マンション管理士と管理業務主任者の違いを、適正化法の条文と試験機関の公式資料で比較。立場と業務の違い、令和6・7年度の合格率と合格基準の比較、5問免除の条件から決まるダブル受験の順序、登録要件を表で整理します。
目次
結論:マンション管理士は管理組合の側に立って相談・助言を行う「名称独占」の資格で、設置義務はありません。管理業務主任者は管理会社(マンション管理業者)の側の資格で、事務所ごとに管理組合30につき1人以上の設置義務があり、重要事項の説明、書面への記名、管理事務の報告はこの資格者でなければ行えません。試験はどちらも50問・4肢択一で、令和7年度の合格率はマンション管理士11.0%、管理業務主任者19.6%でした。両方を受ける場合、一方の合格を使った5問免除は、受験申込時にその合格番号が必要なので、同じ年の合格は使えません(順序の考え方は後半の章で整理しています)。
合格ナビには管理業務主任者・マンション管理士の論点別問題が各360問あり、このうち管理業務主任者の「適正化法・他法令」は54問、マンション管理士のマンション管理適正化法の分野は30問です(2026-10-03 集計。合格ナビが作成した問題の数で、本試験の出題数ではありません)。
条文は e-Gov 法令検索で確認しています(2026-10-03 時点の現行条文):マンションの管理の適正化の推進に関する法律・同法施行規則。
| 比較 | マンション管理士 | 管理業務主任者 |
|---|---|---|
| 立場 | 管理組合・区分所有者の相談に応じる | マンション管理業者(管理会社)の従業者として管理組合に対応 |
| 定義 | 登録を受け、名称を用いて相談・助言・指導などを業とする者(2条5号) | 管理業務主任者証の交付を受けた者(2条9号) |
| 独占の型 | 名称独占(43条) | 重要事項の説明・書面への記名・管理事務の報告(72条・73条・77条) |
| 設置義務 | なし | 事務所ごとに管理組合30につき1人以上の専任(56条・規則61条) |
| 試験の実施機関 | 公益財団法人マンション管理センター | 一般社団法人マンション管理業協会 |
| 令和8年度の試験日 | 11月29日(日) | 12月6日(日) |
| 登録の要件 | 合格者は登録を受けることができる(30条) | 合格+実務経験2年以上又は同等以上の認定(59条・規則68条) |
| 一部免除 | 管理業務主任者試験の合格者は適正化法の5問免除 | マンション管理士試験の合格者は適正化法の5問免除 |
一言でいうと:管理組合側か、管理会社側か
2つの資格の違いは、マンション管理のどちらの側に立つかです。
- マンション管理士:管理組合の管理者等(理事長など)や区分所有者の相談に応じ、助言・指導その他の援助を行う専門家
- 管理業務主任者:管理組合から管理事務を受託するマンション管理業者の側で、契約前の説明や管理事務の報告を担う資格者
管理会社は、マンション管理業を営むために国土交通省のマンション管理業者登録簿に登録を受けなければならず(44条1項)、登録した会社の事務所ごとに管理業務主任者を置く仕組みになっています。マンション管理士には、こうした設置の義務はありません。
マンション管理士とは(名称独占の資格)
マンション管理士の定義は2条5号です。
「第三十条第一項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者をいう。」(マンション管理適正化法2条5号)
法律上の義務は次のとおりです。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 40条 | 信用失墜行為の禁止 |
| 41条 | 省令で定める期間ごとに、登録講習機関の講習を受ける |
| 42条 | 秘密保持義務(マンション管理士でなくなった後も同じ) |
| 43条 | マンション管理士でない者は、マンション管理士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない |
43条は「名称」の使用を制限する規定です。相談や助言の業務そのものを資格者に限る規定はないため、マンション管理士は名称独占資格と整理されます。
管理業務主任者とは(管理会社に設置義務がある資格)
管理業務主任者は「管理業務主任者証の交付を受けた者」です(2条9号)。マンション管理業者には、事務所ごとに「成年者である専任の管理業務主任者」を省令で定める数以上置く義務があります(56条1項)。
