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在職老齢年金の計算令和8年度は65万円の基準額・計算式と3つの計算例

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

在職老齢年金の計算方法を、日本年金機構の令和8年度の基準額(65万円)で整理。基本月額と総報酬月額相当額の意味、支給停止額の式、全額支給・一部停止・全額停止の3つの計算例と、試験で問われる厚生年金保険法46条まで。

目次
  1. 令和8年度の基準額と計算式のまとめ
  2. 基本月額と総報酬月額相当額:何を入れて何を入れないか
  3. 計算の手順:4つのステップ
  4. 計算例1:日本年金機構の例で、全額支給になるケース
  5. 計算例2:一部が支給停止になるケース
  6. 計算例3:老齢厚生年金が全額支給停止になるケース
  7. 支給停止の期間と、変わる時期
  8. 令和8年4月の見直しは、何が変わったか
  9. 社労士試験との関係:厚生年金保険法46条
  10. まとめ:計算に使うのは「基本月額」「総報酬月額相当額」「65万円」の3つ
結論:在職老齢年金は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が基準額を超えたとき、超えた額の半分が老齢厚生年金から支給停止になる仕組みです。令和8年度の基準額は月65万円(令和7年度は51万円)で、式は「基本月額−(基本月額+総報酬月額相当額−65万円)÷2」です。合計が65万円以下なら全額支給です(日本年金機構)。

令和8年4月に基準額が引き上げられたため、令和7年度までの数字で計算した古い解説とは答えが合いません。この記事は、日本年金機構と厚生労働省の公表内容と、厚生年金保険法の現行条文だけを使い、式の意味と手順を3つの計算例で確かめられるようにしました。実際の支給額は、年金の種類、加給年金額、共済組合の年金の有無などで変わるため、個別の見込みは断定できません。自分の金額は、年金事務所や「ねんきんネット」で確認してください。

令和8年度の基準額と計算式のまとめ

日本年金機構が公表している内容を、表にまとめます。

項目内容
対象になる人老齢厚生年金を受けながら、厚生年金保険の被保険者として働く人。平成19年4月以降に70歳に達した人は、70歳以降も適用事業所に勤めていれば対象
基準額(支給停止調整額)令和8年度は月65万円
全額支給になる条件基本月額+総報酬月額相当額が65万円以下
支給停止になる条件基本月額+総報酬月額相当額が65万円を超える
支給停止額(月)(基本月額+総報酬月額相当額−65万円)÷2
調整後の年金支給月額基本月額−支給停止額
調整されない年金老齢基礎年金(日本年金機構)
在職老齢年金の基準額:令和8年度は月65万円。令和7年度は51万円。基準額は毎年度、賃金の変動に応じて改定される。最終確認日:2026-10-04。出典:日本年金機構 在職老齢年金の計算方法(更新日 2026年4月1日)、日本年金機構 在職老齢年金制度が改正されました(更新日 2026年4月1日)。

基準額の移り変わりは、公表資料で次のとおり確認できます。

年度基準額(月)出典
2024年度50万円厚生労働省(見直しの説明ページ)
令和7年度51万円日本年金機構
令和8年度65万円日本年金機構

厚生労働省の見直しのページには、法律が成立した2025年6月時点の額は62万円で、2026年4月からは65万円になる、と書かれています。62万円は、法律に書かれた基準となる額です。令和8年度の実際の額は、日本年金機構が案内している65万円です。

基本月額と総報酬月額相当額:何を入れて何を入れないか

計算に使う2つの数字の意味は、日本年金機構が次のように説明しています。

  • 基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額。年額を12で割った額
  • 総報酬月額相当額:(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12

間違えやすい点は、次の3つです。

  • 基本月額に、加給年金額は入りません。老齢基礎年金も入りません(加給年金額の要件と金額は、加給年金の記事で整理しています)
  • 総報酬月額相当額に入るのは、給与の額面そのものではなく標準報酬月額(保険料の計算に使う区切りのよい額)。賞与は、標準賞与額の直近1年分を12で割って、毎月に均して加える
  • 共済組合などからも老齢厚生年金を受けている人は、日本年金機構と共済組合等のすべての老齢厚生年金を合わせた額を12で割って基本月額にする。支給停止の総額は、それぞれの年金額に応じて割り振る(日本年金機構)

条文は、厚生年金保険法46条1項です。「総報酬月額相当額と基本月額との合計額が支給停止調整額を超えるときは」、合計額から支給停止調整額を控除した額の二分の一に相当する額に12を乗じた額(支給停止基準額)の部分の支給を停止する、と定めています(e-Gov 法令検索で確認、2026-10-04)。月額で説明した「半額」は、年額にすると12倍する、という関係です。

