宅建の名義貸しを、e-Govの宅建業法13条・65条・66条・68条・79条で整理。業者の名義貸しと宅建士の名義貸しの違い、処分と罰則、専任の宅建士の要件、発覚したときの欠格期間を表で確認でき、オリジナル例題2問と令和8年度の法令基準日つきです。
目次
結論:宅建の名義貸しには2種類あります。宅建業者が自己の名義で他人に宅建業を営ませる(宅建業法13条1項)と、宅建士が他人に自己の名義の使用を許し、その他人が宅建士である旨の表示をする(68条1項2号)です。業者側は、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(79条3号)、1年以内の業務停止(65条2項2号)、情状が特に重いときの免許取消(66条1項9号)が定められています。宅建士側は、指示、1年以内の事務禁止、登録の消除です。
宅建業法の条文を、e-Gov 法令検索の2026-10-03 時点の現行条文で整理します。条文は 宅地建物取引業法 にあります。この記事は、名義貸しを「してはいけないこと」として制度を説明するもので、名義の貸し借りの方法や対価は取り上げません。
| 区分 | 禁止の内容 | 条文 | 主な処分・罰則 |
|---|---|---|---|
| 業者の名義貸し(1項) | 自己の名義で、他人に宅建業を営ませる | 13条1項 | 3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(併科あり。79条3号)、1年以内の業務停止(65条2項2号)、情状が特に重いときは免許取消(66条1項9号) |
| 業者の名義貸し(2項) | 自己の名義で、他人に宅建業を営む旨の表示や、営む目的の広告をさせる | 13条2項 | 100万円以下の罰金(82条2号)、1年以内の業務停止(65条2項2号) |
| 名義を借りて営んだ者 | 免許を受けずに宅建業を営む | 12条1項 | 3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(併科あり。79条2号) |
| 宅建士の名義貸し | 他人に自己の名義の使用を許し、その他人が宅建士である旨の表示をする | 68条1項2号 | 指示、1年以内の事務禁止(68条2項)、情状が特に重いときは登録の消除(68条の2第1項4号) |
| 専任の表示の貸し | 自己が専任として従事している事務所以外の事務所の専任である旨の表示を、業者に許す | 68条1項1号 | 同上 |
当サイトの宅建業法の問題(140問)のうち、名義貸しを扱う問題は問14の1問、専任の宅建士の設置を主題にした問題は問9・問122の2問(案内所の問8を含めると3問)です(2026-10-03集計)。当サイトの問題数であり、本試験の出題頻度ではありません。
名義貸しとは(宅建業法13条)
13条は2つの項で、宅建業者に2つのことを禁じています。
- 1項:「宅地建物取引業者は、自己の名義をもつて、他人に宅地建物取引業を営ませてはならない」
- 2項:「宅地建物取引業者は、自己の名義をもつて、他人に、宅地建物取引業を営む旨の表示をさせ、又は宅地建物取引業を営む目的をもつてする広告をさせてはならない」
免許制度は、免許を受けた業者を、免許の基準(5条)に照らして審査し、監督する仕組みです。免許を持たない者が、免許を持つ業者の名義で営業すると、その審査と監督が働きません。13条は、この仕組みを守るための規定です(制度趣旨の説明は当サイトによる整理です)。
13条の義務を負うのは宅建業者(名義を貸す側)です。借りて営む側は、免許を受けていなければ、12条1項の無免許事業等の禁止に当たります。この2つは条文が別で、罰則の号も別です(79条2号と3号)。
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宅建士の名義貸し(68条1項2号)と、専任の表示(68条1項1号)
宅建士にも、名義に関する禁止があります。ただし、13条とは別の条文です。
都道府県知事は、登録を受けている宅建士が次のいずれかに当たるとき、必要な指示をすることができます(68条1項)。
- 1号:宅建業者に、自己が専任の宅建士として従事している事務所以外の事務所の専任の宅建士である旨の表示をすることを許し、その業者がその旨の表示をしたとき
- 2号:他人に自己の名義の使用を許し、その他人がその名義を使用して宅建士である旨の表示をしたとき
- 3号:宅建士として行う事務に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき
1号・2号とも、「許し」と「(相手が)表示をした」の両方がそろったときの規定です。指示の後の流れは次の表のとおりです。
| 段階 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 指示 | 必要な指示 | 68条1項 |
| 事務の禁止 | 1号〜3号に当たる場合又は指示に従わない場合、1年以内の期間を定めて、宅建士としてすべき事務を行うことを禁止 | 68条2項 |
| 登録の消除 | 68条1項各号に当たり情状が特に重いとき、又は事務禁止の処分に違反したとき、登録を消除しなければならない | 68条の2第1項4号 |
| 他県の登録を受けている宅建士 | 当該都道府県の区域内なら、指示・事務禁止を行える | 68条3項・4項 |
68条の2第1項4号により登録の消除の処分を受けると、その処分の日から5年を経過しない者は、宅建士の登録を受けることができません(18条1項9号)。
宅建士は、このほか、信用又は品位を害するような行為をしてはならず(15条の2)、公正かつ誠実に事務を行う義務があります(15条)。
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業者側の処分と罰則
宅建業者が13条に違反した場合の処分は、監督処分と刑事罰の2つに分かれます。
