宅建と一級建築士を、公式の合格率(一級は5年分・分母つき)、受験資格、試験の構成、免許・登録の条件、重なる建築基準法、令和8年度の日程で比較します。建築士法・宅建業法の条文で、できる業務の線引きも確認できます。
目次
結論:宅建は日本国内に居住していれば年齢・学歴を問わず受験でき、試験は年1回・四択50問・令和7年度の合格率が18.7%です。一級建築士は受験資格が必要で、学科(5科目125問)と設計製図(6時間30分)の2段階があり、令和7年は学科16.5%・設計製図35.0%・総合11.4%でした。2つの試験が重なるのは、宅建の「法令上の制限」と一級建築士の学科III(法規)にある建築基準法です。
宅建と一級建築士を、受験資格・試験の構成・合格率・免許の条件・できる業務で並べます。二級建築士や簿記2級との比較は簿記2級・二級建築士との比較に分けています。勉強時間や年収は、公的な出典がないため載せません。
宅建と一級建築士の直近の数値:宅建は令和7年度 受験者245,462人・合格者45,821人・合格率18.7%(合格基準点 50問中33点)、受験手数料8,200円、令和8年10月18日(日)。一級建築士は令和7年 学科16.5%(実受験者27,489人)・設計製図35.0%(11,381人)・総合11.4%、受験手数料17,000円(非課税)、令和8年は学科7月26日(日)・設計製図10月11日(日)。最終確認日:2026-10-04。出典:不動産適正取引推進機構 試験実施概況・同 試験の概要・建築技術教育普及センター 一級建築士試験結果・同 一級建築士試験トップ・同 試験について。
1. 宅建と一級建築士の比較表
| 項目 | 宅建 | 一級建築士 |
|---|---|---|
| 公式情報の出所 | 不動産適正取引推進機構 | 建築技術教育普及センター(建築士法4条2項は「国土交通大臣の行う一級建築士試験」と定める) |
| 受験資格 | 日本国内に居住していれば年齢・学歴を問わない | 建築士法14条の学歴・資格など(二級建築士を含む) |
| 試験の構成 | 四択50問・2時間(登録講習修了者は45問) | 学科(5科目125問)と設計製図。設計製図は学科に合格した人だけが受験できる |
| 実施回数 | 年1回(10月の第3日曜日) | 年1回(学科7月・設計製図10月) |
| 令和7年の合格率 | 18.7%(受験者245,462人) | 学科16.5%・設計製図35.0%・総合11.4% |
| 合格後に必要な手続き | 資格登録(宅建業法18条)→宅建士証の交付(同法22条の2) | 免許(建築士法4条)。実務経験は登録時に審査される |
宅建の試験の方法・受験資格は不動産適正取引推進機構 試験の概要、一級建築士の構成・日程・受験資格は建築技術教育普及センター 試験についてと同 受験資格によります。
2. 合格率を分母つきで並べる(一級建築士は5年分)
一級建築士の直近5年は次のとおりです。学科と設計製図は、それぞれ実受験者数に対する合格者の割合です。
| 年 | 学科(実受験者/合格率/合格者) | 設計製図(実受験者/合格率/合格者) | 総合合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和3年 | 31,696人/15.2%/4,832人 | 10,499人/35.9%/3,765人 | 9.9% |
| 令和4年 | 30,007人/21.0%/6,289人 | 10,509人/33.0%/3,473人 | 9.9% |
| 令和5年 | 28,118人/16.2%/4,562人 | 10,238人/33.2%/3,401人 | 9.9% |
| 令和6年 | 28,067人/23.3%/6,531人 | 11,306人/26.6%/3,010人 | 8.8% |
| 令和7年 | 27,489人/16.5%/4,529人 | 11,381人/35.0%/3,988人 | 11.4% |
出典:建築技術教育普及センター 一級建築士試験結果。令和4年の学科の実受験者数は、ページ上は「30.007」と表記されていますが、合格者6,289人との割合が21.0%になることから30,007人と読んでいます(当サイトの検算)。
宅建は、令和4〜7年度の合格率が17.0%・17.2%・18.6%・18.7%です(不動産適正取引推進機構 試験実施概況)。
読み取れること(数字から言える範囲)
- 一級建築士の学科の合格率は、直近5年で15.2〜23.3%と、年によって動く
- 総合合格率は、直近5年で8.8〜11.4%。学科に合格した人が設計製図に進むため、1回の試験の合格率として宅建と並べると意味がずれる
- 宅建は1回の試験で合否が決まる。一級建築士は、学科と設計製図の2段階を通る必要がある
どちらが難しいかは、公式資料に共通の指標がないため、本記事では判断しません。
一級建築士の直近5年:令和3〜7年の総合合格率は9.9%・9.9%・9.9%・8.8%・11.4%、令和7年は学科16.5%・設計製図35.0%。宅建は令和4〜7年度が17.0〜18.7%。最終確認日:2026-10-04。出典:建築技術教育普及センター 一級建築士試験結果・不動産適正取引推進機構 試験実施概況。