計算の手順:4つのステップ

  • ① 基本月額を求める。老齢厚生年金(報酬比例部分)の年額÷12。加給年金額は入れない
  • ② 総報酬月額相当額を求める。標準報酬月額+(直近1年の標準賞与額の合計÷12)
  • ③ 合計(①+②)を65万円と比べる。65万円以下なら、全額支給で計算は終わり
  • ④ 65万円を超えるときは、(合計−65万円)÷2が支給停止額。基本月額から引いた額が、調整後の年金支給月額。引いた結果がマイナスになる場合は、老齢厚生年金は全額が支給停止(日本年金機構。加給年金額も含めて全額停止)

計算例1:日本年金機構の例で、全額支給になるケース

日本年金機構の改正のページにある例です。条件:基本月額が10万円、総報酬月額相当額が46万円(標準報酬月額が36万円、標準賞与額が120万円を12で割った10万円)。

  • ① 合計:10万円+46万円=56万円
  • ② 令和8年度の基準額は65万円。56万円は65万円を超えない
  • ③ 結果:全額支給(年金支給額は10万円)
  • ④ 検算:総報酬月額相当額=36万円+120万円÷12=36万円+10万円=46万円。日本年金機構が示している改正前(基準額51万円)の例の答え「7.5万円(2.5万円が支給停止)」も、10万円−(10万円+46万円−51万円)÷2=10万円−2.5万円=7.5万円で一致する

同じ人でも、基準額が51万円のときは2.5万円が止まり、65万円のときは止まらない、という違いが分かります。

計算例2:一部が支給停止になるケース

条件(当サイトの例):基本月額が15万円、標準報酬月額が50万円、直近1年の標準賞与額の合計が120万円。

  • ① 総報酬月額相当額:50万円+120万円÷12=50万円+10万円=60万円
  • ② 合計:15万円+60万円=75万円。65万円を超える
  • ③ 支給停止額:(75万円−65万円)÷2=5万円
  • ④ 調整後の年金支給月額:15万円−5万円=10万円
  • ⑤ 検算:調整後の「賃金+年金」は60万円+10万円=70万円。超過額10万円の半分(5万円)だけ、基準額65万円に上乗せされた額(65万円+5万円=70万円)になる

この検算は、「基準額を超えた分の半分は、手元に残る」という式の意味を示しています。年金が全額停止にならない範囲では、賃金が1万円増えると年金は0.5万円減るので、「賃金+年金」の合計は0.5万円ずつ増えていきます。

計算例3:老齢厚生年金が全額支給停止になるケース

条件(当サイトの例):基本月額が8万円、総報酬月額相当額が80万円。

  • ① 合計:8万円+80万円=88万円。65万円を超える
  • ② 式の結果:8万円−(88万円−65万円)÷2=8万円−11.5万円=−3.5万円
  • ③ 結果がマイナスなので、老齢厚生年金は全額が支給停止(日本年金機構)
  • ④ 検算(境目):全額停止になるのは、停止額(合計−65万円)÷2が基本月額以上のとき。8万円なら(8万円+総報酬月額相当額−65万円)≥16万円、つまり総報酬月額相当額が73万円以上。73万円でちょうど(8+73−65)÷2=8万円となり、80万円はこの境目を超えている

境目の式は、一般には「総報酬月額相当額=65万円+基本月額」以上です。基本月額が10万円なら75万円、15万円なら80万円で全額停止になります。

支給停止の期間と、変わる時期

日本年金機構の案内で、支給停止の期間と変更の時期は次のとおりです。

  • 支給停止の期間:基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円を超えている期間
  • 支給停止額が変わる時期:総報酬月額相当額が変わった月、または退職日の翌月(退職して1か月以内に再就職し、厚生年金保険に加入した場合を除く)
  • 退職改定:70歳未満の人が退職して1か月を経過したときは、退職した翌月分の年金額から見直される。年金額に反映されていなかった退職までの加入期間が加わる
  • 在職定時改定:65歳以上70歳未満で、基準日の9月1日に被保険者である人は、翌月の10月分の年金額から見直される
  • 70歳以降の期間は、厚生年金に加入していないため、年金額の再計算には反映しない

なお、令和4年3月以前の65歳未満の人の年金は、支給停止の計算方法が異なります(日本年金機構)。この記事の式は、令和4年4月以降の年金に当てはまるものです。

令和8年4月の見直しは、何が変わったか

日本年金機構は、令和7年年金制度改正法(令和7年法律第74号)に基づき、令和8年4月から、年金が減額になる基準額(賃金と老齢厚生年金の合計)が月51万円から65万円に引き上げられた、と案内しています。見直しの趣旨は、働き続けることを希望する高齢者の活躍を後押しし、より働きやすい仕組みにすることです。

