第二種電工

電気工事士の仕事はきつい?やめとけと言われる理由を労災統計と法令で検証

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

電気工事士はやめとけ・きついと言われる理由を、厚生労働省の労働災害統計(令和7年確定値)と電気工事士法・労働安全衛生規則、電気技術者試験センターの受験案内で検証。受験の条件や第一種との違いも確認できます。待遇の話は扱わず、公的な資料で確かめられる事実だけを整理します。

目次
  1. 「やめとけ」「きつい」の根拠を分けて考える
  2. 労働災害の統計で見る建設業の現実(令和7年確定値)
  3. 仕事内容がきついと言われる点を法令で整理する
  4. 見習い・未経験でも始められるか
  5. 向いていない人の特徴ではなく、受験前に確認できる条件
  6. 第一種電気工事士はやめとけと言われる点
  7. 資格を取る前に確かめられること
  8. まとめ
結論:「きつい」「やめとけ」と言われる点のうち、公的な資料で裏づけられるのは、建設業で労働災害が多いこと(令和7年は死亡214人、うち墜落・転落が91人)と、現場で求められる施工精度と安全措置の厳しさです。一方、受験資格に学歴・年齢・実務経験の制限がないことや、第二種電気工事士の免状に有効期限がないことも、公式に確認できます。向き不向きや待遇は一次情報では断定できないため、この記事では扱いません。
論点公的な資料で確認できること公的な資料では確認できないこと
災害の多さ令和7年、建設業の死亡災害214人・死傷災害13,437人(厚生労働省)電気工事だけの災害件数(業種区分にない)
作業の厳しさ現場では試験の基準より厳しい施工が求められる(電気技術者試験センター)。停電作業の措置は労働安全衛生規則339条が定める労働時間や体感のきつさ
受験の条件制限や条件はなく、実務経験も不要(電気技術者試験センター)視力・体力の基準(条文・受験案内に記載なし)
資格の位置づけ免状がないと、一般用電気工作物等の電気工事の作業に従事できない(電気工事士法3条2項)資格を取った後の個人の経験談

条文は電気工事士法・電気工事業の業務の適正化に関する法律・労働安全衛生法・労働安全衛生規則です(出典は e-Gov 法令検索。2026-10-04 時点の現行条文)。

合格ナビの第二種電工の学科問題382問のうち、問題文か選択肢に「電気工事士法」が出てくる問題は13問あります(すべて「検査・法令」。2026-10-02 時点の当サイトの問題データを集計)。

「やめとけ」「きつい」の根拠を分けて考える

掲示板(2ch など)や Q&A サイトの「やめとけ」は、書いた人が経験した現場の話です。同じ資格でも、工事の種類(住宅、店舗、ビル、工場)や会社によって仕事の中身が違うため、一つの書き込みを電気工事士全体の話として読むことはできません。

この記事では、「やめとけ」の根拠を4つに分け、公的な資料で確かめられるものだけを扱います。

  • 労働災害の多さ:厚生労働省の統計で確認できる
  • 現場で求められる精度と安全措置:電気技術者試験センターの案内と、法令の条文で確認できる
  • 受験・取得の条件:電気技術者試験センターの案内と、電気工事士法で確認できる
  • 待遇:職種全体を代表する数字は、この記事では扱わない

労働災害の統計で見る建設業の現実(令和7年確定値)

厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」が公表している令和7年の労働災害統計(確定値)から、建設業と全産業の数字を並べます。

事故の型建設業の死亡全産業の死亡建設業の死傷全産業の死傷
合計214人700人13,437人135,333人
墜落・転落91人186人4,343人20,864人
はさまれ・巻き込まれ23人117人1,496人13,047人
感電6人10人43人94人
令和7年の労働災害:建設業の死亡災害・死傷災害:死亡214人(全産業700人)、死傷13,437人(全産業135,333人)。最終確認日:2026-10-04。出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト 労働災害統計(令和7年確定値)。

