社労士試験の選択式(8問40点・各科目3点以上)の形式と配点を、択一式との違いで整理。厚生労働省の科目得点状況表から、基準点に届く人の割合・平均点を第54〜58回で比べ、準備の考え方まで解説します。
目次
結論:社労士試験の選択式は、午前に行う8問(1科目1問・各5つの空欄)で、1空欄1点、合計40点満点です。合格には、総得点と各科目の両方が基準点以上(第58回は総得点25点以上、各科目3点以上。雇用保険法のみ2点以上)である必要があります。択一式(70問・210分)との違いは、解き方の量と、科目ごとの得点のぶれやすさです。
この記事は、選択式の形式・配点・時間を第58回の受験案内で確認し、択一式との違いを整理します。「どちらが難しいか」は印象で決めず、厚生労働省が公表する科目得点状況表から、基準点に届く人の割合と平均点で比べます。補正(いわゆる救済)の仕組みは社労士試験の救済、一般常識の足切りは社労士 一般常識の足切りで扱っています。
選択式と択一式の違い(早見表)
| 項目 | 選択式 | 択一式 |
|---|---|---|
| 出題数 | 8問(8科目・各科目1問) | 70問(7科目・各科目10問) |
| 1問の中身 | 条文や判例の文章にA〜Eの5つの空欄があり、語句の番号を選ぶ | 5つの記述(選択肢)から答えを選ぶ |
| 配点 | 1空欄1点・1科目5点・合計40点 | 1問1点・1科目10点・合計70点 |
| 試験時間(第58回) | 10:30〜11:50(80分) | 13:20〜16:50(210分) |
| 単純計算の持ち時間 | 1科目あたり10分(80分÷8科目) | 1問あたり3分(210分÷70問) |
| 合格基準点(第58回) | 総得点25点以上かつ各科目3点以上(雇用保険法は2点以上) | 総得点47点以上かつ各科目4点以上 |
| 基本の科目基準点の割合 | 3点÷5点=60% | 4点÷10点=40% |
| 徴収法の扱い | 出題なし | 労災保険法・雇用保険法の各10問のうち3問ずつ(計6問) |
出典:試験センター 試験の概要、第58回 受験案内(PDF)、試験センター 第58回 合格基準及び正答(PDF)。持ち時間の行は当サイトの単純計算です。
第58回社会保険労務士試験の試験時間:選択式 10:30〜11:50(80分)、択一式 13:20〜16:50(210分)、昼食 11:50〜12:50。試験日は令和8年8月23日。最終確認日:2026-10-03。出典:第58回 社会保険労務士試験 受験案内(PDF)。
第58回社会保険労務士試験の合格基準:選択式は総得点25点以上かつ各科目3点以上(ただし雇用保険法は2点以上)、択一式は総得点47点以上かつ各科目4点以上。最終確認日:2026-10-03。出典:試験センター 第58回 合格基準及び正答(PDF)。
選択式の形式と配点:8科目、1科目5つの空欄
選択式は、試験の午前に行われます。試験センターの科目表では、次の8科目が各1問(5点)で、合計8問(40点)です。
- 労働基準法及び労働安全衛生法
- 労働者災害補償保険法
- 雇用保険法
- 労務管理その他の労働に関する一般常識
- 社会保険に関する一般常識
- 健康保険法
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
択一式は労働・社会保険の一般常識が1科目にまとまっているのに対し、選択式は労働に関する一般常識と社会保険に関する一般常識が別の科目(各5点)になっています。また、選択式では徴収法からの出題はありません(試験センターの科目表の注記)。
問題の形は、第58回の選択式の問題用紙で確認できます。注意事項には「この問題は、問1 から問8 までの8 問」「正解と思う語句に付されている番号を解答用紙の所定の欄に1つ表示すること」とあります。第58回の問題用紙では、法令の条文や最高裁判決の文章を引いて、そこにA〜Eの空欄を設ける問題が確認できます。正答表では、選択式の正答は①〜⑳の番号、択一式の正答はA〜Eで示されています(出典:試験センター 令和8年度選択式問題(PDF)、前出の正答表)。
第58回の試験問題の掲載:試験センターの結果ページに、選択式・択一式の問題が掲載されています。掲載予定期間は令和8年10月1日〜11月5日午後5時30分。最終確認日:2026-10-03。出典:試験センター 第58回 試験結果ページ。
当サイトの社労士の問題358問は、ほとんどが択一式の形式(「ア〜オ」の5つの記述から選ぶ形)です。選択式と同じ空欄補充の形は、雇用保険法の問25の1問だけです(2026-10-03 集計。すべて過去の出題論点をもとにした当サイトの自作問題で、本試験の問題ではありません)。選択式の本番形式は、上の公式問題で確認してください。