変わったのは基準額だけです。計算式(超えた分の半分が停止)、基本月額・総報酬月額相当額の定義、老齢基礎年金が調整の対象にならない点は、変わっていません。厚生年金保険法46条3項も、支給停止調整額を62万円としつつ、令和7年度以後の各年度に、物価変動率などを乗じて改定する仕組みを定めています。法律上は、62万円を出発点に、年度ごとの率で改定した額が基準額になります。

令和8年4月の見直し:基準額は月51万円から65万円に引き上げ(令和8年4月〜)。令和7年年金制度改正法(令和7年法律第74号)に基づく。最終確認日:2026-10-04。出典:日本年金機構 在職老齢年金制度が改正されました、厚生労働省 在職老齢年金制度の見直しについて。

各基準額での支給停止額の詳細は、日本年金機構が在職老齢年金早見表(PDF)で公表しています。

社労士試験との関係:厚生年金保険法46条

在職老齢年金は、社労士試験の厚生年金保険法で問われる論点です。条文で押さえる点は、次のとおりです。

  • 対象:老齢厚生年金の受給権者が、被保険者である日などが属する月(46条1項)
  • 基本月額:老齢厚生年金の額(加給年金額と繰下げ加算額を除く)を12で除した額
  • 支給停止基準額:合計額から支給停止調整額を控除した額の二分の一に相当する額に、12を乗じた額
  • 全部停止:支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部(繰下げ加算額を除く)を停止
  • 支給停止調整額:46条3項で62万円とし、令和7年度以後は年度ごとに改定される仕組み
条文:厚生年金保険法46条。条文は e-Gov 法令検索で確認(2026-10-04 時点の現行条文)。最終確認日:2026-10-04。出典:e-Gov法令検索 厚生年金保険法。

試験では、数字(基準額)と定義(基本月額に加給年金額が入るか)を取り違えさせる出題が考えられます。試験の法令基準日は年ごとに決まるため、受験する年の基準日の数字が答えの基準になります。受験する年の基準日は、試験の案内で確認してください。

合格ナビの社労士問題358問のうち、厚生年金保険法は55問で、在職老齢年金や在職定時改定に触れる問題は6問です(2026-10-04 集計。当サイトの問題数であり、本試験の出題頻度ではありません)。中心的に扱う問題は、次のとおりです(論点別問題・当サイトの自作問題)。

年金2科目の全体像は社労士の年金2科目の攻略、学習計画は独学ロードマップにあります。

まとめ:計算に使うのは「基本月額」「総報酬月額相当額」「65万円」の3つ

  • 令和8年度の基準額は月65万円。基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円以下なら全額支給
  • 65万円を超えたら、超えた額の半分が支給停止。調整後の年金は「基本月額−(合計−65万円)÷2」
  • 基本月額に加給年金額は入らない。老齢基礎年金は調整の対象にならない
  • 停止額が基本月額以上になる場合は、老齢厚生年金が全額停止
  • 基準額は毎年度改定される。実際の金額は、年金事務所やねんきんネットで確認する

よくある質問

Q賃金と年金の合計が65万円を超えたら、年金は全額止まりますか?

全額が止まるとは限りません。日本年金機構の計算式では、基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円を超えたとき、超えた額の半分が支給停止になります。停止額が基本月額以上になる場合に、老齢厚生年金が全額停止になります。たとえば基本月額が10万円なら、停止額が10万円に届く境目は、総報酬月額相当額が75万円以上のときです。

Q在職老齢年金で、老齢基礎年金も減らされますか?

減りません。日本年金機構は、老齢基礎年金は在職老齢年金の調整の対象にならないと案内しています。調整の対象は老齢厚生年金です。経過的加算額も、調整されず全額が支給される、と同機構は案内しています。

Q令和9年度以降も、基準額は65万円のままですか?

同じとは限りません。日本年金機構は、65万円は令和8年度の基準額で、毎年度、賃金の変動に応じて改定されると案内しています。新しい年度の額は、日本年金機構の「在職老齢年金の計算方法」のページで確認してください。

Q70歳を過ぎても働いていれば、この計算の対象になりますか?

対象になります。日本年金機構は、平成19年4月以降に70歳に達した人が、70歳以降も厚生年金の適用事業所に勤めている場合は、厚生年金保険の被保険者ではないものの、在職による支給停止が行われると説明しています。この場合は保険料の負担はありません。

Q賞与は、計算にどう入りますか?

賞与そのものではなく、標準賞与額が入ります。総報酬月額相当額は「その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12」です。賞与が多い年は、その月以降の総報酬月額相当額が上がり、支給停止額が増えることがあります。

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法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

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