出典の Excel は、同ページの「死亡災害統計確定値(閲覧用)」r7_16_sibou.xlsxと「死傷災害統計確定値(閲覧用)」r7_16_sisyou.xlsxの、シート「②業種・事故型」です(令和7年の12月末累計。新型コロナウイルス感染症のり患による労働災害を除いたもの。死傷は労働者死傷病報告による)。表の割合は、当サイトが上の数字から計算しました。

  • 建設業は、全産業の死亡災害の30.6%(214人÷700人)、死傷災害の9.9%(13,437人÷135,333人)を占めます
  • 建設業の死亡災害のうち、墜落・転落は42.5%(91人÷214人)です。全産業では26.6%(186人÷700人)にとどまります
  • 建設業の死傷災害でも、墜落・転落は32.3%(4,343人÷13,437人)で、全産業の15.4%(20,864人÷135,333人)の約2倍の割合です
  • 感電は、建設業の死亡災害の2.8%(6人÷214人)、死傷災害の0.32%(43人÷13,437人)です

この数字の読み方には限界があります。

  • 業種区分に「電気工事」だけを取り出した行はありません(建設業は、土木工事、建築工事、建築設備工事、電気通信工事、その他の建設などに分かれています)。建設業全体の数字を、電気工事士の仕事の数字として読むことはできません
  • 最も多い事故の型は墜落・転落です。高所での作業があるかどうかは工事によって違うので、自分が就く仕事の現場で、墜落防止がどう行われているかを確かめることが、統計を自分の判断に生かす方法です
  • 感電は件数としては少ない一方、電気を扱う仕事に特有の事故の型です。次の節で見るとおり、感電を防ぐための措置は法令に細かく定められています

仕事内容がきついと言われる点を法令で整理する

免状がないとできない作業は、法律で決まっている

電気工事士法3条2項は、第一種電気工事士か第二種電気工事士の免状の交付を受けている人でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業に従事してはならないと定めています。免状が要らない作業(軽微な作業)は、施行規則2条2項が定めています。

免状が必要な作業の範囲は、第二種電気工事士でできること・できないことに表でまとめています。コンセントの交換・増設、エアコンの取り付けなど、工事ごとの要否はコンセント交換・増設に電気工事士の資格は必要?で確認できます。

この論点の学科問題は次のとおりです。

電気工事士自身に課される義務

電気工事士法1条は、この法律の目的を、電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することとしています。その具体的な義務が5条です。

  • 電気工事の作業に従事するときは、電気設備の技術基準に適合するように作業する(5条1項)
  • 作業に従事するときは、電気工事士免状を携帯する(5条2項)

資格を持たずに必要な作業をした場合は、三月以下の拘禁刑又は三万円以下の罰金です(14条)。

現場で事業者が守る安全規則

労働安全衛生法と労働安全衛生規則は、電気の作業について、事業者に次のような義務を課しています。

場面定めの内容条文
労働者を雇い入れたときその従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行う労働安全衛生法59条1項
低圧・高圧の充電電路の敷設・修理などの業務に就かせるとき特別の教育を行う(対地電圧50V以下のものなどを除く)労働安全衛生法59条3項、規則36条4号
電路を開路して電気工事の作業を行うとき開閉器に施錠するか通電禁止の表示をするか監視人を置く。高圧又は特別高圧だった電路は、検電と短絡接地もする規則339条1項
高圧の充電電路の点検・修理などをするとき絶縁用保護具や活線作業用器具などを使わせる規則341条

「きつい」と言われる点の一部は、こうした安全措置を、手順どおりに、毎回省略せずに行うことにあります。作業ごとに手順が決まっていることは、負担でもあり、事故を防ぐ仕組みでもあります。

また、電気技術者試験センターの受験案内は、技能試験の欠陥の判断基準について、数値の許容の記載があるが、実際の工事ではこの基準と異なり、限りなく0ミリに近い施工が求められることを理解して臨むよう書いています。試験に受かる水準と、現場で求められる水準は同じではない、という点は、公式に確認できる事実です。