専任の管理業務主任者の数:事務所が委託を受けた管理組合の数を30で割った数(1未満の端数は切り上げ)以上。人の居住の用に供する独立部分が6以上の建物の区分所有者を含む管理組合の管理事務を扱わない事務所は対象外。最終確認日:2026-10-03。出典:e-Gov マンション管理適正化法施行規則 61条・62条。
管理業務主任者でなければできない業務
| 業務 | 条文 |
|---|---|
| 管理受託契約などを結ぶ前の重要事項の説明(説明会で区分所有者等と管理者等に説明) | 72条1項 |
| 重要事項を記載した書面への記名 | 72条5項 |
| 契約成立時に交付する書面への記名 | 73条2項 |
| 管理事務の報告(管理者等への報告、又は説明会での区分所有者等への報告) | 77条1項・2項 |
72条・77条の説明や報告をするときは、相手方に管理業務主任者証を提示しなければなりません(72条4項・77条3項)。
試験の違い(科目・日程・受験料)
試験すべき事項は施行規則で決まっています。「法に関すること」(マンション管理適正化法)は両試験に共通で、この部分が相互の一部免除の対象です。
| 試験すべき事項 | マンション管理士(規則2条) | 管理業務主任者(規則64条) |
|---|---|---|
| 1 | マンションの管理に関する法令及び実務 | 管理事務及び管理者事務の委託契約 |
| 2 | 管理組合の運営の円滑化 | 管理組合の会計の収入及び支出の調定並びに出納 |
| 3 | マンションの建物及び附属施設の構造及び設備 | 建物及び附属設備の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整 |
| 4 | 法に関すること | 法に関すること |
| 5 | - | その他管理事務の実施 |
マンション管理士は管理組合の運営や法令の実務が中心、管理業務主任者は委託契約や会計など管理会社の実務が中心です。
マンション管理士試験 令和8年度:試験日 令和8年11月29日(日)13時〜15時(120分、一部免除者は13時10分〜15時の110分)、受験手数料 9,400円(非課税)、50問4肢択一(一部免除者45問)、出題に係る法令等は令和8年4月1日施行のもの、合格発表 令和9年1月8日。最終確認日:2026-10-03。出典:公益財団法人マンション管理センター 令和8年度マンション管理士試験 受験案内。
管理業務主任者試験 令和8年度:試験期日 令和8年12月6日(日)13時〜15時、受験手数料 8,900円(非課税。Web申込は別に事務手数料297円)、出題の根拠となる法令等は令和8年4月1日現在施行のもの、合格発表 令和9年1月15日、50問四肢択一(マークシート方式)。最終確認日:2026-10-03。出典:一般社団法人マンション管理業協会 令和8年度 管理業務主任者試験 実施要領・同 試験Q&A。
マンション管理士試験は、年齢・学歴などに関係なく誰でも受験できます(上記受験案内)。
どちらが難しい?マン管と管業の合格率・合格基準の比較
公表された数字では、マンション管理士のほうが合格率が低く、合格に要る正解の数も多くなっています。
| 比べる項目 | マンション管理士 | 管理業務主任者 |
|---|---|---|
| 令和7年度の受験者数 | 10,984名 | 14,435人 |
| 令和7年度の合格者数 | 1,210名 | 2,832人 |
| 令和7年度の合格率 | 11.0% | 19.6% |
| 令和6年度の合格率 | 12.7% | 21.3% |
| 令和7年度の合格基準 | 50問中42問以上正解(一部免除者は45問中37問以上) | 50問中36問正解(一部免除者は45問中31問) |
出典:マンション管理センター 令和7年度マンション管理士試験の結果について(令和6年度は同じ資料の前年度の値)・マンション管理業協会 令和7年度 管理業務主任者試験 結果報告。
令和7年度・令和6年度の合格率:マンション管理士 11.0%(令和6年度 12.7%)、管理業務主任者 19.6%(令和6年度 21.3%)。最終確認日:2026-10-30。出典:マンション管理センター 結果について・マンション管理業協会 結果報告。
合格率は受ける人の層で変わるため、数字の差だけで難しさの優劣は決められません。管業の全25回の合格率と難易度は管理業務主任者の難易度・合格率の推移、マン管の推移はマン管の合格率分析で確かめられます。