3. 受験資格と、合格したあとに必要な手続き
宅建には受験資格がありません。一級建築士は、建築士法14条が次のいずれかに当てはまる人に限っています。
- 大学・高等専門学校などで、国土交通大臣の指定する建築に関する科目を修めて卒業した人(1号)
- 二級建築士(2号)
- 国土交通大臣が、1号・2号の人と同等以上の知識・技能があると認める人(3号)
建築技術教育普及センターの受験資格のページには、このほか建築設備士などが並んでいます。令和2年以降に合格した人は、従来の「実務経験要件」を、登録時に審査される扱いになりました。
どちらの資格も、試験に合格しただけでは名乗れません。
| 宅建士 | 一級建築士 | |
|---|---|---|
| 条文 | 宅建業法18条1項・22条の2第1項 | 建築士法4条 |
| 試験に合格したあと | 都道府県知事の登録(実務経験などの条件)→宅建士証の交付申請 | 国土交通大臣の免許。大学卒の人は建築実務2年以上など、号ごとに条件が違う(同条2項) |
宅建業法18条1項は「試験に合格した者で、宅地若しくは建物の取引に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの」などが登録を受けられると定めています。建築士法4条1項は「一級建築士になろうとする者は、国土交通大臣の免許を受けなければならない」と定め、2項で試験合格に加えて、学歴や建築実務の年数などの号を満たす人だけが免許を受けられるとしています。年数は号ごとに違うため、条文で確認してください。
条文は e-Gov 法令検索で確認(2026-10-04 時点の現行条文):建築士法・宅地建物取引業法。
4. 試験の中身の違い(宅建は50問、一級建築士は学科5科目+設計製図)
一級建築士の令和8年の学科は、次の5科目です。
| 科目 | 問題数 | 内容 |
|---|---|---|
| 学科I(計画) | 20問 | 建築計画、建築積算等 |
| 学科II(環境・設備) | 20問 | 環境工学、建築設備等 |
| 学科III(法規) | 30問 | 建築法規等(告示も含む) |
| 学科IV(構造) | 30問 | 構造力学、建築一般構造、建築材料等 |
| 学科V(施工) | 25問 | 建築施工等 |
5科目の問題数の合計は125問です(当サイトの計算)。設計製図は令和8年は10月11日(日)の11時〜17時30分(6時間30分)で、適用法令は令和8年1月1日現在です。試験について・時間割は建築技術教育普及センター 試験についてに載っています。
宅建は四択50問・2時間で、宅建業法・権利関係・法令上の制限・税その他の分野を1回で解きます。設計製図のような実技の試験は、宅建にはありません。
5. 重なる分野:建築基準法(宅建の法令上の制限と一級建築士の法規)
建築基準法は、宅建の「法令上の制限」と、一級建築士の学科III(法規)の両方に出てくる法律です。宅建では、条文の暗記というより、売買・貸借の相手方に説明すべき制限としての理解が中心になります。宅建業法35条1項2号は、宅建士が「都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限」を説明すると定めています。
| 論点 | 建築基準法の条文 | 当サイトで確認できる問題 |
|---|---|---|
| 建築確認 | 6条 | 法令上の制限 問19・問21 |
| 用途地域ごとの建築物の制限 | 48条 | 法令上の制限 問13 |
| 容積率 | 52条 | 法令上の制限 問15 |
| 建蔽率 | 53条 | 法令上の制限 問14 |
| 建築物の各部分の高さ | 56条 | 法令上の制限 問16 |
| 敷地と道路の関係(接道義務) | 43条 | 法令上の制限 問19 |
条文は e-Gov 法令検索で確認(2026-10-04 時点の現行条文):建築基準法。
当サイトの宅建の問題(360問)のうち、建築基準法を問題文・選択肢・小分類に含む問題は16問です(法令上の制限が14問、宅建業法が2問)。自作の論点別問題の数で、本試験の出題数ではありません(2026-10-02 書き出しのデータを2026-10-04 に集計)。
建築基準法の問題を解く
宅建業法の側で建築基準法が出てくる場面も、次の問題で確認できます。
建築確認の中身は建築確認を宅建向けに整理した記事、法令上の制限の全体は法令上の制限の記事で整理しています。
6. できる業務の線引き(条文で確認できること)
宅建士と一級建築士は、法律が別々で、業務の中身も違います。
| 宅建士・宅建業 | 一級建築士 | |
|---|---|---|
| 業の定義 | 宅地・建物の売買・交換、売買・交換・貸借の代理・媒介を業として行う(宅建業法2条2号) | 建築物の設計・工事監理その他の業務(建築士法2条2項) |
| 事業を行うために | 宅建業を営むには、宅建業法3条1項の免許が必要 | 報酬を得て設計等を業として行うには、建築士事務所の登録(建築士法23条1項・都道府県知事) |
| 資格者だけができること | 重要事項の説明(35条)、重要事項説明書・37条書面への記名は宅建士が行う | 一定の建築物の設計・工事監理は一級建築士でなければできない(3条)。一級又は二級建築士でなければできないものもある(3条の2) |