見習い・未経験でも始められるか

電気技術者試験センターの資格概要には、電気系の仕事が未経験でも受験できるか、という問いに、受験資格に実務経験は不要で、誰でも受験可能だと書かれています。

免状の交付を受ける前でも、できる作業はあります。施行規則2条2項は、免状が必要な作業を列挙したうえで、それ以外の作業(軽微な作業)と、電気工事士が従事する作業を補助する作業は、免状がなくてもできるとしています。ただし、補助の範囲にとどまり、電線の接続や配線器具の取付けなどを自分で行うことはできません。

見習いの期間の長さや、その間の仕事のきつさは、公的な資料に記載がありません。公的な資料に定めがあるのは、免状を取ってからの次の段階です。

  • 電気工事を事業として営むには、登録が必要です(電気工事業の業務の適正化に関する法律3条1項)。自家用電気工作物の電気工事のみを営む場合は、登録ではなく事業開始の通知です(同法17条の2)
  • 登録電気工事業者は、一般用電気工事を行う営業所ごとに主任電気工事士を置きます。主任電気工事士になれるのは、第一種電気工事士か、第二種電気工事士免状の交付を受けた後に電気工事に関し3年以上の実務の経験を有する第二種電気工事士です(同法19条1項)
  • 第二種電気工事士が、自家用電気工作物の低圧部分(簡易電気工事)に従事するには、免状の取得後に、指定講習機関の認定講習を受けて認定電気工事従事者認定証を取得する方法があります(電気技術者試験センター 資格概要)

「第二種電気工事士の就職先」や「活かせる仕事」について、特定の会社や職種を挙げることはしません。公的な資料で確かめられるのは、一般用電気工作物等の電気工事の作業が、免状を持つ人でなければできないと法律で定められている、という点です。

向いていない人の特徴ではなく、受験前に確認できる条件

「向いていない人」の特徴は、公的な資料に根拠がなく、書く人によって違います。かわりに、受験の前に公式の資料で確かめられる条件を整理します。

条件確認できること出典
年齢・学歴・実務経験「受験に対して制限や条件はございません。どなたでも受験ができます。」第二種は実務経験も不要電気技術者試験センター 受験案内(令和8年度下期)、資格概要
視力・体力電気工事士法・施行令・施行規則、受験案内、資格概要のいずれにも、視力や体力を要件とする定めはない(2026-10-04 時点)上記の資料
身体の障害・個別の事情受験案内に「援助措置」の項があり、配慮が必要な人の申請方法が書かれている電気技術者試験センター 受験案内
免状の交付都道府県知事が交付する。免状の返納を命じられて1年を経過しない人や、この法律に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わってから2年を経過しない人には、交付しないことがある電気工事士法4条2項・5項
有効期限一度取得すれば基本的に有効期限はなく、更新も不要電気技術者試験センター 資格概要

視力や体力、高所作業の可否などは、条文や受験案内には書かれていません。実際に就く仕事の条件は、工事の種類や会社によって違うので、応募先に具体的に確かめるのが確実です。年齢や学年ごとの扱い(最年少、高校生の受験、18歳未満の就業制限)は、電気工事士2種は何歳から受けられる?最年少・高校生の受験と年齢制限で条文と公式資料をもとにまとめています。

試験の難しさは、電気工事士2種は難しい?合格率の推移で公式の受験者数・合格者数から確認できます。

第一種電気工事士はやめとけと言われる点

第一種電気工事士は、第二種の範囲に加えて、自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)の電気工事に従事できる資格です(電気工事士法3条1項、電気技術者試験センター 資格概要)。第二種との違いは次のとおりです。