5問免除のしくみ(相互の一部免除)
一方の試験に合格していると、もう一方の試験で「法に関すること」が免除されます。
| 受ける試験 | 免除を受けられる人 | 根拠 |
|---|---|---|
| マンション管理士試験 | 管理業務主任者試験に合格した者 | 法7条2項・規則3条・4条 |
| 管理業務主任者試験 | マンション管理士試験に合格した者 | 法57条2項・規則65条・66条 |
マンション管理士試験の受験案内では、免除を受けるには受験申込時に管理業務主任者試験の合格証書の「合格番号」を記入・入力する必要があるとされています。令和7年度は、どちらの試験も一部免除者は45問で受験しています(上の合格基準を参照)。
ダブル受験の順序:免除は「先に合格した試験」からしか使えない
両方を受ける順序は、免除の仕組みと日程から次のように決まります。
- 免除される問題数は、どちらの方向でも「法に関すること」の5問で同じです(マン管は45問・110分、管業は45問・13時10分開始)。
- 免除の申請には、受験申込時にもう一方の試験の合格番号を記入・入力する必要があります(マンション管理センターの受験案内7(1))。
- 申込は8月に始まって8月下旬〜9月30日に締め切られ、結果の発表は翌年1月です。そのため、同じ年の合格は免除に使えません。
令和8年度の申込・試験・合格発表の日程:マンション管理士試験は申込受付 8月3日〜(郵送の締切8月31日・Webは9月30日16時)、試験 11月29日(日)、合格発表 令和9年1月8日。管理業務主任者試験は申込受付 8月3日〜(郵送の締切8月24日・Webは9月30日)、試験 12月6日(日)、合格発表 令和9年1月15日。最終確認日:2026-10-03。出典:マンション管理センター 令和8年度 受験案内・マンション管理業協会 令和8年度 実施要領。
| 受け方 | 免除 | 登録・資格の使い始め |
|---|---|---|
| 同じ年に両方受ける(試験日は7日違い) | どちらも使えない(50問) | 合格後にそれぞれ手続き |
| 先に管理業務主任者→翌年以降にマン管 | マン管試験で5問免除(管業の合格番号が必要) | 管業は登録に実務経験2年又は同等以上の認定が要る(59条・規則68条・69条)。マン管は合格後に登録できる(30条) |
| 先にマン管→翌年以降に管業 | 管業試験で5問免除(マン管の合格番号が必要) | マン管は合格後に登録できる(30条)。管業は登録に上記の要件が要る |
管業の登録に求められる「同等以上」には、国土交通大臣の登録を受けた実務講習(登録実務講習)の修了者などが含まれます(規則69条1号)。また、管理業務主任者証は、試験に合格した日から1年以内に交付を受けようとする場合を除き、交付の申請の日前6月以内に行われる講習を受けてから申請します(法60条2項)。
どちらを先に受けるかは、目的で決めるのが自然です。
- 管理会社で働き、設置義務のある管理業務主任者として業務に就きたい:管業を先に受ける。
- 管理組合の側で相談・助言をしたい、または理事・修繕委員として知識を使いたい:マン管を先に受ける。
- 免除を使いたい:どちらを先にしても、後に受ける試験で5問免除になる。合格番号は申込前に確認しておく(マンション管理業協会のQ&Aに照会方法の案内がある)。
学習範囲の重なりや1年間の学習計画はマン管・管業のダブル受験戦略で扱っています。
合格後の登録の違い
| 比較 | マンション管理士 | 管理業務主任者 |
|---|---|---|
| 合格で得るもの | マンション管理士となる資格(6条) | 登録を受けることができる資格(59条1項) |
| 登録の要件 | 国土交通大臣の登録(30条1項。欠格事由あり) | 実務経験2年以上又は大臣が同等以上の能力があると認めた者(59条1項・規則68条) |
| 名乗れる・業務ができる時点 | 登録を受けたとき(2条5号) | 登録後、管理業務主任者証の交付を受けたとき(2条9号) |
| 有効期間・更新 | 省令で定める期間ごとに講習を受ける(41条) | 管理業務主任者証の有効期間は5年(60条3項) |
マンション管理適正化法の全体像はマンション管理適正化法 完全解説で確認できます。
※ 本サイトは公益財団法人マンション管理センター・一般社団法人マンション管理業協会とは関係がありません。問題はすべて合格ナビが条文をもとに作成した論点別問題です。
よくある質問
Qマンション管理士の資格がないとマンション管理の相談に乗れませんか?
