盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)を、e-Govの条文と施行令で整理。2つの規制区域、許可と届出、21日・14日・30日の期限、規模の数字、旧法との違い、宅建で問われる点を表で確認でき、オリジナル例題2問と令和8年度の法令基準日の確認先つきです。
目次
結論:盛土規制法は、正式名称を「宅地造成及び特定盛土等規制法」といい、令和5年5月26日に施行された法律です。規制区域は2種類で、宅地造成等工事規制区域(10条)では工事の着手前に都道府県知事の許可(12条1項)、特定盛土等規制区域(26条)では着手の30日前までの届出(27条1項)、大規模なものは許可(30条1項)が必要です。令和7年度の宅建試験では、問19で出題されました。
盛土規制法の要点を、条文(e-Gov 法令検索の2026-10-03 時点の現行条文)と施行令の数字で整理します。条文は 宅地造成及び特定盛土等規制法、規模の数字は 同法施行令 にあります。
| 項目 | 宅地造成等工事規制区域 | 特定盛土等規制区域 |
|---|---|---|
| 指定する条文 | 10条1項 | 26条1項 |
| 指定する者 | 都道府県知事 | 都道府県知事 |
| 指定する場所 | 災害が生ずるおそれが大きい市街地・市街地となろうとする区域・集落の区域など | 宅地造成等工事規制区域以外で、居住者等の生命・身体に危害を生ずるおそれが特に大きい区域 |
| 工事の手続 | 着手前に許可(12条1項) | 着手の30日前までに届出(27条1項)。大規模なものは許可(30条1項) |
当サイトの法令上の制限の問題(60問)のうち、盛土規制法を扱う問題は8問(問39〜46、2026-10-02集計)です。当サイトの問題数であり、本試験の出題頻度ではありません。
盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)とは
目的は、宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴う崖崩れ又は土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行い、国民の生命及び財産の保護を図ることです(1条)。
国土交通省の盛土規制法のページは、背景として、令和3年に静岡県熱海市で大雨に伴って盛土が崩落し、大規模な土石流災害が発生したことを挙げています。同ページによると、この法律は令和4年5月27日に公布され、令和5年5月26日に施行されました。
法律の用語は、次の4つを区別します(2条)。
- 宅地:農地、採草放牧地及び森林と、道路・公園・河川などの公共施設用地以外の土地(1号)
- 宅地造成:宅地以外の土地を宅地にするために行う盛土その他の土地の形質の変更で、政令で定めるもの(2号)
- 特定盛土等:宅地又は農地等において行う盛土その他の土地の形質の変更で、隣接・近接する宅地で災害を発生させるおそれが大きいものとして政令で定めるもの(3号)
- 土石の堆積:宅地又は農地等において行う土石の堆積で政令で定めるもの。一定期間の経過後にその土石を除却するものに限ります(4号)
この3つ(宅地造成・特定盛土等・土石の堆積)を、条文は合わせて「宅地造成等」と呼びます(10条1項)。
盛土規制法の施行日:令和5年5月26日施行。最終確認日:2026-10-03。出典:国土交通省 盛土規制法について・e-Gov 法令検索 宅地造成及び特定盛土等規制法。
規制区域と許可・届出の仕組み
宅地造成等工事規制区域(10条・12条)
都道府県知事が、基本方針と基礎調査を踏まえて、災害が生ずるおそれが大きい市街地・市街地となろうとする土地の区域・集落の区域(隣接・近接する区域を含む)で、規制が必要なものを指定します(10条1項)。指定するときは関係市町村長の意見を聴き(10条2項)、公示によって効力が生じます(10条6項)。
この区域内の宅地造成等に関する工事は、工事主が着手前に都道府県知事の許可を受けます(12条1項)。工事主は、許可の申請の前に、周辺の住民に説明会の開催などで工事の内容を周知させる措置を講じます(11条)。知事は、許可に災害を防止するため必要な条件を付すことができます(12条3項)。
許可を受けた者が、工事の計画を変更するときは、軽微な変更を除いて、変更の許可が必要です(16条1項)。軽微な変更をしたときは、遅滞なく届け出ます(16条2項)。
特定盛土等規制区域(26条・27条・30条)
宅地造成等工事規制区域以外の土地の区域で、盛土等による災害が居住者等の生命・身体に危害を生ずるおそれが特に大きいと認められる区域を、都道府県知事が指定します(26条1項)。指定の際に関係市町村長の意見を聴くのは、宅地造成等工事規制区域と同じです(26条2項)。