選択式の足切り:科目ごとに3点以上が必要
選択式は、総得点だけでなく科目ごとにも基準点があります。試験センターは「各成績のいずれかが合格基準点に達しない場合は不合格となります」と案内しています(出典:試験センター 試験の概要)。
基本の科目基準点は、1科目5点のうち3点です。8科目すべてで基準点以上を取る必要があるため、どれか1科目でその年の基準点に届かないと、総得点が足りていても不合格になります。第58回の総得点の基準は40点中25点(62.5%)で、各科目3点以上(60%)という条件と合わせて満たす必要があります。
基準点は固定ではありません。厚生労働省が各年度の試験結果を見て補正します。第58回は雇用保険法の基準点が2点に引き下げられました。補正の条件と第53〜58回の実績は、社労士試験の救済に年度別の表でまとめています。
どちらが難しいか:公式の得点データで比べる
「選択式と択一式はどちらが難しいか」は、物差しによって答えが変わります。ここでは、厚生労働省が合格発表のたびに公表する科目得点状況表と合格基準の資料から、2つの物差しで比べます。
物差し1:平均点を満点で割る
| 回 | 選択式の平均点(40点満点) | 満点に対する割合 | 択一式の平均点(70点満点) | 満点に対する割合 |
|---|---|---|---|---|
| 第58回 | 23.5点 | 58.8% | 33.6点 | 48.0% |
| 第57回 | 20.3点 | 50.8% | 28.4点 | 40.6% |
| 第56回 | 22.9点 | 57.3% | 30.6点 | 43.7% |
| 第55回 | 23.3点 | 58.3% | 31.8点 | 45.4% |
| 第54回 | 24.6点 | 61.5% | 30.9点 | 44.1% |
5回とも、満点に対する平均点の割合は択一式のほうが低くなっています(割合は当サイトの計算)。出典:厚生労働省「合格基準について」(参考2):第58回・第57回・第56回・第55回・第54回。
物差し2:科目の基準点に届く人の割合
次の表は、各科目で通常の基準点(選択式3点・択一式4点)以上を取った人の割合です。補正前の基準点で見ています。
| 科目(第58回) | 選択式:3点以上の割合 | 択一式:4点以上の割合 |
|---|---|---|
| 労働基準法及び労働安全衛生法 | 80.8% | 87.6% |
| 労働者災害補償保険法(択一式は徴収法を含む) | 66.5% | 68.2% |
| 雇用保険法(択一式は徴収法を含む) | 34.1% | 63.2% |
| 労働に関する一般常識 | 60.6% | 74.2%(択一式は労働・社会保険の一般常識で1科目) |
| 社会保険に関する一般常識 | 45.6% | (上と同じ科目) |
| 健康保険法 | 73.0% | 60.9% |
| 厚生年金保険法 | 76.3% | 64.9% |
| 国民年金法 | 70.6% | 69.2% |
選択式の雇用保険法・社会保険に関する一般常識は、基準点に届いた人が5割を切っています。そのほかの科目では、選択式と択一式のどちらが低いかは科目によって違います(健康保険法・厚生年金保険法・国民年金法は択一式のほうが低い)。
次の表は、各年で「基準点に届いた人の割合が一番低かった科目」を比べたものです。
| 回 | 選択式で一番低い科目 | 択一式で一番低い科目 |
|---|---|---|
| 第58回 | 雇用保険法 34.1% | 健康保険法 60.9% |
| 第57回 | 社会保険に関する一般常識 28.7% | 雇用保険法 38.7% |
| 第56回 | 労働に関する一般常識 31.7% | 雇用保険法 56.1% |
| 第55回 | 雇用保険法 41.4% | 厚生年金保険法 53.4% |
| 第54回 | 社会保険に関する一般常識 50.7% | 国民年金法 55.8% |
5回とも、選択式の一番低い科目のほうが低い値です。選択式は1科目が1問(5空欄)しかなく、1つのテーマを知っているかどうかで科目の得点が決まるため、科目ごとの届く人の割合にばらつきが出ます(この理由づけは当サイトの整理で、公式資料が述べているものではありません)。
出典(厚生労働省 科目得点状況表。割合は当サイトの計算、分母はその科目の解答者数):第58回・第57回・第56回・第55回・第54回。
2つの物差しから言えること
- 満点に対する平均点は、第54〜58回の5回とも択一式のほうが低い