| 手続 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 業務停止 | 国土交通大臣又は都道府県知事は、13条に違反したとき、1年以内の期間を定めて業務の全部又は一部の停止を命ずることができる | 65条2項2号 |
| 免許取消 | 65条2項各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき、又は業務停止の処分に違反したとき、免許を取り消さなければならない | 66条1項9号 |
| 罰則(1項違反) | 13条1項に違反して他人に宅地建物取引業を営ませた者は、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する | 79条3号 |
| 罰則(2項違反) | 13条2項に違反した者は、100万円以下の罰金 | 82条2号 |
| 法人への罰金 | 法人の代表者や従業者が、その業務に関し79条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に1億円以下の罰金刑 | 84条1号 |
業務停止は「命ずることができる」(裁量)、免許取消は「情状が特に重いとき」などで「取り消さなければならない」(義務)と、条文の書き方が違う点は、試験でも押さえておきたいところです。
宅建業法の名義貸しに関する罰則の数字:13条1項違反は3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(併科あり)、13条2項違反は100万円以下の罰金、業務停止は1年以内、法人の罰金は1億円以下。最終確認日:2026-10-03。出典:e-Gov 法令検索 宅地建物取引業法(65条・79条・82条・84条)。
発覚したときに起きること:欠格期間と、その後の影響
「名義貸し バレる」「名義貸し バレた」と検索する人が知りたいのは、発覚したあとに何が起きるかだと思います。発覚の経緯は、公的な統計などの一次情報がないため書きません。処分の結果として条文が定めていることは、次のとおりです。
| 対象 | 処分 | その後の制限 |
|---|---|---|
| 宅建業者 | 免許取消(66条1項9号) | 取消しの日から5年を経過しない者は、免許を受けられない。法人が取り消された場合は、取消しに係る聴聞の期日・場所の公示の日前60日以内にその法人の役員であった者も含まれる(5条1項2号) |
| 宅建士 | 登録の消除(68条の2第1項4号) | 処分の日から5年を経過しない者は、登録を受けられない(18条1項9号) |
| 免許を申請する者 | 事務所について専任の宅建士の要件(31条の3)を欠く | 免許の基準として、免許を受けられない(5条1項15号。66条1項1号の取消事由には挙がっていない) |
| 宅建業者 | 事務所が専任の宅建士の設置の規定に抵触するに至ったとき | 2週間以内に是正の措置(31条の3第3項)。違反は100万円以下の罰金(82条2号)、業務停止(65条2項2号) |
名義貸しの対価の額(いわゆる「相場」)は、違法行為の対価なので、この記事では取り上げません。
欠格期間:免許取消・登録消除から5年。最終確認日:2026-10-03。出典:e-Gov 法令検索 宅地建物取引業法(5条1項2号・18条1項9号)。
専任の宅建士の要件と、名義貸しとのつながり
専任の宅建士の設置は、名義貸しと混同されやすい論点です。設置の義務は、31条の3が定めています。「専任」の意味と兼務の扱いは専任の宅地建物取引士とはで詳しく整理しています。
- 宅建業者は、事務所等ごとに、国土交通省令で定める数の成年者である専任の宅建士を置きます(31条の3第1項)
- 数は、事務所では、業務に従事する者の数に対する宅建士の割合が5分の1以上となる数、案内所などの事務所以外の場所では1以上です(施行規則15条の5の3)
- 事務所以外の場所は、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のもの、10区画以上の一団の宅地又は10戸以上の一団の建物の分譲の案内所などです(施行規則15条の5の2)
- 業者(法人は役員)が宅建士のときは、自ら主として業務に従事する事務所では、その者が専任の宅建士とみなされます(31条の3第2項)
「専任」の意味は、国土交通省の宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(令和8年4月1日施行版)(第31条の3第1項関係「3」)にあります。原則として、宅建業を営む事務所に常勤して(通常の勤務時間を勤務すること。ITの活用等により適切な業務ができる体制を確保した上で、事務所以外で通常の勤務時間を勤務する場合を含みます)、専ら当該事務所に係る宅建業の業務に従事する状態です。同じ考え方は、他の業種を兼業する事務所での取扱いにも触れています。
実際には別の事務所に専任として従事している宅建士を、この事務所の専任の宅建士として表示する行為は、前に見た68条1項1号(他の事務所の専任である旨の表示を許す)の対象になりえます。このため、専任の宅建士の要件(常勤・専ら)を理解しておくことは、名義貸しの論点を読むうえでも役立ちます。
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試験での出題
令和7年度の問題冊子の全文で「名義」「専任」「31条の3」を検索したところ、名義貸し(13条)や専任の宅建士の設置(31条の3)を主題にした問題はありませんでした(「専任」は、専属専任媒介契約の語や、重要事項説明書の記名に関する選択肢の中で出てきます)。令和7年度に出ていないことは、今後の出題予想ではありません。
当サイトの問題は、無免許営業・名義貸し(問14)、専任の宅建士の設置(問9・問122)、宅建士に対する監督処分(問23)に分けて、それぞれ条文の根拠つきで確認できます。