この区域内の特定盛土等・土石の堆積に関する工事は、着手の30日前までに計画を都道府県知事に届け出ます(27条1項)。知事は、届出の受理の日から30日以内に限り、計画の変更等を勧告できます(27条3項)。規模が大きいもの(政令で定める規模)は、届出ではなく許可が必要です(30条1項)。許可を受けた者は、27条1項の届出は不要です(30条5項)。
他の許可とのつながり(みなし規定)
- 宅地造成等工事規制区域の指定後に、宅地造成又は特定盛土等について都市計画法29条1項又は2項の許可を受けたときは、12条1項の許可を受けたものとみなされます(15条2項)
- 国、都道府県、指定都市又は中核市が行う工事は、知事との協議の成立で、許可があったものとみなされます(15条1項)
- 特定盛土等規制区域で、特定盛土等について都市計画法29条1項又は2項の許可を申請したときは、27条1項の届出をしたものとみなされます(27条5項)
許可・届出の対象になる工事の規模(施行令の数字)
条文は規模を政令に委ねていて、数字は施行令にあります。「崖」は、地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地(硬岩盤を除く)です(施行令1条1項)。
| 工事の種類 | 規制区域の許可・特定盛土等規制区域の届出(施行令3条・4条) | 特定盛土等規制区域の許可(施行令28条→23条・25条2項) |
|---|---|---|
| 盛土で崖ができる | 崖の高さ1m超 | 崖の高さ2m超 |
| 切土で崖ができる | 崖の高さ2m超 | 崖の高さ5m超 |
| 盛土と切土を同時にして崖ができる | 崖の高さ2m超 | 崖の高さ5m超 |
| 崖ができない盛土 | 高さ2m超 | 高さ5m超 |
| 上のどれにも当たらない盛土・切土 | 面積500㎡超 | 面積3,000㎡超 |
| 土石の堆積 | 高さ2m超、または(それに当たらないもので)面積500㎡超 | 高さ5m超かつ面積1,500㎡超、または(それに当たらないもので)面積3,000㎡超 |
宅地造成等工事規制区域の許可の規模は左の列(施行令3条・4条)です。特定盛土等規制区域では、左の列の規模が届出、右の列の規模が許可の対象です。「許可が不要な工事」の例外は、12条1項ただし書・30条1項ただし書の政令(施行令5条・29条)にあります。
盛土規制法施行令の規模の数字:盛土で崖1m超・切土で崖2m超・盛土と切土で崖2m超・盛土の高さ2m超・面積500㎡超(許可・届出)、特定盛土等規制区域の許可は崖2m超(盛土)・5m超(切土等)・盛土の高さ5m超・面積3,000㎡超。最終確認日:2026-10-03。出典:e-Gov 法令検索 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(施行令3条・4条・23条・25条・28条)。
宅建で問われるポイント
令和7年度の宅建試験(RETIOの問題冊子)では、法令上の制限の問19が盛土規制法でした(区分けは当サイト。設問文は載せません)。問われる論点は、区域の種類、許可・届出の要否、期限、土地所有者等の責務です。
期限・義務の一覧
| 場面 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 規制区域の指定の際に、すでに行われている工事 | 工事主は、指定があった日から21日以内に届出 | 21条1項 |
| 擁壁等の除却などの工事 | 工事に着手する日の14日前までに届出 | 21条3項・施行令26条1項 |
| 公共施設用地を宅地又は農地等に転用した場合 | 転用した日から14日以内に届出 | 21条4項 |
| 特定盛土等規制区域の工事(許可の対象外のもの) | 着手の30日前までに届出 | 27条1項 |
| 土地の所有者・管理者・占有者(宅地造成等工事規制区域内) | 土地を常時安全な状態に維持するよう努める(努力義務)。知事は勧告できる | 22条1項・2項 |
| 擁壁等が設置されず、災害のおそれが大きい土地 | 知事は、所有者等に擁壁等の設置・改造を命ずることができる | 23条 |
| 許可・届出をした工事主 | 土地の見やすい場所に標識を掲げる | 49条 |
21条3項の「政令で定める工事」は、施行令26条1項で、高さ2mを超える擁壁や崖面崩壊防止施設、地表水等を排除するための排水施設、地滑り抑止ぐい等の全部又は一部の除却の工事です。
造成宅地防災区域
