危険物乙4の指定数量を、政令別表第三の一覧表と「非水溶性200・1,000・2,000、水溶性はその2倍」の規則性で覚えます。倍数は品目ごとに割ってから足す手順を、2通りの検算つきの計算例で説明し、合格ナビの法令の問題17問(2026-10-29集計)の聞かれ方も数えました。
目次
結論:指定数量は、非水溶性の石油類が200・1,000・2,000Lで、水溶性はその2倍です。残りの特殊引火物50L・アルコール類400L・第四石油類6,000L・動植物油類10,000Lを足すと、第4類の7品名・10区分がそろいます。倍数は品目ごとに割ってから足し、和が1以上なら指定数量以上です。
危険物乙4の指定数量はどう覚える?規則性で10区分をつかむ
指定数量は、製造所・貯蔵所・取扱所で扱う消防法の規制がかかり始める境目の線のようなものです。線が低い(数字が小さい)ほど、少しの量でも規制がかかります。指定数量未満の貯蔵・取扱いの基準は、市町村条例で定めます(消防法第9条の4)。
- 非水溶性の石油類:第一200L →(5倍)第二1,000L →(2倍)第三2,000L
- 水溶性は非水溶性の2倍:第一400L・第二2,000L・第三4,000L
- 水溶性の区分がない4つ:特殊引火物50L・アルコール類400L・第四石油類6,000L・動植物油類10,000L
最初に覚えるのは、非水溶性の3つの数字と「水溶性は2倍」の決まりです。残りの4つは、特殊引火物の50Lだけが小さく、あとは400L・6,000L・10,000Lと大きくなります。
数字を語呂で覚えたい場合は、危険物乙4の語呂合わせ集にまとめています。
第4類の指定数量の一覧表(政令 別表第三)
| 品名 | 性質 | 指定数量 | 代表物質 |
|---|---|---|---|
| 特殊引火物 | — | 50 L | ジエチルエーテル・二硫化炭素 |
| 第一石油類 | 非水溶性 | 200 L | ガソリン |
| 第一石油類 | 水溶性 | 400 L | アセトン |
| アルコール類 | — | 400 L | メタノール・エタノール(炭素数1〜3の飽和1価アルコール) |
| 第二石油類 | 非水溶性 | 1,000 L | 灯油・軽油 |
| 第二石油類 | 水溶性 | 2,000 L | (条文に物質名の例示なし) |
| 第三石油類 | 非水溶性 | 2,000 L | 重油・クレオソート油 |
| 第三石油類 | 水溶性 | 4,000 L | (条文に物質名の例示なし) |
| 第四石油類 | — | 6,000 L | ギヤー油・シリンダー油 |
| 動植物油類 | — | 10,000 L | 動物の脂肉等・植物の種子や果肉から抽出したもの(引火点250℃未満) |
出典:e-Gov 法令検索 危険物の規制に関する政令 別表第三(第四類)、消防法 別表第一 備考(2026-10-29 時点)。代表物質は、条文に名前が挙がっているものです。アルコール類のメタノール・エタノールは条文の例示ではなく、定義に当たる物質の例です。
アセトンが第一石油類の水溶性液体に当たることは、職場のあんぜんサイト アセトンの安全データシートの消防法の欄にも「第4類引火性液体、第一石油類水溶性液体」とあります(2026-10-29 確認)。
第4類の指定数量:特殊引火物50L、第一石油類 非水溶性200L・水溶性400L、アルコール類400L、第二石油類 非水溶性1,000L・水溶性2,000L、第三石油類 非水溶性2,000L・水溶性4,000L、第四石油類6,000L、動植物油類10,000L。令和8年政令第115号による改正後の現行版で、別表第三の数字は改正の前と同じです。最終確認日:2026-10-29。出典:e-Gov 法令検索 危険物の規制に関する政令 別表第三。
物質名から指定数量を引く3つの手順
「灯油の指定数量は?」のように物質名から引くときは、次の順に進めます。
1. 品名を決める:消防法 別表第一の備考が挙げる物質名と、定義(引火点など)で判断する
2. 水溶性か非水溶性かを見る:区分があるのは第一〜第三石油類だけ
3. 政令 別表第三で数字を読む:上の一覧表の行を引く
手順1:品名は別表第一の例示と定義で決まる
| 品名 | 別表第一 備考が挙げる物質名 | 備考の定義(引火点・発火点・沸点は一気圧での値) |
|---|---|---|
| 特殊引火物 | ジエチルエーテル、二硫化炭素 | 発火点が100度以下のもの、又は引火点が零下20度以下で沸点が40度以下のもの |
| 第一石油類 | アセトン、ガソリン | 引火点が21度未満のもの |