当サイトの例題
例題は、条文から当サイトが作成したオリジナルです。
例題1:宅建業法の名義貸しに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- ① 宅建業者は、自己の名義をもって、他人に宅地建物取引業を営ませてはならない
- ② 宅建業者は、自己の名義をもって、他人に、宅地建物取引業を営む旨の表示をさせてはならない
- ③ 13条1項に違反して他人に宅地建物取引業を営ませた者は、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処せられ、又はこれを併科される
- ④ 13条に違反した宅建業者の免許は、情状にかかわらず、取り消される
答えは④です。13条違反については、国土交通大臣又は都道府県知事が1年以内の業務停止を命ずることができます(65条2項2号)。免許の取消しは、情状が特に重いとき又は業務停止の処分に違反したときです(66条1項9号)。①は13条1項、②は13条2項、③は79条3号です。
例題2:宅地建物取引士に対する処分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ① 他人に自己の名義の使用を許し、その他人が宅建士である旨の表示をしたとき、登録をしている都道府県知事は、その宅建士に必要な指示をすることができる
- ② 事務禁止の期間は、最長2年である
- ③ 情状が特に重い場合でも、登録の消除はできず、事務禁止の処分しかできない
- ④ 他人に自己の名義の使用を許した宅建士は、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処せられる
答えは①です。68条1項2号の規定です。②は、事務禁止が1年以内です(68条2項)。③は、情状が特に重いとき登録を消除しなければなりません(68条の2第1項4号)。④は、79条の列挙に、この行為がありません。
令和8年度試験の法令基準日と確認先
RETIOの試験の概要では、出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです。令和8年度試験の基準日は2026年4月1日です。e-Govの宅建業法の現行の版は2026年4月1日施行の版で、この記事で引用した条文は、基準日の時点と同じ版のものです。国土交通省の「解釈・運用の考え方」は、令和8年4月1日施行版を参照しています。
次の年度の試験を受ける場合は、その年度の4月1日現在の条文を、e-Gov 法令検索の宅地建物取引業法で確認してください。宅建業法全体の整理は宅建業法の攻略、免許の制度は宅建の免許にあります。
まとめ
- 名義貸しは2種類。宅建業者の名義貸し(13条)と、宅建士の名義貸し(68条1項2号)で、条文も処分も別
- 業者は、業務停止(1年以内・できる)、情状が特に重いと免許取消(取り消さなければならない)、罰則は13条1項違反が3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(併科あり)、2項違反が100万円以下の罰金
- 宅建士は、指示、1年以内の事務禁止、情状が特に重いと登録の消除。消除から5年は登録できない
- 名義を借りて免許なしで営んだ者は、無免許事業等の禁止(12条1項)違反
- 専任の宅建士は、原則として事務所に常勤し、専ら当該事務所の宅建業の業務に従事する者
著作権・正確性の方針:本サイトは一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)と一切関係ありません。掲載問題は出題範囲を参照した合格ナビ独自の自作問題です。
よくある質問
Q宅建士が自分の名義を他人に使わせると、刑事罰を受けますか。
宅建業法の13条(名義貸しの禁止)の義務を負うのは宅建業者です。宅建士については、68条1項2号が、他人に自己の名義の使用を許し、その他人がその名義を使用して宅地建物取引士である旨の表示をしたときを、指示の対象としています。指示に従わない場合や、この号に当たる場合には、1年以内の事務禁止(68条2項)、情状が特に重いときは登録の消除(68条の2第1項4号)が定められています。宅建業法の罰則の規定(79条〜86条)には、68条1項2号の行為そのものを罰する規定はありません(2026-10-04 時点)。ただし、宅建業法以外の法令や、名義を借りた側の行為への関わり方による責任の有無は、この記事では判断できません。
Q名義を借りて宅建業を営んだ側は、どうなりますか。
免許を受けないで宅建業を営んだ者は、無免許事業等の禁止(12条1項)に違反し、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する、と79条2号が定めています。
Q「専任の宅建士」は、副業やアルバイトをしながらでもなれますか。
国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」は、「専任」を、原則として宅建業を営む事務所に常勤して、専ら当該事務所に係る宅地建物取引業の業務に従事する状態と説明しています。他の業種の兼業の扱いにも触れていますが、個別の事情で判断が分かれるため、具体的な場合は免許権者に確認してください。
Q令和8年度の宅建試験は、宅建業法のどの時点の条文で出題されますか。
RETIOの試験概要では、出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです。令和8年度は2026年4月1日現在の条文で、e-Govの宅建業法の現行の版(2026年4月1日施行)が、その基準日の版です(2026-10-03 時点)。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月3日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