すでに造成された宅地で、災害のおそれが大きいものを、都道府県知事が造成宅地防災区域に指定できます(45条)。区域内の造成宅地の所有者等は、必要な措置を講ずるよう努め(46条1項)、知事は勧告(46条2項)や改善命令(47条)ができます。
重要事項説明との関係
宅地建物取引業法35条1項2号の「法令に基づく制限」には、施行令3条1項27号で、盛土規制法の12条1項・16条1項・27条1項・28条1項・30条1項・35条1項が含まれます(宅地又は建物の貸借以外の契約について)。取引する土地に、これらの許可・届出の制限がかかっているかどうかは、重要事項説明の対象に含まれます。重要事項説明の詳細は35条書面と37条書面の違いにあります。
罰則
許可を受けずに宅地造成等に関する工事をした者は、三年以下の拘禁刑又は千万円以下の罰金に処されます(55条1項1号)。法人の代表者や従業者が、その法人の業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に三億円以下の罰金刑が科されます(60条1号)。
盛土規制法の罰則・期限の数字:許可なく工事をした者は3年以下の拘禁刑又は1,000万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金。届出の期限は21日以内・14日前まで・14日以内・30日前まで。最終確認日:2026-10-03。出典:e-Gov 法令検索 宅地造成及び特定盛土等規制法(21条・27条・55条・60条)。
旧宅地造成等規制法との違い
盛土規制法は、旧・宅地造成等規制法を抜本的に改正した法律です(国土交通省)。令和4年法律第55号による改正で、題名が「宅地造成及び特定盛土等規制法」になりました(e-Govの改正履歴では、令和5年5月26日施行の版から題名が変わっています)。
| 項目 | 旧・宅地造成等規制法 | 盛土規制法(現行) |
|---|---|---|
| 題名 | 宅地造成等規制法 | 宅地造成及び特定盛土等規制法 |
| 区域 | 宅地造成工事規制区域 | 宅地造成等工事規制区域と、特定盛土等規制区域(26条)の2種類 |
| 規制の対象 | 宅地造成 | 宅地造成、特定盛土等(農地等でも行うもの)、土石の堆積 |
| 規制の考え方 | — | 国土交通省は「スキマのない規制」として、土地の用途にかかわらず規制区域を指定し、農地・森林の造成や土石の一時的な堆積も許可の対象にすると説明 |
| 罰則 | — | 国土交通省は、罰則を条例による罰則の上限より高い水準に強化したと説明。現行条文は3年以下の拘禁刑又は1,000万円以下の罰金(55条1項)、法人は3億円以下(60条1号) |
改正法の附則(令和4年法律第55号附則2条1項)は、施行の際に旧法で指定されていた宅地造成工事規制区域内の工事等の規制について、施行日から起算して2年を経過する日(その日までに新法の規制区域が公示された区域は、公示の日の前日)までの間は、なお従前の例によるとしました。施行日は令和5年5月26日なので、この期間の終わりは遅くとも令和7年5月25日です。ただし、その期間の経過前に旧法の許可を受けた工事は、期間の経過後も従前の例によります(同条2項)。
古い年度の教材では、区域名が「宅地造成工事規制区域」と書かれている場合があります。出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです(RETIO 宅建試験の概要)。受験する年度の教材は、現行の名称(宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域)に対応した版か、確認してください。
当サイトの問題と例題
この論点の問題を解く
当サイト作成の例題(2問)
例題は、条文から当サイトが作成したオリジナルです。
例題1:宅地造成等工事規制区域内の工事に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。ただし、他の法律の許可は考えないものとします。
- ① 宅地以外の土地を宅地にするために盛土をし、高さ1.5mの崖が生ずる場合、工事主は工事に着手する前に都道府県知事の許可を受ける必要がある
- ② 宅地以外の土地を宅地にするために、面積300㎡の土地で切土をし、高さ1.5mの崖が生ずる場合も、許可を受ける必要がある
- ③ 区域の指定の際に、すでに区域内で行われている工事の工事主は、指定があった日から21日以内に届け出なければならない
- ④ 区域内の土地の所有者は、その土地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない
答えは②です。盛土は崖の高さ1m超で対象(施行令3条1号)ですが、切土は崖の高さ2m超が対象(同条2号)で、面積300㎡は500㎡超に当たらない(同条5号)ため、許可の対象になりません。①は12条1項、③は21条1項、④は22条1項です。
例題2:特定盛土等規制区域に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- ① 令で定める大規模な特定盛土等を行う場合、工事主は工事に着手する前に都道府県知事の許可を受けなければならない
- ② 許可の対象に満たない特定盛土等でも、政令で定める工事を除き、着手の30日前までに届出が必要である
- ③ 特定盛土等規制区域は、宅地造成等工事規制区域の内側に重ねて指定される
- ④ 都道府県知事は、特定盛土等規制区域を指定しようとするときは、関係市町村長の意見を聴かなければならない
答えは③です。特定盛土等規制区域は、宅地造成等工事規制区域以外の土地の区域で指定されます(26条1項)。①は30条1項、②は27条1項、④は26条2項です。
令和8年度試験の法令基準日と確認先
RETIOの試験概要では、出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです。令和8年度試験の基準日は2026年4月1日で、e-Govの盛土規制法の現行の版(2025年6月1日施行の版)に、それ以降に施行される改正は示されていません(2026-10-03 時点)。次の年度の試験を受ける場合は、その年度の4月1日現在の条文を、e-Gov 法令検索の宅地造成及び特定盛土等規制法で確認してください。
法令上の制限の全体の数字は宅建 法令上の制限、農地法は農地法の3条・4条・5条にまとめています。
まとめ
- 盛土規制法の正式名称は宅地造成及び特定盛土等規制法で、令和5年5月26日に施行された
- 区域は2種類。宅地造成等工事規制区域は許可(12条1項)、特定盛土等規制区域は30日前の届出(27条1項)と、大規模なものの許可(30条1項)
- 期限は、指定の際の工事が21日以内、擁壁等の除却が14日前まで、公共施設用地の転用が14日以内、特定盛土等規制区域の届出が30日前まで
- 規模の数字は施行令3条・4条・23条・25条・28条にある
- 旧法から、区域が2種類になり、農地等の盛土や土石の堆積も規制の対象になった
著作権・正確性の方針:本サイトは一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)と一切関係ありません。掲載問題は出題範囲を参照した合格ナビ独自の自作問題です。
よくある質問
Q盛土規制法と都市計画法の開発許可は、両方の許可が必要ですか。
宅地造成等工事規制区域の指定後に、宅地造成又は特定盛土等について都市計画法29条1項又は2項の許可を受けたときは、その工事は盛土規制法12条1項の許可を受けたものとみなされます(盛土規制法15条2項)。特定盛土等規制区域では、都市計画法29条1項又は2項の許可を申請したときは、27条1項の届出をしたものとみなされます(同法27条5項)。条文は e-Gov 法令検索(2026-10-03 時点の現行条文)で確認できます。
Q盛土規制法は、農地や森林にも適用されますか。
適用されます。「特定盛土等」は、宅地又は農地等において行う盛土その他の土地の形質の変更で、隣接・近接する宅地で災害を発生させるおそれが大きいものとして政令で定めるものです(2条3号)。農地等には、農地、採草放牧地及び森林が含まれます(2条1号)。国土交通省も、土地の用途にかかわらず規制区域を指定する旨を示しています。
Q宅建業者が重要事項説明で、盛土規制法の説明が必要になるのはどんな場合ですか。
宅地建物取引業法35条1項2号の「法令に基づく制限」として、宅地建物取引業法施行令3条1項27号が、盛土規制法の12条1項・16条1項・27条1項・28条1項・30条1項・35条1項の制限を挙げています。この規定は、宅地又は建物の貸借以外の契約についてのものです。
Q令和8年度の宅建試験は、盛土規制法のどの時点の条文で出題されますか。
RETIOの試験概要では、出題の根拠となる法令は試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです。令和8年度は2026年4月1日現在の条文で、e-Govの現行の版(2025年6月1日施行の版)に、それ以降の未施行の改正は示されていません(2026-10-03 時点)。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月3日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