| アルコール類 | (物質名の例示なし) | 一分子を構成する炭素の原子の数が1個から3個までの飽和一価アルコール(変性アルコールを含む) |
| 第二石油類 | 灯油、軽油 | 引火点が21度以上70度未満のもの |
| 第三石油類 | 重油、クレオソート油 | 引火点が70度以上200度未満のもの |
| 第四石油類 | ギヤー油、シリンダー油 | 引火点が200度以上250度未満のもの |
| 動植物油類 | (物質名の例示なし) | 動物の脂肉等又は植物の種子若しくは果肉から抽出したもので、引火点が250度未満のもの |
表の品名は、どれも第四類(引火性液体)に当たることが前提です。第三石油類・第四石油類・動植物油類は、一気圧・温度20度で液状のものに限られます(備考第十号)。
除外もあります。第二〜第四石油類は塗料類その他の物品で総務省令で定めるもの、アルコール類は組成等を勘案して総務省令で定めるものを除きます。動植物油類も、総務省令で定めるところにより貯蔵保管されているものは除かれます。条文に名前がない物質は、備考の定義に当てはめて品名を決めます。
手順2:水溶性液体の定義
政令 別表第三の備考は、水溶性液体を「一気圧において、温度二〇度で同容量の純水と緩やかにかき混ぜた場合に、流動がおさまつた後も当該混合液が均一な外観を維持するもの」と定めています。非水溶性液体は、水溶性液体以外のものです。
水溶性と非水溶性に分かれるのは、第一石油類・第二石油類・第三石油類の3品名だけです。特殊引火物・アルコール類・第四石油類・動植物油類は、水に溶けるかどうかに関係なく1つの数字です。
手順3:品名と区分が決まれば数字を読む
ガソリンなら、第一石油類(手順1)・非水溶性(手順2)なので200Lです。アセトンは第一石油類・水溶性なので400L、灯油は第二石油類・非水溶性なので1,000Lです。
出典:e-Gov 法令検索 消防法 別表第一 備考第十〜十七号、危険物の規制に関する政令 別表第三 備考第九・十号(2026-10-29 時点)。
倍数の計算:品目ごとに割ってから足す
倍数は、貯蔵・取扱いの量を、その品名の指定数量で割った値です。2つ以上の危険物があるときは、品目ごとに割った値を足します。
倍数 = 貯蔵・取扱いの量 ÷ その品名の指定数量
指定数量の量を1箱にたとえると、倍数は「何箱分あるか」です。以下は合格ナビで計算した例で、どれも2通りの方法で検算しています。
例1:ガソリン400L
- 倍数=400÷200=2倍
- 検算①(逆算):2×200=400 L
- 検算②(箱で数える):1箱200Lが2つ分
例2:灯油3,000L
- 倍数=3,000÷1,000=3倍
- 検算①(逆算):3×1,000=3,000 L
- 検算②(箱で数える):1箱1,000Lが3つ分
例3:ガソリン100Lと灯油2,000L
- ガソリン:100÷200=0.5倍、灯油:2,000÷1,000=2.0倍
- 合計=0.5+2.0=2.5倍
- 検算①(逆算):0.5×200=100 L、2.0×1,000=2,000 L
- 検算②(分数):2分の1+2=2分の5=2.5
例4:ジエチルエーテル20L・アルコール類200L・ギヤー油3,000L
- ジエチルエーテル:20÷50=0.4倍
- アルコール類:200÷400=0.5倍
- ギヤー油:3,000÷6,000=0.5倍
- 合計=0.4+0.5+0.5=1.4倍
- 検算①(逆算):0.4×50=20 L、0.5×400=200 L、0.5×6,000=3,000 L
- 検算②(分数):5分の2+2分の1+2分の1=5分の7=1.4
例4は、どの品目も1倍未満です。それでも和が1以上なので、その場所は指定数量以上の危険物を貯蔵しているとみなされます。
倍数の定義は消防法第11条の4第1項、和が1以上でみなす決まりは同法第10条第2項です(2026-10-29 確認)。
指定数量以上になると、その危険物は製造所・貯蔵所・取扱所で扱います(同法第10条第1項。所轄消防長又は消防署長の承認を受けて10日以内の期間、仮に貯蔵し、又は取り扱う場合は例外)。施設の区分は製造所・貯蔵所・取扱所の区分、倍数を変えるときの届出は法令の数値まとめにあります。
- ガソリン400L・灯油2,000L・重油4,000Lの倍数(問43)
- ガソリン・灯油・軽油の倍数(問62)
- 重油4,000Lと軽油1,500Lの合計倍数(問141)
- エタノール・ベンゼン・軽油の倍数(問77)
- アマニ油5,000Lとギヤー油3,000Lの倍数(問78)
- ジエチルエーテル100Lとメタノール2,000Lの倍数(問80)
合格ナビの問題で多い聞かれ方:17問のうち13問が倍数の計算