項目第二種第一種
従事できる電気工事一般用電気工作物等一般用電気工作物等と、自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)
免状の交付の条件試験に合格した人など(法4条4項)試験に合格し、かつ3年以上の実務経験がある人など(法4条3項、電気技術者試験センター 免状交付)
免状取得後の講習法4条の3の講習は、第一種に課される定め免状の交付を受けた日から5年以内ごとに、自家用電気工作物の保安に関する講習を受ける(法4条の3)
令和7年度の合格率(学科/技能)56.6%/71.8%57.4%/58.1%
令和7年度の合格率:第二種は学科56.6%(受験者139,087人・合格者78,711人)・技能71.8%(受験者99,610人・合格者71,471人)、第一種は学科57.4%(受験者36,154人・合格者20,735人)・技能58.1%(受験者28,403人・合格者16,509人)。最終確認日:2026-10-04。出典:電気技術者試験センター 第二種電気工事士試験の試験結果と推移、同 第一種電気工事士試験の試験結果と推移。

合格率は、年度の「計」の行の受験者数と合格者数から、当サイトが計算した値です。

第一種の免状は、試験の合格後に実務経験が必要になります。実務経験の数え方は、第一種電気工事士の実務経験にまとめています。第二種との違いは第一種と第二種の違いを参照してください。高圧を扱う作業には、前の節の規則341条のような措置が課されます。

資格を取る前に確かめられること

まとめ

  • 公的な資料で裏づけられる「きつい」は、建設業の労働災害の多さ(令和7年は死亡214人、うち墜落・転落91人、感電6人)と、現場で求められる施工精度・安全措置
  • 建設業全体の数字は電気工事だけのものではないため、電気工事士の仕事の数字としては読めない
  • 受験に年齢・学歴・実務経験の制限はなく、第二種の免状に有効期限はない。視力・体力の要件は、条文・受験案内に記載がない
  • 免状があっても、事業として電気工事を営むには別に登録(自家用電気工作物の工事のみなら通知)が必要
  • 待遇や向き不向きは、一次情報では断定できない。応募先に具体的に確かめるのが確実

よくある質問

Q労働災害の統計では、感電と墜落・転落のどちらが多いですか。

令和7年の確定値では、建設業の死亡災害214人のうち墜落・転落が91人、感電が6人でした。休業4日以上の死傷災害でも、建設業13,437人のうち墜落・転落が4,343人、感電が43人です(厚生労働省 職場のあんぜんサイト)。ただし、この表の業種区分に「電気工事」だけを取り出した行はないため、電気工事士の仕事の数字としては読めません。

Q第二種電気工事士の免状に有効期限や更新はありますか。

電気技術者試験センターの資格概要には、一度取得すれば基本的に有効期限はなく、更新の必要もないと書かれています。なお、第一種電気工事士は、免状の交付を受けた日から5年以内に、自家用電気工作物の保安に関する講習を受ける義務があります(電気工事士法4条の3)。

Q免状を取れば、電気工事の仕事をそのまま自分で請け負えますか。

免状は、電気工事の作業に従事するための資格です。電気工事を事業として営むには、免状とは別に、電気工事業の業務の適正化に関する法律3条1項に基づく登録(自家用電気工作物の電気工事のみの場合は17条の2の通知)が必要で、登録電気工事業者は営業所ごとに主任電気工事士を置かなければなりません(同法19条)。主任電気工事士になれるのは、第一種電気工事士か、第二種の免状の交付を受けた後に電気工事に関し3年以上の実務の経験を有する人です。

Q試験の欠陥の判断基準は、実際の現場より厳しいのですか。

逆です。電気技術者試験センターの受験案内は、判断基準には数ミリ単位の許容の記載があるが、実際の工事ではこの基準と異なり、限りなく0ミリに近い施工が求められることを理解して臨むよう書いています。試験に受かる水準と、現場で求められる水準は同じではありません。

この資格の問題を解く第二種電工 学科 分野別問題集
解いてみる

法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

合格ナビ 編集長・運営者

第二種電工の出題範囲・法令・公式の統計を参照して書いています。プロフィール・編集方針