いいえ。マンション管理適正化法43条が禁じているのは、マンション管理士でない者が「マンション管理士」やこれに紛らわしい名称を使うことです。相談・助言の業務そのものを資格者だけに限る規定ではありません(名称独占)。
Q管理業務主任者の試験に合格すればすぐに重要事項説明ができますか?
できません。合格後に2年以上の実務経験(または国土交通大臣が同等以上の能力があると認めた者)で登録を受け(59条1項・施行規則68条)、管理業務主任者証の交付を受けて初めて管理業務主任者になります(2条9号)。
Qマンション管理士の登録に実務経験は必要ですか?
必要ありません。マンション管理士試験の合格者はマンション管理士となる資格を有し(6条)、欠格事由に当たらなければ国土交通大臣の登録を受けることができます(30条1項)。実務経験2年以上(又は大臣が同等以上の能力があると認めた者)が要るのは管理業務主任者の登録です(59条1項・施行規則68条)。
Q資格の有効期間や更新はありますか?
管理業務主任者証の有効期間は5年で、申請により更新します(60条3項・61条1項)。マンション管理士には有効期間の定めはありませんが、省令で定める期間ごとに登録講習機関の講習を受けなければなりません(41条)。
Q同じ年にマンション管理士と管理業務主任者の両方に合格すれば、片方の試験で5問免除を使えますか?
使えません。一部免除は、受験申込時にもう一方の試験の合格証書の「合格番号」を記入・入力して申請する仕組みです。令和8年度の申込受付は両試験とも8月3日から始まり(締切は8月下旬〜9月30日)、結果の発表はマンション管理士が令和9年1月8日、管理業務主任者が1月15日で、同じ年の合格は申込時点では存在しません。免除を使えるのは、前年度までに合格した場合です。
Qマンション管理士と管理業務主任者は、どちらが難しいですか?
公表されている数字では、マンション管理士のほうが合格率が低く、合格に必要な正解数も多くなっています。令和7年度の合格率はマンション管理士11.0%、管理業務主任者19.6%、合格基準はマンション管理士が50問中42問以上、管理業務主任者が50問中36問でした。令和6年度の合格率も12.7%と21.3%でした。ただし受験者層が違うため、数字の差だけで難易度の優劣は断定できません。出典:マンション管理センター 令和7年度の結果・マンション管理業協会 令和7年度 結果報告。
Qマンション管理士と管理業務主任者は、どちらを先に受けるべきですか?
先に受ける試験に決まりはなく、目的で選びます。管理会社で設置義務のある管理業務主任者として働きたいなら管理業務主任者、管理組合の側で相談・助言に関わりたいならマンション管理士を先に受けるのが自然です。どちらを先にしても、後に受ける試験では「法に関すること」の5問が免除されます(受験申込時にもう一方の合格番号が必要なので、同じ年の合格は使えません)。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月30日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