合格ナビの法令150問のうち、「指定数量」の分類は17問です。13問が倍数の計算で、4問が指定数量の意味と規制を問う問題です。
| 倍数の計算(13問) | 指定数量が問題文にある | 指定数量を自分で引く |
|---|---|---|
| 水溶性液体の区分(2倍の数字)を含む | 3問(問60・142・143) | 3問(問76・79・103) |
| 水溶性液体の区分を含まない | 4問(問1・43・62・141) | 3問(問77・78・80) |
| ほかの聞かれ方 | 問題数 |
|---|---|
| 指定数量の意味と規制(「指定数量」の分類のうち計算でないもの) | 4問 |
| 法令のほかの分類で、問題文か選択肢に「倍数」が出る問題 | 33問 |
| 性質・消火100問のうち、問題文か選択肢に「指定数量」が出る問題 | 18問 |
出典:合格ナビの問題データ(危険物乙4 法令150問・性質消火100問・集計日 2026-10-29)。法令のほかの分類の33問は、製造所等の区分10問・定期点検と予防規程7問・許可と届出6問・保安距離と保有空地4問・貯蔵と取扱いの基準4問・消火設備1問・自主保安1問です。
13問の約半分(6問)は、指定数量が問題文に書いてありません。一覧表を覚えていないと、計算に入れない問題です。水溶性液体の区分を含む6問では、2倍の数字を使えるかが分かれ目になります。
- 二硫化炭素・メタノール・アセトンの倍数(問60)
- 酢酸1,000Lと重油6,000Lの倍数(問142)
- 重油とグリセリンの倍数(問76)
- 酢酸・灯油・アセトンの倍数(問79)
- 軽油4,000Lと酢酸6,000Lの倍数(問103)
- ガソリン・軽油・アセトンの倍数とその扱い(問143)
- 指定数量未満の貯蔵・取扱い(問21)
- 製造所・一般取扱所の倍数と規制(問41)
- 指定数量の記述(問81)
- 指定数量との関係(問140)
よくある引っかけ:アセトン・量の足し算・水溶性の向き
- アセトンは水溶性で400L:同じ第一石油類のガソリン(200L)と混ぜやすい
- 指定数量が違う物質は、量を先に足さない:品目ごとに割ってから、倍数を足す
- 水溶性のほうが数字が大きい:水溶性は非水溶性の2倍で、同じ量なら倍数は半分になる
- 水溶性の区分は第一〜第三石油類だけ:アルコール類・第四石油類に「水溶性の数字」はない
たとえば第二石油類1,000Lでも、灯油(非水溶性)なら1倍、酢酸(水溶性)なら0.5倍です。物質の性質の違いは第4類危険物の性質一覧表で確かめられます。
一覧表を書けるようにしてから、倍数の問題を解こう
指定数量は、非水溶性200・1,000・2,000Lと「水溶性は2倍」を幹に、残りの4つを足せば覚えられます。合格ナビの倍数の問題13問のうち6問は指定数量が書いていないので、まず一覧表を白紙に書けるようにしましょう。書けたら、品目ごとに割ってから足す手順で、法令の問題を解いて確かめます。
よくある質問
Qトルエンとベンゼンのように、指定数量が同じ物質どうしでも、割ってから足しますか?
どちらの順でも答えは同じです。トルエンとベンゼンは、職場のあんぜんサイトでどちらも第一石油類の非水溶性液体とされ、指定数量は200Lです。トルエン300Lとベンゼン100Lなら、300÷200+100÷200=2で、(300+100)÷200=2と一致します。量を先に足すと誤るのは、指定数量が違う物質をまとめるときです。
Q第二石油類の水溶性液体には、どんな物質がありますか?
消防法別表第一の備考は、第二石油類の例として灯油・軽油だけを挙げ、水溶性の物質名は挙げていません。職場のあんぜんサイトでは、酢酸のページの消防法の欄が「第4類引火性液体、第二石油類水溶性液体」、灯油のページが「第二石油類非水溶性液体」です。指定数量は、酢酸が2,000L、灯油が1,000Lになります。
Q倍数の合計がちょうど1のときは、指定数量以上ですか?
指定数量以上です。消防法第10条第2項は、品名又は指定数量を異にする2以上の危険物を同一の場所で貯蔵し、又は取り扱う場合に、それぞれの数量を指定数量で除した商の和が「一以上となるとき」は、指定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱っているものとみなすと定めています。トルエン100L(0.5倍)と灯油500L(0.5倍)なら和は1で、指定数量以上です。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月29日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。
