に対応する消火設備の消火能力の基準の単位」と定めています。
所要単位の計算方法は、規則第30条に定められています(2026-10-04 時点)。
| 対象 | 1所要単位 |
|---|---|
| 製造所・取扱所の建築物(外壁が耐火構造) | 延べ面積100平方メートル |
| 製造所・取扱所の建築物(外壁が耐火構造でない) | 延べ面積50平方メートル |
| 貯蔵所の建築物(外壁が耐火構造) | 延べ面積150平方メートル |
| 貯蔵所の建築物(外壁が耐火構造でない) | 延べ面積75平方メートル |
| 危険物 | 指定数量の10倍 |
第5種の消火設備の能力単位は、規則第31条により、消火器の技術上の規格を定める省令と別表第二で定められています。
例題(当サイトの自作):
- 外壁が耐火構造の製造所の建築物(延べ面積400平方メートル):400÷100=4所要単位。逆算の確認は、4所要単位×100平方メートル=400平方メートル
- 指定数量の30倍の危険物:30÷10=3所要単位。逆算の確認は、3所要単位×10倍=30倍
- 外壁が耐火構造でない貯蔵所の建築物(延べ面積225平方メートル):225÷75=3所要単位。逆算の確認は、3×75=225
指定数量の倍数の求め方は指定数量の覚え方・倍数計算ガイドで解説しています。
この論点の問題:
乙4で問われる論点と、引っかけのパターン
消火設備は、乙種の3科目のうち「危険物に関する法令」と「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」の両方に関わります(科目名は消防試験研究センター 試験科目及び問題数で確認。同ページに示されているのは科目名と問題数だけです)。当サイトでは、法令の「消火設備・警報設備」と性質の「消火方法」の区分に分けて問題を置いています。当サイトの問題では、次の型を繰り返し取り上げています。
| 型 | 確認する点 | 当サイトの問題 |
|---|---|---|
| 区分の数 | 5区分、消火器は第4種又は第5種 | 法令 問32 |
| 単位 | 危険物は指定数量の10倍が1所要単位 | 法令 問33 |
| 棒状注水 | 第4類の火災への棒状の水は不適 | 性質 問2、性質 問27 |
| 薬剤の種類 | 泡・粉末・二酸化炭素・ハロゲン化物 | 性質 問92(二酸化炭素)、性質 問93(粉末) |
| 水溶性の液体 | 水溶性液体の消火に使う泡 | 性質 問44、性質 問14 |
| 消火の理論 | 除去・窒息・冷却・抑制 | 物理化学 問10 |
水溶性の液体の消火は、別表第五の表には現れません。表は設備の種類ごとの適否を示し、「どの泡を使うか」は性質の科目で学びます。条文の表と性質の科目の論点を分けて覚えると、混乱しにくくなります。
次は当サイトの自作の練習問題です(解答は表から導けます)。
- 問1:第4類の危険物の火災に適応する消火設備はどれか。ア 屋内消火栓設備/イ スプリンクラー設備/ウ 水噴霧消火設備/エ 棒状の水を放射する消火器/オ 水バケツ。答えはウです。ア・イ・エ・オは、第4類の欄が空欄です
- 問2:電気設備の火災に適応しないものはどれか。ア 二酸化炭素を放射する消火器/イ ハロゲン化物を放射する消火器/ウ 霧状の強化液を放射する消火器/エ 泡を放射する消火器/オ 炭酸水素塩類等を使用する粉末の消火器。答えはエです。電気設備の欄が○なのは、ア・イ・ウ・オです
まとめ
- 消火設備は第1種〜第5種の5区分。名前に「設備」がつくのが第1〜第3種、消火器(大型は第4種、小型は第5種)と簡易な用具が第4〜第5種です
- 第4類に○なのは、水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末(りん酸塩類等/炭酸水素塩類等)と、霧状の強化液・泡・二酸化炭素・ハロゲン化物・粉末の消火器、乾燥砂、膨張ひる石等です
- 第4類は「棒状の水」がだめ。水の例外は、水噴霧消火設備と霧状の強化液の2つだけです
- 危険物の所要単位は、指定数量の10倍が1所要単位です
- 試験の直前は、表の「第4類」と「電気設備」の2列だけを見直すのが効率的です
あわせて、第4類危険物の性質一覧表、法令の数値まとめ、語呂合わせ集も確認してください。
※ 本記事は2026-10-04時点の現行法令(e-Gov 法令検索)に基づくオリジナル解説です。施設の個別の消火設備の要否は、所轄の消防本部にご確認ください。
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よくある質問
Q消火設備の「第1種から第5種」は、どこに書かれていますか?
危険物の規制に関する政令の第20条(消火設備の基準)と、その別表第五(消火設備の適応性を示す表)に書かれています。消火栓・スプリンクラー・各種の固定設備・消火器・水バケツや乾燥砂などが、第1種から第5種までに分けられています。
Q水噴霧消火設備は第4類に使えるのに、霧状の水を放射する消火器は使えないのですか?
別表第五の第4類の欄では、水蒸気消火設備又は水噴霧消火設備(第3種)は○、霧状の水を放射する消火器は空欄(適応しない)です。同じ「水の霧」でも設備の区分が違うと適否が変わるため、取り違えやすい組み合わせです。
Q乾燥砂は、どの類の危険物にも使えますか?
別表第五では、乾燥砂と膨張ひる石又は膨張真珠岩(どちらも第5種)は、第1類から第6類までのすべての欄が○です。一方、建築物その他の工作物と電気設備の欄は空欄です。
Q物質ごとの消火方法(水溶性の液体など)も、別表第五に載っていますか?
載っていません。別表第五が示すのは、消火設備の種類ごとの適否です。水溶性の第4類危険物に水溶性液体用の泡を使う、といった物質ごとの話は、性質の科目の論点として別に学びます。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。