宅建業法の本則に「建築士」の語は出てきません。建築士法の本則にも、宅建士であることを求める規定はありません(e-Gov 法令検索の2026-10-04 時点の現行条文)。ただし、宅建業の現場では建築士が出てくる場面があります。既存建物の売買・交換の媒介契約の書面には、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載します(宅建業法34条の2第1項4号)。その調査を実施する者は、建築士で、国土交通大臣が定める講習を修了した人と定められています(宅地建物取引業法施行規則15条の8第1項)。
7. 令和8年度の日程と、受ける順序の考え方
令和8年度の日程:一級建築士は学科が令和8年7月26日(日)・設計製図が10月11日(日)、宅建は令和8年10月18日(日)。最終確認日:2026-10-04。出典:建築技術教育普及センター 一級建築士試験トップ・不動産適正取引推進機構 試験の概要。宅建の10月18日は「10月の第3日曜日」から当サイトが算出(令和8年は10月4日が日曜日のため)。
宅建の試験日(10月18日)を基準にすると、間隔は次のとおりです(令和8年度の日程で当サイトが計算)。
| 試験 | 宅建(10月18日)との間隔 |
|---|---|
| 一級建築士 学科(7月26日) | 84日前 |
| 一級建築士 設計製図(10月11日) | 7日前 |
令和8年度は、一級建築士の設計製図の試験日が宅建の1週間前です。令和8年7月の学科の試験の合格者(全国)は7,619人でした(建築技術教育普及センター 一級建築士試験結果、2026-10-04 時点)。同じ年に両方を受ける場合、学科に合格すると、10月に2つの試験が続きます。順序の正解は決まっていないため、当サイトでは次の考え方を示します。
- 同じ年に両方を受ける:設計製図を受けられるのは学科に合格した人だけです。宅建の受験申込みの受付は、インターネットが7月上旬から下旬まで、郵送が7月上旬から中旬までで(不動産適正取引推進機構 試験の概要)、一級建築士の学科の試験日(7月26日)の前後に当たります
- 宅建を先に受ける年を作る:宅建は受験資格がなく、受ける年を選びやすい
- 一級建築士の学科合格者:令和2年以降の学科合格者は、条件を満たせば学科の試験が免除されます(令和8年は令和4年以降の合格者のうち、合格年から令和7年までの設計製図の受験回数が2回以内の人)
8. 合格ナビで確認できる範囲
合格ナビは、宅建の論点別問題・解説を提供しています。各問に3レベル解説(初心者・標準・上級)と根拠条文がついています。一級建築士の問題は、当サイトにはありません。建築技術教育普及センターの公式サイトで確認してください。
著作権・正確性の方針:本サイトは一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)および建築技術教育普及センターと一切関係ありません。掲載問題は過去の試験問題の転載ではなく、出題範囲を参照した合格ナビ独自の自作問題(論点別問題)です。
よくある質問
Q宅建と一級建築士は、どちらが難しいですか?
公式資料に、2つの試験を比べられる共通の指標はありません。令和7年は、宅建が18.7%(受験者245,462人)、一級建築士が学科16.5%(実受験者27,489人)・設計製図35.0%(11,381人)・総合11.4%です。一級建築士は学科と設計製図の2段階で、受験資格も必要なため、1回の試験の合格率として宅建と同じ意味では比べられません。
Q宅建に合格していると、一級建築士の試験で免除になるものはありますか?
建築技術教育普及センターの受験資格・試験案内のページには、宅建の合格を理由とする免除は書かれていません。学科の試験の免除は、令和2年以降に学科の試験に合格した人が対象です(令和8年は令和4年以降の合格者のうち一定の条件の人)。
Q一級建築士は、宅建の資格がなくても不動産の売買の仲介ができますか?
できません。宅建業(売買・交換や、その代理・媒介を業として行うこと)を営むには、建築士かどうかに関係なく、宅建業法3条1項の免許が必要です。この免許は宅建業を営むための免許で、宅建士の資格(試験合格後の登録、同法18条)とは別の制度です。宅建業法の本則には「建築士」の語は出てきません(2026-10-04 時点の現行条文で確認)。重要事項の説明は、免許を受けた宅建業者が宅建士に行わせます(同法35条1項)。
Q宅建士は、建築物の設計をしてもよいのですか?
宅建士の資格だけでは、設計や工事監理に関する建築士法の規定を満たしません。一定の建築物の設計・工事監理は、一級建築士(建築士法3条)または一級・二級建築士(同法3条の2)でなければできません。規模の数値は条文で確認してください。
Q一級建築士と宅建の年収はどのくらい違いますか?
試験団体・国の公表資料に、資格別の年収の数値は載っていないため、当サイトでは年収を書きません。比べるなら、試験の構成・免許の条件・できる業務の違いなど、公式資料で確かめられる項目をおすすめします。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