- 科目の基準点に届く人の割合が一番低い科目は、5回とも選択式のほうが低い
- どちらが難しいかは受験者の得意・不得意で変わるので、当サイトは優劣を決めません。足切りの対象は両方にあるため、どちらかを捨てる前提の準備はできません
選択式の準備の考え方(当サイトの整理)
選択式の準備に関する公式の勉強法はありません。ここからは、公式資料で確認できた形式をもとにした当サイトの整理で、合格の保証ではありません。
- 形式を一度見る:試験センターの結果ページに、最新回の選択式問題が掲載されます(掲載期間に注意)。文章の中の空欄に、語句の番号を選ぶ形式を確認します
- 科目ごとに3点を目標にする:選択式は科目ごとの足切りがあるので、得意科目で満点を狙うより、全8科目で3点以上を狙います。第58回では雇用保険法が2点に補正されましたが、補正は結果が出てから決まるため、当てにしません
- 特定の科目だけに絞らない:上の表で、選択式の基準点に届いた人の割合が一番低かった科目は、雇用保険法が2回(第58・55回)、社会保険に関する一般常識が2回(第57・54回)、労働に関する一般常識が1回(第56回)で、毎年同じではありません。どの科目が低くなるかを公式データから前もって当てることはできないので、全8科目を同じ重さで準備します
- 条文の言葉を正確に覚える:空欄には、条文や判例の文章の語句が入ります。選択式で出た最高裁判決は、社労士の判例の記事で要旨を確認できます。択一式で「正しいか誤りか」を判断する知識を、「どの語句が入るか」を思い出せる形で持つ必要があります(各法律の第1条は社労士の目的条文一覧|労基・労災・雇用・健保・厚年・国年の第1条を現行条文で比較で並べています)
- 時間は短い:選択式は80分で8科目なので、単純計算では1科目10分です。択一式の1問3分と比べると、1科目にかけられる時間は長いものの、5つの空欄をすべて埋める必要があります
当サイトの問題は択一式の形式が中心ですが、科目ごとの条文知識を確認する入口として使えます。科目ごとの問題の例です。
選択式8科目の入口(各科目の問題の例)
- 労働基準法:解雇予告と解雇制限(労基 問4)
- 労災保険法:業務災害の認定(労災 問2)
- 雇用保険法:基本手当の受給資格(雇用 問3)
- 雇用保険法:求職者給付の体系(空欄補充の形式・雇用 問25)
- 労働に関する一般常識:パート有期法の同一労働同一賃金(労一 問3)
- 社会保険に関する一般常識:社会保険労務士法(社一 問5)
- 健康保険法:適用事業所の範囲(健保 問10)
- 厚生年金保険法:被保険者の資格取得・喪失(厚年 問2)
- 国民年金法:被保険者の種別(国年 問3)
学習全体の計画は社労士 完全合格ガイド、6か月の計画は社労士 6ヶ月合格プランにあります。
まとめ:選択式は「8科目すべてで基準点」の試験
- 選択式は、午前の80分で8問(1科目1問・5空欄)。1空欄1点、合計40点(試験センター)
- 第58回の合格基準は、選択式が総得点25点以上かつ各科目3点以上(雇用保険法は2点以上)。1科目でも届かなければ不合格
- 択一式との違いは、試験時間(80分/210分)・配点(5点/10点の科目)・基準点(3点/4点)と、徴収法が出題されない点
- 満点に対する平均点は択一式のほうが低い(第54〜58回の5回とも)。科目の基準点に届く人の割合が一番低い科目は、5回とも選択式のほうが低い
- 準備は、全8科目で3点以上を目標にする。補正は結果が出てから決まるので当てにしない
よくある質問
Q社労士試験の選択式は、1問で何点ですか?
選択式は8科目で各1問、1科目5点満点(合計40点満点)です。試験センターの発表では「各問1点とし、1科目5点満点」とされ、1科目にA〜Eの5つの空欄があるので、1空欄が1点にあたります。
Q選択式を欠席すると、択一式は受けられますか?
受けられません。第58回の受験案内に「午後の試験のみを受験することはできません」とあり、午前の選択式を欠席して午後から来た場合は退席となります。
Q選択式と択一式は、どちらが難しいですか?
見る物差しで答えが変わります。平均点を満点で割ると、第54〜58回は毎回、択一式のほうが低い値でした。一方、科目の基準点(選択式3点・択一式4点)に届く人の割合が一番低い科目は、5回とも選択式のほうが低い値でした(厚生労働省の科目得点状況表から当サイトが計算)。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月3日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

